訂正有価証券報告書-第13期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2024/04/17 11:19
【資料】
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【項目】
178項目
(2)戦略
① パーパス実現に向けた重点課題(マテリアリティ)
2021年度からの中期経営計画では、事業活動を通じて社会課題を解決し社会価値と経済価値の双方の創出に取り組む「SDGs経営」を経営基盤の1つに位置づけております。その実践のために優先的に取り組む社会課題を抽出し「SOMPOのパーパス」実現に向けた重点課題である「マテリアリティ」として特定しております。

それぞれのマテリアリティにKPIを設定し各事業・各社の推進計画にも反映することで、取組みの進捗の可視化や課題把握を行うなど、実効性の高いPDCAサイクルを構築しております。
マテリアリティおよびマテリアリティKPIの詳細については、「SOMPOホールディングス 統合レポート2022」59頁~63頁に記載のとおりであります。
② パーパス実現に向けた共通フレームワーク「価値創造サイクル」
当社グループは、「SOMPOのパーパス」実現に向けたグループ共通のフレームワークとして「価値創造サイクル」を定め、グループの各社はその実践に取り組んでおります。「MYパーパス」に突き動かされる社員がI&D(インクルージョン&ダイバーシティ)にあふれる環境で自分らしく働き、チャレンジを繰り返すカルチャーを醸成する「原動力ルート」、共創志向にもとづく高品質なサービス提供により、信頼・共感を生み出す「既存ビジネスルート」、既存ビジネスから生み出されたデータを駆使し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やSOMPO独自のビジネスモデルを創出するRDP(リアルデータプラットフォーム)の活用により新たなソリューションを提供する「新たな価値創造ルート」の3つで構成されております。事業活動を通じてこの3つを循環させて価値を生み出し続けることがSOMPOならではの価値創造であり、この価値創造サイクルの循環を強く、大きくすることで、企業価値の向上と「SOMPOのパーパス」実現を目指してまいります。

③ 中期経営計画期間における取組み方針
中期経営計画ではマテリアリティの1つである「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」の実現に向け、気候変動リスク・機会に対する複合的なアプローチを実践する「SOMPO気候アクション」として気候変動への「適応」、「緩和」、「社会のトランスフォーメーションへの貢献」の3つのアクションを掲げております。
SOMPO気候アクションの取組みの詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ●気候変動関連情報開示(TCFD提言に基づく情報開示)」に記載のとおりであります。
④ 原動力となる人的資本
ア.「SOMPOのパーパス」浸透のアプローチ
当社グループでは、「SOMPOのパーパス」実現に向けた原動力は社員一人ひとりであるという考えのもと、社員一人ひとりが自らの人生の目的である「MYパーパス」に突き動かされ会社と個人のパーパスを重ね合わせ、内発的動機に基づいてチャレンジを繰り返すことでイノベーションを創出するという企業文化の醸成に取り組んでおります。価値観の多様性を積極的に受け入れ、社員一人ひとりが働くうえでまずは自分自身の「MYパーパス」に向き合うことが重要であるというアプローチを採用し、その浸透に向けて、トップの発信、現場の取組み、浸透の測定という3つの施策を連動させて展開しております。
イ.人材育成方針
当社グループでは、「SOMPOのパーパス」実現に向けて、人を資本として捉える人的資本経営を実践しており、社員一人ひとりの「MYパーパス」の追求に加えて、3つのコア・バリューである、「ミッション・ドリブン」「プロフェッショナリズム」「ダイバーシティ&インクルージョン」を共有する人材集団を目指しております。

2021年度からスタートした中期経営計画の3つの基本戦略の1つである「働き方改革」では、様々なグループ共通施策を展開するとともに、取組みが財務価値ひいては企業価値につながる道筋として人的資本のインパクトパスを可視化し、進捗確認および改善につなげております。
「ミッション・ドリブン」や「プロフェッショナリズム」を浸透させていくため、当社では、2020年4月に「ジョブ型人事制度」を導入しております。全グループ社員に対して開示・公募しており、各ポストで得られるスキル・経験や、それらのスキル・経験を活かすことで就くことのできる将来的な職務やポストをイメージして「MYパーパス」に基づくキャリアを描きやすいよう工夫しております。
また、社員が「自律的な学び」を仕組化・促進していくことを目的として、損害保険ジャパン株式会社では2020年10月に企業内オンライン大学「損保ジャパン大学」を設立し、場所や時間、現在の業務にとらわれることなく、様々な知識を得る機会を均等に提供しております。さらにデジタル人材の育成にも注力しており、3つの人材タイプ(DX企画人材、DX専門人材、DX活用人材)ごとに適した研修制度による効果的なデジタル人材育成を通じて既存事業のDXとデジタル新規事業創出の両立を目指しております。
そして、イノベーションやチャレンジを通じた企業価値向上に向けて、「MYパーパス」を起点とした「ダイバーシティ&インクルージョン」醸成・浸透にも力を入れております。「MYパーパス」を相互に尊重し認め合うことは、ジェンダー・障害の有無・国籍・年齢・職歴など、多様なバックグラウンドや価値観が共存したインクルーシブなカルチャーを醸成させるほか、企業経営における健全なジェンダーバランスや多様なバックグランドを持つ人員構成とすることは、トークニズムの排除、ガバナンス強化、イノベーションを通じた持続的成長に寄与すると考えております。
当社グループでは、経営上の意思決定に影響力を持つ女性管理職比率を30%以上、障害者雇用率を2.5%とする数値目標を設定し、2024年4月1日までの達成にむけて取組みを進めており、最高経営責任者(CEO)や役員など、グループ主要キーポスト(計86ポスト)におけるサクセッション・プランを策定しております。上記で掲げている数値目標や男女賃金格差および男性労働者の育児休業取得率の改善に向けて、意識変革に資するソフト面の取組み(例:「MYパーパス」の浸透、アンコンシャス・バイアス研修等)と多様な働き方を可能とするハード面の取組み(例:仕事と育児の両立支援制度を含む人事制度の拡充等)を組み合わせて取り組んでまいります。
ウ.人的資本のインパクトパスの可視化
当社では、「MYパーパス」の追求および多様な働き方によるエンゲージメント向上やダイバーシティ&インクルージョン等を通じた人的資本(組織力と個人力)の向上が強力なドライバーとなって、チャレンジ・イノベーションを創出し、短期・中期・長期の「未実現財務価値」※の向上を通じて、持続的に財務価値を高めてまいります。
※財務諸表に表れない価値は一般的に「非財務価値」と呼ばれていますが、当社ではこれらが中長期的に財務価値・企業価値につながるものであることを踏まえ、「未実現財務価値」と呼んでおります。
当社では、人的資本のインパクトパスの可視化に注力し、各パスについてKPIを設定し、その進捗を測定するとともに、それぞれのつながりや相関について外部機関が公表する客観的なデータや当社グループ内のデータを用いて検証を行っております。
<インパクトパスと相関分析事例>

人的資本向上の取組みおよびインパクトパスの詳細については、「SOMPOホールディングス 統合レポート2022」42頁~45頁に記載のとおりであります。