四半期報告書-第18期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2017/08/10 9:22
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20項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態に関する分析
① 流動資産
当第1四半期会計期間末における流動資産の残高は、前事業年度末比8.2%減の3,142,423千円となりました。これは主に、前渡金が277,930千円増加したものの、現金及び預金が475,215千円、売掛金が47,644千円減少したことによるものであります。現金及び預金の減少並びに前渡金の増加については、バイオ後続品に係る開発費の支払いが主な要因であります。
② 固定資産
当第1四半期会計期間末における固定資産の残高は、前事業年度末比17.4%増の333,892千円となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が49,670千円増加したことによるものであります。
③ 流動負債
当第1四半期会計期間末における流動負債の残高は、前事業年度末比62.1%減の71,794千円となりました。これは主に、未払法人税等が26,640千円、流動負債のその他に含まれる未払金が97,971千円減少したことによるものであります。
④ 固定負債
当第1四半期会計期間末における固定負債の残高は、前事業年度末比0.8%増の16,744千円となりました。なお、固定負債について、特筆すべき増減はありません。
⑤ 純資産
当第1四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末比3.2%減の3,387,776千円となりました。これは主に、四半期純損失を115,235千円計上したことによるものであります。
(2) 業績の状況
当第1四半期累計期間における我が国経済は、政府の経済政策の効果によって、徐々に個人消費に持ち直しの動きが見られはじめ、雇用・所得環境の改善が進むなど景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界景気全般については、緩やかに回復しているものの、アジア・欧州・米国の地政学的リスクに対する懸念は未だ払拭されておらず、これらの動向が景気を大きく左右していくものと見込まれ、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の事業に関わる医療・医薬品分野においては、人口の高齢化に伴って高まり続ける医療費を抑制するため、後発医薬品の普及促進策が様々な観点で継続的に検討・推進されております。バイオ後続品事業を営む企業は、これらの政策の後押しを受けて、各々の開発活動を加速させており、その結果、バイオ後続品の開発競争も徐々に活発化してまいりました。このように医療費抑制のための施策や後発医薬品の市場環境整備が進み、バイオ後続品の認知度が高まる一方で、将来的に大きく拡大するであろうバイオ後続品市場のシェア獲得に向けて各企業は各々の事業戦略を推し進めております。
このような状況の下、当社のバイオ後続品事業は、富士製薬工業㈱と持田製薬㈱による好中球減少症治療薬「フィルグラスチムBS」の販売が順調に推移しており、当社の経営の安定感は継続しております。それに加えて、平成28年9月に㈱三和化学研究所と共同開発を行っているダルベポエチンアルファバイオ後続品について国内における第Ⅲ相臨床試験を開始し、同年12月には持田製薬㈱とがん治療領域におけるバイオ後続品について共同事業化契約を締結して製造販売承認の取得に向けての共同開発を始め、さらには、平成29年3月に伊藤忠ケミカルフロンティア㈱と新たなバイオ後続品の開発について資本業務提携を結ぶなど、パイプラインの開発は着実に前進しております。これらをとおして、より品質が高く廉価なバイオ医薬品をより多くの患者様に的確かつ迅速に届けるため、併せて自らの一層の成長を目指すために、次のとおり既存開発品目の着実な開発推進及び新たな開発品目の立ち上げを積極的に図っております。
① フィルグラスチム(G-CSF)の次世代型「ペグフィルグラスチム(PEG-G-CSF)バイオ後続品」の開発
② ㈱三和化学研究所とのダルベポエチンアルファバイオ後続品の国内共同開発
③ 持田製薬㈱とのがん治療領域におけるバイオ後続品の業務提携
④ 千寿製薬㈱との眼科領域におけるバイオ後続品の資本業務提携
⑤ その他複数のバイオ後続品の開発品目の拡充
一方、バイオ新薬事業では、次世代型抗体医薬品等の研究開発を進めた結果、現在新たに1品目について知財化を見込んでおり、着実な特許出願を目指してまいります。そのほか、平成28年12月に味の素グループの一員となった㈱ジーンデザインとの核酸共同事業をとおして核酸医薬品の創薬の機会を探ったり、国立がん研究センターと共同特許出願したエクソソームなどの新規技術の取得にも力を入れております。
また、当社のバイオ新規事業にあたる再生医療分野においては、平成28年10月に当社と同じノーリツ鋼機グループの一員である㈱日本再生医療と資本業務提携を行い、同社が開発中の心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化を目指し、グループ全体で再生医療分野の事業拡大に取り組んでおります。平成29年2月には、順天堂大学と共同研究契約を締結し、同大学が研究を進めている免疫寛容誘導を活用した新たな免疫抑制治療法の研究開発を開始しました。さらには、同年5月に北海道に本社を置く企業並びに金融機関と共同出資の下、北海道発の再生医療ベンチャー企業である㈱ミネルヴァメディカを設立し、同社と札幌医科大学で糖尿病性腎症の自己骨髄間葉系幹細胞を用いた治療法の共同研究契約を締結するなど、着実に当該事業の拡充と推進を図っております。
医薬品の開発には時間を要するため、安定的な経営環境をより強固に構築する目的で、医療関連分野である医療機器や診断薬などについても広く事業シーズを探索し、事業化に向けて取り組んでおります。
これらの結果、売上高は171,600千円(前年同期比47.3%減)、営業損失は118,540千円(前年同期は301,577千円の営業損失)、経常損失は114,760千円(前年同期は325,779千円の経常損失)、四半期純損失は115,235千円(前年同期は371,756千円の四半期純損失)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、104,839千円であります。
また、当第1四半期累計期間において、北海道発の再生医療ベンチャー企業である㈱ミネルヴァメディカの設立に参加し、同社と札幌医科大学での糖尿病性腎症の自己骨髄間葉系幹細胞を用いた治療法の共同研究の事業化に向けたサポートを開始しました。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、研究開発におけるリスクを低減させるため、研究開発過程の全てを自社で行うことはせずに、社外との業務提携によって推進することを基本方針としております。このため、業務提携先の方針の変化などによって、研究開発の進捗が遅れるなど、外部要因によって当社の収益が大きく影響を受ける可能性があります。
また、当社は積極的にパイプラインの拡充を図っていく方針ですが、新規の開発品に着手することにより、研究開発費が大幅に増加する可能性があります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性に関する分析
当社が業を営む医薬品業界の特質として、研究開発投資がリターンを生み出すまでの期間が長く、これに伴うリスクも高いと考えられております。このため、安定的な収益基盤を確立するまでの間は、間接金融による資金調達は難しく、直接金融による資金調達が基本になると考えております。