有価証券報告書-第96期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/18 10:00
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【項目】
181項目
(2)戦略
当金庫は、中小企業の皆さまの取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。そのためにも、お客さまを含むステークホルダーの皆さまとは“SPEED”の視点(※)を起点に活動の輪を広げ、「共感の創造」により、マテリアリティ解決に取り組んでまいります。
※当金庫が独自に定めた、組織・役職員における、サステナビリティに対する取組みの基本的な視点
Sustainability、Productivity、Empathy、Ecology、Digitalの頭文字をとったもの

当金庫は、マテリアリティの解決に向けて、お客さまとともに創出する共通価値として、「経済的価値」「社会的価値」「働き手の幸せ」の3つを定め、価値創出に取り組んでおります。
気候変動リスクに関しては、経営にもたらす機会とリスクを評価するために、定性的・定量的なシナリオ分析を行っております。具体的には、気候変動に起因する近年の自然災害を踏まえた物理的リスクや、脱炭素社会への移行に伴う気候変動政策や技術革新等により生じる移行リスク及び機会の影響分析を行っております。気候変動に対する組織のレジリエンスを高めていく観点で、移行リスクや物理的リスクが顕在化した場合の経営への影響について、シナリオ(仮説)に基づいた定量的分析を行っております。
また、自然資本に関しても当金庫のビジネス上、依存するリスク、影響を与えるリスクの双方があることを認識しています。自然資本の喪失がお客さまの事業継続に与えるリスクや、お客さまの事業活動が自然資本へ影響を及ぼすリスクを分析しております。
お客さま支援の取組みとして、2022年7月にサステナブルファイナンスの取扱いを開始しました。その中でもポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)を中心に、伴走支援を通じたお客さまの企業価値向上に取り組んでおります。2024年10月には新たにGX・DXファイナンス(中堅・中小企業向けのサステナビリティ・リンク・ローン)の取扱いを開始し、サステナブル経営に取り組むお取引先をサポートするメニューを拡充しております。
また、2023年5月に「脱炭素経営コンサルティングサービス」を開始し、企業の脱炭素化に向けた計画策定をサポートするとともに、脱炭素化策の実行を伴走支援しております。お客さまの中長期的な企業価値向上と、持続可能な社会の実現のため、中堅・中小企業のカーボンニュートラル促進に向けた取組みを積極的に支援してまいります。
自然資本への取組みとしては、2024年12月に、本邦初となる、森林由来クレジット(J-クレジット)によるカーボン・オフセットを付与する「J-クレジット預金」の取扱いを開始いたしました。森林由来クレジットの活用を通じて、森林の適正な管理への貢献を目指してまいります。また、2024年12月にブルーローンの取扱いを開始し、持続可能な海洋経済、海洋・淡水領域の取組みをサポートしてまいります。
産業構造の変化に対応するための取組みとしては、2025年1月よりクラウド型車両・採算管理サービス「ロジプッシュ」の提供を開始し、運送業界全体の持続可能な成長への後押しを目指しております。
このような、当金庫のサステナブル経営の普及に向けた企業と投資家の裾野や結びつきの拡大への貢献が評価され、2025年3月、東京都「東京金融賞2024」サステナビリティ部門を受賞いたしました。
さらに、人権の尊重を、社会的責任を果たす上で積極的に取り組むべき重要な経営課題と認識し、2024年4月に「商工中金グループ人権方針」を策定しております。同方針の策定にあたっては、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を参照しております。
当方針に基づいて、事業活動が与え得る人権への負の影響を防止または軽減するために適切な人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
