半期報告書-第97期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当金庫グループ(以下、本項目においては「当金庫」という。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当金庫が判断したものであります。
1 経営の基本方針
当金庫は、外部環境・内部環境が大きく変化するなか、「倫理憲章・コンプライアンス行動基準」によるコンプライアンスの遵守をすべての土台とし、行動の原点である「CHUKIN Way」をもとに、当金庫が果たすべき使命である「MISSION」を遂行し、「PURPOSE」の実現を目指してまいります。なお、2023年6月14日に成立した「中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律」(以下、「改正商工中金法」という。)が、政府保有株式の全部処分を経て、2025年6月13日に施行されました。同法では、商工中金のサービスの「範囲」の一部を銀行法上の銀行と同様となるよう見直す一方で、株主資格制限や特別準備金の維持、危機対応業務の責務化等、必要な各種措置は維持するものとされております。当金庫の使命は、今後も変わりません。改正商工中金法の施行も踏まえ、今後当金庫の業務範囲を拡大させ、中小企業と中小企業組合の企業価値向上に、より一層貢献してまいります。

2 経営環境
当中間連結会計期間のわが国経済をみますと、米国の通商政策等の影響により一部に弱めの動きも見られましたが、全体としては緩やかに回復しました。
賃金は上昇した一方で、物価の上昇を加味した実質所得は伸び悩み、個人消費は緩やかな回復にとどまりました。インバウンド需要は引き続き好調でしたが、米国の通商政策等の影響により、輸送用機器を中心に財の輸出はおおむね横ばいとなりました。それを受け、生産活動も一進一退の動きとなりました。
こうした状況の中、「商工中金景況調査」から中小企業の景況感をみると、5月調査では米国通商政策の先行き不透明感から悪化しましたが、8月調査では関税措置に係る不透明感がやや解消され、景況判断指数は持ち直しました。
金融面では、米国トランプ大統領による相互関税の公表直後、世界経済の後退懸念から長期金利は低下し、為替相場は円高が進行、株価は急落しました。その後は交渉の進展等から悲観的な見方が後退し、物価の上昇基調や財政悪化への懸念も相俟って金利は上昇に転じました。円の対ドル相場は日米金利差を巡る市場の思惑により140円台後半まで円安に戻し、日経平均株価も円安などを背景とした本邦企業の業績改善見通しから、9月には史上初となる4万5千円台となりました。
3 対処すべき課題と経営戦略
国内人口減少やイノベーション不足、労働生産性の低さ等を背景に、日本の国際競争力は低下しています。また、足元では物価や賃金上昇、金利のある世界への移行等、日本経済を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。今後、国内人口減少やAI・ロボティクス技術の進化、紛争や米国による相互関税等の地政学リスク等の影響により、中小企業を取り巻く環境変化は激しさを増し、先行きの不透明感が一層強まることが予想されます。
当金庫のお取引先の大部分を占める中小企業は、日本経済と雇用を支える重要な存在である一方、こうした外部環境変化の影響を受けやすく、経営資源にも制約があるため、新たな挑戦やリスクテイクに慎重になり、時にはビジネスチャンスを逃すこともあります。しかし中には、独自の技術やサービスを有し、高い労働生産性を誇り、大企業を凌ぐ成長を遂げている中小企業も存在します。そうした中小企業の可能性を最大限に引き出すことは、変化に強い社会の実現につながると考えています。
当金庫においては、民営化という大きな転機を迎え、「中小企業による中小企業のための金融機関」として新たなスタートラインに立ちました。日本経済や中小企業を取り巻く経営環境が急速に変化している中、当金庫がどのような存在として価値を提供し、PURPOSEを実現していくべきかという観点から、「商工中金グループのありたい姿」の議論を重ね、このたび長期戦略の骨子を策定しました。長期戦略の核となる概念は、中小企業を個々の「点」として捉えるのではなく、中小企業と中小企業に関わる多様なステークホルダーを「面」として捉える「中小企業経済圏」です。当金庫は、金融を超えて「集めて・つなげて・価値を創る」プロデューサーとなり、「中小企業経済圏の拡大・活性化を通じて、圏の参加者の価値向上に貢献し続ける」ことを目指します。
この「ありたい姿」の実現度合いを可視化するために、SCV(Shokochukin Co-Creation Value)という新たな価値指標の導入を予定しています。SCVは、当金庫が中小企業に提供する価値の総体を示す新たな指標であり、経済的価値に加え、社会的・人的価値も含めた包括的な視点での価値創出を測定するものです。今後はこのSCVを経営の指針とし、定期的に進捗を確認しながら、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
また、中小企業経済圏の拡大に向けて「Industry・Innovation・Investment・Traditional Banking・Turn Around」という5つの新たな注力分野を決定しました。従来の枠組みにとらわれない柔軟でダイナミックな経営を実現するため、デジタル技術やAIを活用した経営の高度化を推進し、業務の効率化のみならず、お客さまとの接点の質の向上と深い関係性の構築を図ってまいります。
これらの取組みを通じて「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」というPURPOSEの実現を目指してまいります。
○商工中金グループのありたい姿

○注力分野

2026年3月期は、外部環境の変化等先行き不透明感はありますが、これまでに構築した機能を発揮しつつ、お客さまのニーズ対応力の向上に取り組み、資金利益拡大やソリューション収益の更なる成長により収益拡大を目指します。
なお、2025年5月16日に公表した2025年度目標につきまして、市場金利の見通しを変更した影響等を織り込み、2025年10月2日開催の取締役会において以下のとおり修正する旨を決議いたしました。
○目標とする経営指標(単体)
4 サステナビリティに関する考え方及び取組
(1)ガバナンス
当金庫は、「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」というPURPOSEの実現のために、事業活動を通じて、重点的かつ効果的に貢献する社会の重要課題を、マテリアリティとして特定しております。具体的には、「地球温暖化・気候変動への対応」、「中小企業の生産性向上」、「地域経済の活性化」、「イノベーションの創出」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を当金庫のマテリアリティとしております。
