有価証券報告書-第14期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループの基本理念は以下のとおりです。

<ミッション>「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」
「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考えております。
<ビジョン>「変化をとらえ、進化につなげる」
今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識するという思いを込めて定めました。
<バリュー>「SPIRIT of Challenge」
常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に当社グループのバリューとして掲げました。
これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。
持続的成長性を測る手段として「フリーキャッシュ創造力」を第一に考え、キャッシュフロー創造により増加した株主資本を分配するか次の成長のために再投資するかを適切に判断し、「投資効率」も重視してまいります。
また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。具体的には、中期ビジョン2028の最終年度2028年3月期において、ROE9%超、ROIC8%超を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。
当社グループは、祖業の金融事業中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業への参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業へ参画してまいりました。「中期ビジョン2028(Shift Up)」においても、基本方針は変わることなく、「総合エネルギー事業会社」への歩みを進めてまいります。当社グループは、強みである再生可能エネルギー開発・運用、BPOサービス、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家等のあらゆるニーズに応える「エネルギートータルソリューションプロバイダー」としてさらに成長してまいります。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくことが打ち出されており、電力システム改革においても電力供給のさらなる安定化・自由化を目指すことがうたわれております。こうした施策は当社グループにとって追い風であることは間違いなく、市場価格をベースとした多様な電力価格の提供に強みを持つ当社グループは有利な位置にあると考えております。
当社は事業・財務・非財務戦略の三位一体推進により、可能な限り早期にPBR1倍超を目指してまいります。また、従来より継続しております「事業の選択と集中」のさらなる推進と獲得キャッシュの成長投資と株主還元のバランスを考慮した分配を行ない、ガバナンスへの取り組みを一層強化しつつ電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させてまいります。
事業戦略:
・「事業の選択と集中」のさらなる推進:成長が見込まれるセグメントに各種資本(財務、人的等)を集中
(完了)
アセット・マネジメント事業廃止(2024年度)
ガス取次事業廃止(2025年度)
(推進中)
ディーリング事業:2027年3月期末までの廃止に向け、段階的に規模を縮小中。
トレーディングノウハウを電力取引関連事業へ移管し、電力取引の差別化に取り組みます。
・安定収益基盤の強化に向けた小売り事業の拡充
・蓄電池を軸とした事業展開
財務戦略:
・成長を支えるキャッシュアロケーション
・株主還元方針:
配当性向30%以上、中期ビジョン2028の期間中においては1株当たり7.00円の配当を下限とすることを基本
非財務戦略:
・ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化
・人財育成及び社内環境整備、人事施策上の定量目標設定
なお、2028年3月期の数値目標としては、以下を目標としております。
連結営業収益:350億円、税金等調整前当期純利益(実質):8億円、ROE:9%以上


(4) 対処すべき課題
当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
①次世代マネジメント人材の育成とマネジメント継承について
当社の取締役会は、高度な専門性を有する複数の社外取締役、業務執行取締役及び社外監査役で構成しております。加えて、業務執行と業務執行状況の管理の分離、業務執行責任者の権限の拡大と結果責任の明確化、並びに経営人材の育成・拡充等を目的として「委任型執行役員制度」を導入しております。
今後の更なる事業拡大と企業価値の持続的な向上を実現していくためには、高い専門性と豊富な経験を備え、優れた人格を備えたマネジメント人材の選抜・育成が急務であると認識しております。こうした方針のもと、2026年3月期においては、社内から取締役を新たに1名選任するとともに、部長職以上を対象とした外部研修を実施いたしました。また、外部から執行役員を1名登用したほか、期末には代表取締役社長が退任し、次世代の経営体制を担う新たな経営陣への引継ぎを進めております。当社は今後も、次世代マネジメントへの移行を一層推し進め、引き続き世代交代を図ってまいります。
