有価証券報告書-第16期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/15 10:18
【資料】
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【項目】
102項目

対処すべき課題

当社グループでは、旧来のメディアビジネスのオンライン化を推進してきており、その収益モデルはメディア広告が中心ですが、同時にその多様化とインターネットならではの革新を志向してきました。近年ではその成果として、リードジェネレーションモデル8(以下、「リードジェン」という。)を確立し、メディア広告モデルと共に当社の両輪と位置づけております。強力なリードジェンモデルを備えていることが、当社グループを他社と差別化し、競争優位をもたらしており、当社グループの中期的な成長もリードジェンモデルから生まれるものと見込んでおります。
中期においてはその成長を確実なものとし、さらにその先に向けた長期での成長を図るべく、以下の3つを重要成長戦略と位置づけ、引き続きインターネットならではの革新を志向してまいります。
(1) 収益モデルの多元化
・最新のテクノロジーやデータを活用し、リードジェンモデルの高度化を図ること
(2) メディア領域の拡大
・蓄積されたノウハウをもってメディア広告、リードジェンの両モデルにおけるメディア領域の拡大を図ること
(3) スマートメディア ビジョンの推進
・スマートデバイスやソーシャルメディアの普及に対応した新たなメディアを開発すること
上記を実現し、企業価値を高めていくため、次の点を課題として認識し、取り組んでいく所存です。
① スマートデバイスからのアクセスを重視したメディアの拡充
スマートメディア ビジョンの推進にあたって、スマートデバイスでの利用に最適化したメディアの拡充が必要と認識しています。近い将来、インターネットへのアクセス数は、スマートデバイス経由がパソコン経由のアクセス数を超えると予測されており、インターネット専業メディア企業である当社グループは、大きな事業環境の変化と捉えております。当社グループでは、IT総合情報ポータル「ITmedia」、「ねとらぼ」などのウェブサイトをiPhoneやAndroid端末などのスマートデバイスに最適化させて素早く表示する「スマートフォンビュー」を公開しております。今後もさらにスマートデバイス向けのメディアを拡充してまいります。
② ビジネスモデルの多様化
当社グループの業績は、顧客企業からの広告売上に大きく依存しております。引き続き広告売上が大きな収益源になると考えておりますが、同時に新たなビジネスモデルの確立余地も大きいと考えております。今後、当社グループでは、メディア広告売上の拡大に努めるとともに、両輪となっているリードジェン売上をそれ以上に拡大し、同等の規模にまで高めることを目指します。
③ メディア・テクノロジーを駆使した商品開発力の強化
インターネット広告の手法の進化やデバイスの多様化により、インターネット広告商品のライフサイクルが短期化する傾向にあります。また、当社グループの顧客企業のニーズは、リードジェンに代表されるマーケティング活動の費用対効果の高い商品であると認識しております。このような環境下においては、顧客企業のニーズを先取りした商品の開発と投入のスピードを速める必要があります。今後、当社グループにおける技術力及び営業スキルの向上とそれを実現する組織体制・制度の構築を進めてまいります。
④ 会員数の拡大
当社が運営するウェブサイトを訪れるユニークブラウザ数は約2,812万/月に及び、多くの読者からの支持をいただいております。読者の支持を拡大すべく、情報取得の利便性と満足度向上を目的に当社グループのメディアを横断する会員制度「アイティメディアID」を運営しております。また、この会員制度により、当社グループの顧客企業に対して、付加価値の高い商品を提供することが可能となっております。当連結会計年度末現在、「アイティメディアID」の累計会員数は65万人を突破しておりますが、今後も会員数の拡大を進めてまいります。
⑤ コンテンツ作成プロセスの効率化とソーシャルメディアとの連携強化
「Facebook」、「Twitter」などのSNSやブログなどのソーシャルメディアの普及によって、企業や個人の情報発信機会と能力がますます高まっており、メディア企業が運営するメディアの相対的価値の低下が懸念されます。当社グループでは、すでにブログメディア「オルタナティブ・ブログ」、「誠ブログ」、「エンジニアライフ」、「マーケター通信」の運営、ブログネットワーク向けの広告商品の開発、販売等を行なっております。今後もコンテンツ作成プロセスの効率化及びソーシャルメディアとの連携など、新たなメディアの価値創造に積極的に取り組んでまいります。
⑥ メディア領域の拡大及びメディア隣接事業領域の拡大
当社グループは、IT&ビジネス分野、産業テクノロジー分野、コンシューマー分野の3つのメディア分野を事業領域として、専門性の高い情報を提供し、多くのユーザーより支持をいただいております。今後、当社グループが持続的な成長をするため、既存メディア分野の周辺領域を中心とした新たなメディア領域への進出ならびにメディア隣接事業領域の拡大に積極的に取り組んでまいります。
⑦ メディア企業としての社会的信頼性の強化
当社グループのメディアが発信する記事の中には、企業の決算や戦略、買収や事業提携、新製品情報など社会的影響度の高い情報が多く含まれております。メディア企業としてのブランド力と高い信頼性を維持・強化するためには、情報発信において常に細心の注意を払い、事実の確認や裏付けを行なった上で適切な時期に信頼に足る情報を提供していく必要があります。
当社グループは、メディア企業として求められる倫理性を常に保ち、情報提供者としての社会的責任を重んじた事業活動を行なってまいります。
⑧ 人材の能力向上と制度改革
当社グループにとって重要な経営資源の1つが人材です。テクノロジーの進化やメディア形態の多様化、インターネット広告商品のライフサイクル短期化といった外部環境の変化や当社グループの戦略に伴い、当社グループの人材に必要な知識や能力、意識も短いサイクルで変化・成長していくことが欠かせません。当社グループにおいて必要なスキルの種類とレベルを定義するとともに、中長期視点での社員のキャリア計画制度を導入しております。これら制度を運用するとともに、採用・育成・評価・報酬制度などの人事制度の継続的な改善を積極的に進めてまいります。

8 リードジェネレーション:Webサイトでのコンテンツ掲載や展示会への出展、セミナー開催などを通じて見込み客の情報を獲得するマーケティングの手法。