中小企業の皆さまの取組みを支援すること、また自身でも取組みを進めていくことでマテリアリティの解決を目指し持続可能な社会となるよう貢献していく、という考え方のもと、サステナビリティ基本規程を策定し、取締役会にて決議しております。
マテリアリティの解決に向けた重要な取組みとして、サステナビリティ及び人的資本に関する機会とリスクの識別、評価及び管理に関する事項を、社長執行役員を議長とする経営会議において年間8回程度議論し、逐次、取締役会に報告しております。取締役会は、過半数の社外取締役で構成されており、業務運営が全体として適切かつ実効的に機能するよう、重要な業務執行の決定と取締役及び執行役員の職務の監督を行っております。
関連する施策検討については、2021年6月に設置し、2025年4月に名称変更を実施した「気候変動リスク・自然資本ワーキンググループ」、2022年10月に設置した「人的資本経営に向けたワーキンググループ」、2023年9月に設置した「ビジネスと人権ワーキンググループ」において、継続的に実施しております。
当金庫は、気候変動や自然資本に対する取組みの情報開示の重要性を認識しており、TCFD(※1)及びTNFD(※2)が推奨する形での情報(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の開示に取り組んでおります。詳細情報は、2025年3月に発行した最新のサステナビリティレポートをご覧ください。
※1:Task Force on Climate Related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース
※2:Task Force on Nature Related Financial Disclosures 自然関連財務情報開示タスクフォース
サステナビリティを推進するための組織体制としては、2022年4月より、経営企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置、経営企画部担当役員を責任者とし、当金庫自身とお客さまへの浸透を統括する取組みを進めております。
2024年4月には、お客さま本位で質の高いサービスソリューション提供を実現するため、本部組織を抜本的に見直し、9つの統括本部制へ移行しております。変化の激しい経営環境に直面する中小企業の皆さまのサポートを拡充するべく、産業構造改革や環境・社会のサステナビリティを巡る課題に取り組む「産業戦略部」を「産業革新本部」に新設するとともに、お客さまとの対話を通じ、幅広いニーズにお応えするための戦略企画を行う「マーケティング部」を「カスタマー本部」に新設しました。
さらに、商工中金グループ一体の企業価値向上を通じてPURPOSEを実現すべく、2025年7月より新たにグループチーフオフィサー(CxO)制を導入しました。グループCEOによる全体統括のもと、企業変革・デジタル変革の最高責任者であるCTrO・CDIOと、その着実な実行の前提となるコンプライアンス・リスク管理の最高責任者であるCCO・CROを設置しております。
これらのガバナンス・組織体制により、産業構造等の環境変化に直面する中小企業の皆さまへのサポート強化や、経営戦略と人財戦略の一体化による人的資本経営の高度化等を通じ、マテリアリティの解決とPURPOSEの実現に向けて取り組んでおります。
(2)戦略
当金庫は、中小企業の皆さまの取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。そのためにも、お客さまを含むステークホルダーの皆さまとは"SPEED"の視点(※)を起点に活動の輪を広げ、「共感の創造」により、マテリアリティ解決に取り組んでまいります。
※当金庫が独自に定めた、組織・役職員における、サステナビリティに対する取組みの基本的な視点
Sustainability、Productivity、Empathy、Ecology、Digitalの頭文字をとったもの

当金庫は、マテリアリティの解決に向けて、お客さまとともに創出する共通価値として、「経済的価値」「社会的価値」「働き手の幸せ」の3つを定め、価値創出に取り組んでまいります。
気候変動リスクに関しては、経営にもたらす機会とリスクを評価するために、定性的・定量的なシナリオ分析を行っております。具体的には、気候変動に起因する近年の自然災害を踏まえた物理的リスクや、脱炭素社会への移行に伴う気候変動政策や技術革新等により生じる移行リスク及び機会の影響分析を行っております。気候変動に対する組織のレジリエンスを高めていく観点で、移行リスクや物理的リスクが顕在化した場合の経営への影響について、シナリオ(仮説)に基づいた定量的分析を行っております。
また、自然資本に関しても当金庫のビジネス上、依存するリスク、影響を与えるリスクの双方があることを認識しています。自然資本の喪失がお客さまの事業継続に与えるリスクや、お客さまの事業活動が自然資本へ影響を及ぼすリスクを分析しております。
お客さま支援の取組みとしては、2022年7月にサステナブルファイナンスの取扱いを開始しました。その中でもポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)を中心に、伴走支援を通じたお客さまの企業価値向上に取り組んでおります。2024年10月には新たにGX・DXファイナンス(中堅・中小企業向けのサステナビリティ・リンク・ローン)の取扱いを開始し、サステナブル経営に取り組むお取引先をサポートするメニューを拡充しております。
2023年2月より、地域経済の活性化と雇用創出への貢献を目指してサステナブルファイナンス業務における地域金融機関との業務提携・協力を進めておりますが、2025年9月末時点で当該業務協力文書の締結金融機関は全国で14機関となっております。さらに、2025年9月には地域金融機関向けのウェブセミナーを開催し、サステナブルファイナンスにおける連携事例を紹介いたしました。
また、2023年5月に「脱炭素経営コンサルティングサービス」を開始し、企業の脱炭素化に向けた計画策定をサポートするとともに、脱炭素化策の実行を伴走支援しております。お客さまの中長期的な企業価値向上と、持続可能な社会の実現のため、中堅・中小企業のカーボンニュートラル促進に向けた取組みを積極的に支援してまいります。
自然資本への取組みとしては、2024年12月に、本邦初となる、森林由来クレジット(J-クレジット)によるカーボン・オフセットを付与する「J-クレジット預金」の取扱いを開始いたしました。森林由来クレジットの活用を通じて、森林の適正な管理への貢献を目指してまいります。また、2024年12月にブルーローンの取扱いを開始し、持続可能な海洋経済、海洋・淡水領域の取組みをサポートしてまいります。
産業構造の変化に対応するための取組みとしては、2025年1月よりクラウド型車両・採算管理サービス「ロジプッシュ」の提供を開始し、運送業界全体の持続可能な成長への後押しを目指しております。
さらに人権の尊重を、社会的責任を果たす上で積極的に取り組むべき重要な経営課題と認識し、2024年4月に「商工中金グループ人権方針」を策定しております。同方針の策定にあたっては、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を参照しております。
