四半期報告書-第9期第2四半期(平成28年4月1日-平成28年6月30日)
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、英国における欧州連合離脱の是非を問う国民投票の結果が僅差ながら離脱支持が勝利したことを受け、急激な円高が進展しております。また、これまで世界経済を牽引してきた中国の経済情勢が悪化してきており、先行きは厳しい状況が予想されております。
製薬業界におきましては、厚生労働省より後発医薬品(ジェネリック)の数量ベースでのシェアを平成32年度末までに80%以上とする目標設定がなされるなど、高齢化社会に向けた医療費抑制策が進められております。平成28年度の薬価基準改定では、薬価ベースで6.47%と大幅に薬価が引き下げられ、製薬業界は厳しい事業環境に直面しております。このため製薬各社におきましては、医薬品の開発候補化合物の厳選化を一層進めており、当社のような創薬ベンチャー企業のライセンス活動におきましても少なからず影響が生じております。
このような環境下において、当社は医薬品開発化合物の継続的な創出、研究開発ポートフォリオの拡充及びそれら開発化合物の導出を目指し、研究開発活動及び営業活動に取り組んでまいりました。
事業面では、導出先であるAratana Therapeutics Inc.(本社:米国カンザス州、以下「アラタナ社(米国)」)がイヌの食欲不振症治療薬として開発を進めておりましたEntyce®が平成28年5月にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認を取得しました。平成29年2月の北米獣医学会にあわせた発売開始に向けて準備が進められております。
産学連携面では、名古屋大学東山キャンパス内に移転した研究所において複数の共同研究活動が名古屋大学との産学連携として進められております。
以上の結果、当第2四半期累計期間の業績は、事業収益617百万円(前年同四半期は事業収益45百万円)、営業損失173百万円(前年同四半期は営業損失948百万円)、経常損失235百万円(前年同四半期は経常損失897百万円)、四半期純損失241百万円(前年同四半期は四半期純損失922百万円)となりました。なお、事業費用の総額は790百万円(前年同四半期比20.5%減)となりました。その内訳は、支払ロイヤルティ117百万円を事業原価に計上したほか、研究開発費406百万円(前年同四半期比33.7%減)、その他の販売費及び一般管理費265百万円(前年同四半期比30.2%減)であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ897百万円減少し、1,345百万円(前年同四半期は1,598百万円)となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、671百万円(前年同四半期は1,249百万円の使用)となりました。これは主に、税引前四半期純損失237百万円を計上したことによるほか、売上債権の増加441百万円及び前払費用の増加100百万円のほか、仕入債務の増加102百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、163百万円(前年同四半期は851百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出216百万円及び有価証券の取得による支出200百万円のほか、有価証券の償還による収入300百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社の研究開発活動における当第2四半期累計期間の研究開発費は、406百万円(前年同四半期比33.7%減)となりました。また、当第2四半期累計期間における主な研究開発の概況は、以下のとおりであります。
① 自社の研究開発及び共同研究
(探索段階)
炎症性疼痛及び神経障害性疼痛を主たる適応症としたナトリウムチャネル遮断薬のプロジェクトでは、見出された化合物の適切な投与方法の検討を継続して実施しました。さらに新規リード化合物探索を実施し、複数の候補化合物を見出しました。神経障害性疼痛を主たる適応症としたTRPM8遮断薬のプロジェクトでは、開発候補化合物の特性評価を継続して実施しました。
製薬企業等との共同研究については以下のとおり実施しております。
(注)平成28年4月1日付でエーザイ株式会社が消化器疾患領域事業を分割し、味の素製薬株式会社を承継会社とする新統合会社EAファーマ株式会社となりました。
(前臨床開発段階)
(a) グレリン受容体作動薬(RQ-00433412)
