有価証券報告書-第105期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 10:22
【資料】
PDFをみる
【項目】
158項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。
2016年度に創立100周年を迎え、新たなステージとして、私たちに出来る“コト”を進化させ、当社独自の技術・サービスを磨き上げ、周辺技術・サービスを取り込むことで、従来の延長線上にある「機能紙メーカー」から、『コンサルティング型製造サービス業』へ脱皮変革を目標に掲げました。そして、一歩先を行く顧客価値を提供し、お客様の全幅の信頼を得ることにより、世界最高品質のAWAブランドを構築し、成長を図ってまいります。
(2)経営戦略
当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。
「新市場の開拓と事業領域の拡大」
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」
「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。
このように、安定成長を見込む中核商品と成長分野での新事業からなる積極的な経営を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、健全な経営と企業価値向上のため、総資産経常利益率(ROA)10%以上を目標として掲げております。売上高及び利益率の持続的向上や資本の効率的運用に取り組み、この目標の達成に向けてグループ一丸となって注力してまいります。
(4)経営環境
今後のわが国経済の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、政府による各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復していくものと予想されます。一方で、海外経済では通商問題の動向や中国景気の減速など、依然として不透明感の残る状況にあります。
当社グループ関連の業界につきましては、自動車関連市場において、インドや東南アジアでは需要が堅調に推移するものの、中国・北米・欧州では需要の鈍化が見込まれます。水処理関連市場においては、世界的な水不足や環境問題に対応した水インフラの整備、工業用の需要増加などから今後も市場規模は拡大するものと予想されます。新たな市場としては、自動車の次世代技術や5G通信整備などが具体化してきております。
このような状況において当社グループは、既存事業において市場の求めるニーズに合った商品開発を行い、積極的に拡販活動を続けていくとともに、新たな事業の創出や事業領域の拡大に注力してまいります。さらに、生産面における原価低減活動や間接部門の業務効率の向上などにより、収益性の確保に努めてまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2016年度に創立100周年を迎え、今後も持続的な発展と高収益企業の実現を目指し、2017年度を初年度とする第2次中期経営計画を策定し、以降ローリング方式により事業拡大と経営基盤の強化を目標に掲げ、達成に向けた取り組みを行っております。2019年度は、過去2年間の進捗状況を踏まえ、以下の点を重点課題として捉え、全社一丸となって取り組んでまいります。
① 既存事業のグローバル戦略
エンジン用濾材については、グローバル市場における競争優位を確立するため、日本・タイ国・中国でのグローバル生産体制の再構築や高性能濾材の開発に取り組んでまいります。
分離膜用資材については、市場の成長に伴い競争の激化が進む中でさらなる品質の向上と製造コストの低減に取り組んでまいります。
② 新機能材の市場開拓と新規事業の創出
炭素繊維や粉体等を複合して開発したCARMIX(カルミックス)は、多様な市場のニーズの探索により熱拡散用資材、電磁波吸収用資材、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)などのラインナップの拡充を行っております。また、上記商品の市場浸透を図るため、マーケットイン型研究開発活動を推進してまいります。
さらに、新規事業創出の一環として、コーポレートベンチャーキャピタル等の活用を通して、当社の技術と異業種・異分野が持つ技術の融合を図り、新たな市場の創造に取り組んでまいります。
③ 収益構造の改善と資本効率の向上
原燃料の調達及び生産工程、物流、生販在の管理において、IoT・RPA等の活用や創意工夫により生産性向上に取り組み、収益構造の改善と競争力の強化を図るとともに、効率的な経営資源の活用を進めてまいります。
④ 戦略投資の強化
中核商品の競争力強化や品質向上のための投資に加え、持続的な発展に向けて新市場への参入や事業領域の拡大のために、次世代中核商品の開発や事業連携の戦略投資をさらに強化してまいります。
⑤ 中国事業の再展開
エンジン用濾材の生産拠点再構築については、阿波製紙(上海)有限公司から安徽省の滁州市国豊阿波濾材有限公司(合弁会社)への業務移管を完了し、市場競争力のある品質・価格・納期を確保した製品・サービスを安定供給してまいります。
なお、阿波製紙(上海)有限公司については、速やかに土地使用権等の譲渡を完了し、清算業務を開始いたします。