②電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダーに向けて
当社グループは、従前より掲げる「総合エネルギー事業会社」への飛躍に向け、当社の強みを再定義した結果、「電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダー」を目指す方針を決定しております。
具体的には、良質な環境価値を生み出すベースロード電源である地熱発電開発を推進するとともに、AIを活用した市場予測等に基づく大規模系統用蓄電所の運用業務、環境価値(再エネ価値)の取り扱いの拡大等を進めてまいります。これらの取り組みを通じて、顧客目線に立った付加価値を提供し、「なくてはならないビジネスパートナー」として成長していく所存です。
③営業力の強化と事業規模の拡大
当社グループは、エネルギートータルソリューションプロバイダーとしての成長を実現するため、営業力の向上と事業規模の拡大を重要課題と位置付けております。まず、多様なソリューションをより多くの顧客へお届けできるよう、従来の縦割り型の営業体制に加え、セグメントを横断して連携できる営業体制の構築・強化を進めております。これにより、需要家から発電事業者まで、あらゆる接点で最適な価値を提供するとともに、顧客との対話の強化、データ分析の高度化、サービス改善を通じて、顧客ニーズを的確に把握してまいります。
あわせて、発電から小売まで一貫して手掛ける当社グループの強みを活かし、小売事業の電力販売量の増加を、電力取引関連事業を含む収益拡大に直結させる方針です。顧客基盤の拡大は、新たなサービス提供のビジネスチャンスを生み、他事業にも相乗効果をもたらすものと考えております。今後も新規顧客の獲得と既存顧客の維持・関係性の深化を並行して進め、持続的な事業規模の拡大を実現してまいります。
④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請がなされました。当社においては、資本収益性等の分析を進めており、中期ビジョンにおいてROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回ることを基本目標としております。あわせて、セグメント単位での分析も進め、収益性を高め、「BS(貸借対照表)から見る経営」を進めてまいります。
⑤株主資本の充実と持続的な収益力の確保
総合エネルギー事業を展開する当社グループにとって、事業規模の拡大のためには、株主資本を充実し企業体力を強化すること、持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度に応じた経営資源配分の最適化を図り、事業目標達成に向けた進捗管理の強化と資本効率の向上を推進してまいります。また、継続的な経費構造の見直しによる経費率の改善とコスト削減にも引き続き取り組んでまいります。
⑥効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化
上記の課題の達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が不可欠であると考えております。主に業務代行分野で進めてきたDXの推進を、他の事業分野に展開し、活用を進めております。
また、当社グループの事業を取り巻くリスクは変化を続けております。市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのリスクも発生し得ると考えられます。こうした状況に鑑み、当社はリスク管理の重要性を明確に認識し、不測の事態にも迅速かつ的確に対応できるよう、リスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。
⑦サステナビリティに関する考え方及び取り組み
当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点から持続可能な社会の実現に貢献し、長期的に企業活動を維持・向上させることを、サステナビリティ経営の経営方針として捉えております。
当社は、この方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。同委員会では、気候変動や人的資本をはじめとする重要課題の特定・基本方針の策定を行っており、そのリスク管理状況等について、取締役会に報告を行う体制を構築しております。今後も同委員会の機能を継続的に強化し、サステナビリティ経営を深化させてまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
①再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充
再生可能エネルギー関連事業においては、太陽光発電による売電収入、発電所の維持管理業務(O&M事業)に加え、長年に亘り培ってきたノウハウとネットワークを活かし、非FIT太陽光発電設備を用いた電力販売契約(PPA)の展開や、固定価格買取制度(FIT)からフィードインプレミアム(FIP)制度への移行(FIP転)と蓄電池を組み合わせた事業、さらには系統用蓄電所や地熱発電の開発等に取り組んでおります。
太陽光発電事業では、出力抑制が課されるエリアの増加や経済的出力抑制、及び各種保険料等の増加といった課題に直面しておりますが、引き続き業務効率化や経費の見直し等を行ってまいります。