<商工中金グループ人権方針>
商工中金グループは、社会的責任を果たす上で人権の尊重を積極的に取り組むべき重要な経営課題と認識し、事業活動の全てにおいて、人権尊重の責任を果たす努力を行うことを約束します。
1.方針
商工中金グループは、「世界人権宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」等、人権に関する国際規範を尊重します。また、事業活動を行う地域で適用される法律等を遵守するとともに、国際的な規範等と当該地域の法令等との間に矛盾がある場合、国際的な規範等を尊重するための方法を追求いたします。
2.人権方針の適用範囲
本方針は、商工中金グループのすべての役職員に適用されます。また、本方針をお客さまやサプライヤー等各ステークホルダー皆さまに共有し、本方針の主旨をご理解いただくよう、努めてまいります。
3.役職員の人権の尊重
商工中金グループは、一人ひとりが多様な価値観を尊重し、お互いを認め合い、自由に意見を言い合える対等な関係を構築し、働きがいのある職場づくりと風通しの良い組織風土を醸成することに努めます。また、あらゆる事業活動において、人種、民族、宗教、国籍、出身、信条、年齢、障がいの有無、性別、性的指向や性自認等を理由とした差別や、人間の尊厳を傷つけるいかなるハラスメントも容認しません。
商工中金グループは、雇用や就業におけるあらゆる差別の解消・撤廃に取り組むほか、結社の自由および団体交渉権を尊重します。また、労働基準法をはじめとする法令に従い、過重労働の抑制に努め、役職員が健康かつ安全に働ける職場作りに努めます。
4.お客さまとの協調
商工中金グループは、すべてのお客さまの人権を尊重し、公正で責任あるサービスを提供します。
商工中金グループは、中小企業の金融の円滑化を目的とする金融機関としての役割を常に意識し、お客さまとの建設的な対話と相互の理解に基づき、人権に対する負の影響を確認しその縮小に向けた対応策実施の働きかけを行うよう努めます。
なお、お客さまの経営資源及び事業内容、並びに取引先を取り巻く事業環境の変化に適したソリューションを提供し、中小企業の金融円滑化に反する支援消極化を画一的には行いません。
5.サプライヤー(購買先、外部委託先等)との協調
商工中金グループの事業活動は、サプライヤーの協力により支えられています。
商工中金グループは、すべてのサプライヤーの人権を尊重するとともに、公正・適正な取引に努めます。主要なサプライヤーに対し、本方針を共有し、人権尊重への理解と協力を求めていきます。サプライヤーとの取引関係を通じて人権侵害が生じるおそれがある場合は、建設的な対話と相互の理解に基づき、ともに協力して適切に対応するよう努めます。
6.人権デュー・ディリジェンス
商工中金グループは、事業活動が与え得る人権への負の影響を防止または軽減するために適切な人権デュー・ディリジェンスを行うよう努めます。
7.救済メカニズム
商工中金グループは、役職員や、提供する商品・サービスが人権に対して負の影響を引き起こした、あるいは負の影響を助長したことが明らかになった場合は、適切に対応し、その救済に努めます。
また、商工中金グループの事業・サービスを通じて人権に対する負の影響に直接関連していた場合にも、お客さまやサプライヤーとの建設的な対話と相互の理解のもと、適切な働きかけを行うことにより、負の影響の防止・軽減に努めます。
相談を受付する窓口としては、お客さまをはじめとするステークホルダーからは、店頭、電話、ホームページ等、社員等からは内部・外部の相談窓口を通して相談を受け付け、適切な対応を講じるよう努めます。
8.ガバナンス
商工中金グループでは、人権尊重に関する取り組みは、経営会議等において定期的に意思決定した上で、取締役会に報告をし、監督します。

9.ステークホルダーとの対話
商工中金グループは、本方針に基づく取組みにおいて、関連するステークホルダーとの対話や協議により、人権尊重の取り組みの向上と改善に努めていきます。
10.啓発活動
商工中金グループは、役職員一人ひとりが人権問題に関する正しい理解と認識を深めるため、人権啓発研修に取り組みます。
11.定期的な見直し
商工中金グループは、グループ内外の環境変化を踏まえて、人権尊重に関する取り組みを強化していくため、本方針について、定期的な見直しの要否を検討するほか、必要に応じて見直しを行います。

