有価証券報告書-第53期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/21 15:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により依然として厳しい状況下にあり、2021年3月の緊急事態宣言の解除後も、より感染力の強い変異株の影響から感染者数が再び増加し、緊急事態宣言が再発出されるなど、収束時期が見通せない、先行き不透明な状況が続いております。
また、当社を取り巻く事業環境においても感染者数増加に伴う病床の逼迫や感染拡大状況と連動した患者の受診抑制や手術件数の増減に影響が出るなど、依然として厳しい状況が続いております。
各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供給体制が望まれております。
このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて244百万円減少し、10,752百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて345百万円減少し、4,570百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて100百万円増加し、6,182百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績については、次の通りです。
売上高 7,861百万円 (前期比増減 661百万円減 (前期比 7.8%減) )
営業利益 921百万円 (前期比増減 273百万円減 (前期比22.9%減) )
経常利益 957百万円 (前期比増減 252百万円減 (前期比20.9%減) )
当期純利益 675百万円 (前期比増減 184百万円減 (前期比21.4%減) )
なお、経常利益の前事業年度との増減内容は次のとおりです。
販売代理店在庫に対する売上値引引当金の計上による減少 △179百万円
販売単価下落による売上総利益の減少 △300百万円
販売数量減による売上総利益の減少 △90百万円
電動ポンプ事業における一過性の収益性悪化に伴う売上総利益の減少(前期) +80百万円
その他製造経費等の減少 +114百万円
その他販管費の減少 +102百万円
助成金収入等の増加 +20百万円
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて194百万円減少し、2,170百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、医療機器等の製造販売及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社の製品群別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度における生産実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
製品群生産高(千円)前期比(%)
吸引器関連2,779,810+7.1
注入器関連1,262,720△8.1
電動ポンプ関連100,116△45.4
手洗い設備関連259,184△9.8
その他283,042+17.1
合計4,684,874+0.1

(注)1 金額は、製造原価により算定しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
製品群販売高(千円)前期比(%)
吸引器関連5,128,211△5.6
注入器関連1,686,565△15.1
電動ポンプ関連181,375+18.1
手洗い設備関連547,343△11.5
その他318,473△3.8
合計7,861,969△7.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2021年3月31日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
このうち重要な会計上の見積りとして「売上値引引当金」があります。これは、当社の顧客が当社製品をユーザーに販売した後、値引の請求を当社が受ける場合があり、会計年度末において顧客からユーザーへの販売がまだ行われておらず、顧客からの値引請求額が未確定の部分について、将来請求されると考えられる値引額を見積って計上しているものです。
なお、同一製品であっても顧客がどのユーザーに販売するかによって値引額は変動しますが、顧客が保有する製品をどのユーザーに販売するかは会計年度末時点で未確定であることから、顧客が過去実績と同一の販売比率でユーザーに販売するという仮定の下、主要な顧客や製品群ごとの過去一定期間の実績値引率に基づいて、未確定の値引額を見積っております。
その他の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大が会計上の見積りに与える影響については、感染症拡大による影響が限定的であると想定していることから、現時点においては軽微なものと判断しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて244百万円減少し、10,752百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて131百万円減少し、6,272百万円となりました。これは主として、電子記録債権が168百万円、製品が120百万円、原材料が107百万円それぞれ増加したものの、受取手形が199百万円、現金及び預金が194百万円、売掛金が107百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて112百万円減少し、4,480百万円となりました。