訂正有価証券報告書-第35期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/11/20 16:21
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項については、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。また、計画、目標等に関してはリスクや不確実性を内包しており、その実現を保証するものではありません。
(1)経営方針
① 経営の基本方針
当社は、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案します。」を企業理念とし、「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献することを使命として、企業行動基準及び社員行動指針を定めております。
企業行動基準は、「お客様への約束」、「社会への約束」及び「従業員への約束」からなり、「お客様に魅力的な介護サービスを提供すること」、「積極的に情報開示し、法令を遵守する、社会に信頼される企業であること」、「従業員にチャレンジする機会とやりがいのある職場環境を提供すること」を目指していくことを約束いたします。
また、社員行動指針は、当社の社員が目指すべき姿勢・考え方を示しております。
上記、企業理念、企業行動基準及び社員行動指針に基づき事業を展開することにより社会に貢献するとともに、事業計画を着実に推進することで経営基盤の強化と財務体質の改善に努めてまいります。
② 目標とする経営指標
当社は介護を必要とするより多くの方々に有料老人ホームをご利用いただくという観点から入居率及び稼働率を重視しております。また、入居者様に安心して生活いただけるように安定した経営と堅実な成長を続けることを重視し、売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでまいります。
③ 中長期的な会社の経営戦略
我が国における高齢者人口は今後も増加していくことが考えられ、これに伴い、高齢者単独世帯も増加し、介護サービスの提供を考慮した高齢者住宅の需要拡大が見込まれます。このような状況のなか、当社は業績拡大にあたり、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏及び近畿圏の都市部において、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア」シリーズを中心に積極的な新規開設を行い、規模の拡大を行うことが必要不可欠であると考えております。当社は、今後も引き続き介護付有料老人ホームを中心とした施設介護事業のさらなる展開を進めていくとともに、介護事業に留まらない安定的な収益基盤を確立するうえで、富裕な高齢者マーケットを主要な対象とする不動産事業の拡大を図ってまいります。
なお、中長期目標として、売上高500億円、運営数100ホームを掲げており、運営居室数の増加に伴い、積極的な事業投資と安定した業績成長を両立し、増収増益を継続できる企業を目指してまいります。
(2)経営環境
介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化や景気の回復に伴う雇用情勢の活況によって、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。なお、2018年度の介護報酬改定は、2015年度の介護報酬引下げに伴う介護事業者の厳しい経営状況及び介護職員の処遇改善の必要性等を踏まえ、小幅ながらも6年ぶりのプラス改定となりました。当社の主たる事業である「介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)」においても、基本単位の引き上げ及び各種加算の創設等が決定しております。
そのような状況のなか、当社は、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という経営理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスのご提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。
介護職における雇用情勢につきましては、2019年6月の有効求人倍率は4.21倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.37倍を大きく上回り、介護職員の確保が課題として顕在化しております。そのような環境のなか、当社ではより良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれのライフスタイルに応じた働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化や業務効率化を進めております。今後とも当社は、お客様へより質の高いサービスがご提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。
(3)対処すべき課題
当社が対処すべき主要な課題は以下の項目であると認識しております。
① 住宅型有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の事業基盤確立
住宅型有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅につきましては、特定施設の総量規制(※)の動向に左右されることなく事業を拡大するための基盤作りが必要であると考え、住宅型有料老人ホームを4ホーム、サービス付き高齢者向け住宅を1ホーム、計5ホームを運営しております。当社ではこのビジネスモデルの事業としての基盤確立を図るため、今後も開設するホームの地域特性を考慮したうえで、住宅型有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の開設を進めてまいります。
② 労働力の確保
今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社におきましても重要な経営課題と認識しており、従業員の定着率の向上のため、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいります。
③ コンプライアンス・内部統制の充実
介護保険制度下の事業者として社会的責任を果たすべく、引き続き法令遵守を徹底することに加え、企業経営の透明性と開示情報の正確性を確保させるため、内部統制システムの整備に関する方針を定め、内部統制の構築を推進してまいります。
④ 財務体質の改善
当社は積極的な事業拡大に際して、設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達してまいりましたので、有利子負債比率が高い水準にあります。このため、今後の企業間競争に耐えうるべく財務体質の改善が急務であると認識しており、有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上に努めることで、より健全性の高い経営に努めてまいります。
※ 特定施設の総量規制とは、自治体(主に都道府県)が民間による居住系サービスの新規開設を拒否できるという規制であります。