地熱発電事業については、宮崎県えびの市尾八重野地域においてアストマックスえびの地熱株式会社が推進しており、これまでに掘削した4本の井戸により必要な発電能力を確認するとともに、2024年度には総出力4.4MWの連系契約を完了しております。
昨今の建設費の高騰といった事業環境の変化に対応し、より安定した事業基盤と採算性の向上を図るため、アストマックスえびの地熱株式会社は、2025年11月に株式会社竹中工務店を引受先とする第三者割当増資を実施いたしました。現在、事業計画の見直しを進め、資本増強や資金調達、発電規模拡大の可能性等を含む今後の事業運営方針について、関係者と協議を進めております。
②電力取引関連事業における収益力強化
電力取引関連事業は、小売電気事業者向けの業務代行及び多様な電力調達ニーズに対応した電力の仕入・販売に注力してまいりました。その結果、収益基盤の強化は進んできております。一方で、取引参加者の増加に伴いマージンが低下傾向にあるなど、事業環境は厳しさを増しております。今後は、サービスの質の向上やコストの見直し等の対策を講じ、収益の改善に努めてまいります。
また、業務代行については、AIを活用した電力の需要予測等、引き続き質の高いサービスにより顧客獲得と事業基盤の強化を目指してまいります。
さらに、系統用蓄電所の運転開始に伴い、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引業務の受託を開始しております。今後、系統用蓄電所は稼働案件の増加が見込まれており、運用業務の受託機会もさらに拡大すると予想されます。当社は、これを確かな成長機会と捉え、より一層のサービス向上と事業拡大に努めてまいります。
③小売事業における収益力強化
小売事業は代理店経由の顧客獲得に加え、既存顧客に対しましても訪問やWeb会議をメインに丁寧なフォローアップに努めております。2024年4月から開始された容量拠出金制度に関するご説明や、固定価格と市場価格を組み合わせた「ハイブリッド・フリープラン」、「キャップ付きフリープラン」などお客様のニーズに合わせた商品のご提案を行い、サービスへの理解を深めていただく取り組みを行っております。
低圧小売につきましては、新たなパートナー企業とともに開始したマーケティング手法の浸透により、顧客は徐々に増加傾向にあります。特高・高圧小売につきましては、2026年3月期を通して顧客数、電力の供給量ともに減少傾向にありましたが、大口顧客との新規契約が成就し、2026年3月より電力供給を開始しております。今後も様々な取り組みを通じて、サービスの浸透と顧客獲得を加速させ、収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。
④ディーリング事業のノウハウを電力取引関連事業へ継承
ディーリング事業は、これまで取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。しかしながら、近年の取引市場規模の縮小傾向や、海外を中心とした取引コストも年々上昇しております。そのため、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2027年3月期末までにディーリング事業の規模を段階的に縮小し、トレーディング及びリスク管理ノウハウを電力取引関連事業に移行した上で最終的に廃止することを決定しております。これまで培ってきた取引に関する専門知識や経験等のノウハウは、電力取引関連事業へ確実に継承してまいります。
⑤蓄電池に関する事業の全社横断的な取り組みの強化
蓄電池に関する事業は、全社横断的な取り組みを進めております。現在、複数の案件について、具体的な事業化に向けた検討・実行段階にあります。引き続き、各部門の知見を結集し、蓄電池を活用した事業を当社グループのコア収益基盤の一つとしてさらに強化してまいります。
⑥コンプライアンスの徹底
上場企業として、エネルギー事業を展開する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であることを強く認識しております。この社会的責務を果たすため、役職員一人ひとりに高いモラルが求められていることを再認識し、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。今後も、研修の実施をはじめとする継続的な啓蒙活動とチェック体制の維持により、引き続きその徹底を図ってまいります。
⑦セキュリティ対策
当社グループは、情報漏洩のリスクを低減させるため、事業別に業務データのアクセス権を細かく設定するとともに、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を設ける等の措置を講じております。
さらに、高度なセキュリティ環境を維持するためには、役職員一人ひとりの高いセキュリティ意識が不可欠であると認識し、全役職員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の意識の向上と啓発に努めてまいります。
⑧IRの充実
当社グループは、規模に比べセグメント数が多いことから、株主や投資家の皆様からそれぞれの事業が分かりにくいとのご意見をいただいておりましたが、現在は非中核事業からの撤退を行い、事業の集約を進めております。
また、事業全体の関連性や状況をより分かりやすく可視化するため、月次での太陽光発電所の売電状況の開示、四半期決算の補足説明資料の公表、年に2回のオンライン決算説明会、株主通信の充実、各種適時開示等といったIR活動に注力しております。今後も、事業全体の関連性や状況をより的確にお伝えできるよう、IRの充実に取り組んでまいります。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループの基本理念は以下のとおりです。