これは主として、有形固定資産が75百万円、繰延税金資産が28百万円、無形固定資産が7百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて345百万円減少し、4,570百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて435百万円減少し、3,347百万円となりました。これは主として、短期借入金が200百万円、売上値引引当金が179百万円、電子記録債務が141百万円それぞれ増加したものの、未払費用が266百万円、1年内返済予定の長期借入金が193百万円、支払手形が149百万円、未払金が94百万円、未払消費税等が82百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて90百万円増加し、1,223百万円となりました。これは主として、長期借入金が85百万円増加したこと等によるものです。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末に比べて100百万円増加し、6,182百万円となりました。これは主として、利益剰余金が剰余金の配当により574百万円減少したものの、当期純利益を675百万円計上したこと等によるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、7,861百万円(前期比7.8%減)となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症の影響による手術件数の減少に伴う当社主力製品の吸引器、注入器関連製品の販売量の減少と販売代理店の当事業年度末時点での在庫に対する売上値引を見積り計上したこと等によるものです。
詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」をあわせてご確認ください。
(営業利益)
営業利益は、921百万円(前期比22.9%減)となりました。これは主として、販促費や営業活動費の減少により販売費及び一般管理費が減少したものの、売上高の減少により売上総利益が減少したこと等によるものです。
(経常利益)
経常利益は、957百万円(前期比20.9%減)となりました。これは主として、助成金収入が増加したものの、営業利益が減少したこと等によるものです。
(当期純利益)
当期純利益は、675百万円(前期比21.4%減)となりました。これは主として、経常利益が減少したこと等によるものです。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べて194百万円減少し、2,170百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は609百万円(前期比827百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益を944百万円、減価償却費を256百万円それぞれ計上し、売上値引引当金が179百万円増加し、売上債権が138百万円減少したものの、たな卸資産が248百万円増加し、法人税等を325百万円支払ったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は311百万円(前期比151百万円増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得により、308百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は492百万円(前期比636百万円減)となりました。これは主として、長期借入れによる収入を800百万円、短期借入れによる収入を200百万円それぞれ計上したものの、配当金を574百万円支払い、長期借入金を908百万円返済したこと等によるものです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因として、医療費抑制政策をはじめとする国による社会保障政策への動向があります。医療費の抑制に加え、新型コロナウイルス感染拡大により各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、国内外メーカーとの競争激化等当社の経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。
このような状況の中、当社の強みである医療現場と密着した製品開発、営業活動にもとづく新たな医療サービスを提供できる独創的な新製品開発と生み出された新製品の販売推進により他社の追随を許さないトップメーカーとしての地位の確保と新市場創出、開拓を推進してまいります。
当社の主力製品の状況は次のとおりです。
(吸引器関連)
主に手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスについては、1990年の発売から約30年経過しておりますが、手術件数の伸びとともに、販売数量も増加する傾向にあります。しかしながら、医療費抑制政策による医療機関の経営環境の変化から競合他社との競争が激化しており、販売単価の下落が顕著になっております。
当社は、吸引器の国内トップシェアメーカーとして現状の市場環境の変化に対応するべく医療現場のニーズに合致した独創的なアイデアによる次世代吸引器の開発を進め、完成した新製品「バイロン(製品名)」を翌事業年度より本格的に市場投入し、拡販を進め、市場シェアのさらなる拡大とトップメーカーとしての地位を盤石なものにしてまいります。
