有価証券報告書-第57期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資の持ち直しが見られ、緩やかながら景気の回復基調が続きました。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
また、当社を取り巻く事業環境は、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はよ
り一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供
給体制が望まれております。
このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績については、次のとおりです。
売上高 9,951百万円 (前期比増減 201百万円増 (前期比 2.1%増) )
営業利益 1,512百万円 (前期比増減 69百万円増 (前期比 4.8%増) )
経常利益 1,510百万円 (前期比増減 60百万円増 (前期比 4.1%増) )
当期純利益 1,097百万円 (前期比増減 109百万円増 (前期比 11.0%増) )
なお、経常利益の前事業年度との増減内容は次のとおりです。
販売数量の増加等による売上総利益の増加 +174百万円
その他製造原価増減等による売上総利益の減少 △59百万円
販管費等の増加による減少 △55百万円
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、医療機器等の製造販売及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社の製品群別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度における生産実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
(注)金額は、製造原価により算定しております。
b.受注実績
当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
このうち重要な会計上の見積りとして「変動対価(売上取引に係る未確定の値引額)の額の見積り」があります。当社の顧客が当社製品をユーザーに販売した後、値引の請求を当社が受ける場合がありますが、同一製品であっても顧客がどのユーザーに販売するかによって値引額は変動することとなります。そのため、事業年度末において顧客からユーザーへの販売がまだ行われておらず、顧客からの値引請求額が未確定の部分について、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分であり、変動対価に該当します。当社は、当該変動対価の額を見積り、売上高に反映させています。なお、顧客が保有する製品をどのユーザーに販売するかは事業年度末時点で未確定であることから、顧客が過去実績と同一の販売比率でユーザーに販売するという仮定の下、主要な顧客や製品群ごとの過去一定期間の実績値引率に基づいて、変動対価の額を見積っております。
その他の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて254百万円増加し、6,985百万円となりました。これは主として、原材料が27百万円、受取手形が24百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が256百万円、電子記録債権が21百万
円、仕掛品が21百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて79百万円減少し、4,196百万円となりました。これは主として、有形固定
資産が55百万円、投資その他の資産が23百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて509百万円減少し、2,829百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が90百万円増加したものの、短期借入金が360百万円、電子記録債務が117百万円、未払金が72百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べ191百万円増加し、835百万円となりました。これは主として、長期借入金が194百万円増加したこと等によるものです。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。これは主として、当期純利益を1,097百万円計上し、配当金を603百万円支払ったことによる利益剰余金の差引増加等によるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、9,951百万円(前年同期比2.1%増)となりました。これは主として、キューインポット(吸引器関連)及びクーデックエイミーPCA(注入器関連)の販売が好調に推移したこと等によるものです。
(営業利益)
営業利益は、1,512百万円(前年同期比4.8%増)となりました。これは主として、原油価格高騰や急激な為替変動によるコスト上昇要因があるものの、売上高の増加により売上総利益が増加したこと等によるものです。
(経常利益)
経常利益は、1,510百万円(前年同期比4.1%増)となりました。これは主として、営業利益が増加したこと等によるものです。
(当期純利益)
当期純利益は、1,097百万円(前年同期比11.0%増)となりました。これは主として、経常利益が増加したこ
と等によるものです。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,120百万円(前期比434百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益を1,508百万円、減価償却費を232百万円それぞれ計上したものの、法人税等を443百万円支払ったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は168百万円(前期比0百万円減)となりました。これは主として、有形固定資
