有価証券報告書-第20期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 10:30
【資料】
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【項目】
82項目

対処すべき課題

当社グループは、『メディアの革新を通じて、情報革命を実現し、社会に貢献する』を企業理念とし、IT(情報技術)を中心としたニュースや解説など専門性・信頼性の高い情報をインターネット経由で提供するとともに、社会的知識基盤としての情報コミュニティを提供し、人々の知恵と知識の向上に貢献することを経営の基本方針としております。また、技術の進化とともにメディアのあり方を革新し続けることを標榜し、メディア業界全体の発展に貢献してまいります。これらの活動を通じ、ユーザーからの信頼をもとにしたコミュニケーション機会を顧客企業に提供し、企業価値の継続的な向上に努めております。
なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)中長期的な経営戦略
当社グループでは、旧来のメディアビジネスのオンライン化を推進してきており、その収益モデルはメディア広告が中心ですが、同時にその多様化とインターネットならではの革新を志向してきました。近年ではその成果として、リードジェンモデルを確立し、メディア広告モデルと共に当社の両輪と位置づけております。強力なリードジェンモデルを備えていることが、当社グループを他社と差別化し、競争優位をもたらしております。
中期においてはその成長を確実なものとし、さらにその先に向けた長期での成長を図るべく、以下の3つを重要成長戦略と位置づけ、引き続きインターネットならではの革新を志向してまいります。
①収益モデルの多元化
・最新のテクノロジーやデータを活用し、インターネットならではの新たな収益モデルを開発すること
②メディア領域の拡大
・蓄積されたノウハウをもってメディア広告、リードジェンの両モデルにおけるメディア領域の拡大を図ること
③スマート メディア ビジョンの推進
・スマートデバイスやソーシャルメディアの普及に対応した新たなメディアを開発すること
(2)目標とする経営指標
当社グループは、各事業の成長性と収益性を評価する指標として、売上収益、営業利益を重視しています。また、サービスの利用動向を注視するために、ページビュー数、ユニークブラウザ数、「アイティメディアID」会員数等を重要な業績評価指標としています。
(3)対処すべき課題
上記基本方針および経営戦略の下、以下の重点課題に取り組んでまいります。
① スマートデバイスからのアクセスを重視したメディアの拡充
スマート メディア ビジョンの推進にあたって、スマートデバイスでの利用に最適化したメディアの拡充が必要と認識しています。インターネットへのアクセスにおいて、スマートデバイス経由がパソコン経由を凌駕しつつあり、インターネット専業メディア企業である当社グループは、大きな事業環境の変化と捉えております。当社グループでは、上記を具現化するメディアとして「ねとらぼ」を開発し、月間2億ページビューを超える規模となっておりますが、今後もさらなる拡大を図り、将来的にはスマートデバイスに最適化された総合ニュースメディアへと発展させてまいります。
② ビジネスモデルの多様化
当社グループの業績は、顧客企業からの広告売上に大きく依存しております。引き続き広告売上が大きな収益源になると考えておりますが、同時に新たなビジネスモデルの確立余地も大きいと考えております。当社グループでは、リードジェン売上をメディア広告売上と同等の規模にまで高めてまいりましたが、今後もその拡大に努めるとともに、新たなビジネスモデルの開発にも継続的に取り組んでまいります。
③ メディア・テクノロジーを駆使した商品開発力の強化
インターネット広告の手法の進化やデバイスの多様化により、インターネット広告商品のライフサイクルが短期化する傾向にあります。また、当社グループの顧客企業のニーズは、リードジェンに代表されるマーケティング活動の費用対効果の高い商品であると認識しております。このような環境下においては、顧客企業のニーズを先取りした商品の開発と投入のスピードを速める必要があります。今後、当社グループにおける技術力及び営業スキルの向上とそれを実現する組織体制・制度の構築を進めてまいります。
④ 会員数の拡大
当社が運営するウェブサイトを訪れるユニークブラウザ数は約3,572万/月に及び、多くの読者からの支持をいただいております。読者の支持を拡大すべく、情報取得の利便性と満足度向上を目的に当社グループのメディアを横断する会員制度「アイティメディアID」を運営しております。また、この会員制度により、当社グループの顧客企業に対して、付加価値の高い商品を提供することが可能となっております。当連結会計年度末現在、「アイティメディアID」の累計会員数は109万人を突破しておりますが、今後も会員数の拡大を進めてまいります。
⑤ コンテンツ作成プロセスの効率化とソーシャルメディアとの連携強化
「Facebook」、「Twitter」などのSNSやブログなどのソーシャルメディアの普及によって、企業や個人の情報発信機会と能力がますます高まっており、メディア企業が運営するメディアの相対的価値の低下が懸念されます。当社グループでは、コンテンツ作成プロセスの効率化及びソーシャルメディアとの連携など、新たなメディアの価値創造に積極的に取り組んでまいります。
⑥ メディア領域の拡大及びメディア隣接事業領域の拡大
当社グループは、IT&ビジネス分野、産業テクノロジー分野、コンシューマー分野の3つのメディア分野を事業領域として、専門性の高い情報を提供し、多くのユーザーより支持をいただいております。今後、当社グループが持続的な成長をするため、既存メディア分野の周辺領域を中心とした新たなメディア領域への進出ならびにメディア隣接事業領域の拡大に積極的に取り組んでまいります。
⑦ メディア企業としての社会的信頼性の強化
当社グループのメディアが発信する記事の中には、企業の決算や戦略、買収や事業提携、新製品情報など社会的影響度の高い情報が多く含まれております。メディア企業としてのブランド力と高い信頼性を維持・強化するためには、情報発信において常に細心の注意を払い、事実の確認や裏付けを行なった上で適切な時期に信頼に足る情報を提供していく必要があります。
当社グループは、メディア企業として求められる倫理性を常に保ち、情報提供者としての社会的責任を重んじた事業活動を行なってまいります。
⑧ 人材の能力向上
当社グループにとって重要な経営資源の1つが人材です。テクノロジーの進化やメディア形態の多様化、インターネット広告商品のライフサイクル短期化といった外部環境の変化に即応し、当社グループが将来において継続的に成長し続けるためには、その時々に応じた採用方針、育成、評価、報酬制度が重要となります。当社は、2018年度より新たな人事制度を導入しましたが、今後も継続的に従業員の成長意欲を引き出し、能力向上を積極的に進めてまいります。