当該方針に基づいて、事業活動が与える人権の負の影響を防止または軽減するために適切な人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
<商工中金グループ人権方針>
当金庫は、役職員の人権を尊重するとともに、働きがいのある職場づくりと風通しの良い組織風土の醸成に努めています。役職員のWell-beingとDE&Iの推進に積極的に取り組み、求める人財像である“お客さまの企業価値向上のため、変革しつづける人財”を採用、育成するために、「人財育成・社内環境整備に関する方針」を策定、当金庫で働く役職員全員が、心身共に健康で、活き活きとやりがいをもって働くために、「多様性の確保の方針(DE&Iトップステートメント)」を定めています。これらの方針に沿って、経営戦略と連動した人財戦略により人的資本の充実を図るべく具体的な取組みを進め、従業員一人ひとりのWell-beingの実現を目指します。
人口減少の加速に伴う人手不足・人材不足は規模の大小を問わず企業の事業展開における重大なリスクであり、企業が価値創出に取り組むうえでの喫緊の課題となっています。人的資本の充実を図ることで、お客さまと当金庫の共通価値創出につなげ、マテリアリティの解決を目指しております。
お客さま支援の取組みとしては2024年11月に人財サービス子会社「株式会社商工中金ヒューマンデザイン」を設立いたしました。お客さまへの経営人材の紹介や、従業員エンゲージメント調査である幸せデザインサーベイをはじめとした人材育成プログラムの提供を通じて、中小企業における人的資本経営の浸透を図り、お客さまの生産性向上と企業価値向上を進めてまいります。
<人財育成、社内環境整備に関する方針>
<多様性の確保の方針>
<具体的な取組み>a.価値観醸成の取組み
当金庫では、役職員一人ひとりのWell-beingを後押しすべく、2022年3月に制定した企業理念(PURPOSE・MISSION)に基づくパーパス経営を進めております。企業理念制定後、全役職員を対象とした「パーパスワークショップ」を定期的に開催し、PURPOSEの自分ごと化に向けた取組を継続してまいりました。
2024年10月にはPURPOSEの実現に向けた組織文化醸成を一層加速させるため、役職員が共有する価値観と行動の原点「CHUKIN Way」を制定しました。策定プロセスには3,500名を超える役職員が参加し、実際のエピソードをもとに、当金庫が大切にしてきた価値観を言語化し、その価値観にこれから必要となる価値観を加えて編纂しております。
2025年度の全役職員を対象とした「パーパスワークショップ」では、「CHUKIN Way」の1つである「変化に、向き合う。」をテーマに、時代や社会、自社の変化を自分ごととして捉え、役職員が自身のあるべき姿を考えるとともに、ステークホルダーに向けて新たな価値を創出するため、社会課題や業務に即したテーマをもとに、主体的なアイデア発想を行っています。
また、当金庫ではPURPOSEを実現する組織風土へと変革するためにはDE&Iが不可欠という経営トップの信念の下、女性活躍推進、キャリア採用、障がい者雇用、性的指向・性自認などについても積極的に取組み、人財のダイバーシティ確保に努めております。特に女性管理職比率向上は喫緊の課題であると認識し、役員メンター制度やチャレンジカレッジ(将来のリーダーに向けた意識改革プログラム)などの施策を実行した結果、2024年度末までに女性管理職比率は13.2%と、前年度末比4.5ポイント向上いたしました。障がいがある社員に対しては研修などにおいて情報保障を行うなど、公平・公正な機会を提供するための社内環境整備に努めるとともに、障がい者の一層の活躍推進に向けて、2025年4月には特例子会社化を見据えた「株式会社商工中金MIRAIハーベスト」を設立しました。性的指向・性自認に関しては、すべての従業員が自分らしく働ける職場づくりを目指し、社内研修の拡充や社内規定・相談体制の整備など、理解促進に向けた取組みを進めております。
b.キャリアサポート施策の取組み
PURPOSE・MISSIONの実現に向けて人的資本充実を行うために、2024年4月より新人事制度「NEXT PLAN」を導入しました。役職員のライフステージに応じたWell-beingの実現を支援するとともに、PURPOSE・MISSIONを評価の基軸に設定し、お客さまの企業価値向上に向け、より付加価値の高い業務にチャレンジしつづける風土を作る人事制度としております。新制度では総合職と担当職のコース制度を統合し、年齢や性別に関わらずチャレンジ可能な体制を確立し、男女間の職位や処遇の格差是正を目指すほか、「スペシャリスト制度」を設けるなど専門性の高さ等に応じた処遇を可能としています。
さらに、「社内兼業制度(社内副業)」や「インハウス・インターンシップ」、将来のキャリア形成のために短期集中的に専門スキルの習得を目指す「社内短期留学制度」、お取引先や連携支援機関への出向、希望する部署への社内公募制度である「キャリア・チャレンジ制度」、セカンドキャリア支援制度など、社員のキャリア自律を後押しするさまざまな制度を設けて多様な経験に基づく多面的な価値観の醸成を図っています。
加えて、今年度はパルスサーベイを導入し、社員のモチベーションをスピード感もって定点観測できる仕組みを構築しました。これにより、人的資本経営のPDCAを継続的に回し、制度や施策の改善につなげています。
c.企業内大学「人づくりカレッジ(通称ヒト☆カレ)」の取組み
企業内大学「人づくりカレッジ」では「わかった」から「できた!」をコンセプトとし、PURPOSE実現に必要な高度な業務スキルとヒューマンスキル向上のため、グループワークやゼミ形式といった双方向型のコンテンツを中心に、外部交流型や体験型プログラムを取り入れています。年齢や役職を問わずともに学び合う環境のもと、自らのキャリアを描きながら、対面・Webにて合計120以上のバラエティーに富んだ講座を受講することができ、人づくりカレッジ講座の累計応募者は、延べ4,000名を超えるなど、社員の自律的な学びを後押しする「手挙げ」風土を醸成しております。
2025年度は、経営人財の育成を目的とした高度な学びの場として「ヒト☆カレ大学院」を設置しました。本プログラムでは、経営視点を持った人財の育成に重点を置き、実践的かつ体系的な講座を通じて、次世代を担う人財の成長を支援しています。
(3)リスク管理
当金庫は、持続可能な社会の実現を重要な経営課題の一つとして認識しております。
こうした認識のもと、「気候変動リスクへの対応」及び人的資本の充実を含む「人財の確保・育成」を経営のトップリスクとして位置づけ、半期ごとに状況や課題を踏まえた対応方針を取締役会で決定しております。なお、トップリスクと、当金庫のリスクマネジメントについては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」へ記載しております。
また、当金庫が環境・社会に配慮した活動に取り組むにあたり、サステナビリティの視点で重要となるリスクを適切に管理する観点から、投融資等に対する基本的な考え方を定めるとともに、「環境又は社会に配慮した取組の方針」を策定し、これに沿った対応を行っております。
