有価証券報告書-第73期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 14:59
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
カルビーグループは「私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」を企業理念としております。当社グループはすべてのステークホルダーの健やかなくらしに貢献することを目指し、自然素材の持つ栄養やおいしさを最大限に活かしたユニークで価値ある製品をお客様に提供することを通じて企業価値の向上を図ってまいります。
企業理念、グループビジョン、及びコーポレートメッセージを基礎として、当社グループは2030年に向けた「長期ビジョン(2030ビジョン)」を定めています。多様化する顧客ニーズを掘り起こし、新たな価値を提供し続けるとともに、海外事業の成長を加速させ、新たな食領域への事業拡張に挑戦し、Next Calbeeの実現を目指します。
また、ステークホルダーの皆様との共創により、社会・環境課題を解決する「社会的価値」と事業成長につながる「経済的価値」を両立することで、持続可能な社会の実現を目指していきます。

(2)当社グループを取り巻く中長期的な事業環境
当社グループを取り巻く足元での事業環境変化としては、新型コロナウイルスの世界的蔓延と、それに伴うサプライチェーンの混乱、加えて、地政学的リスクを背景とした急激なエネルギーや原材料価格の高騰や為替変動リスク等が挙げられます。中長期的には、温暖化等の地球環境の変化による資源獲得競争の激化が進む中、サプライチェーンにおける環境負荷や人権への配慮がより強く求められています。また、国内市場では少子高齢化や単身世代の拡大、生活スタイルの変化によって食に対する価値観の多様化が進む一方、グローバルマーケットでは新興国での中間所得層の拡大等によって食料需要の増大が想定されています。当社グループは、このような事業環境への変化は持続可能な成長の機会でもあると捉えています。
(3)長期ビジョン (2030ビジョン)
このような事業環境の変化の中で当社グループを持続的に成長させるため、2030年に目指す姿として2030ビジョン「Next Calbee 掘りだそう、自然の力。食の未来をつくりだす。」を策定しました。多様化する顧客のニーズを掘り起こして新たな価値を提供し続けるとともに、海外事業の成長を加速させ、新たな食領域への事業拡張に挑戦します。また、社会との共創を進めて社会的課題を解決し、持続可能な地球環境の実現に取り組みます。海外市場と新たな食領域を成長の軸として確立し、2030年に海外売上高比率40%超、新規食領域売上高比率20%超の達成を目指します。
(4)中期経営計画と対処すべき重点課題
長期ビジョンを達成するためのステップとして 、5か年の中期経営計画を策定し、注力すべき6つの重点課題を定めました。中期経営計画の基本方針を「次世代へ続く成長への変革と挑戦」とし、事業環境の変化に対応した基盤 作りを通して、変革と挑戦による持続的成長を実現します。定量目標として連結売上高、連結営業利益、ROE、国内 営業利益率、海外売上高を定めており、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等の進捗状況の評価を行うために有用な指標と考えております。
項目2024年3月期
連結売上高3,100億円
連結営業利益400億円
ROE12%
国内営業利益率15%
海外売上高800億円

(注)2022年3月期から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用
していますが、上記表記においては当該基準適用の影響を除外した金額で記載しております。

中期経営計画の6つの重点課題は次のとおりです。
[中期経営計画重点課題]
①国内コア事業:新たな価値の創出と高収益の実現
多様なニーズを捉えた新たな価値を創出し、新たなお客様へ提供をしていきます。また、需要の変化への柔軟な対応や人の働きやすさの実現に向けて、次世代型事業基盤の構築を進め、さらなる収益性の向上を目指します。
・スナック事業の革新
新しい価値提案商品の展開と顧客接点の拡充、お菓子に留まらない軽食としての提案
・シリアル事業の拡大
機能性を付加した新たな商品ブランドの確立と既存ブランドの強化、顧客ニーズに対応した喫食機会の拡大
・事業基盤の強化
サプライチェーンマネジメント連携の強化、デジタルトランスフォーメーション推進による生産性向上、流通取引先との戦略的パートナーシップの推進
②海外事業:重点4地域での収益基盤確立
市場規模、市場成長性からポテンシャルの高い地域を重点4地域(北米・中華圏・英国・インドネシア)と定め、当社独自の素材加工技術を用いた高品質を強みとして、各国でカルビーブランドの浸透を図ります。また、市場特性に合わせたマーケティング戦略、サプライチェーンマネジメントの進化によって事業拡大を進めます。
③新規事業:新たな食領域での事業確立
今後、国内市場の成長余地が限られる中、スナックフード、シリアル以外の新たな食領域に挑戦します。
・ばれいしょ事業で培った技術を活用し、新たな収益獲得モデルを構築
・ばれいしょ、甘しょ等の素材起点での新事業の確立、新たな素材加工技術の確立
・未来顧客の期待に応える新たな食領域への挑戦
④経営基盤:グローバル経営と持続的成長を支える基盤への変革
国内コア事業の変革の実行、ならびに海外事業と新規事業の拡大と加速化に向けて、人財育成、研究開発機能の強化に取り組みます。
・グローバル対応力強化へ向けた人財育成と仕組み構築
・持続的成長を支える研究開発機能の強化
⑤社会共創:持続可能社会の実現
持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の実現と事業成長の両立に向け、サプライチェーン・取引先、地球環境、地域・コミュニティに対して、様々な取組みを実行します。
・生産者とのパートナーシップの更なる強化
・サプライチェーンにおける持続可能性の向上
・「健やかな」くらしのために顧客との継続的関係の深化・進化
・食、健康、環境への貢献を軸とした社会貢献活動の推進
⑥ペプシコとの連携強化:国内、海外でペプシコとの連携強化
両社のもつ事業基盤や資源を活用し、国内ではフリトレーブランドの販売強化、海外ではカルビーブランドをペプシコの販売網で展開することを模索します。さらには、持続可能な社会への取組みに向けた情報共有と技術連携を図ります。