食欲不振・癌性悪液質を目標適応症として開発中の本化合物は、特性評価を完了し、次段階である前臨床開発試験に進むにあたって問題となる所見は認められておりません。
(b) モチリン受容体作動薬(RQ-00201894)
消化管運動障害を目標適応症として開発中の本化合物は、第Ⅰ相臨床試験実施に必要な前臨床試験(in vivo薬効薬理試験、薬物動態試験、毒性試験(GLP基準)、安全性薬理試験(GLP基準))が終了いたしました。現時点で次の臨床開発段階に進むにあたって問題となる所見は認められておりません。
(臨床開発段階)
(a) 5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)
機能性胃腸障害(FGID)を目標適応症として開発中の本化合物は、Virginia Commonwealth University(VCU)での医師主導治験のIND承認をアメリカ食品医薬品局(FDA)から取得しており、また、マイケル・J・フォックス財団からの当該医師主導治験への助成金授与が決定したので、VCUでは試験実施の最終準備が進められております。
(b) カリウムイオン競合型アシッドブロッカー注)(RQ-00000004、テゴプラザン)
胃食道逆流症(GERD)を目標適応症として開発中の本化合物は、米国に引き続き、日本での第Ⅰ相臨床試験を終了しています。開発が進んでいる韓国のデータの活用により、引き続き導出に向けて協議を進めてまいります。
(注:本プログラムはアシッドポンプ拮抗薬と称してきましたが、今後はより汎用されている呼称であるカリウム競合型アシッドブロッカーに変更いたします。)
(c) 5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)
下痢型過敏性腸症候群(D-IBS)を目標適応症として開発中の本化合物は、本化合物を初めてヒトに投与する第Ⅰ相臨床試験(健康成人及び患者を対象)を平成27年7月に英国で開始し、現在継続実施中であります。
(d) 抗MRSA抗菌剤(ダルババンシン)
現在、日本での導出に向けて協議を進めております。なお本剤は、米国において急性細菌性皮膚および皮膚組織感染症(ABSSSI)治療薬としてDALVANCETMの商標で上市され、欧州においては平成27年3月にXYDALBATMの商標で販売承認を得ております。
② 導出先の開発状況
(a) カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004、テゴプラザン)
胃食道逆流症(GERD)を目標適応症としてCJヘルスケア社(韓国)で開発中の本化合物は、韓国において第Ⅲ相臨床試験を実施中であり、中国での開発も準備が進められております。
(b) セロトニン5-HT2AおよびドパミンD2受容体遮断薬(ジプラシドン)
統合失調症治療薬としてMeiji Seikaファルマ社で開発中の本化合物は、日本において第Ⅲ相臨床試験を実施中です。本剤は、米国ファイザー社によって既に83ヶ国で販売されており、米国の治療ガイドラインには第一選択薬として収載されています。
(c) EP4拮抗薬(Galliprant®、 RQ-00000007、 AT-001、グラピプラント、動物薬)
ペットの疼痛治療薬としてアラタナ社(米国)で開発中の本化合物は、米国におけるイヌを対象とした臨床試験での良好な成績をもってFDAの製造販売承認を得ました。平成28年秋の発売開始に向けた準備が進められております。欧州ではEMAに販売承認申請中で、平成29年の許可取得を見込んでおります。
(d) グレリン受容体作動薬(Entyce®、 RQ-00000005、AT-002、カプロモレリン、動物薬)
ペットの食欲不振治療薬としてアラタナ社(米国)で開発中の本化合物は、イヌを対象とした臨床試験での良好な成績をもってFDAの製造販売承認を得ました。平成29年2月の北米獣医学会にあわせた販売開始に向けて、準備が進められております。
(e) EP4拮抗薬(RQ-00000007、 AAT-007、グラピプラント)
AskAt社のライセンス先で現在、臨床試験実施のための準備が進められております。
(f) シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬(RQ-00317076、AAT-076)
AskAt社のライセンス先で現在、臨床試験実施のための準備が進められております。
(1)業績の状況
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、英国における欧州連合離脱の是非を問う国民投票の結果が僅差ながら離脱支持が勝利したことを受け、急激な円高が進展しております。また、これまで世界経済を牽引してきた中国の経済情勢が悪化してきており、先行きは厳しい状況が予想されております。