<環境又は社会に配慮した取組の方針>
「人財の確保・育成」については、労働市場の動きや働き手の価値観の変化等、企業と従業員を取り巻く環境を適切に認識しながら、人的資本の一層の充実を図るための施策を講じてまいります。
なお、従前より、従業員を対象に年1回実施する「コンプライアンス意識に係るアンケート調査」において、「人財の確保・育成」に一部関連したリスクの定量把握を行ってまいりましたが、2022年度より、PURPOSEを起点としたプリンシプルベースの価値観醸成、人財の育成を推進すべく、「エンゲージメント調査」に改訂し、より人財にフォーカスしたリスクの定量把握を行うことといたしました。こうした取組みを活かしたリスク管理の更なる高度化も進めてまいります。
(4)指標及び目標
トップリスクである「気候変動リスクへの対応」について、指標及び目標を設定し、取組みを進めております。当金庫の国内事業所におけるガスや電力等の使用量を基に算出した2024年度のCO2排出量は7,456トン、当該CO2排出量の削減目標として2050年度までのカーボンニュートラルを目指しております。今後は、GHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量の測定を進めるとともに、GHGサプライチェーン排出量(Scope3)の算定と把握についても、取組みを進めてまいります。
※「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)の定期報告における商工中金のScope1(直接)、Scope2(間接)のCO2排出量
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当金庫が判断したものであります。
1 経営の基本方針
当金庫は、外部環境・内部環境が大きく変化するなか、「倫理憲章・コンプライアンス行動基準」によるコンプライアンスの遵守をすべての土台とし、行動の原点である「CHUKIN Way」をもとに、当金庫が果たすべき使命である「MISSION」を遂行し、「PURPOSE」の実現を目指してまいります。なお、2023年6月14日に成立した「中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律」(以下、「改正商工中金法」という。)が、政府保有株式の全部処分を経て、2025年6月13日に施行されました。同法では、商工中金のサービスの「範囲」の一部を銀行法上の銀行と同様となるよう見直す一方で、株主資格制限や特別準備金の維持、危機対応業務の責務化等、必要な各種措置は維持するものとされております。当金庫の使命は、今後も変わりません。改正商工中金法の施行も踏まえ、今後当金庫の業務範囲を拡大させ、中小企業と中小企業組合の企業価値向上に、より一層貢献してまいります。

2 経営環境
当中間連結会計期間のわが国経済をみますと、米国の通商政策等の影響により一部に弱めの動きも見られましたが、全体としては緩やかに回復しました。
賃金は上昇した一方で、物価の上昇を加味した実質所得は伸び悩み、個人消費は緩やかな回復にとどまりました。インバウンド需要は引き続き好調でしたが、米国の通商政策等の影響により、輸送用機器を中心に財の輸出はおおむね横ばいとなりました。それを受け、生産活動も一進一退の動きとなりました。
こうした状況の中、「商工中金景況調査」から中小企業の景況感をみると、5月調査では米国通商政策の先行き不透明感から悪化しましたが、8月調査では関税措置に係る不透明感がやや解消され、景況判断指数は持ち直しました。
金融面では、米国トランプ大統領による相互関税の公表直後、世界経済の後退懸念から長期金利は低下し、為替相場は円高が進行、株価は急落しました。その後は交渉の進展等から悲観的な見方が後退し、物価の上昇基調や財政悪化への懸念も相俟って金利は上昇に転じました。円の対ドル相場は日米金利差を巡る市場の思惑により140円台後半まで円安に戻し、日経平均株価も円安などを背景とした本邦企業の業績改善見通しから、9月には史上初となる4万5千円台となりました。
3 対処すべき課題と経営戦略
国内人口減少やイノベーション不足、労働生産性の低さ等を背景に、日本の国際競争力は低下しています。また、足元では物価や賃金上昇、金利のある世界への移行等、日本経済を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。今後、国内人口減少やAI・ロボティクス技術の進化、紛争や米国による相互関税等の地政学リスク等の影響により、中小企業を取り巻く環境変化は激しさを増し、先行きの不透明感が一層強まることが予想されます。
当金庫のお取引先の大部分を占める中小企業は、日本経済と雇用を支える重要な存在である一方、こうした外部環境変化の影響を受けやすく、経営資源にも制約があるため、新たな挑戦やリスクテイクに慎重になり、時にはビジネスチャンスを逃すこともあります。しかし中には、独自の技術やサービスを有し、高い労働生産性を誇り、大企業を凌ぐ成長を遂げている中小企業も存在します。そうした中小企業の可能性を最大限に引き出すことは、変化に強い社会の実現につながると考えています。
当金庫においては、民営化という大きな転機を迎え、「中小企業による中小企業のための金融機関」として新たなスタートラインに立ちました。日本経済や中小企業を取り巻く経営環境が急速に変化している中、当金庫がどのような存在として価値を提供し、PURPOSEを実現していくべきかという観点から、「商工中金グループのありたい姿」の議論を重ね、このたび長期戦略の骨子を策定しました。長期戦略の核となる概念は、中小企業を個々の「点」として捉えるのではなく、中小企業と中小企業に関わる多様なステークホルダーを「面」として捉える「中小企業経済圏」です。当金庫は、金融を超えて「集めて・つなげて・価値を創る」プロデューサーとなり、「中小企業経済圏の拡大・活性化を通じて、圏の参加者の価値向上に貢献し続ける」ことを目指します。
この「ありたい姿」の実現度合いを可視化するために、SCV(Shokochukin Co-Creation Value)という新たな価値指標の導入を予定しています。SCVは、当金庫が中小企業に提供する価値の総体を示す新たな指標であり、経済的価値に加え、社会的・人的価値も含めた包括的な視点での価値創出を測定するものです。今後はこのSCVを経営の指針とし、定期的に進捗を確認しながら、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
また、中小企業経済圏の拡大に向けて「Industry・Innovation・Investment・Traditional Banking・Turn Around」という5つの新たな注力分野を決定しました。従来の枠組みにとらわれない柔軟でダイナミックな経営を実現するため、デジタル技術やAIを活用した経営の高度化を推進し、業務の効率化のみならず、お客さまとの接点の質の向上と深い関係性の構築を図ってまいります。
