有価証券報告書-第106期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 12:13
【資料】
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【項目】
157項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。私たちにできる“コト”を進化させ、従来の「機能紙メーカー」から『コンサルティング型製造サービス業』へ変革を目標としております。
(2)経営戦略
当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。
「新市場の開拓と事業領域の拡大」
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」
「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。
このように、安定成長を見込む中核商品と成長分野での新事業からなる積極的な経営を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、健全な経営と企業価値向上のため、総資産経常利益率(ROA)10%以上を目標として掲げております。売上高及び利益率の持続的向上や資本の効率的運用に取り組み、この目標の達成に向けてグループ一丸となって注力してまいります。
(4)経営環境
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、国内経済・世界経済ともに急速に悪化しており、極めて厳しい状況が続くものと予測されます。
当社グループ関連の業界につきましては、上期は主に自動車関連市場において大きな影響があるものと見込んでおりますが、下期にはその影響は減少するものと予測しております。水処理関連市場においては、一時的な影響はあるものの、世界的な水不足や環境問題に対応した水インフラの整備、産業用の需要増加などから今後も市場規模は拡大するものと予測しております。また、新たな市場としては、自動車の次世代技術や5G通信整備などが具体化してきております。
このような状況において当社グループは、既存事業において市場の求めるニーズに合った商品開発を行い、積極的に拡販活動を続けていくとともに、新たな事業の創出や事業領域の拡大に注力してまいります。さらに、生産面における原価低減活動や間接部門の業務効率の向上などにより、収益性の確保に努めてまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、世の中の流れを的確に捉え、協力すべき顧客との接点を強化し、自らのコア技術を高めて、新時代に向けた新たなビジネスを展開してまいります。10年先の社会を見据えた長期ビジョンを設定し、共有できるお客様と共にその実現に向かって突き進んでいくことを目指しております。
長期ビジョンの実現のため、当社グループは、持続的な発展と高収益企業の実現を目指し、2020年度を初年度とする第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan(ABT計画)』を策定中でございます。
① 収益構造の改善と資本効率の向上
原燃料の調達及び生産工程、物流、生販在の管理、固定費の削減等、生産プロセスにおけるコスト構造の改革を進めてまいります。また、全社的な間接業務の効率化を目的とし、ITを活用した生産性向上や業務プロセスの見直しを進めてまいります。収益構造の改善と競争力の強化に加え人財の高度化を図ることで、効率的な経営資源の活用と収益基盤の確立に努めてまいります。
② 中核商品のグローバル市場における競争優位の追求
・分離膜支持体事業
分離膜用湿式不織布は、競争激化のなか、伸びていく市場に対して圧倒的な高品質の実現、さらなる生産性の向上が課題となっております。今後は生産能力の増強に取り組み、シェア拡大に努めてまいります。
・フィルターメディア事業
エンジン用濾材は、タイ国・中国への生産移管を進めコストダウンによる収益改善に取り組んでおります。今後は、エンジン用以外のフィルトレーション市場を開拓するため、油圧・空調・産業用等の様々な分野におけるニーズに適合する製品の開発・拡販に努めてまいります。
③ 新市場の開拓と事業領域の拡大
・サーマルマネジメント事業
自動車における動力源の電動化や電子機器の小型化・高性能化によりサーマルマネジメントのニーズが高まりつつあります。当社では、新市場開拓に向け断熱・熱拡散・放熱などの機能をもつサーマルマネジメント材料の開発、ラインナップの拡充を行っております。2020年4月1日付で新設した「事業創造部」は、市場開拓と商品開発を強化し、新事業創出を加速させるよう取り組んでまいります。
・水処理事業
水処理事業はさらなる拡販と原価低減が課題となっております。MBR(膜分離活性汚泥法)という分離膜と活性汚泥法を組み合わせた廃水処理装置「M-fine」は、水資源問題が世界的に深刻化する昨今、水のリサイクル利用を見据え、水資源の保全と有効利用に貢献してまいります。2020年4月1日付で新設した「水環境事業部」は、中国・東南アジアを中心にグローバルな営業体制を整えるとともに生産体制の構築に取り組んでまいります。
④ 戦略投資の強化
中核商品の競争力強化や品質向上のための投資に加え、コーポレートベンチャーキャピタル等の活用を通して、当社の技術と異業種・異分野がもつ技術の融合を図り、次世代中核商品の開発や新市場への参入、事業拡大を目的とした各種アライアンスの戦略投資をさらに強化してまいります。