四半期報告書-第17期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/11/10 9:48
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25項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態に関する分析
① 流動資産
当第2四半期会計期間末における流動資産の残高は、前事業年度末比127.4%増の3,457,852千円となりました。これは主に、売掛金が21,060千円、流動資産のその他に含まれる前渡金が147,744千円減少したものの、現金及び預金が2,110,553千円増加したことによるものであります。現金及び預金の増加については、第三者割当増資及び新株予約権の行使による払込みが主な要因であります。
② 固定資産
当第2四半期会計期間末における固定資産の残高は、前事業年度末比31.3%減の119,381千円となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が54,272千円減少したことによるものであります。投資有価証券の減少については、投資有価証券評価損の計上が主な要因であります。
③ 流動負債
当第2四半期会計期間末における流動負債の残高は、前事業年度末比62.8%減の476,374千円となりました。これは主に、短期借入金が306,720千円、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が350,000千円、流動負債のその他に含まれる未払金が88,814千円、前受金が125,000千円減少したことによるものであります。
④ 固定負債
当第2四半期会計期間末における固定負債の残高は、前事業年度末比12.2%増の12,420千円となりました。これは退職給付引当金の増加によるものであります。
⑤ 純資産
当第2四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末比665.8%増の3,088,439千円となりました。これは主に、四半期純損失を803,928千円計上したものの、第三者割当増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,751,752千円増加したことによるものであります。
(2) 業績の状況
当第2四半期累計期間における我が国経済は、政府の経済政策や日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策により緩やかな回復基調が続いているものの、円高・ドル安による影響もあり企業収益の改善には足踏みがみられます。さらに、近年稀に見る頻度で日本各地に台風が上陸するなど自然災害による打撃から景気への影響が懸念されております。また、米国や欧州の雇用環境に改善がみられ経済の回復や個人消費の堅調さの下支えにはなっているものの、英国の欧州連合(EU)離脱、中国をはじめとした新興国経済の緩やかな減速懸念、米国の金利引き上げの時期に対する市場の思惑などから国際金融市場の不安は依然として払拭されておらず、景気全般としては先行き不透明な状況が続いております。
当社の事業に関わる医療・医薬品分野においては、総務省が実施した平成27年国勢調査の結果が公表され、平成27年10月時点で15歳未満人口が過去最低の12.7%となり、65歳以上人口が初めて25%を超えるなど、本格的な少子化・高齢化時代を迎えたことを示しており、社会保障費抑制や医療費低減の必要性を改めて実感させる内容となりました。その社会的な必要性の高まりから、平成28年4月にバイオ後続品の振興・発展を目的としたバイオシミラー協議会が設立されるなど後発医薬品普及のための市場環境整備は着実に前進しております。
このような状況の下、当社のバイオ後続品事業は、富士製薬工業㈱と持田製薬㈱による好中球減少症治療薬「フィルグラスチムBS」の販売が順調に推移しており、当社の経営の安定感は継続しております。それに加えて平成28年9月には、㈱三和化学研究所と共同開発を行っているダルベポエチンアルファバイオ後続品について、国内における第Ⅲ相臨床試験を開始するなど、開発は着実に前進しております。また、ノーリツ鋼機グループの一員となったことで同社の医療事業領域である再生医療分野との連携も強化され、当社の新規事業分野のスタートに向けて協議を重ねております。当社としては自らの一層の成長と、より品質が高く廉価なバイオ医薬品をより多くの患者様に的確かつ迅速に届けるために、次のとおり既存開発品目の開発の着実な進捗及び新たな開発品目の立上げを積極的に図っております。
① フィルグラスチム(G-CSF)の次世代型「ペグフィルグラスチム(PEG-G-CSF)バイオ後続品」の開発
② ㈱三和化学研究所とのダルベポエチンアルファバイオ後続品の国内共同開発
③ 持田製薬㈱とのがん領域におけるバイオ後続品の業務提携
④ 千寿製薬㈱との眼科領域におけるバイオ後続品の資本業務提携
⑤ その他複数のバイオ後続品の開発品目の拡充