これらの取組みを通じて「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」というPURPOSEの実現を目指してまいります。
○商工中金グループのありたい姿

○注力分野

2026年3月期は、外部環境の変化等先行き不透明感はありますが、これまでに構築した機能を発揮しつつ、お客さまのニーズ対応力の向上に取り組み、資金利益拡大やソリューション収益の更なる成長により収益拡大を目指します。
なお、2025年5月16日に公表した2025年度目標につきまして、市場金利の見通しを変更した影響等を織り込み、2025年10月2日開催の取締役会において以下のとおり修正する旨を決議いたしました。
○目標とする経営指標(単体)
| 経営指標 | 2025年3月期実績 | ⦅当初⦆2025年度目標 | ⦅修正後⦆2025年度目標 |
| 業務粗利益 | 1,367億円 | 1,460億円程度 | 1,430億円程度 |
| 経費 | 799億円 | 850億円程度 | 860億円程度 |
| 業務純益 | 568億円 | 610億円程度 | 570億円程度 |
| 経常利益 | 328億円 | 350億円程度 | 340億円程度 |
| 純利益 | 256億円 | 260億円程度 | 260億円程度 |
| OHR(経費率=経費/業務粗利益) | 58.4% | 58%程度 | 60%程度 |
4 サステナビリティに関する考え方及び取組
(1)ガバナンス
当金庫は、「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」というPURPOSEの実現のために、事業活動を通じて、重点的かつ効果的に貢献する社会の重要課題を、マテリアリティとして特定しております。具体的には、「地球温暖化・気候変動への対応」、「中小企業の生産性向上」、「地域経済の活性化」、「イノベーションの創出」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を当金庫のマテリアリティとしております。
中小企業の皆さまの取組みを支援すること、また自身でも取組みを進めていくことでマテリアリティの解決を目指し持続可能な社会となるよう貢献していく、という考え方のもと、サステナビリティ基本規程を策定し、取締役会にて決議しております。
マテリアリティの解決に向けた重要な取組みとして、サステナビリティ及び人的資本に関する機会とリスクの識別、評価及び管理に関する事項を、社長執行役員を議長とする経営会議において年間8回程度議論し、逐次、取締役会に報告しております。取締役会は、過半数の社外取締役で構成されており、業務運営が全体として適切かつ実効的に機能するよう、重要な業務執行の決定と取締役及び執行役員の職務の監督を行っております。
関連する施策検討については、2021年6月に設置し、2025年4月に名称変更を実施した「気候変動リスク・自然資本ワーキンググループ」、2022年10月に設置した「人的資本経営に向けたワーキンググループ」、2023年9月に設置した「ビジネスと人権ワーキンググループ」において、継続的に実施しております。
当金庫は、気候変動や自然資本に対する取組みの情報開示の重要性を認識しており、TCFD(※1)及びTNFD(※2)が推奨する形での情報(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の開示に取り組んでおります。詳細情報は、2025年3月に発行した最新のサステナビリティレポートをご覧ください。
※1:Task Force on Climate Related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース
※2:Task Force on Nature Related Financial Disclosures 自然関連財務情報開示タスクフォース
サステナビリティを推進するための組織体制としては、2022年4月より、経営企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置、経営企画部担当役員を責任者とし、当金庫自身とお客さまへの浸透を統括する取組みを進めております。
2024年4月には、お客さま本位で質の高いサービスソリューション提供を実現するため、本部組織を抜本的に見直し、9つの統括本部制へ移行しております。変化の激しい経営環境に直面する中小企業の皆さまのサポートを拡充するべく、産業構造改革や環境・社会のサステナビリティを巡る課題に取り組む「産業戦略部」を「産業革新本部」に新設するとともに、お客さまとの対話を通じ、幅広いニーズにお応えするための戦略企画を行う「マーケティング部」を「カスタマー本部」に新設しました。
さらに、商工中金グループ一体の企業価値向上を通じてPURPOSEを実現すべく、2025年7月より新たにグループチーフオフィサー(CxO)制を導入しました。グループCEOによる全体統括のもと、企業変革・デジタル変革の最高責任者であるCTrO・CDIOと、その着実な実行の前提となるコンプライアンス・リスク管理の最高責任者であるCCO・CROを設置しております。
これらのガバナンス・組織体制により、産業構造等の環境変化に直面する中小企業の皆さまへのサポート強化や、経営戦略と人財戦略の一体化による人的資本経営の高度化等を通じ、マテリアリティの解決とPURPOSEの実現に向けて取り組んでおります。
(2)戦略
当金庫は、中小企業の皆さまの取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。そのためにも、お客さまを含むステークホルダーの皆さまとは"SPEED"の視点(※)を起点に活動の輪を広げ、「共感の創造」により、マテリアリティ解決に取り組んでまいります。
※当金庫が独自に定めた、組織・役職員における、サステナビリティに対する取組みの基本的な視点
Sustainability、Productivity、Empathy、Ecology、Digitalの頭文字をとったもの

当金庫は、マテリアリティの解決に向けて、お客さまとともに創出する共通価値として、「経済的価値」「社会的価値」「働き手の幸せ」の3つを定め、価値創出に取り組んでまいります。
気候変動リスクに関しては、経営にもたらす機会とリスクを評価するために、定性的・定量的なシナリオ分析を行っております。具体的には、気候変動に起因する近年の自然災害を踏まえた物理的リスクや、脱炭素社会への移行に伴う気候変動政策や技術革新等により生じる移行リスク及び機会の影響分析を行っております。気候変動に対する組織のレジリエンスを高めていく観点で、移行リスクや物理的リスクが顕在化した場合の経営への影響について、シナリオ(仮説)に基づいた定量的分析を行っております。
また、自然資本に関しても当金庫のビジネス上、依存するリスク、影響を与えるリスクの双方があることを認識しています。自然資本の喪失がお客さまの事業継続に与えるリスクや、お客さまの事業活動が自然資本へ影響を及ぼすリスクを分析しております。
