有価証券報告書-第25期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/30 15:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「日本発の画期的な新薬を世界へ」という理念のもとに設立された当社グループは、設立以降プロテインキナーゼ阻害剤研究の知見から得た独自の科学技術を基に医薬品の研究開発を行っております。また、近年は他社からの開発パイプラインの導入を行い、従来に比してより有用な医薬品を早期に患者の皆様に提供することを目的に事業を推進しております。
当社グループは、新薬開発の上流である基礎研究から臨床開発までに経営資源を集中させ、創薬バイオベンチャーの先導企業を目指します。
(2)経営戦略
一般的に新薬が開発されて最終的に患者の皆様に届くまでには、10年以上の期間と多額の開発費用を要し、成功する確率も高くはありません。
このような中、当社グループは、自社技術を基とした研究型の事業を行うとともに、これらの研究の成果の価値を高めるため、研究のみではなく開発も行う研究・開発型へとシフトしております。また、自社新薬の継続的な研究開発以外にも他社からのインライセンスを積極的に進めることによる開発パイプラインの拡充にも取り組むことにより、ライセンスアウトによる収入(すなわち、フロントマネー収入、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の最大化を目指してまいります。
(3)経営環境
近年の新薬開発は、従来の低分子医薬品だけではなく、抗体医薬品や核酸医薬品、再生医療等を用いた新しいアプローチ方法によるバイオ医薬品の研究開発などが行われており、技術革新が進んでいます。その結果、各社は新しい技術の特徴(治療の効果、副作用、費用対効果等)を把握し、最適な医薬品の開発を行うため、パイプライン拡充や他社との協業等、競争力強化に取り組んでおります。
このような状況の下、当社グループは新薬の継続的な創出と開発パイプラインの拡充を目指し、研究開発活動を推進しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (1)事業の内容について ②当社グループの事業活動に関する事項 (レ)災害・感染症等に関する事項」に記載のとおりであります。
(4)目標とする経営指標
当社グループの事業である医薬品の開発は、基礎研究から上市に至るまでの期間が長期間にわたり、また、先行投資型のビジネスモデルであるため、財務諸表などの一般的な経営指標の設定は適さないと考えております。
そのため、当社グループでは、開発パイプラインの本数とその進捗状況を経営指標として設定しております。収益力の高い新薬候補化合物の創製やインライセンス、臨床開発の推進に取り組むことで、今後もこれら開発パイプラインの拡充を目指し、研究開発活動に経営資源を投下する方針です。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と施策は以下のように考えております。
① 開発パイプラインの拡充
新薬開発の成功確率は年々低下しており、保有する開発パイプラインが様々な理由で開発の遅延や中断、中止等になるリスクがあります。そのリスクに対応するためには、開発パイプラインを拡充することが必要であると考えております。基礎研究による新薬候補化合物の発見を一層推進するとともに、様々な開発ステージで構成された複数の開発パイプラインを保有するため、大学や企業等からのインライセンス活動を積極的に進めてまいります。
② 事業領域の拡大
当社グループは、自社の財務状況を踏まえて、比較的早期のライセンスアウトを目指しておりますが、ライセンスアウト時の収益性の向上が重要であると考え、非臨床試験以降の自社開発の取り組みを進めております。今後も、この事業領域の拡大に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
③ 既にライセンスアウトが完了している開発パイプラインの開発支援
安定的な経営基盤の構築のため、既に製薬会社にライセンスアウトされている開発パイプラインに対し、製薬会社との協力体制の下、順調な臨床試験の推進を支援し、当該開発パイプラインの早期上市を図ってまいります。
また、現在、当社グループが保有する開発パイプラインの多くはパートナーが決まっておりますが、開発パイプラインの拡充をしていく過程で、製薬会社等との新たな協業を戦略的に進めてまいります。
④ 基盤技術の応用
当社グループは、新薬候補品を創製できることが大きな強みであるバイオベンチャーです。自社の強みを最大限に発揮するために、独自の基盤技術であるプロテインキナーゼ阻害剤の創製に注力するとともに、その技術を活かしつつ、他社との提携を積極的に進めております。また、新薬候補品のポテンシャルを最大限活かすためにプロテインキナーゼ阻害剤が応用される領域での適応拡大の検討を進めてまいります。
⑤ 財務基盤の充実
当社グループは、今後も付加価値の高い収益構造を生み出すことを目指し、保有する開発パイプラインのステージアップや開発パイプラインの拡充を図る予定であります。そのために必要に応じて、金融・資本市場からの資金調達を実施することにより、当社グループの財務基盤の充実を図ってまいります。