四半期報告書-第17期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/13 15:24
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、入手可能な情報に基づいて判断したものです。
(1)経営成績の分析
① 当第2四半期連結累計期間の経営成績
(単位:百万円)
2019年3月期
第2四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
2020年3月期
第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
増減額増減率
売上高15,04017,6282,58817.2%
営業利益1,9532,0741206.2%
経常利益2,9053,1192147.4%
親会社株主に帰属する
四半期純利益
2,1572,3191617.5%

当社グループは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをグループミッションに掲げています。介護、医療、ヘルスケア、シニアライフを高齢社会における事業領域として定義し、日本及びアジア・オセアニア等において、価値提供先である従事者・事業者・エンドユーザに情報をコアとした様々なサービスを提供しています。高齢社会を取り巻く人々を情報を介してサポートする情報インフラの構築を通じ、高齢社会で生じる様々な課題を解消し、生活の質の向上に貢献していきます。
当社グループの事業領域である高齢社会に関連する市場は年々拡大し、今後もさらに拡大が見込まれています。日本においては、高齢者人口(65歳以上)が2019年4月1日時点で約3,575万人、人口構成比28.3%に達し、世界で最も高い水準となっています。また、それに伴い介護費、医療費も急増し、それぞれ10兆円、43兆円に達しています(注1)。アジア・オセアニア地域においては、人口増加や経済発展を背景に医療やヘルスケアの市場が急拡大しており、医療費は1兆ドルと日本の2倍を超える規模となっています(注2)。
このように高齢社会に関連する市場が年々拡大する中で、介護や医療、ヘルスケア等に関する情報の量は飛躍的に増加し、その情報は多様化・複雑化しています。このため、適正な情報発信・受信に対するニーズはますます高まり、当社グループにとって膨大な事業機会が生まれるものと認識しています。
当社グループはキャリア分野、介護事業者分野、海外分野を主力事業とし、ヘルスケアやシニアライフ等の領域においても数多くの新規事業を開発・育成しています。
キャリア分野においては、高齢者人口の増加に伴い大きな課題となっている、介護・医療等の領域における従事者不足解消に貢献していきます。当社グループは介護・医療系職種を対象とした求人情報や人材紹介の市場をパイオニアとして創造し、圧倒的なポジションを確立してきました。特に2025年に34万人の不足が見込まれる介護職(注3)に対しては、多様なキャリアサービスの提供を通じ、人手不足の解消に貢献していきます。既存従事者の転職支援のみならず他業界からの新規就業を促すと共に、従事者教育や定着支援を通し、生産性向上や離脱防止にも寄与していきます。また、2017年11月にウィルワン社の子会社化により柔道整復師/あはき師(注4)向けキャリア関連サービスに進出したほか、2018年10月には保育士向け人材紹介を自社で立ち上げ、看護師・介護職等に続く成長事業を育成しています。今後も既存サービスにおけるシェアの拡大、展開サービス拡充及び他職種へのサービス拡張により従事者・事業者への提供価値を最大化し、キャリア分野全体で長期にわたり持続的な成長を実現していきます。
介護事業者分野においては、サブスクリプション型の経営支援プラットフォーム「カイポケ」を通じ、介護事業者の経営改善とサービス品質向上に貢献していきます。保険請求サービスに加えて求人・業務支援・金融・購買等の40以上のサービスをワンストップで提供することにより、介護事業者の経営を総合的に支援しています。今後もシェアの拡大、展開サービス拡充及び対応事業所種別の拡張により、経営支援プラットフォームとしての提供価値を最大化し、長期にわたり持続的な成長を実現していきます。
海外分野においては、2015年10月にアジア・オセアニアで医薬情報サービスを展開するMIMSグループを子会社化し、現在17の国と地域でサービスを提供しています。1963年に創業し50年以上にわたる歴史をもつMIMSブランドは域内で圧倒的な知名度を誇り、医療従事者の会員数は約250万人にのぼります。MIMSがもつ圧倒的なブランド力、医療従事者の会員基盤、製薬会社や医療機関との取引基盤を活用して、医療・ヘルスケア関連事業者のマーケティング支援等の事業を展開しています。さらに、2017年6月にマレーシアの看護師人材紹介会社Melorita社を子会社化し、グローバルキャリアビジネスを本格的に開始しました。医療従事者の供給と医療機関からのオーダー獲得の両面でサービス展開国を拡大し、グローバルでの医療従事者紹介で圧倒的ナンバーワンの地位を確立していきます。また、意思決定の迅速化および当社グループ内における一層のシナジー創出を目的として、2018年9月にMIMSを完全子会社化しました。今後もMIMSをアジア・オセアニア等の地域での事業展開のプラットフォームとして海外戦略を強力に推進し、さらなる成長を実現すると共に、グローバルに医療の向上に貢献していきます。
上記に加え、当社グループではヘルスケア領域及びシニアライフ領域を中心に数多くの新規事業を開発・育成しています。介護・医療費の増大を背景に、今後は認知症・慢性疾患の予防や公的保険外のサービスに対するニーズが高まることが見込まれます。こうした流れを捉え、ヘルスケア領域においては健康保険組合に対するICTを活用した遠隔での特定保健指導サービスや企業に対する産業保健サービス等を提供しています。当社グループが有する医療従事者ネットワーク、ICTの知見及び省庁等との実証事業の実績という強みを活用することで、利用者の健康や病気予防のための安価で実効性のあるソリューションを実現しています。今後も展開サービス拡充及びサービス提供対象の企業・健保・利用者数の拡大により提供価値を最大化し、健康な労働力人口の増加に貢献していきます。また、シニアライフ領域においては、高齢社会に特有のテーマである「住まい」「終活」「介護」を重点領域として、リフォーム事業者情報、葬儀社情報、高齢者向け食事宅配情報、介護の悩みや不安を相談できるコミュニティサイト等のサービスを提供しています。今後も高齢社会において人々が必要とする情報を収集し、分かりやすく伝達することで情報の「ひずみ」を解消し、エンドユーザの意思決定の質の向上とより良い暮らしの実現に貢献していきます。
当社グループは今後も拡大する市場から生まれる様々な事業機会を捉え、国内外において新たなサービスを数多く生み出すことで社会課題の解決に貢献し、長期的かつ持続的な成長を実現していきます。
当第2四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は、以下のとおりです。
売上高は、キャリア関連事業の拡大及び「カイポケ」の会員数増加等により、17,628百万円(前年同期比17.2%増)となりました。
営業利益は、2,074百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
経常利益は、持分法投資利益が増加し、3,119百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、2,319百万円(前年同期比7.5%増)となりました。
(注1)高齢者人口・構成比:総務省 介護費・医療費:2017年度、厚生労働省
(注2)2016年、WHO統計
(注3)厚生労働省
(注4)あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師のこと