一方、バイオ新薬事業では、次世代型抗体医薬品の研究開発を進めているほか、㈱ジーンデザインとの核酸共同事業により核酸の医薬品への展開の機会を探ったり、国立がん研究センターと共同特許出願したエクソソームなどの新規技術の取得にも力を入れております。
さらに、医薬品の開発には時間を要するため、安定的な経営環境をより強固に構築する目的で、ヘルスケア関連分野である医療機器、診断薬、再生医療などについても広く事業シーズを探索し、事業化に向けて取り組んでおります。
これらの結果、売上高は490,793千円(前年同期比38.0%減)、営業損失は731,957千円(前年同期は116,407千円の営業損失)、経常損失は757,346千円(前年同期は99,840千円の経常損失)、四半期純損失は803,928千円(前年同期は100,790千円の四半期純損失)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、研究開発におけるリスクを低減させるため、研究開発過程の全てを自社で行うことはせずに、社外との業務提携によって推進することを基本方針としております。このため、業務提携先の方針の変化などによって、研究開発の進捗が遅れるなど、外部要因によって当社の収益が大きく影響を受ける可能性があります。
また、当社は積極的にパイプラインの拡充を図っていく方針ですが、新規の開発品に着手することにより、研究開発費が大幅に増加する可能性があります。
(4) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,110,553千円増加し、2,927,895千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は708,106千円(前年同期は25,586千円の減少)となりました。これは主に、前渡金の減少147,744千円はあったものの、税引前四半期純損失を802,718千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は124千円(前年同期は7,072千円の減少)となりました。これは差入保証金の差入による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は2,818,784千円(前年同期は190,897千円の増加)となりました。これは短期借入金の純減少額306,720千円はあったものの、第三者割当による株式の発行による収入1,990,634千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入1,134,869千円があったことによるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に関する分析
当社が業を営む医薬品業界の特質として、研究開発投資がリターンを生み出すまでの期間が長く、これに伴うリスクも高いと考えられております。このため、安定的な収益基盤を確立するまでの間は、間接金融による資金調達は難しく、直接金融による資金調達が基本になると考えております。
(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第2四半期累計期間における研究開発活動の金額は、862,962千円であります。
また、当第2四半期累計期間における研究開発活動の状況の変更内容は、次のとおりであります。
① 平成27年11月に資本業務提携の基本合意書を締結しておりました千寿製薬㈱との間で、平成28年5月12日付で、眼科領域のバイオ後続品に係る共同事業化契約を締結いたしました。
② ㈱三和化学研究所と共同開発を行っているダルベポエチンアルファバイオ後続品について、国内における第Ⅲ相臨床試験を平成28年9月に開始いたしました。
(8) 経営戦略の現状と見通し
当社は、当面の間は、新薬と比較して明らかに研究開発リスクの小さいバイオ後続品に経営資源を集中する方針であります。また、研究開発の早期の段階で業務提携を行い、開発業務と費用を分担することで、研究開発費とリスクの低減を図ってまいります。現在、フィルグラスチムバイオ後続品に続く開発品の拡充に向け、業務提携候補先との交渉を進めております。
(9) 経営者の問題認識と今後の方針について
医薬品開発におけるリスクを分散させるためには、複数の開発品を保有し、パイプラインの充実を図ることが最重要課題であると考えておりますが、そのためには研究開発資金が必要となります。特に、バイオ後続品については、既存バイオ医薬品の特許期間の満了時期から逆算して研究開発を開始する必要があるため、機を逸することのない意思決定と経営資源の投入を行う必要があります。また、バイオ新薬については、優れた有効性や差別化を訴求できるように限られた経営資源でデータを得て、あらゆる手段を講じて、ライセンスアウト先との交渉の機会を作ることにも注力いたします。そこで、安定的な収益基盤を確立するまでの間は、開発品の優先順位を勘案の上、財務会計面及び管理会計面からも検討を加え、意思決定を行っていきたいと考えております。