<ミッション>「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」
「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考えております。
<ビジョン>「変化をとらえ、進化につなげる」
今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識するという思いを込めて定めました。
<バリュー>「SPIRIT of Challenge」
常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に当社グループのバリューとして掲げました。
これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。
持続的成長性を測る手段として「フリーキャッシュ創造力」を第一に考え、キャッシュフロー創造により増加した株主資本を分配するか次の成長のために再投資するかを適切に判断し、「投資効率」も重視してまいります。
また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。具体的には、中期ビジョン2028の最終年度2028年3月期において、ROE9%超、ROIC8%超を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。
当社グループは、祖業の金融事業中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業への参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業へ参画してまいりました。「中期ビジョン2028(Shift Up)」においても、基本方針は変わることなく、「総合エネルギー事業会社」への歩みを進めてまいります。当社グループは、強みである再生可能エネルギー開発・運用、BPOサービス、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家等のあらゆるニーズに応える「エネルギートータルソリューションプロバイダー」としてさらに成長してまいります。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくことが打ち出されており、電力システム改革においても電力供給のさらなる安定化・自由化を目指すことがうたわれております。こうした施策は当社グループにとって追い風であることは間違いなく、市場価格をベースとした多様な電力価格の提供に強みを持つ当社グループは有利な位置にあると考えております。
当社は事業・財務・非財務戦略の三位一体推進により、可能な限り早期にPBR1倍超を目指してまいります。また、従来より継続しております「事業の選択と集中」のさらなる推進と獲得キャッシュの成長投資と株主還元のバランスを考慮した分配を行ない、ガバナンスへの取り組みを一層強化しつつ電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させてまいります。
事業戦略:
・「事業の選択と集中」のさらなる推進:成長が見込まれるセグメントに各種資本(財務、人的等)を集中
(完了)
アセット・マネジメント事業廃止(2024年度)
ガス取次事業廃止(2025年度)
(推進中)
ディーリング事業:2027年3月期末までの廃止に向け、段階的に規模を縮小中。
トレーディングノウハウを電力取引関連事業へ移管し、電力取引の差別化に取り組みます。
・安定収益基盤の強化に向けた小売り事業の拡充
・蓄電池を軸とした事業展開
財務戦略:
・成長を支えるキャッシュアロケーション
・株主還元方針:
配当性向30%以上、中期ビジョン2028の期間中においては1株当たり7.00円の配当を下限とすることを基本
非財務戦略:
・ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化
・人財育成及び社内環境整備、人事施策上の定量目標設定
なお、2028年3月期の数値目標としては、以下を目標としております。
連結営業収益:350億円、税金等調整前当期純利益(実質):8億円、ROE:9%以上


(4) 対処すべき課題
当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
①次世代マネジメント人材の育成とマネジメント継承について
当社の取締役会は、高度な専門性を有する複数の社外取締役、業務執行取締役及び社外監査役で構成しております。加えて、業務執行と業務執行状況の管理の分離、業務執行責任者の権限の拡大と結果責任の明確化、並びに経営人材の育成・拡充等を目的として「委任型執行役員制度」を導入しております。
今後の更なる事業拡大と企業価値の持続的な向上を実現していくためには、高い専門性と豊富な経験を備え、優れた人格を備えたマネジメント人材の選抜・育成が急務であると認識しております。こうした方針のもと、2026年3月期においては、社内から取締役を新たに1名選任するとともに、部長職以上を対象とした外部研修を実施いたしました。また、外部から執行役員を1名登用したほか、期末には代表取締役社長が退任し、次世代の経営体制を担う新たな経営陣への引継ぎを進めております。当社は今後も、次世代マネジメントへの移行を一層推し進め、引き続き世代交代を図ってまいります。