産の取得により、166百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は696百万円(前期比467百万円減)となりました。これは主として、配当金を
612百万円支払い、長期借入金の返済額として464百万円支出したこと等によるものです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因として、医療費抑制政策をはじめとする国による社会保障政策への動向があります。医療費の抑制に加え、医療現場における感染症への対応、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、国内外メーカーとの競争激化等により、当社の経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。
このような状況の中、当社の強みである医療現場と密着した製品開発、営業活動にもとづく新たな医療サービスを提供できる独創的な新製品開発と生み出された新製品の販売推進により他社の追随を許さないトップメーカーとしての地位の確保と新市場創出、開拓を推進してまいります。
当社の主力製品の状況は次のとおりです。
(吸引器関連)
主に手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスについては、1990年の発売から30年超が経過しておりますが、手術件数の伸びとともに、販売数量も増加する傾向にあります。しかしながら、医療費抑制政策等による医療機関の経営環境の変化から競合他社との競争が激化しており、販売単価の下落が顕著になっております。
当社は、吸引器の国内トップシェアメーカーとして現状の市場環境の変化に対応するべく、医療現場のニーズに合致した現行フィットフィックスの後継機種となる次世代吸引器の開発を進め、現在、複数の医療施設でのマーケットトライアルを実施しており、評価結果を受けて迅速に市場投入を実施してまいります。
次に、病棟で使用されるキューインポットについては、院内感染防止と看護師の業務負荷軽減を目的として急速に普及が進んでおります。
当社は手術室で培ったノウハウをもとに300床以上の急性期の大手病院への納入から始まり、現在では300床未満の中小病院、さらには慢性期の病院への展開にも注力しております。特に、院内感染防止等の観点からニーズは非常に高く、300床未満の中小病院、慢性期の病院への納入が顕著に増加しており、今後も伸びが期待できる市場環境にあります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微なものとなり、徹底した感染症の防止策が講じられながらも、正常化した安定的な医療が提供されております。これにより、手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスの販売量が堅調に推移したこと、病棟用の吸引器であるキューインポットの販売が好調に推移したことにより、吸引器関連の年間売上は6,396百万円となりました(前期比3.3%増)。
引き続き、競合他社との競争は厳しく、販売単価下落の影響はあるものの、フィットフィックスの堅調な伸びと病棟で使用されるキューインポットの拡販、市場拡大に注力することで増収確保に向けた取組を進めております。
(注入器関連)
手術後の疼痛管理目的で使用されるディスポーザブル持続注入器であるシリンジェクター、バルーンジェクターについては、麻酔手技の変化と医療経済性の観点から医療現場のニーズに変化が見られます。
医療現場のニーズ変化に対応すべく、製品ラインナップ強化に向けてマイクロポンプを使用したより流量精度が高く、医療従事者が管理しやすい持続注入器の新製品開発を進め、完成した新製品「クーデックエイミーPCA」について拡販を進めてまいりました。当初想定していた急性期の医療機関での需要に加えて、在宅市場などをはじめとして多方面からの引き合いも引き続き増加してきており、そのポテンシャルは当社事業領域拡大の余地を大きく含んでおります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、吸引器と同様に手術件数が堅調に推移したことに加えて、新製品の「クーデックエイミーPCA」の好調な販売推移により、注入器関連の年間売上は2,216百万円となりました(前期比5.3%増)。
差別化された圧倒的な製品力とトップシェアメーカーである営業力を発揮し、新製品の拡販に注力し、市場シェアのさらなる拡大を進め、増収確保に向けた取組を進めております。
上記に記載した主力製品が当社事業の大半を占めるため、その売上進展及びその収益性が当社の営業利益、経常利益、当期純利益に大きく影響することとなります。
当社といたしましては、医療に従事するメーカーとして人命の安全を確保しながらも製品の安定供給を果たすための生産・供給体制の構築を経営課題と認識し、取り組んでおります。
また、「医療現場第一主義」の研究開発型メーカーとして当社の特徴でもある独創的な製品を開発し、供給することにより医療現場が抱える課題解決を図っていくことを第一に考えながら、新製品については、国内のみならず海外での販売拡大を目指し、海外販売比率を高めることで事業規模の拡大とさらなる経営基盤の強化・確立を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要につきましては、製品を製造するための国内外の仕入先からの部材仕入、製造経費、営業管理費や荷造運賃などの販売費及び一般管理費があります。
設備資金需要につきましては、製品製造にあたっての設備の維持・金型の更新投資や新製品開発にあたっての設備や金型の新規投資があります。さらには、インフラとして生産効率や事務効率の向上を目的とした投資等があります。
(財務政策)
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。基本的に、経常的な設備投資については、減価償却費の範囲内にとどめ、一定程度のキャッシュポジションを維持した上で余剰資金については有利子負債の削減に充当しております。