② 分野別の概況
当社グループでは、キャリア・介護事業者・海外・事業開発の4分野を事業部門として開示しています。また、キャリア分野は介護キャリア・医療キャリアに細分化し開示しています。
<事業部門別売上高>(単位:百万円)
事業部門2019年3月期
第2四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
2020年3月期
第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
増減額増減率
キャリア分野10,53412,7972,26321.5%
介護キャリア3,8025,4261,62442.7%
医療キャリア6,7327,3716399.5%
介護事業者分野1,8662,28241622.3%
海外分野2,1272,046△80△3.8%
事業開発分野511501△10△2.0%
合計15,04017,6282,58817.2%

<キャリア分野>介護キャリアにおいては、介護職向け人材紹介サービス「カイゴジョブエージェント」がキャリアパートナーを大幅に増員し、大きく成長しました。
医療キャリアにおいては、看護師向け人材紹介サービス「ナース人材バンク」が順調に進捗したほか、栄養士向けや柔道整復師/あん摩マッサージ師/はり師/きゅう師向けの人材紹介も大きく成長しました。また、2018年10月に開始した保育士向け人材紹介サービス「保育士人材バンク」が順調に立ち上がりました。
以上の結果、キャリア分野の当第2四半期連結累計期間の売上高は、12,797百万円(前年同期比21.5%増)となりました。
<介護事業者分野>介護事業者分野においては、介護事業者向け経営支援プラットフォーム「カイポケ」が順調に成長しました。会員数の増加に加え、スマートフォンやタブレット追加、ファクタリングサービス等の定額外のアドオンサービスの利用拡大が成長に寄与しました。
以上の結果、介護事業者分野の当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,282百万円(前年同期比22.3%増)となりました。
<海外分野>海外分野においては、医療・ヘルスケア関連事業者のマーケティング支援事業等のMIMS既存事業やグローバルキャリアビジネスが順調に進捗しました。一方、2019年3月に韓国で看護師向けキャリアサービスを展開するMedilabs社をMIMS傘下に再編し連結時期を変更した影響に加え、マレーシアの医療従事者をサウジアラビアの医療機関に紹介する際の渡航認証手続きの変更による影響で渡航までのリードタイムが長期化したことにより、前年同期比で減収となりました。
以上の結果、海外分野の当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,046百万円(前年同期比3.8%減)となりました。
なお、2019年8月に欧州・オセアニアの医療従事者の中東医療機関への紹介を手がけるCCM社(本社所在地:アイルランド)を子会社化しました。中東医療機関における医療従事者のニーズや給与は教育を受けた国によって異なりますが、今回の子会社化により、従来対応できなかった高単価オーダーの獲得が可能になります。また、CCM社が保有する中東医療機関アカウントに対するアジア医療従事者のクロスセルや欧米市場の開拓も推進していきます。
<事業開発分野>事業開発分野においては、ヘルスケア領域におけるICTを活用した遠隔での特定保健指導・産業保健等のサービス、シニアライフ領域における高齢者向け食事宅配情報やリフォーム事業者情報等のサービスを中心に新規事業の開発が進みました。一方、2019年3月末に看護師向け出版事業を終了したため、前年同期比で減収となりました。
以上の結果、事業開発分野の当第2四半期連結累計期間の売上高は、501百万円(前年同期比2.0%減)となりました。
(2)財政状態に関する説明
① 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、49,281百万円(前連結会計年度末比1,813百万円増)となりました。これは主に、業容の拡大による現金及び預金の増加、「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者増による未収入金の増加によるものです。
負債は、32,643百万円(前連結会計年度末比714百万円増)となりました。これは主に、「カイポケ」におけるファクタリングサービスの利用事業者増による未払金の増加によるものです。
純資産は、16,637百万円(前連結会計年度末比1,098百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、10,560百万円(前連結会計年度末670百万円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,727百万円の収入(前年同期は3,150百万円の収入)となりました。これは主に、業容の拡大により税金等調整前四半期純利益が3,110百万円となったこと、MIMSグループの顧客関係資産の償却等により減価償却費が568百万円、のれん償却額が393百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,128百万円の支出(前年同期は529百万円の支出)となりました。これは主に、「カイポケ」におけるシステム開発投資等で無形固定資産の取得による支出が506百万円、業容拡大に伴う事業拠点拡充のための投資等で有形固定資産の取得による支出が226百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,885百万円の支出(前年同期は1,732百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が1,263百万円、配当金の支払による支出が644百万円となったことによるものです。
(3)経営方針・戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更又は新たな発生はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は業容の拡大に伴い、前連結会計年度末より563名増加し、3,001名となっています。