お客さま支援の取組みとしては、2022年7月にサステナブルファイナンスの取扱いを開始しました。その中でもポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)を中心に、伴走支援を通じたお客さまの企業価値向上に取り組んでおります。2024年10月には新たにGX・DXファイナンス(中堅・中小企業向けのサステナビリティ・リンク・ローン)の取扱いを開始し、サステナブル経営に取り組むお取引先をサポートするメニューを拡充しております。
2023年2月より、地域経済の活性化と雇用創出への貢献を目指してサステナブルファイナンス業務における地域金融機関との業務提携・協力を進めておりますが、2025年9月末時点で当該業務協力文書の締結金融機関は全国で14機関となっております。さらに、2025年9月には地域金融機関向けのウェブセミナーを開催し、サステナブルファイナンスにおける連携事例を紹介いたしました。
また、2023年5月に「脱炭素経営コンサルティングサービス」を開始し、企業の脱炭素化に向けた計画策定をサポートするとともに、脱炭素化策の実行を伴走支援しております。お客さまの中長期的な企業価値向上と、持続可能な社会の実現のため、中堅・中小企業のカーボンニュートラル促進に向けた取組みを積極的に支援してまいります。
自然資本への取組みとしては、2024年12月に、本邦初となる、森林由来クレジット(J-クレジット)によるカーボン・オフセットを付与する「J-クレジット預金」の取扱いを開始いたしました。森林由来クレジットの活用を通じて、森林の適正な管理への貢献を目指してまいります。また、2024年12月にブルーローンの取扱いを開始し、持続可能な海洋経済、海洋・淡水領域の取組みをサポートしてまいります。
産業構造の変化に対応するための取組みとしては、2025年1月よりクラウド型車両・採算管理サービス「ロジプッシュ」の提供を開始し、運送業界全体の持続可能な成長への後押しを目指しております。
さらに人権の尊重を、社会的責任を果たす上で積極的に取り組むべき重要な経営課題と認識し、2024年4月に「商工中金グループ人権方針」を策定しております。同方針の策定にあたっては、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を参照しております。
当該方針に基づいて、事業活動が与える人権の負の影響を防止または軽減するために適切な人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
<商工中金グループ人権方針>
| 商工中金グループは、社会的責任を果たす上で人権の尊重を積極的に取り組むべき重要な経営課題と認識し、事業活動の全てにおいて、人権尊重の責任を果たす努力を行うことを約束します。 1.方針 商工中金グループは、「世界人権宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」等、人権に関する国際規範を尊重します。また、事業活動を行う地域で適用される法律等を遵守するとともに、国際的な規範等と当該地域の法令等との間に矛盾がある場合、国際的な規範等を尊重するための方法を追求いたします。 2.人権方針の適用範囲 本方針は、商工中金グループのすべての役職員に適用されます。また、本方針をお客さまやサプライヤー等各ステークホルダー皆さまに共有し、本方針の主旨をご理解いただくよう、努めてまいります。 3.役職員の人権の尊重 商工中金グループは、一人ひとりが多様な価値観を尊重し、お互いを認め合い、自由に意見を言い合える対等な関係を構築し、働きがいのある職場づくりと風通しの良い組織風土を醸成することに努めます。また、あらゆる事業活動において、人種、民族、宗教、国籍、出身、信条、年齢、障がいの有無、性別、性的指向や性自認等を理由とした差別や、人間の尊厳を傷つけるいかなるハラスメントも容認しません。 商工中金グループは、雇用や就業におけるあらゆる差別の解消・撤廃に取り組むほか、結社の自由および団体交渉権を尊重します。また、労働基準法をはじめとする法令に従い、過重労働の抑制に努め、役職員が健康かつ安全に働ける職場作りに努めます。 4.お客さまとの協調 商工中金グループは、すべてのお客さまの人権を尊重し、公正で責任あるサービスを提供します。 商工中金グループは、中小企業の金融の円滑化を目的とする金融機関としての役割を常に意識し、お客さまとの建設的な対話と相互の理解に基づき、人権に対する負の影響を確認しその縮小に向けた対応策実施の働きかけを行うよう努めます。 なお、お客さまの経営資源及び事業内容、並びに取引先を取り巻く事業環境の変化に適したソリューションを提供し、中小企業の金融円滑化に反する支援消極化を画一的には行いません。 5.サプライヤー(購買先、外部委託先等)との協調 商工中金グループの事業活動は、サプライヤーの協力により支えられています。 商工中金グループは、すべてのサプライヤーの人権を尊重するとともに、公正・適正な取引に努めます。主要なサプライヤーに対し、本方針を共有し、人権尊重への理解と協力を求めていきます。サプライヤーとの取引関係を通じて人権侵害が生じるおそれがある場合は、建設的な対話と相互の理解に基づき、ともに協力して適切に対応するよう努めます。 6.人権デュー・ディリジェンス 商工中金グループは、事業活動が与え得る人権への負の影響を防止または軽減するために適切な人権デュー・ディリジェンスを行うよう努めます。 7.救済メカニズム 商工中金グループは、役職員や、提供する商品・サービスが人権に対して負の影響を引き起こした、あるいは負の影響を助長したことが明らかになった場合は、適切に対応し、その救済に努めます。 また、商工中金グループの事業・サービスを通じて人権に対する負の影響に直接関連していた場合にも、お客さまやサプライヤーとの建設的な対話と相互の理解のもと、適切な働きかけを行うことにより、負の影響の防止・軽減に努めます。 相談を受付する窓口としては、お客さまをはじめとするステークホルダーからは、店頭、電話、ホームページ等、社員等からは内部・外部の相談窓口を通して相談を受け付け、適切な対応を講じるよう努めます。 |
| 8.ガバナンス 商工中金グループでは、人権尊重に関する取り組みは、経営会議等において定期的に意思決定した上で、取締役会に報告をし、監督します。 9.ステークホルダーとの対話 商工中金グループは、本方針に基づく取組みにおいて、関連するステークホルダーとの対話や協議により、人権尊重の取り組みの向上と改善に努めていきます。 10.啓発活動 商工中金グループは、役職員一人ひとりが人権問題に関する正しい理解と認識を深めるため、人権啓発研修に取り組みます。 11.定期的な見直し 商工中金グループは、グループ内外の環境変化を踏まえて、人権尊重に関する取り組みを強化していくため、本方針について、定期的な見直しの要否を検討するほか、必要に応じて見直しを行います。 |
