有価証券報告書-第13期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 15:14
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153項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループミッションである「はたらく力で、イキイキをつくる。」を実現するため、「はたらく人」と「企業」双方を顧客として捉える「ツインカスタマー戦略」を推進し、事業展開しております。
2030年に向けた長期経営ビジョンとして「これからのはたらき方のプラットフォームになる」を掲げ、2025年3月期をターゲットとする第4次中期経営計画では「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」を中期経営目標として、持続的な企業価値の向上を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、成長と安定のバランスをとりながら持続的に企業価値を向上させることを経営の目標としております。経営指標としては、成長性を評価する観点から「EBITDA(営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算した額の金額)成長率」、投資と財務安定性を確保するために「グロスDEレシオ」としております。
第4次中期経営計画において、EBITDA成長率は2021年3月期からの年平均成長率30%以上、グロスDEレシオは2025年3月末で1.0以下を目標として、高い成長率と財務の安定性の両立を目指してまいります。
また、株主還元についても重視しており、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、「総還元性向30%以上」を基本方針として継続的な株主還元に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
我が国の生産年齢人口(15歳~64歳)は少子高齢化の進行によって1995年の8,176万人をピークに減少に転じ、平成27年国勢調査によれば2015年には7,629万人まで減少しております。人口動態のトレンドは大きく変わることはなく、2030年には約7,000万人程度まで減少することが予測されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月)」(出生中位・死亡中位推計))。このような生産年齢人口の減少に対応するため、政府では、働く人の個々の事情に応じた多様な働き方ができる社会としての一億総活躍社会の実現に向けた働き方改革が進められています。
一方、当社グループでは、2020年3月期に終了した第3次中期経営計画において、「日本全土に仕事をつくる」をビジョンとして掲げ、主な事業領域として製造業の中でも全国の大規模工場に特化することで、製造オペレータからエンジニアへのキャリアアップを可能とするキャリアプラットフォームを構築し、技術職社員数は計画開始前の10,926名から19,634名へと大幅に増加、売上高も44,050百万円から101,103百万円と事業規模を大幅に拡大することができました。
しかしながら、事業モデルの特性上、対象となるはたらく人は男性の若年層が中心となり、それ以外の働く意欲を持った方々への機会提供は十分とは言えませんでした。
また、2020年1月以降に発生した新型コロナウイルスの影響は、感染拡大防止措置としての人の移動制限などに対応するため、テレワークを前提とした働き方を推進する動きが見られます。これにより、従来は全国の職場での転勤を伴うキャリアアップが志向されていたはたらく人の価値観も今後は大きく変化する可能性があります。
これらの状況を踏まえ、当社グループでは「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」を中期経営目標とする第4次中期経営計画を策定いたしました。
① モノづくり人材の育成と供給
第3次中期経営計画において確立した業界トップの製造業向け人材サービスをさらに強化、拡充し、中核事業としての基盤を盤石にします。具体的には、採用と育成という当社グループの中核機能にHRTech等の技術を取り入れ、機能の強化と効率化を追求することで、企業に対するサービス品質を高め、キャリアを重視する働き方に応え、はたらく人のキャリア形成を効果的に促進できる「キャリアアップを意識してイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
② 地域密着プラットフォームの拡充
はたらく人のライフステージによっては、キャリア形成よりも安定を重視する時期があります。また、新型コロナウイルスの影響によって地元志向の求職者が増加することも想定されます。これらに対応するため、これまでの「キャリア形成の場」としてのキャリアプラットフォームに「安定した生活基盤」としての機能を拡充し、その役割をさらに拡大していきます。
そのため、地域毎に異なる顧客ニーズに迅速に対応できるよう、地域の有力企業との業務提携やM&Aの推進、既存地域オフィスの役割を拡大し、営業から採用までを独自の判断で行えるように再編すると同時に効率性を高めるため、オフィス共通のITインフラを整備します。
また、対象となる企業属性を従来のような製造領域だけに限定せず、地域の職場数の拡大を重視し、はたらく人の雇用の安定化させる「地元でイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