②電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダーに向けて
当社グループは、従前より掲げる「総合エネルギー事業会社」への飛躍に向け、当社の強みを再定義した結果、「電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダー」を目指す方針を決定しております。
具体的には、良質な環境価値を生み出すベースロード電源である地熱発電開発を推進するとともに、AIを活用した市場予測等に基づく大規模系統用蓄電所の運用業務、環境価値(再エネ価値)の取り扱いの拡大等を進めてまいります。これらの取り組みを通じて、顧客目線に立った付加価値を提供し、「なくてはならないビジネスパートナー」として成長していく所存です。
③営業力の強化と事業規模の拡大
当社グループは、エネルギートータルソリューションプロバイダーとしての成長を実現するため、営業力の向上と事業規模の拡大を重要課題と位置付けております。まず、多様なソリューションをより多くの顧客へお届けできるよう、従来の縦割り型の営業体制に加え、セグメントを横断して連携できる営業体制の構築・強化を進めております。これにより、需要家から発電事業者まで、あらゆる接点で最適な価値を提供するとともに、顧客との対話の強化、データ分析の高度化、サービス改善を通じて、顧客ニーズを的確に把握してまいります。
あわせて、発電から小売まで一貫して手掛ける当社グループの強みを活かし、小売事業の電力販売量の増加を、電力取引関連事業を含む収益拡大に直結させる方針です。顧客基盤の拡大は、新たなサービス提供のビジネスチャンスを生み、他事業にも相乗効果をもたらすものと考えております。今後も新規顧客の獲得と既存顧客の維持・関係性の深化を並行して進め、持続的な事業規模の拡大を実現してまいります。
④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請がなされました。当社においては、資本収益性等の分析を進めており、中期ビジョンにおいてROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回ることを基本目標としております。あわせて、セグメント単位での分析も進め、収益性を高め、「BS(貸借対照表)から見る経営」を進めてまいります。
⑤株主資本の充実と持続的な収益力の確保
総合エネルギー事業を展開する当社グループにとって、事業規模の拡大のためには、株主資本を充実し企業体力を強化すること、持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度に応じた経営資源配分の最適化を図り、事業目標達成に向けた進捗管理の強化と資本効率の向上を推進してまいります。また、継続的な経費構造の見直しによる経費率の改善とコスト削減にも引き続き取り組んでまいります。
⑥効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化
上記の課題の達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が不可欠であると考えております。主に業務代行分野で進めてきたDXの推進を、他の事業分野に展開し、活用を進めております。
また、当社グループの事業を取り巻くリスクは変化を続けております。市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのリスクも発生し得ると考えられます。こうした状況に鑑み、当社はリスク管理の重要性を明確に認識し、不測の事態にも迅速かつ的確に対応できるよう、リスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。
⑦サステナビリティに関する考え方及び取り組み
当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点から持続可能な社会の実現に貢献し、長期的に企業活動を維持・向上させることを、サステナビリティ経営の経営方針として捉えております。
当社は、この方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。同委員会では、気候変動や人的資本をはじめとする重要課題の特定・基本方針の策定を行っており、そのリスク管理状況等について、取締役会に報告を行う体制を構築しております。今後も同委員会の機能を継続的に強化し、サステナビリティ経営を深化させてまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
①再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充
再生可能エネルギー関連事業においては、太陽光発電による売電収入、発電所の維持管理業務(O&M事業)に加え、長年に亘り培ってきたノウハウとネットワークを活かし、非FIT太陽光発電設備を用いた電力販売契約(PPA)の展開や、固定価格買取制度(FIT)からフィードインプレミアム(FIP)制度への移行(FIP転)と蓄電池を組み合わせた事業、さらには系統用蓄電所や地熱発電の開発等に取り組んでおります。
太陽光発電事業では、出力抑制が課されるエリアの増加や経済的出力抑制、及び各種保険料等の増加といった課題に直面しておりますが、引き続き業務効率化や経費の見直し等を行ってまいります。
