有価証券報告書-第14期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 16:18
【資料】
PDFをみる
【項目】
90項目

対処すべき課題

以下の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
1) 経営の基本理念
当社グループは、以下の経営理念を掲げ、インターネットを通じて、コンテンツ、商品、サービスを提供し、人々が人生を楽しく過ごせるために貢献したいと考えています。
・「日本のエンタテイメント市場の活性化」
・「新たなエンタテイメントビジネスの流通・販売形態の創造」
2) 経営方針
・コンテンツホルダーから利用者に至るまでのエンタテインメントビジネスに関わる全ての方々に対して、最適なコンテンツとその流通のためのシステムを提供
・コンテンツホルダー出身者が、より利用者にとって魅力的なコンテンツ、商品を提供することに主眼を置いてサイトを運営
以上により、コンテンツホルダーと利用者の関係性を重視し、両者をより密接に繋げることを意識
3) 事業展開方針
当社グループは、これまでに培ってきたレコード会社をはじめとする様々なコンテンツホルダーとの良好な関係と、権利ビジネスにおける経験を十分に活用し、また、コンテンツホルダーとサイト収益を分配する方針をもって、事業の起点となった音楽コンテンツだけではなく、キャラクターなどのエンタテインメントコンテンツや、アーティスト及びタレント等のファンクラブサイトなど、取り扱うコンテンツ数やその分野、並びに運営するサイト数を増加させ、事業規模の拡大を図ってまいりました。
一方、システム業者に対してもサイト収益を分配するビジネスモデルを採用し、サイト運営に係る協業体制を確立することにより、サイトやサービス開始時における開発費用を抑制し、新規コンテンツ分野への進出時のリスク低減を図るとともに、日進月歩の携帯技術への迅速な対応を行うことのできる体制の整備も進めてまいりました。
今後につきましても、幅広いコンテンツ分野においてサイトやサービスを展開できる強みを生かし、コンテンツホルダーに対して様々なコンテンツの利用機会を提供し、より多くのコンテンツの獲得に注力するとともに、その結果として得られる豊富なコンテンツを背景とし、収益力の高いサービス運営を行うことによりシステム業者の更なる開拓とその関係の深化に務めるなど、コンテンツ獲得力とシステム業者とのネットワークを両輪に、それらを乗数的に活用できるビジネス展開を行ってまいります。
また、当社グループは、現代の「音楽ビジネス」の形は、多様化するユーザーのニーズに合ったフレキシブルなサービスを提供することであり、従来の「音楽ビジネス」に、当社の持つIT技術のインフラを加えることで、さらなるアーティストとユーザーの掛け橋となることが出来ると考えており、新たな「音楽ビジネス」の可能性を創造・具現化することで、レコード会社やプロダクションとのパートナーシップ構築を推進し、サービスの向上を継続していく方針です。
(2)経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、中期的に携帯コンテンツ配信事業、PCコンテンツ配信事業、eコマース事業及びアプリ事業それぞれが成長することを目指すとともに、それぞれの事業が相互に連携し、相乗効果を生み出すような取り組みを行ってまいります。
各事業は、特定の消費者のニーズに対応したコンテンツや商品の提供を、他社に先駆けて実現するとともに、サイトやサービス数の増加により事業規模の拡大を図っていく戦略であります。一方、新たなサイトやサービスの運営にあたっては、既存サイト及びサービスの運営システムを最大限転用することで新たな固定費の支出を抑え、サイト及びサービス毎の収益性をより高めてまいります。
相乗効果を生み出す事業といたしましては、当社が運営するサイト間での相互リンクにより他サイトからの導線を確保し、ユーザーの回遊性の向上とユーザー獲得のための間口の拡大を図っております。また、事業セグメントの垣根を超え、例えば携帯コンテンツ配信事業で取り扱うアーティスト、タレントのグッズやチケット等をeコマース事業にて販売することや、携帯コンテンツ配信事業で取り扱ってきたアーティストやサイト等のアプリ展開などにより、サイトを通じたコンテンツ配信による収益だけでなく、多角的に収益を獲得し、収益機会を増大させることなども計画しております。
新規事業へ向けた取り組みといたしましては、積極的に子会社を展開することで、当社とは別の視点をもって、かつ機動的に事業展開を実施していく方針であり、子会社を通じた他社との事業提携、新規事業領域の開拓などを行ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性については売上高を、収益性については営業利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