製薬業界におきましては、厚生労働省より後発医薬品(ジェネリック)の数量ベースでのシェアを平成32年度末までに80%以上とする目標設定がなされるなど、高齢化社会に向けた医療費抑制策が進められております。平成28年度の薬価基準改定では、薬価ベースで6.47%と大幅に薬価が引き下げられ、製薬業界は厳しい事業環境に直面しております。このため製薬各社におきましては、医薬品の開発候補化合物の厳選化を一層進めており、当社のような創薬ベンチャー企業のライセンス活動におきましても少なからず影響が生じております。
このような環境下において、当社は医薬品開発化合物の継続的な創出、研究開発ポートフォリオの拡充及びそれら開発化合物の導出を目指し、研究開発活動及び営業活動に取り組んでまいりました。
事業面では、導出先であるAratana Therapeutics Inc.(本社:米国カンザス州、以下「アラタナ社(米国)」)がイヌの食欲不振症治療薬として開発を進めておりましたEntyce®が平成28年5月にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認を取得しました。平成29年2月の北米獣医学会にあわせた発売開始に向けて準備が進められております。
産学連携面では、名古屋大学東山キャンパス内に移転した研究所において複数の共同研究活動が名古屋大学との産学連携として進められております。
以上の結果、当第2四半期累計期間の業績は、事業収益617百万円(前年同四半期は事業収益45百万円)、営業損失173百万円(前年同四半期は営業損失948百万円)、経常損失235百万円(前年同四半期は経常損失897百万円)、四半期純損失241百万円(前年同四半期は四半期純損失922百万円)となりました。なお、事業費用の総額は790百万円(前年同四半期比20.5%減)となりました。その内訳は、支払ロイヤルティ117百万円を事業原価に計上したほか、研究開発費406百万円(前年同四半期比33.7%減)、その他の販売費及び一般管理費265百万円(前年同四半期比30.2%減)であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ897百万円減少し、1,345百万円(前年同四半期は1,598百万円)となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、671百万円(前年同四半期は1,249百万円の使用)となりました。これは主に、税引前四半期純損失237百万円を計上したことによるほか、売上債権の増加441百万円及び前払費用の増加100百万円のほか、仕入債務の増加102百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、163百万円(前年同四半期は851百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出216百万円及び有価証券の取得による支出200百万円のほか、有価証券の償還による収入300百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社の研究開発活動における当第2四半期累計期間の研究開発費は、406百万円(前年同四半期比33.7%減)となりました。また、当第2四半期累計期間における主な研究開発の概況は、以下のとおりであります。
① 自社の研究開発及び共同研究
(探索段階)
炎症性疼痛及び神経障害性疼痛を主たる適応症としたナトリウムチャネル遮断薬のプロジェクトでは、見出された化合物の適切な投与方法の検討を継続して実施しました。さらに新規リード化合物探索を実施し、複数の候補化合物を見出しました。神経障害性疼痛を主たる適応症としたTRPM8遮断薬のプロジェクトでは、開発候補化合物の特性評価を継続して実施しました。
製薬企業等との共同研究については以下のとおり実施しております。
会社名 | 開始月 | 内容 |
EAファーマ株式会社(注) | 平成24年10月 | 消化器領域における特定のイオンチャネルを標的とした共同研究 |
インタープロテイン株式会社 | 平成25年2月 | 疼痛領域における特定の蛋白質間相互作用を標的とした共同研究 |
XuanZhu Pharma Co., Ltd. | 平成27年12月 | 疼痛領域における特定のイオンチャネルを標的とした共同研究 |
旭化成ファーマ株式会社 | 平成28年1月 | 疼痛領域における特定のイオンチャネルを標的とした共同研究 |