また、過度に金利変動リスクに晒されないよう短期借入と長期借入のバランスを図りつつ、タイミングをみて長期借入へシフトするなど、資金調達コストの低減・安定にも努めております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に図るための有用な指標であると考えております。当事業年度における「売上高総利益率」は、41.2%(前期比0.4ポイント好転)であります。また、「売上高経常利益率」については、15.2%(前期比0.3ポイント好転)であります。
主要2指標の好転の主要因は、主力製品の堅調な売れ行きと新製品(特にクーデックエイミーPCA)の販売が好調に推移していることが売上総利益率の改善に繋がりました。
売上高経常利益率の改善につきましては、売上総利益が増加したこと等の影響によります。
当該経営目標数値の達成に向けた計画骨子として、下記3点の重点施策を実施してまいります。
1.既存事業の成長
病棟用吸引器であるキューインポットのさらなる拡販に取り組んでまいります。
引き続き、急性期病院から慢性期病院への拡販を積極展開し、潜在市場への普及拡大を図ります。
2.サプライチェーンの高度化
生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めてまいります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め、粗利益増加、粗利率の改善を図ります。
3.中長期的成長エンジンとなるマイクロポンプ関連製品の投入と開発
マイクロポンプ関連製品の第1弾製品として上市した「クーデックエイミーPCA」の拡販を進めてまいります。
当社の主戦場である急性期の医療機関への拡販に本腰を置きながらも潜在的にニーズの高い在宅市場やクリニックへの展開も積極的に推進してまいります。
さらには、マイクロポンプをキーデバイスとした注入器分野での派生商品の開発にも着手しており、早期上市、拡販に向けた取り組みを進めております。
当社といたしましては、医療現場のニーズを汲み取った改良品の上市や既存製品の拡販により競争力強化を図ること、新製品の上市により新たな事業の柱を創出することにより、特定製品に依存した収益構造からの脱却を図り、売上高総利益率の改善に努めるとともに、生産効率の改善や固定費削減にも取り組み収益性の改善に努めてまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資の持ち直しが見られ、緩やかながら景気の回復基調が続きました。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
また、当社を取り巻く事業環境は、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はよ
り一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供
給体制が望まれております。
このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績については、次のとおりです。
売上高 9,951百万円 (前期比増減 201百万円増 (前期比 2.1%増) )
営業利益 1,512百万円 (前期比増減 69百万円増 (前期比 4.8%増) )
経常利益 1,510百万円 (前期比増減 60百万円増 (前期比 4.1%増) )
当期純利益 1,097百万円 (前期比増減 109百万円増 (前期比 11.0%増) )
なお、経常利益の前事業年度との増減内容は次のとおりです。
販売数量の増加等による売上総利益の増加 +174百万円
その他製造原価増減等による売上総利益の減少 △59百万円
販管費等の増加による減少 △55百万円
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、医療機器等の製造販売及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社の製品群別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度における生産実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
| 製品群 | 生産高(千円) | 前期比(%) |
| 吸引器関連 | 3,695,729 | +9.2 |
| 注入器関連 | 1,458,278 | +0.9 |
| 電動ポンプ関連 | 76,647 | △59.1 |
| 手洗い設備関連 | 255,970 | △5.1 |
| その他 | 238,431 | △2.7 |
| 合計 | 5,725,056 | +3.5 |
(注)金額は、製造原価により算定しております。
b.受注実績
当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
| 製品群 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 吸引器関連 | 6,396,049 | +3.3 |
| 注入器関連 | 2,216,644 | +5.3 |
| 電動ポンプ関連 | 218,003 | △17.0 |
| 手洗い設備関連 | 618,127 | △8.9 |
| その他 | 502,874 | △2.0 |
| 合計 | 9,951,701 | +2.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
このうち重要な会計上の見積りとして「変動対価(売上取引に係る未確定の値引額)の額の見積り」があります。当社の顧客が当社製品をユーザーに販売した後、値引の請求を当社が受ける場合がありますが、同一製品であっても顧客がどのユーザーに販売するかによって値引額は変動することとなります。そのため、事業年度末において顧客からユーザーへの販売がまだ行われておらず、顧客からの値引請求額が未確定の部分について、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分であり、変動対価に該当します。当社は、当該変動対価の額を見積り、売上高に反映させています。なお、顧客が保有する製品をどのユーザーに販売するかは事業年度末時点で未確定であることから、顧客が過去実績と同一の販売比率でユーザーに販売するという仮定の下、主要な顧客や製品群ごとの過去一定期間の実績値引率に基づいて、変動対価の額を見積っております。