地熱発電事業については、宮崎県えびの市尾八重野地域においてアストマックスえびの地熱株式会社が推進しており、これまでに掘削した4本の井戸により必要な発電能力を確認するとともに、2024年度には総出力4.4MWの連系契約を完了しております。
昨今の建設費の高騰といった事業環境の変化に対応し、より安定した事業基盤と採算性の向上を図るため、アストマックスえびの地熱株式会社は、2025年11月に株式会社竹中工務店を引受先とする第三者割当増資を実施いたしました。現在、事業計画の見直しを進め、資本増強や資金調達、発電規模拡大の可能性等を含む今後の事業運営方針について、関係者と協議を進めております。
②電力取引関連事業における収益力強化
電力取引関連事業は、小売電気事業者向けの業務代行及び多様な電力調達ニーズに対応した電力の仕入・販売に注力してまいりました。その結果、収益基盤の強化は進んできております。一方で、取引参加者の増加に伴いマージンが低下傾向にあるなど、事業環境は厳しさを増しております。今後は、サービスの質の向上やコストの見直し等の対策を講じ、収益の改善に努めてまいります。
また、業務代行については、AIを活用した電力の需要予測等、引き続き質の高いサービスにより顧客獲得と事業基盤の強化を目指してまいります。
さらに、系統用蓄電所の運転開始に伴い、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引業務の受託を開始しております。今後、系統用蓄電所は稼働案件の増加が見込まれており、運用業務の受託機会もさらに拡大すると予想されます。当社は、これを確かな成長機会と捉え、より一層のサービス向上と事業拡大に努めてまいります。
③小売事業における収益力強化
小売事業は代理店経由の顧客獲得に加え、既存顧客に対しましても訪問やWeb会議をメインに丁寧なフォローアップに努めております。2024年4月から開始された容量拠出金制度に関するご説明や、固定価格と市場価格を組み合わせた「ハイブリッド・フリープラン」、「キャップ付きフリープラン」などお客様のニーズに合わせた商品のご提案を行い、サービスへの理解を深めていただく取り組みを行っております。
低圧小売につきましては、新たなパートナー企業とともに開始したマーケティング手法の浸透により、顧客は徐々に増加傾向にあります。特高・高圧小売につきましては、2026年3月期を通して顧客数、電力の供給量ともに減少傾向にありましたが、大口顧客との新規契約が成就し、2026年3月より電力供給を開始しております。今後も様々な取り組みを通じて、サービスの浸透と顧客獲得を加速させ、収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。
④ディーリング事業のノウハウを電力取引関連事業へ継承
ディーリング事業は、これまで取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。しかしながら、近年の取引市場規模の縮小傾向や、海外を中心とした取引コストも年々上昇しております。そのため、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2027年3月期末までにディーリング事業の規模を段階的に縮小し、トレーディング及びリスク管理ノウハウを電力取引関連事業に移行した上で最終的に廃止することを決定しております。これまで培ってきた取引に関する専門知識や経験等のノウハウは、電力取引関連事業へ確実に継承してまいります。
⑤蓄電池に関する事業の全社横断的な取り組みの強化
蓄電池に関する事業は、全社横断的な取り組みを進めております。現在、複数の案件について、具体的な事業化に向けた検討・実行段階にあります。引き続き、各部門の知見を結集し、蓄電池を活用した事業を当社グループのコア収益基盤の一つとしてさらに強化してまいります。
⑥コンプライアンスの徹底
上場企業として、エネルギー事業を展開する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であることを強く認識しております。この社会的責務を果たすため、役職員一人ひとりに高いモラルが求められていることを再認識し、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。今後も、研修の実施をはじめとする継続的な啓蒙活動とチェック体制の維持により、引き続きその徹底を図ってまいります。
⑦セキュリティ対策
当社グループは、情報漏洩のリスクを低減させるため、事業別に業務データのアクセス権を細かく設定するとともに、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を設ける等の措置を講じております。
さらに、高度なセキュリティ環境を維持するためには、役職員一人ひとりの高いセキュリティ意識が不可欠であると認識し、全役職員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の意識の向上と啓発に努めてまいります。
⑧IRの充実
当社グループは、規模に比べセグメント数が多いことから、株主や投資家の皆様からそれぞれの事業が分かりにくいとのご意見をいただいておりましたが、現在は非中核事業からの撤退を行い、事業の集約を進めております。
また、事業全体の関連性や状況をより分かりやすく可視化するため、月次での太陽光発電所の売電状況の開示、四半期決算の補足説明資料の公表、年に2回のオンライン決算説明会、株主通信の充実、各種適時開示等といったIR活動に注力しております。今後も、事業全体の関連性や状況をより的確にお伝えできるよう、IRの充実に取り組んでまいります。