当金庫は、役職員の人権を尊重するとともに、働きがいのある職場づくりと風通しの良い組織風土の醸成に努めています。役職員のWell-beingとDE&Iの推進に積極的に取り組み、求める人財像である“お客さまの企業価値向上のため、変革しつづける人財”を採用、育成するために、「人財育成・社内環境整備に関する方針」を策定、当金庫で働く役職員全員が、心身共に健康で、活き活きとやりがいをもって働くために、「多様性の確保の方針(DE&Iトップステートメント)」を定めています。これらの方針に沿って、経営戦略と連動した人財戦略により人的資本の充実を図るべく具体的な取組みを進め、従業員一人ひとりのWell-beingの実現を目指します。
人口減少の加速に伴う人手不足・人材不足は規模の大小を問わず企業の事業展開における重大なリスクであり、企業が価値創出に取り組むうえでの喫緊の課題となっています。人的資本の充実を図ることで、お客さまと当金庫の共通価値創出につなげ、マテリアリティの解決を目指しております。
お客さま支援の取組みとしては2024年11月に人財サービス子会社「株式会社商工中金ヒューマンデザイン」を設立いたしました。お客さまへの経営人材の紹介や、従業員エンゲージメント調査である幸せデザインサーベイをはじめとした人材育成プログラムの提供を通じて、中小企業における人的資本経営の浸透を図り、お客さまの生産性向上と企業価値向上を進めてまいります。
<人財育成、社内環境整備に関する方針>
| ●人事戦略の基本構想 『お客さまの企業価値向上のため、変革しつづける人財』を採用・育成し、経営戦略と連動した人財戦略を実施することでPURPOSEの実現に繋げます ●人財育成方針 自ら考え学びを得る自律的なプロフェッショナル人財の育成を図るために、従業員の多様性や自主性を尊重した、効率的かつ効果的に学べる環境の整備を図っていきます ●社内環境整備方針 [商工中金が従業員の皆さんに約束すること] 3つの充実(仕事、個人、家庭・社会)に向けた取り組みを通じて、従業員一人ひとりのWell-beingの実現を支援します 1.仕事の充実 お客さまへの価値向上に向け、どのような役割を担ってチャレンジし、成果を生み出したのかを評価する人事制度に移行します 2.個人の充実 一人ひとりの主体的なキャリア選択を尊重し、金融のプロフェッショナルに向けた自律的な成長を支援します 3.家庭・社会の充実 ライフステージに応じた多様な選択肢や柔軟な働き方を提供し、仕事と家庭の両立を支援します [従業員の皆さんに期待すること] 環境変化に対して柔軟かつスピーディに対応し、お客さまの価値向上のために、自律的に変革し続けること |
<多様性の確保の方針>
| ●DE&Iトップステイトメント 私たち商工中金にとり最も大切な経営資本である役職員全員が、心身共に健康で、活き活きとやりがいを持って働ける組織とするために、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を推進します。 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進を通じ、組織として目指すこと 1.役職員一人ひとりが持つ個性や多様性(人種、民族、宗教、国籍、出身、信条、年齢、障がいの有無、性別、性的指向や性自認の他、キャリアや働き方、考え方等)を尊重し、バックグランドに関わらず公平・公正な機会を提供することに努め、その能力を最大限発揮できる職場にします その取組みの中で、特に女性の活躍推進を図り、管理職への登用を拡大させます 2.本部と営業店の全ての組織間・内の風通しを良くし、誰もが安心して自由闊達に意見を述べ合い、助け合い、協力し合いながら、共に成長する組織風土を醸成します ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進を通じ、商工中金で働く皆さんに期待すること 1.自分に限界を設けず、自分の力を信じ、自己研鑽に励み、チャレンジすること 2.前例にとらわれず、柔軟な発想で業務に取り組むこと 3.役職、経験に縛られることなく前向きな意見具申をし、他者の意見にも耳を傾けること 4.日々共に働く仲間を思いやり、敬意をもって接すること 5.社内外のつながりを積極的に持ち、多様な価値観に触れること 皆さんの前向きなチャレンジを奨励し、働きがいのある組織とするため、経営陣一同は積極的に皆さんの声を聴き、全力で皆さんの成長をサポートします。 |
<具体的な取組み>a.価値観醸成の取組み
当金庫では、役職員一人ひとりのWell-beingを後押しすべく、2022年3月に制定した企業理念(PURPOSE・MISSION)に基づくパーパス経営を進めております。企業理念制定後、全役職員を対象とした「パーパスワークショップ」を定期的に開催し、PURPOSEの自分ごと化に向けた取組を継続してまいりました。
2024年10月にはPURPOSEの実現に向けた組織文化醸成を一層加速させるため、役職員が共有する価値観と行動の原点「CHUKIN Way」を制定しました。策定プロセスには3,500名を超える役職員が参加し、実際のエピソードをもとに、当金庫が大切にしてきた価値観を言語化し、その価値観にこれから必要となる価値観を加えて編纂しております。
2025年度の全役職員を対象とした「パーパスワークショップ」では、「CHUKIN Way」の1つである「変化に、向き合う。」をテーマに、時代や社会、自社の変化を自分ごととして捉え、役職員が自身のあるべき姿を考えるとともに、ステークホルダーに向けて新たな価値を創出するため、社会課題や業務に即したテーマをもとに、主体的なアイデア発想を行っています。
また、当金庫ではPURPOSEを実現する組織風土へと変革するためにはDE&Iが不可欠という経営トップの信念の下、女性活躍推進、キャリア採用、障がい者雇用、性的指向・性自認などについても積極的に取組み、人財のダイバーシティ確保に努めております。特に女性管理職比率向上は喫緊の課題であると認識し、役員メンター制度やチャレンジカレッジ(将来のリーダーに向けた意識改革プログラム)などの施策を実行した結果、2024年度末までに女性管理職比率は13.2%と、前年度末比4.5ポイント向上いたしました。障がいがある社員に対しては研修などにおいて情報保障を行うなど、公平・公正な機会を提供するための社内環境整備に努めるとともに、障がい者の一層の活躍推進に向けて、2025年4月には特例子会社化を見据えた「株式会社商工中金MIRAIハーベスト」を設立しました。性的指向・性自認に関しては、すべての従業員が自分らしく働ける職場づくりを目指し、社内研修の拡充や社内規定・相談体制の整備など、理解促進に向けた取組みを進めております。
b.キャリアサポート施策の取組み
PURPOSE・MISSIONの実現に向けて人的資本充実を行うために、2024年4月より新人事制度「NEXT PLAN」を導入しました。役職員のライフステージに応じたWell-beingの実現を支援するとともに、PURPOSE・MISSIONを評価の基軸に設定し、お客さまの企業価値向上に向け、より付加価値の高い業務にチャレンジしつづける風土を作る人事制度としております。新制度では総合職と担当職のコース制度を統合し、年齢や性別に関わらずチャレンジ可能な体制を確立し、男女間の職位や処遇の格差是正を目指すほか、「スペシャリスト制度」を設けるなど専門性の高さ等に応じた処遇を可能としています。