(4)経営環境
当社グループを取り巻くインターネット関連市場につきましては、平成29年12月末における携帯電話端末全体の契約数が1億6,582万件(前年同期比3.2%増)、情報通信機器の保有状況としては、スマートフォンが71.8%(前年同期比0.2ポイント減)、タブレット端末が34.4%(前年同期比1.1ポイント増)と、通信環境の高速化に牽引され普及が進んでおります。こうした背景から、インターネットの利用時間やサービス消費も増加を続けており、今後においても安定的な成長と拡大が期待されております。
音楽やアーティスト関連の市場動向といたしましては、平成29年(1月から12月)の音楽ソフト(オーディオレコード及び音楽ビデオ合計)の生産金額は2,320億円(前年同期比5.5%減)と減少傾向にあります。その一方で、コンサートの市場規模は、平成29年(1月から12月)には3,324億円(前年同期比7.2%増)と拡大が続いております。音楽の市場全体としては堅調に推移していることから、音楽消費の主軸が、音楽ソフトからコンサートというコト消費へと移行していると考えられます。
(5) 対処すべき課題
当社グループの継続的かつ安定的な成長とそれに伴う収益基盤の拡大のためには、変化に富むユーザーの嗜好を的確に捉えた魅力的なコンテンツや商品の提供を行うとともに、新規の顧客層を開拓していくことが必要であると認識しております。そのため当社は、以下のような課題に取り組んでまいります。
(a)スマートフォンへの対応と新規事業の開発
スマートフォンの普及が進むに伴い、スマートフォン向けアプリやコンテンツ、サービスの提供と、それによる収益の拡大が課題であると考えております。これに対し当社では、よりスマートフォンに適したサイト展開やコンテンツの高付加価値化に努めております。また、アーティスト等を題材としたアプリ、電子書籍などの配信、動画サービスの提供にも注力しております。加えて、スマートフォン向けの他社プラットフォームへ対してもスタンプなどのコンテンツ提供を行っております。今後についても、スマートフォン向けの有料サイトやコンテンツ、アプリを拡大していく方針であります。
また、新規事業につきましては、積極的な新規子会社の展開や、子会社を通じた他社との事業提携、並びに新規事業の開発にも取り組んでおります。
(b)有力コンテンツの獲得推進と認知度の向上並びに他社との差別化
携帯コンテンツ配信事業においては、競合や市場環境はより一層厳しさを増すものと予想されます。当社が今後も優位性を保つためには、他社にはない有力コンテンツの獲得によるサイトの認知度の向上と、サイト内容の差別化、スマートフォン向けの新規コンテンツサービスや技術への迅速な対応が課題であると認識しております。
これに対して当社では、各種メディアや業界動向などから幅広く情報収集を行うとともに、これまでに培った音楽業界での経験から、今後の流行が予想されるコンテンツの目利きを行っております。また、それと同時にこれまで構築してきた業界内でのネットワークを活用し、同業他社に先駆けそれらコンテンツの獲得を行うことができるよう営業活動に努めてまいります。
また、サイト運営にあたっては、技術力の高いシステム開発会社を選定の上、収益をあらかじめ定められた料率で分配する方式を採用することにより、固定的な開発費用の発生を抑制すると同時に、日進月歩の携帯技術に対して機動的に対応する体制を構築しております。
(c)顧客基盤の拡大
当社の継続的かつ安定的な成長のためには、顧客基盤の拡大が重要であると認識しております。このため、当社では、今後の利用者の拡大が見込まれる新規コンテンツ分野については、より多くの利用者の目に触れることのできるよう、いち早く市場に参入することにより、サイトやサービス注目度と集客力を上昇させ、新規会員の獲得を推進しております。
また、キャリアの展開するスマートフォン向け月額使い放題のコンテンツサービスにも、複数のサイトやコンテンツを提供するとともに。キャリアと共同で様々なキャンペーンを展開するなど、収益獲得機会の間口の拡大にも努めております。
加えて、様々なコンテンツカテゴリーにおいて様々なサイトやサービスを提供する強みやノウハウを生かし、サイト間での相互リンクやコンテンツ・サービスの相互利用などにより、新規会員獲得を推進するとともに、既存会員の当社サイトの利用継続性の向上も図っております。
(d)優秀な人材の確保
上記の課題に対応していくためには、優秀な人材の確保が重要であると認識しております。
当社は、潜在顧客の求める魅力あるコンテンツを企画出来る能力、商品ライフサイクルにわたって利用者を引き付けるサイトを運営できる能力、ニーズの高いコンテンツを発掘できる能力、外注先を含めた人的資源をマネジメントできる能力等を有する優れた人材の確保するために、新卒も含めた採用活動の強化、社内教育の充実による人材の育成に注力していく方針であります。