当金庫は、役職員の人権を尊重するとともに、働きがいのある職場づくりと風通しの良い組織風土を醸成することに努めます。従業員のWell-being・DE&Iの実現に向けて、求める人財像である“お客さまの企業価値向上のため、変革しつづける人財”の採用、育成を基本構想とし、「人財育成、社内環境整備に関する方針」を定めています。また、当金庫で働く役職員全員が、心身共に健康で、活き活きとやりがいをもって働くために「多様性の確保の方針」を定めています。これらの方針に沿って、経営戦略と連動した人財戦略により人的資本の充実を図るべく、毎年実施するエンゲージメント調査にて働きがい向上や組織風土醸成の観測を行いながら具体的な取組みを進め、従業員一人ひとりのWell-beingの実現を目指してまいります。
人口減少の加速に伴う人手不足・人材不足は規模の大小を問わず企業の事業展開における重大なリスクであり、企業が価値創出に取り組むうえでの喫緊の課題となっています。人的資本の充実を図ることで、お客さまと当金庫の共通価値創出につなげ、マテリアリティの解決を目指しております。
お客さま支援の取組みとしては2024年11月に人財サービス子会社「株式会社商工中金ヒューマンデザイン」を設立いたしました。お客さまへの経営人材の紹介や、従業員エンゲージメント調査である幸せデザインサーベイをはじめとした人材育成プログラムの提供を通じて、中小企業における人的資本経営の浸透を図り、お客さまの生産性向上と企業価値向上を進めてまいります。
<人財育成、社内環境整備に関する方針>
●人事戦略の基本構想
『お客さまの企業価値向上のため、変革しつづける人財』 を採用・育成し、経営戦略と連動した人財戦略を実施することでPURPOSEの実現に繋げます
●人財育成方針
自ら考え学びを得る自律的なプロフェッショナル人財の育成を図るために、従業員の多様性や自主性を尊重した、効率的かつ効果的に学べる環境の整備を図っていきます
●社内環境整備方針
[商工中金が従業員の皆さんに約束すること]
3つの充実(仕事、個人、家庭・社会)に向けた取り組みを通じて、従業員一人ひとりのWell-beingの実現を支援します
1.仕事の充実
お客さまへの価値向上に向け、どのような役割を担ってチャレンジし、成果を生み出したのかを評価する人事制度に移行します
2.個人の充実
一人ひとりの主体的なキャリア選択を尊重し、金融のプロフェッショナルに向けた自律的な成長を支援します
3.家庭・社会の充実
ライフステージに応じた多様な選択肢や柔軟な働き方を提供し、仕事と家庭の両立を支援します
[従業員の皆さんに期待すること]
環境変化に対して柔軟かつスピーディに対応し、お客さまの価値向上のために、自律的に変革し続けること

<多様性の確保の方針>
●DE&Iトップステイトメント
私たち商工中金にとり最も大切な経営資本である役職員全員が、心身共に健康で、活き活きとやりがいを持って働ける組織とするために、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を推進します。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進を通じ、組織として目指すこと
1.役職員一人ひとりが持つ個性や多様性(人種、民族、宗教、国籍、出身、信条、年齢、障がいの有無、性別、性的志向や性自認の他、キャリアや働き方、考え方等)を尊重し、バックグランドに関わらず公平・公正な機会を提供することに努め、その能力を最大限発揮できる職場にします
その取組みの中で、特に女性の活躍推進を図り、管理職への登用を拡大させます
2.本部と営業店の全ての組織間・内の風通しを良くし、誰もが安心して自由闊達に意見を述べ合い、助け合い、協力し合いながら、共に成長する組織風土を醸成します
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進を通じ、商工中金で働く皆さんに期待すること
1.自分に限界を設けず、自分の力を信じ、自己研鑽に励み、チャレンジすること
2.前例にとらわれず、柔軟な発想で業務に取り組むこと
3.役職、経験に縛られることなく前向きな意見具申をし、他者の意見にも耳を傾けること
4.日々共に働く仲間を思いやり、敬意をもって接すること
