有価証券報告書-第24期(令和1年5月1日-令和2年4月30日)

【提出】
2020/07/30 9:36
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供しております。
「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念として、以下の経営方針に基づいて事業展開を行っております。
a.企業間取引分野、インターネット分野、金融分野などの専門性の向上を重視する。
b.顧客のニーズに真摯に耳を傾け、顧客ニーズを充足することを重視する。
c.システム開発に関しては極力自社開発とする。
d.労働集約的な仕組みでなく、極力自動化し、効率的な経営を行う。
当社グループは、経営理念に従って、企業と企業が取引を行う上で必要なサービスに新しい価値を創出し、進化させていくことが事業拡大に必要であるとしており、また、株主利益の増大が実現されると考えております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、IT及びFinTechを活用した企業間取引サービスを軸に、事業相互間でのシナジー効果ないしリソースの共有を意識した事業展開により安定成長してきました。今後は成長ペースを速めることを積極的に模索し、早期に2018年4月期の約2倍の水準である「EBITDA 10億円」の達成を目指すことを第一段階の成長目標にしております。
(3)経営戦略等
成長目標の早期達成の実現を図るため、以下のグループ経営戦略に取り組んでまいります。
①既存事業の成長スピード加速
当社はこれまでEC事業、フィナンシャル事業ともに安定的かつ堅調な事業成長を歩んでまいりました。持株会社体制へ移行したことで各事業の意思決定の迅速化を図る体制が整いましたので、成長機会を貪欲に追及することで既存事業の成長スピードを加速させてまいります。
②M&Aの実施
持株会社体制への移行から、新規事業の創出やM&Aの検討・実施を担当する経営企画部の創設及び、M&A及び資本・業務提携の実現のために必要と考えられる資金を確保することを目的とした新株予約権の発行と、必要な体制を整えてまいりました。現時点では、M&Aについては既存事業分野とのシナジー効果のある分野が特に有望と考えております。
③新規事業の創出
スムーズな新規事業の立ち上げを図っていくためにイントレプレナー(社内起業家)制度を新設いたしました。EC事業、フィナンシャル事業ともに業歴が長く、それぞれの事業に精通した人材が多く在席しております。イントレプレナー制度の運用により創造性のある事業を活発に立ち上げてまいる所存であります。特に決済、保証サービスを提供しているフィナンシャル事業は、AIやフィンテック等と親和性の高い金融サービスです。
(4)経営環境
IT及びFinTechを活用した市場は、技術進歩が非常に早く、高い成長が見込まれることを背景にサービスも進化し、多様化しております。変化の激しい市場において、当社は技術進歩に対応しながら、既存事業、新規事業ともに付加価値の高いサービスを提供し続けられるよう努める方針であります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景とした政府による「新しい生活様式」の提言を受け、ビジネスの現場においても「働き方の新しいスタイル」に対応するべく行動変容が起きております。新しい働き方を推進していくために必要なIT及びFinTechを活用した企業間取引サービスの需要が今後高まっていくことが推察されます。当社は現時点において「インターネット上で完結できるサービス」を複数提供しております。この優位性を高めていくためにより利便性の高いサービスを提供し続けられるよう努める方針であります。
(5)優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題
①新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の変化に対する対応
新型コロナウイルス感染症の影響により当社グループの経営環境に変化が生じております。短期的には、プラス面として当社グループのサービスの認知度が向上いたしました。EC事業においては非対面での商いを求める企業ニーズにより「スーパーデリバリー」の新規の出展企業数、会員数が増加いたしました。フィナンシャル事業においては、取引先に対する信用不安に備えたい企業ニーズから売掛保証サービスのクライアント数が増加いたしました。一方、マイナス面としては景気の悪化による企業倒産件数の増加が懸念され、フィナンシャル事業では審査を慎重に行うとともに審査の精度をより向上させていくことが課題であると認識しております。なお、デフォルトの発生状況については現状、通常起こりうる変動範囲内に収まっておりますが、長期化に備え引当金について会計上の見積りを行った他、借入等により手元資金を手厚くすることで財務基盤を強化する対応を行っております。
中長期的には世の中の意識が変わったことで、ITノウハウ、金融ノウハウを活かした当社グループのサービスの事業環境は今後、良化するものと認識しております。財務の安全性を確保しながら、サービスの認知度向上を図ることで事業規模の拡大に努めてまいります。
②全社的な課題
新規事業の展開について
当社グループは、これまで企業間取引分野で事業展開することで企業価値を向上させてまいりました。今後も、当社グループの中長期的な成長を持続させていくためには、更なる収益基盤の強化及び事業領域を拡大していくことが課題であると認識しております。
この課題に対応するため、当社グループでは既存事業の事業成長とともに、積極的に新規事業の創出や、必要に応じてM&Aを実施し成長性のあるビジネスを当社の成長に取り込んでまいります。
③EC事業
a.スーパーデリバリーの海外展開
「スーパーデリバリー」は、サービス開始以来、増収を続けておりますが、その成長スピードを上げていくことが課題であると認識しております。
この課題に対応するための施策の一つとして、これまで国内の小売店に限定していた取引を、海外の小売店にも拡張しております。日本製の商品や、日本で企画された商品は海外における人気が高いことから、海外展開を「スーパーデリバリー」の成長施策の一つとして位置づけております。今後、海外の小売店に対する流通額の増加を促進するために、戦略的な広告投資により集客を行い、また、利便性向上のためのシステム投資や仕組みの導入に努める方針であります。
b.スーパーデリバリーの出展企業の確保と安定的な取引の拡大
「スーパーデリバリー」の中長期的な事業規模拡大には、新規の出展企業の獲得とともに、既存会員小売店との安定した継続取引の確保及び取引の拡大が課題であると認識しております。
この課題に対応するために、小売店からのニーズが高い出展企業の更なる獲得、及び出展企業1社の出品する商材掲載数の増加といったEC卸サイト媒体としての価値向上等に取り組み、さらに、会員小売店の購入客数や客単価、リピート率の向上といった稼働率アップを図る方針であります。
④フィナンシャル事業
a.保証サービスの利益の安定性
売掛保証サービス、家賃保証サービスは順調に保証残高を積み上げ成長をしておりますが、まだまだ規模が小さいと認識しております。そのため、今後も積極的に事業規模を拡大し、保証残高を積み上げていく方針ですが、一方で当社グループ内で一定のリスクをとるビジネスモデルであるため、保証履行による損失が利益に与える影響が大きくならないようにしていくことが課題であると認識しております。
この課題に対応し安定的な利益成長をしていくため、保証先企業に対する審査基準を随時見直し、保証履行の発生を抑えるよう努める他、再保証の活用や、免責事項付の商品の提供等によりリスク分散に努めてまいります。
b.商品力の強化
売掛保証サービス、家賃保証サービスの事業規模拡大には、保証残高を積み上げていくことが必要であり、そのためには、売掛保証サービスにおいては、より多くの企業がクライアントとしてサービスを利用することが必要であると認識しております。また、家賃保証サービスにおいては、より多くの不動産会社がサービスを利用することが必要であると認識しております。
この課題に対応するために、様々なニーズに対応した商品の開発を行っていく方針であります。
c.Paidの参加企業の拡大
Paidの事業規模拡大には、取扱高の増加が必要であり、そのためには、Paid内で取引を行う加盟企業とPaidメンバーを増加させることが課題であると認識しております。
この課題に対応するために、積極的かつ戦略的な広告投資による集客を行っていく方針であります。また、獲得した加盟企業やPaidメンバーの利便性向上のためのシステム投資にも努める方針であります。