次に、病棟で使用されるキューインポットについては、院内感染防止と看護師の業務負荷軽減を目的として急速に普及が進んでおります。
当社は手術室で培ったノウハウをもとに300床以上の急性期の大手病院への納入から始まり、現在では300床未満の中小病院、さらには慢性期の病院への展開にも注力しております。特に、院内感染防止等の観点からニーズは非常に高く、300床未満の中小病院、慢性期の病院へ納入が顕著に増加しており、今後も伸びが期待できる市場環境にあります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による医療逼迫の状況から手術の実施が延期されたこと等により、手術室で使用される吸引器であるフィットフィックスの第1四半期から第2四半期にかけての落ち込みが大きく、その後、回復に転じたものの、吸引器関連の年間売上は5,128百万円となりました(前期比5.6%減)。
引き続き、競合他社との競争は厳しく、販売単価下落の影響はあるものの、病棟で使用されるキューインポット及び新製品バイロンの拡販、市場拡大に注力することで増収確保に向けた取り組みを進めております。
(注入器関連)
手術後の疼痛管理目的で使用されるディスポーザブル持続注入器であるシリンジェクター、バルーンジェクターについては、麻酔手技の変化と医療経済性の観点から医療現場のニーズに変化が見られます。医療現場のニーズ変化に対応すべく、製品ラインナップ強化に向けてマイクロポンプを使用したより精度が高く、医療従事者が管理しやすい持続注入器の新製品開発を進め、完成した新製品「エイミー(製品名)」を翌事業年度より本格的に市場投入し、拡販を進め、市場シェアのさらなる拡大とトップメーカーとしての地位を盤石なものにしてまいります。
このような状況のもと、当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による医療逼迫の状況から手術の実施が延期されたこと等により、手術に関連して使用される注入器関連製品の第1四半期から第2四半期にかけての落ち込みが大きく、その後、回復に転じたものの、注入器関連の年間売上は1,686百万円となりました(前期比15.1%減)。
新製品投入により、差別化された圧倒的な製品力とトップシェアメーカーである営業力を発揮し、市場シェアのさらなる拡大を進め、増収確保に向けた取り組みを進めております。
上記に記載した主力製品が当社事業の大半を占めるため、その売上進展及びその収益性が当社の営業利益、経常利益、当期純利益に大きく影響することとなります。
新型コロナウイルス感染症拡大が当事業年度の経営成績に与える影響は、「2 事業等のリスク (9)新型コロナウイルス感染症に関するリスク」にも記載いたしました通り、手術件数との関連性の高い当社主力製品に関しましては、医療現場の逼迫から手術のずれ込みに伴う一時的な受注減少が見られるなど、少なからず影響はあったものの、ワクチン接種やその普及拡大、医療現場における感染防止策の定着によりその影響は一時的であると判断しております。
当社といたしましては、医療に従事するメーカーとして人命の安全を確保しながらも製品の安定供給を果たすための生産・供給体制の構築を経営課題と認識し、取り組んでおります。
また、「医療現場第一主義」の研究開発型メーカーとして当社の特徴でもある独創的な製品を開発し、供給することにより医療現場が抱える課題解決を図っていくことを第一に考えながら、新製品については、国内のみならず海外での販売拡大をめざし、海外販売比率を高めることで事業規模の拡大とさらなる経営基盤の強化・確立を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要につきましては、製品を製造するための国内外の仕入先からの部材仕入、製造費、また、営業管理費や荷造運賃などの販売費及び一般管理費があります。また、設備資金需要につきましては、製品製造にあたっての設備の維持・金型の更新投資や新製品開発にあたっての設備や金型の新規投資があります。さらには、インフラとして生産効率や事務効率の向上を目的とした投資等があります。
(財務政策)
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。基本的に、経常的な設備投資については、減価償却費の範囲内にとどめ、一定程度のキャッシュポジションを維持した上で余剰資金については有利子負債の削減に充当しております。
また、過度に金利変動リスクに晒されないよう短期借入と長期借入のバランスを図りつつ、タイミングをみて長期借入へシフトするなど、資金調達コストの低減・安定にも努めております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社は、医療機器製造と医療機器販売が事業のほとんどであるため、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に図るための有用な指標であると考えております。当事業年度における「売上高総利益率」は、42.7%(前期比1.1ポイント悪化)であります。また、「売上高経常利益率」については、12.2%(前期比2.0ポイント悪化)であります。
主要2指標の悪化の主要因は、国策である医療費削減策の強化及び競合他社との競争激化により、当社の主力製品について販売単価下落傾向が顕著になっていることがあげられます。
当社といたしましては、医療現場のニーズを汲み取った改良品の上市により既存製品の競争力強化を図ること、新製品の上市により新たな事業の柱を創出することにより、特定製品に依存した収益構造からの脱却を図り、売上高総利益率の改善に努めるとともに、生産効率の改善や固定費削減にも取り組み収益性の改善に努めてまいります。

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