5.社内外のつながりを積極的に持ち、多様な価値観に触れること
皆さんの前向きなチャレンジを奨励し、働きがいのある組織とするため、経営陣一同は積極的に皆さんの声を聴き、全力で皆さんの成長をサポートします。

<具体的な取組み>a.価値観醸成の取組み
役職員一人ひとりのWell-beingを後押しすべく、当金庫では2022年3月に制定した企業理念(PURPOSE・MISSION)に基づくパーパス経営を進めております。企業理念制定後、定期的に全役職員を対象とした「パーパスワークショップ」を開催し、PURPOSEの自分ごと化に向けた取組みを継続しております。
2024年10月にはPURPOSE実現に向けた組織文化を一層醸成するため、役職員が共有する価値観と行動の原点「CHUKIN Way」を制定しました。策定プロセスでは3,500名を超える役職員が参加し、役職員それぞれの実際のエピソードから当金庫が大切にしてきた価値観を言語化し、その価値観にこれから必要となる価値観を加えて編纂しております。制定した「CHUKIN Way」を原点とし、役職員一人ひとりの自律的な行動を促進することで、PURPOSE・MISSIONの実現を目指してまいります。
また、当金庫ではPURPOSEを実現する組織風土へと変革するためにはDE&Iが不可欠という経営トップの信念の下、女性活躍推進、キャリア採用、障がい者雇用などについても積極的に取組み、人財のダイバーシティの確保に努めております。特に女性管理職比率向上は喫緊の課題であると認識し、役員メンター制度やチャレンジカレッジ(将来のリーダーに向けた意識改革プログラム)などの施策を実行した結果、2024年度末までに女性管理職比率は13.2%と、前年度末比4.5ポイント向上いたしました。障がいのある社員に対しては研修などにおいて情報保障を行うなど、公平・公正な機会を提供するための社内環境整備に努めるとともに、障がい者の活躍推進のため、2025年4月には「株式会社商工中金MIRAIハーベスト」を設立しました。
b.キャリアサポート施策の取組み
PURPOSE・MISSIONの実現に向けて人的資本充実を行うために、2024年4月より新人事制度「NEXT PLAN」を導入しました。役職員のライフステージに応じたWell-beingの実現を支援するとともに、PURPOSE・MISSIONを評価の基軸に設定し、お客さまの企業価値向上に向け、より付加価値の高い業務にチャレンジしつづける風土を作る人事制度としております。新制度では総合職と担当職のコース制度を統合し、年齢や性別に関わらずチャレンジ可能な体制を確立し、男女間の職位や処遇の格差是正を目指すほか、「スペシャリスト制度」を設けるなど専門性の高さ等に応じた処遇を可能としています。
また、「社内兼業制度(社内副業)」や「インハウス・インターンシップ(社内短期インターンシップ)」、将来のキャリア形成のために短期集中的に専門スキルの習得を目指す「社内短期留学制度」、お取引先や連携支援機関への出向、希望する部署への社内公募制度である「キャリア・チャレンジ制度」、セカンドキャリア支援制度など、社員のキャリア自律を後押しするさまざまな制度を設けて多様な経験に基づく多面的な価値観の醸成を図っています。
c.企業内大学「人づくりカレッジ(通称ヒト☆カレ)」の取組み
企業内大学「人づくりカレッジ」では「わかった」から「できた!」をコンセプトとし、PURPOSE実現に必要な高度な業務スキルとヒューマンスキル向上のため、グループワークやゼミ形式といった双方向型のコンテンツを中心に、外部交流型や体験型プログラムを取り入れています。年齢や役職を問わずともに学び合う環境のもと、自らのキャリアを描きながら、対面・Webにて合計120以上のバラエティーに富んだ講座を受講することができ、人づくりカレッジ講座の累計応募者は、延べ4,000名を超えるなど、社員の自律的な学びを後押しする「手挙げ」風土を醸成しております。
また、研修施設であるMIRAI Campus(東村山)のオンライン配信設備を活用し、全国の役職員がリアルタイムで参加できるハイブリッド型研修を可能にするなど、ソフト面とハード面を連動・調和させることで新たな人づくり体系を進めています。

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