(注)平成28年4月1日付でエーザイ株式会社が消化器疾患領域事業を分割し、味の素製薬株式会社を承継会社とする新統合会社EAファーマ株式会社となりました。
(前臨床開発段階)
(a) グレリン受容体作動薬(RQ-00433412)
食欲不振・癌性悪液質を目標適応症として開発中の本化合物は、特性評価を完了し、次段階である前臨床開発試験に進むにあたって問題となる所見は認められておりません。
(b) モチリン受容体作動薬(RQ-00201894)
消化管運動障害を目標適応症として開発中の本化合物は、第Ⅰ相臨床試験実施に必要な前臨床試験(in vivo薬効薬理試験、薬物動態試験、毒性試験(GLP基準)、安全性薬理試験(GLP基準))が終了いたしました。現時点で次の臨床開発段階に進むにあたって問題となる所見は認められておりません。
(臨床開発段階)
(a) 5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)
機能性胃腸障害(FGID)を目標適応症として開発中の本化合物は、Virginia Commonwealth University(VCU)での医師主導治験のIND承認をアメリカ食品医薬品局(FDA)から取得しており、また、マイケル・J・フォックス財団からの当該医師主導治験への助成金授与が決定したので、VCUでは試験実施の最終準備が進められております。
(b) カリウムイオン競合型アシッドブロッカー注)(RQ-00000004、テゴプラザン)
胃食道逆流症(GERD)を目標適応症として開発中の本化合物は、米国に引き続き、日本での第Ⅰ相臨床試験を終了しています。開発が進んでいる韓国のデータの活用により、引き続き導出に向けて協議を進めてまいります。
(注:本プログラムはアシッドポンプ拮抗薬と称してきましたが、今後はより汎用されている呼称であるカリウム競合型アシッドブロッカーに変更いたします。)
(c) 5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)
下痢型過敏性腸症候群(D-IBS)を目標適応症として開発中の本化合物は、本化合物を初めてヒトに投与する第Ⅰ相臨床試験(健康成人及び患者を対象)を平成27年7月に英国で開始し、現在継続実施中であります。
(d) 抗MRSA抗菌剤(ダルババンシン)
現在、日本での導出に向けて協議を進めております。なお本剤は、米国において急性細菌性皮膚および皮膚組織感染症(ABSSSI)治療薬としてDALVANCETMの商標で上市され、欧州においては平成27年3月にXYDALBATMの商標で販売承認を得ております。
② 導出先の開発状況
(a) カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004、テゴプラザン)
胃食道逆流症(GERD)を目標適応症としてCJヘルスケア社(韓国)で開発中の本化合物は、韓国において第Ⅲ相臨床試験を実施中であり、中国での開発も準備が進められております。
(b) セロトニン5-HT2AおよびドパミンD2受容体遮断薬(ジプラシドン)
統合失調症治療薬としてMeiji Seikaファルマ社で開発中の本化合物は、日本において第Ⅲ相臨床試験を実施中です。本剤は、米国ファイザー社によって既に83ヶ国で販売されており、米国の治療ガイドラインには第一選択薬として収載されています。
(c) EP4拮抗薬(Galliprant®、 RQ-00000007、 AT-001、グラピプラント、動物薬)
ペットの疼痛治療薬としてアラタナ社(米国)で開発中の本化合物は、米国におけるイヌを対象とした臨床試験での良好な成績をもってFDAの製造販売承認を得ました。平成28年秋の発売開始に向けた準備が進められております。欧州ではEMAに販売承認申請中で、平成29年の許可取得を見込んでおります。
(d) グレリン受容体作動薬(Entyce®、 RQ-00000005、AT-002、カプロモレリン、動物薬)
ペットの食欲不振治療薬としてアラタナ社(米国)で開発中の本化合物は、イヌを対象とした臨床試験での良好な成績をもってFDAの製造販売承認を得ました。平成29年2月の北米獣医学会にあわせた販売開始に向けて、準備が進められております。
(e) EP4拮抗薬(RQ-00000007、 AAT-007、グラピプラント)
AskAt社のライセンス先で現在、臨床試験実施のための準備が進められております。
(f) シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬(RQ-00317076、AAT-076)
AskAt社のライセンス先で現在、臨床試験実施のための準備が進められております。