③ 外国人がイキイキ働ける環境整備
生産年齢人口の減少が進む日本において、モノづくりの根幹を支える製造現場への人材確保は大きな課題となっています。改正入国管理法により、外国人技能実習生の活用範囲が拡がると共に、習熟した人材が日本で働くことが可能となりました。同時に、新興国では経済成長に伴い製造業の発展、拡大が見込まれます。日本で身につけた技術を生かして母国で働きたい人のニーズや新興国で製造拠点を作る企業のニーズの拡大を想定し、日本国内と海外新興国における人材の育成と橋渡しとなり、「日本で外国人がイキイキ働ける環境づくり」と「日本で学んだ外国人が母国でいイキイキ働ける環境づくり」の両立を目指します。
④ 高スキルエンジニア領域の開拓
企業が生産性を向上させるには、テクノロジーの活用が欠かせません。また、ソフトウェアやネットワークとモノづくりが一体となった製品開発の増加により、領域横断での知識・経験など高度な技術を持った人材がより多く必要となっていきます。
当社グループは、この領域に対し、実績のある大手企業との提携やM&Aを活用して規模拡大と機能強化を図ります。技術の領域で働き続けたいエンジニアや高度なスキルを身につけたい人材などのニーズに応えることで、「技術を追求しながらイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
⑤ 人材流動化支援の推進
一億総活躍社会を実現する一環として改正された高齢者雇用安定法では、企業に対して定年後も就労を希望する高齢者の再雇用を求めています。当社グループでは、特に従業員数が多い大企業向けに、合弁会社の設立等により、継続雇用を支援し、高齢者の豊富な経験を様々な領域で生かすことができる職場の開拓を目指します。
また、事業環境や経営戦略の変化に伴う事業再編によって発生する、中核製品以外の製造事業・事務派遣事業などのノンコア事業のオペレーションやそこで働く人材を当社グループが譲受ける人材ソリューションの提案を行います。主に人材関連の事業を当社グループ内に取り込むことにより、間接コストを削減する等、経営効率の改善を図ります。
当社グループが提供するキャリアプラットフォームに参加することにより、はたらく人にとってはこれまでのキャリアの一貫性を保つことができると同時に、事業譲渡した企業では中核事業に経営資源を集中することで新たな成長戦略に取り組むことができます。
このような大企業特有の人材活用に関する経営課題に対して最適なソリューションを提供することで、人材の流動性を高め、「経験豊富な人材がイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
⑥ 新たな職域での事業基盤の構築
当社グループは、製造業の生産工程を中心とした人材派遣事業が中心であることから、派遣先企業で働く技術職社員の属性は若年層の男性中心となっております。今後は、女性を含む多様なはたらく人のニーズに応えるため、生産工程以外の新たな職場領域の開拓を計画しております。しかし、これらの職場領域を事業領域とする事業者が多数存在する市場に新規参入して規模を拡大することは困難なことが想定されることから、当社独自の事業モデルであるソリューション事業を活用して規模の拡大を図ってまいります。
これまでに大企業向けの人材流動化支援により譲受けた事務派遣事業やBPO事業を基盤として、新たな事業基盤を構築することで「女性を含む多様な人材がイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)~(3)に記載の長期経営ビジョン及び第4次中期経営計画を実行し、持続的な企業価値の向上を目指すうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 景気変動の影響を受けにくい事業基盤の構築
当社グループの事業は、製造工場の生産現場を中心とした職種への人材派遣や製造請負の占める割合が多くなっていることから、景気動向によって発生する生産調整の影響を受けます。従来は、半導体・電子部品分野の割合が多く、シリコンサイクルによる生産量の増減の影響を低減するため、自動車関連分野や住宅関連分野など、異なる製品分野のへの分散を図ってまいりました。個別の製品分野での生産変動への耐性は高まったものの、経済全体が減速した際に起こる、全ての製品分野での生産量の減少への対応は依然として課題として残っております。
そのため、大幅な景気後退が生じた際に解約順番を劣後させるための顧客工場内シェアの拡大や、大企業を中心とした構造改革需要を取り込むソリューション事業を強化しております。また、製造業の中でも景気変動の影響を受けにくい上流工程の設計・開発領域等の異なる職種や、地域プラットフォームにおける各地域での職場開拓等、景気変動の影響を受けにくい事業基盤を構築してまいります。
② 恒常的な欠員確保
当社グループの事業は、派遣先企業で働く派遣労働者を当社グループで正社員として雇用することで、はたらく人の雇用の安定化と企業へのフレキシビリティの提供を両立させております。この事業モデルを機能させるためには、ある職場で人員が余剰となった際に、異なる職場への配置転換を迅速に行わなければなりません。そのため、全国各地の職場において、欠員(受注残)を恒常的に確保しておくための活動が必要となります。
当社グループでは、顧客毎に人材管理とともに顧客への提案活動を行う管理者を配置して欠員の確保を行っており、また、グループ全体への営業統括機能として設置したグループセールス部門において、大手企業グループへの事業領域横断でのサービス提案や新規顧客開拓等の活動を通じた欠員の確保を行っております。
③ 安定的な採用体制の構築