その他の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて174百万円増加し、11,181百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて254百万円増加し、6,985百万円となりました。これは主として、原材料が27百万円、受取手形が24百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が256百万円、電子記録債権が21百万
円、仕掛品が21百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて79百万円減少し、4,196百万円となりました。これは主として、有形固定
資産が55百万円、投資その他の資産が23百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、3,665百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて509百万円減少し、2,829百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が90百万円増加したものの、短期借入金が360百万円、電子記録債務が117百万円、未払金が72百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べ191百万円増加し、835百万円となりました。これは主として、長期借入金が194百万円増加したこと等によるものです。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末に比べて493百万円増加し、7,515百万円となりました。これは主として、当期純利益を1,097百万円計上し、配当金を603百万円支払ったことによる利益剰余金の差引増加等によるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、9,951百万円(前年同期比2.1%増)となりました。これは主として、キューインポット(吸引器関連)及びクーデックエイミーPCA(注入器関連)の販売が好調に推移したこと等によるものです。
(営業利益)
営業利益は、1,512百万円(前年同期比4.8%増)となりました。これは主として、原油価格高騰や急激な為替変動によるコスト上昇要因があるものの、売上高の増加により売上総利益が増加したこと等によるものです。
(経常利益)
経常利益は、1,510百万円(前年同期比4.1%増)となりました。これは主として、営業利益が増加したこと等によるものです。
(当期純利益)
当期純利益は、1,097百万円(前年同期比11.0%増)となりました。これは主として、経常利益が増加したこ
と等によるものです。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて256百万円増加し、2,995百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,120百万円(前期比434百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益を1,508百万円、減価償却費を232百万円それぞれ計上したものの、法人税等を443百万円支払ったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は168百万円(前期比0百万円減)となりました。これは主として、有形固定資
産の取得により、166百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は696百万円(前期比467百万円減)となりました。これは主として、配当金を
612百万円支払い、長期借入金の返済額として464百万円支出したこと等によるものです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因として、医療費抑制政策をはじめとする国による社会保障政策への動向があります。医療費の抑制に加え、医療現場における感染症への対応、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、国内外メーカーとの競争激化等により、当社の経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。
このような状況の中、当社の強みである医療現場と密着した製品開発、営業活動にもとづく新たな医療サービスを提供できる独創的な新製品開発と生み出された新製品の販売推進により他社の追随を許さないトップメーカーとしての地位の確保と新市場創出、開拓を推進してまいります。
当社の主力製品の状況は次のとおりです。
(吸引器関連)
主に手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスについては、1990年の発売から30年超が経過しておりますが、手術件数の伸びとともに、販売数量も増加する傾向にあります。しかしながら、医療費抑制政策等による医療機関の経営環境の変化から競合他社との競争が激化しており、販売単価の下落が顕著になっております。
当社は、吸引器の国内トップシェアメーカーとして現状の市場環境の変化に対応するべく、医療現場のニーズに合致した現行フィットフィックスの後継機種となる次世代吸引器の開発を進め、現在、複数の医療施設でのマーケットトライアルを実施しており、評価結果を受けて迅速に市場投入を実施してまいります。
次に、病棟で使用されるキューインポットについては、院内感染防止と看護師の業務負荷軽減を目的として急速に普及が進んでおります。