さらに、「社内兼業制度(社内副業)」や「インハウス・インターンシップ」、将来のキャリア形成のために短期集中的に専門スキルの習得を目指す「社内短期留学制度」、お取引先や連携支援機関への出向、希望する部署への社内公募制度である「キャリア・チャレンジ制度」、セカンドキャリア支援制度など、社員のキャリア自律を後押しするさまざまな制度を設けて多様な経験に基づく多面的な価値観の醸成を図っています。
加えて、今年度はパルスサーベイを導入し、社員のモチベーションをスピード感もって定点観測できる仕組みを構築しました。これにより、人的資本経営のPDCAを継続的に回し、制度や施策の改善につなげています。
c.企業内大学「人づくりカレッジ(通称ヒト☆カレ)」の取組み
企業内大学「人づくりカレッジ」では「わかった」から「できた!」をコンセプトとし、PURPOSE実現に必要な高度な業務スキルとヒューマンスキル向上のため、グループワークやゼミ形式といった双方向型のコンテンツを中心に、外部交流型や体験型プログラムを取り入れています。年齢や役職を問わずともに学び合う環境のもと、自らのキャリアを描きながら、対面・Webにて合計120以上のバラエティーに富んだ講座を受講することができ、人づくりカレッジ講座の累計応募者は、延べ4,000名を超えるなど、社員の自律的な学びを後押しする「手挙げ」風土を醸成しております。
2025年度は、経営人財の育成を目的とした高度な学びの場として「ヒト☆カレ大学院」を設置しました。本プログラムでは、経営視点を持った人財の育成に重点を置き、実践的かつ体系的な講座を通じて、次世代を担う人財の成長を支援しています。
(3)リスク管理
当金庫は、持続可能な社会の実現を重要な経営課題の一つとして認識しております。
こうした認識のもと、「気候変動リスクへの対応」及び人的資本の充実を含む「人財の確保・育成」を経営のトップリスクとして位置づけ、半期ごとに状況や課題を踏まえた対応方針を取締役会で決定しております。なお、トップリスクと、当金庫のリスクマネジメントについては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」へ記載しております。
また、当金庫が環境・社会に配慮した活動に取り組むにあたり、サステナビリティの視点で重要となるリスクを適切に管理する観点から、投融資等に対する基本的な考え方を定めるとともに、「環境又は社会に配慮した取組の方針」を策定し、これに沿った対応を行っております。
<環境又は社会に配慮した取組の方針>
| 商工中金は、中小企業の金融円滑化を目的とした金融機関であります。この目的を常に意識し、国内法令及び国際規範と整合した倫理的な取引を行うため、お客さまの取り巻く環境の変化や事業活動について確認と働きかけを行い、環境や社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。 確認の結果、環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性が高い事業との取引については、取組方針を定め、それに従って対応をしてまいります。具体的には、環境・社会に対し、重大な負の影響を及ぼす可能性がある以下の3つ(非人道兵器の製造を行っている事業、児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業、生態系維持・世界遺産保護等の観点から問題がある事業)については、取引を行いません。 1.非人道兵器の製造を行っている事業 クラスター弾は非人道的な兵器として国際社会から認知されております。また、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾同様に人道上の問題が大きいと認識しております。こうした認識のもと、これら非人道兵器の製造行為に対する投融資等の取引は行いません。 2.児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業 当金庫は世界人権宣言をはじめとする国際規範を尊重しております。責任ある企業活動を促進し、国際社会を含む社会全体の人権保護に貢献していく観点から、特に、搾取的労働慣行には加担すべきではないと認識しております。こうした認識のもと、児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業に対する投融資等は行いません。 3.生態系維持・世界遺産保護等の観点から問題がある事業 複雑で多様な生態系が支え合い、食料や水、気候の安定等の恵みがもたらされております。生態系を支える生物多様性に配慮し、自然環境等の維持・保全に努めていくことが重要と認識しております。こうした認識のもと、以下に該当する事業については投融資等を行いません。 ・ラムサール条約指定湿地に負の影響を与える事業 ・ユネスコ指定の世界遺産に負の影響を与える事業(注1) ・ワシントン条約(国内法では種の保存法)に違反する事業(注2) (注1)当該国政府及びUNESCOからの事前同意ある場合を除く (注2)各国の留保事項は配慮する なお、環境・社会に対し負の影響度がある「石炭火力発電事業」「森林伐採事業」「パーム油農園開発事業」については、事業内容について十分な確認と対話や働きかけを行い、その結果をもとに、対応を検討してまいります。 |
「人財の確保・育成」については、労働市場の動きや働き手の価値観の変化等、企業と従業員を取り巻く環境を適切に認識しながら、人的資本の一層の充実を図るための施策を講じてまいります。
なお、従前より、従業員を対象に年1回実施する「コンプライアンス意識に係るアンケート調査」において、「人財の確保・育成」に一部関連したリスクの定量把握を行ってまいりましたが、2022年度より、PURPOSEを起点としたプリンシプルベースの価値観醸成、人財の育成を推進すべく、「エンゲージメント調査」に改訂し、より人財にフォーカスしたリスクの定量把握を行うことといたしました。こうした取組みを活かしたリスク管理の更なる高度化も進めてまいります。
(4)指標及び目標
トップリスクである「気候変動リスクへの対応」について、指標及び目標を設定し、取組みを進めております。当金庫の国内事業所におけるガスや電力等の使用量を基に算出した2024年度のCO2排出量は7,456トン、当該CO2排出量の削減目標として2050年度までのカーボンニュートラルを目指しております。今後は、GHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量の測定を進めるとともに、GHGサプライチェーン排出量(Scope3)の算定と把握についても、取組みを進めてまいります。
| 国内事業所におけるCO2排出量の削減実績・目標(Scope1,2が対象) | |
| 2024年度の実績 | 7,456トン(2013年度比51%削減)(※) |
| 2030年度の目標 | 2013年度比50%削減 |
| 2050年度までの目標 | カーボンニュートラル |
※「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)の定期報告における商工中金のScope1(直接)、Scope2(間接)のCO2排出量