我が国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が進み、今後のこのトレンドが大きく変わる見込がありません。当社グループの技術職社員の大多数が若年層であり、中長期的にはこの影響を大きく受けることから、人材採用が困難になる可能性があります。
このような環境の中、当社グループは人材の安定的な採用のため、求人広告をはじめとする様々な採用媒体の活用や当社グループ独自の求人サイトの構築、全国の拠点における面接担当者のスキルの標準化等、採用効率を高め、安定的に人材を採用できるための体制を構築してまいります。
④ 技術職社員の離職率低下とスキル向上
当社グループが属する製造派遣業界における派遣社員の離職率は、いわゆる正規雇用と呼ばれる正社員と比較すると高水準と言われており、流動性が高いことが特徴となっております。これは、製造派遣業界では有期雇用が一般的であることに起因し、このため、製造派遣業界の派遣社員は、一貫したキャリア形成やスキルを向上させることが困難になっています。また、製造派遣業界の派遣社員の離職率の増加は、派遣社員数を維持するために採用コストが発生し、利益率の低下を招きます。加えて、派遣社員のスキル向上が図れない場合は、派遣単価を上昇させることが困難になります。
このような状況認識の下、当社グループでは、顧客企業に派遣する社員を正社員(無期雇用)として雇用し、雇用の安定化を確保したうえで、社内認定のキャリアカウンセラーが一人ひとりに合ったキャリアプランを一緒に考え、教育・訓練等を通じたスキルアップやキャリアアップに取り組んでおります。引き続きこれらの施策を進めるとともに体制を一層強化することにより、技術職社員の離職率低下と付加価値の継続的な向上を図ってまいります。
⑤ 経営管理・事業運営体制の強化
当社グループは、持続的に高い売上高を達成し、利益成長を続けることを目指しております。それに伴い、経営管理や事業運営を行う人員を育成・確保するとともに、事業規模に応じた組織基盤を確立させることが欠かせません。
このため当社グループでは、これらの経営管理や事業運営を支える人員の確保・育成とともに、柔軟な組織運営やそれを支える業務システムの構築等を重要課題として取り組んでおります。
⑥ コーポレート・ガバナンスと内部統制の継続的な強化
当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するためにはコーポレート・ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。
当社グループは、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制とそれを適切に監督・監視する体制の構築を図っており、経営の健全性や透明性を確保する観点から、今後も事業規模に応じたコーポレート・ガバナンス体制の強化を継続的に図ってまいります。また、企業規模の拡大やグループ会社の増加、海外での事業展開など、内部統制の重要度が増してきていることから、グループ全体での内部統制の継続的な強化を図ってまいります。
⑦ M&Aによる事業拡大
当社グループの主力事業である製造業向け人材派遣事業は、業界に先駆けた無期雇用派遣と高い人材供給力や高品質な人材育成・管理体制によって、特に大企業向けにおいて大きなシェアを獲得しております。一方、地域における職場数や技術者領域や事務領域などの製造工程以外での職種など、当社グループが未だ競争力を発揮できていない領域があります。これらの今後開拓すべき事業領域では、M&Aが有効な手段であると考えております。
当社グループでは、採用・育成プラットフォームや既存事業とのシナジーを考慮した上で、ターゲット企業に対して事業の評価を行い、企業価値の向上に資するM&A戦略を推進してまいります。また、買収後には、グループ全社の経営基盤機能を有する経営基盤部門内に設置したPMI専門組織が、ガバナンス強化を行い早期にグループシナジーが実現できる体制を図ってまいります。
⑧ 業務プロセスの効率化とITによるグループ共通業務基盤の構築
当社グループの各拠点における採用、営業、事務等の業務には、帳票類やプロセスの標準化やシステム導入による効率改善が可能であると認識しております。
当社グループでは、2019年より全社横断のプロジェクトチームを設置し、課題の抽出やITによる効率化の可能性を検討を進めており、今後、段階的にシステム導入を進めてまいります。
⑨ 外国人材の活用促進
我が国では、生産年齢はもとより総人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドは継続するものと予測されております。2019年4月に施行された改正入国管理法では、新たな在留資格が創設されるなど、外国人材を受入れるための法整備が進んでおります。また、当社グループが持続的に成長していく上では、国内だけでなく海外での事業展開も視野に入れることが必要であると認識しております。
当社グループでは、2017年より外国人技能実習生を対象とした労務管理代行事業を開始し、企業が外国人材を活用する際に、外国人材の権利保護等のコンプライアンスを確保する体制を構築してまいりました。さらに外国人材が活躍できる環境を作るため、技能実習により技術を身につけた外国人材が特定技能ビザに基づいて日本国内で引き続き働くための就労支援や企業への労務管理代行事業に加え、母国に帰国したあとにその技術を活かして働くことを支援するために、現地の有力企業との資本・業務提携を通じた人材サービス事業の構築を進め、海外における事業基盤の拡大を図ってまいります。

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