当社は手術室で培ったノウハウをもとに300床以上の急性期の大手病院への納入から始まり、現在では300床未満の中小病院、さらには慢性期の病院への展開にも注力しております。特に、院内感染防止等の観点からニーズは非常に高く、300床未満の中小病院、慢性期の病院への納入が顕著に増加しており、今後も伸びが期待できる市場環境にあります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微なものとなり、徹底した感染症の防止策が講じられながらも、正常化した安定的な医療が提供されております。これにより、手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスの販売量が堅調に推移したこと、病棟用の吸引器であるキューインポットの販売が好調に推移したことにより、吸引器関連の年間売上は6,396百万円となりました(前期比3.3%増)。
引き続き、競合他社との競争は厳しく、販売単価下落の影響はあるものの、フィットフィックスの堅調な伸びと病棟で使用されるキューインポットの拡販、市場拡大に注力することで増収確保に向けた取組を進めております。
(注入器関連)
手術後の疼痛管理目的で使用されるディスポーザブル持続注入器であるシリンジェクター、バルーンジェクターについては、麻酔手技の変化と医療経済性の観点から医療現場のニーズに変化が見られます。
医療現場のニーズ変化に対応すべく、製品ラインナップ強化に向けてマイクロポンプを使用したより流量精度が高く、医療従事者が管理しやすい持続注入器の新製品開発を進め、完成した新製品「クーデックエイミーPCA」について拡販を進めてまいりました。当初想定していた急性期の医療機関での需要に加えて、在宅市場などをはじめとして多方面からの引き合いも引き続き増加してきており、そのポテンシャルは当社事業領域拡大の余地を大きく含んでおります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、吸引器と同様に手術件数が堅調に推移したことに加えて、新製品の「クーデックエイミーPCA」の好調な販売推移により、注入器関連の年間売上は2,216百万円となりました(前期比5.3%増)。
差別化された圧倒的な製品力とトップシェアメーカーである営業力を発揮し、新製品の拡販に注力し、市場シェアのさらなる拡大を進め、増収確保に向けた取組を進めております。
上記に記載した主力製品が当社事業の大半を占めるため、その売上進展及びその収益性が当社の営業利益、経常利益、当期純利益に大きく影響することとなります。
当社といたしましては、医療に従事するメーカーとして人命の安全を確保しながらも製品の安定供給を果たすための生産・供給体制の構築を経営課題と認識し、取り組んでおります。
また、「医療現場第一主義」の研究開発型メーカーとして当社の特徴でもある独創的な製品を開発し、供給することにより医療現場が抱える課題解決を図っていくことを第一に考えながら、新製品については、国内のみならず海外での販売拡大を目指し、海外販売比率を高めることで事業規模の拡大とさらなる経営基盤の強化・確立を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要につきましては、製品を製造するための国内外の仕入先からの部材仕入、製造経費、営業管理費や荷造運賃などの販売費及び一般管理費があります。
設備資金需要につきましては、製品製造にあたっての設備の維持・金型の更新投資や新製品開発にあたっての設備や金型の新規投資があります。さらには、インフラとして生産効率や事務効率の向上を目的とした投資等があります。
(財務政策)
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。基本的に、経常的な設備投資については、減価償却費の範囲内にとどめ、一定程度のキャッシュポジションを維持した上で余剰資金については有利子負債の削減に充当しております。
また、過度に金利変動リスクに晒されないよう短期借入と長期借入のバランスを図りつつ、タイミングをみて長期借入へシフトするなど、資金調達コストの低減・安定にも努めております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に図るための有用な指標であると考えております。当事業年度における「売上高総利益率」は、41.2%(前期比0.4ポイント好転)であります。また、「売上高経常利益率」については、15.2%(前期比0.3ポイント好転)であります。
主要2指標の好転の主要因は、主力製品の堅調な売れ行きと新製品(特にクーデックエイミーPCA)の販売が好調に推移していることが売上総利益率の改善に繋がりました。
売上高経常利益率の改善につきましては、売上総利益が増加したこと等の影響によります。
当該経営目標数値の達成に向けた計画骨子として、下記3点の重点施策を実施してまいります。
1.既存事業の成長
病棟用吸引器であるキューインポットのさらなる拡販に取り組んでまいります。
引き続き、急性期病院から慢性期病院への拡販を積極展開し、潜在市場への普及拡大を図ります。
2.サプライチェーンの高度化
生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めてまいります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め、粗利益増加、粗利率の改善を図ります。
3.中長期的成長エンジンとなるマイクロポンプ関連製品の投入と開発
マイクロポンプ関連製品の第1弾製品として上市した「クーデックエイミーPCA」の拡販を進めてまいります。
当社の主戦場である急性期の医療機関への拡販に本腰を置きながらも潜在的にニーズの高い在宅市場やクリニックへの展開も積極的に推進してまいります。
さらには、マイクロポンプをキーデバイスとした注入器分野での派生商品の開発にも着手しており、早期上市、拡販に向けた取り組みを進めております。
当社といたしましては、医療現場のニーズを汲み取った改良品の上市や既存製品の拡販により競争力強化を図ること、新製品の上市により新たな事業の柱を創出することにより、特定製品に依存した収益構造からの脱却を図り、売上高総利益率の改善に努めるとともに、生産効率の改善や固定費削減にも取り組み収益性の改善に努めてまいります。