有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、大学発ベンチャーである公共の精神に則り、企業としての利益追求による社会への貢献はもとより、希少疾患や難治性疾患治療のための医薬品開発に取り組み、医療格差をなくし、きめ細かく人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献することで、こころ豊かで安心できる社会環境を提供すべく、日々研究開発に努めております。
(2) 経営戦略等
当社の経営戦略は、研究開発の対象領域を抗体医薬に代表されるバイオ医薬品と定め、これを大学等での研究から見出された医薬品のシーズを育成するバイオ新薬事業と新しいカテゴリーとして設定されたバイオ医薬品のジェネリックと言えるバイオ後続品事業に分けて推進していくことであります。また、近年はこれら2事業に加えて、将来に向けて成長性の高い事業を拡充する目的で再生医療分野を中心とした新規バイオ事業を立ち上げました。このように、比較的開発リスクが低く一定の収益が見込めるバイオ後続品事業と、開発リスクはあるが高い収益が見込めるバイオ新薬事業及び新規バイオ事業を両輪として、安定性と成長性を兼ね備え、相互補完が可能となる事業の推進を通して、より盤石な経営体制を構築してまいります。
バイオ後続品事業については、バイオ医薬品の1品目のグローバル市場は数千億円規模と非常に大きく、さらに、各国の医療行政において後発品への要求が高まっていることから、当社はこの分野にグローバルに参入することを目指します。また、外部委託を活用するファブレス型で身軽な経営を行います。また、品目の選定は、製薬企業の要望を捉えて開発方針を企画し、共同開発の形式で製薬企業などに原薬や製剤を販売し、利益を上げてまいります。
バイオ新薬事業については、大学、研究機関及び事業会社と共同研究や研究会を立ち上げ、効果的かつ効率的に抗体医薬や核酸医薬などのバイオ医薬品シーズの探索を行います。さらに、自社における研究開発により付加価値を高めた上で、製薬企業にライセンスアウトし、収益に結びつけてまいります。
新規バイオ事業については、再生医療等製品を始めとした最先端の医学・医療分野における事業展開となることが想定され、新たな事業モデルの構築が求められるため、より多面的な事業評価や採算性評価等が必要となります。そのため、ノーリツ鋼機グループとの協業を軸に、様々な大学、研究機関及び事業会社と情報交換を行い、効果的かつ効率的に事業の立ち上げを行うべく積極的に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、バイオ新薬事業とバイオ後続品事業を事業の柱としており、加えてバイオ医薬品の他に大学等での研究から見出された再生医療等製品のシーズ探索、研究を行う新規バイオ事業にも着手しております。これらは共に医薬品及び再生医療等製品の開発であるため、膨大な時間と資金を必要とし、収益計上できるまでの期間が非常に長く、短期的な経営指標で実績評価を行うことが適さないビジネスであります。このため、目標とする短期的な経営指標は設定しておりませんが、中長期的には、テーマごとに開発スケジュールを設定し、スケジュールの達成度を指標とし、これに伴う研究開発投資について効率性を慎重に検討しつつ経営を進めてまいります。
(4) 経営環境
我が国の医薬品業界においては、規制緩和や社会保障費の削減に向けたジェネリック医薬品の普及促進策など、業界を変えていくような様々な施策が、政府の成長戦略と相俟って具体化され始めておりますが、既にこの流れは当社開発品の販売状況にも見られ、今後も続くものと思われます。さらに、海外の先進国においてはジェネリック医薬品の市場シェアの拡大傾向が日本よりも顕著に表れており、このような状況は当社にとってビジネスチャンスであります。この急速に高まる需要に応えるべく、より積極的にバイオ後続品開発を進め、新たなバイオ後続品の上市を達成することが経営の安定化につながり、さらにはバイオ新薬事業や新規バイオ事業を推進する環境を整えることができるものと考えております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① バイオ新薬の開発
バイオ新薬事業では、ライセンスアウト先が望むデータを揃え、ネットワークやビジネスチャンスを最大限に活用して、早期にライセンスアウトを実現させることが重要であると考えております。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ 抗α9インテグリン抗体(開発番号:GND-001、対象疾患領域:免疫疾患、がん)への取組み
本開発品については、既に科研製薬㈱へライセンスアウトしておりますが、当社は引き続き同社との共同研究において、商業化に向けた大量生産の製法開発や最適な対象疾患の絞込みの研究を進めております。
また、同社には国内外の開発権を許諾しておりますので、グローバル展開を加速するための提携についても、当社は同社をサポートし、早期にグローバル展開できる提携先も確保したいと考えております。
ロ バイオ新薬候補品の充実
バイオ新薬は、研究活動によって新薬のシーズを見つけ、次に、細胞レベル・小動物レベルでの有効性を確認した上で特許などの産業財産権による権利化を行い、ここで初めて公開することができます。そのようなこれまでの研究成果の積み上げにより、平成29年9月には、新規メカニズムに基づく新生血管形成を阻害する画期的な新規抗体医薬品の候補抗体の創出に成功し、既に特許出願をしております。引き続き、将来より顕在化しそうな疾患領域や現時点では満足な治療法がない疾患領域を見極め、外部機関との連携も活かしながら研究開発を行っていく所存であります。
② バイオ後続品の開発
バイオ後続品の対象となるバイオ医薬品は、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」(一般名:アダリムマブ)のように、関節リウマチ、尋常性乾癬などの治療薬として売上高が2兆円にせまるものを筆頭にブロックバスターが目白押しです。これらが特許期間の満了を順次迎えることから、大きな市場が見込まれております。当社は、フィルグラスチムバイオ後続品の開発において培った経験とノウハウを発展的に応用することで、新たなバイオ後続品の開発を効率的かつ優位に進めることが可能であると考えております。新規バイオ後続品の拡充に取り組むことは、当社が継続的に企業価値を高めていくために重要であると認識しております。また、今後、バイオ後続品事業は世界的な競争により拍車がかかると想定されることから、開発品目の選定は多面的な評価をした上で慎重に行い、選定した開発品目については開発リスク低減のために早期に提携関係を構築し、経営資源を集中して効率的な開発を心掛けてまいります。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)への取組み
当該医薬品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムであります。また、先行品の世界での市場規模が約5,000億円となっていることも大きな魅力となっております。
当該医薬品の原料が既に日本で上市しているフィルグラスチムであることから、フィルグラスチムバイオ後続品を有する点で当社は他社に比してペグフィルグラスチムの開発を進める上で優位性があります。また、当社は当該バイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ておりますので、これを訴求データとして国内外の製薬企業との早期の提携を実現すべく、今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ロ ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)への取組み
当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、国内では約550億円の市場を形成しております。現在、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所と共同開発を進めており、平成28年9月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ハ がん治療領域のバイオ後続品への取組み
がんの治療法は日進月歩であり、バイオ医薬品への期待は高く、現在、世界の医薬品市場の上位一角を占めるのはがん治療に係るバイオ医薬品です。当社は、平成28年12月に持田製薬㈱とのがん治療領域におけるバイオ後続品の共同事業化契約を締結し、開発を開始しました。今後は相互協力の下、当該治療領域におけるバイオ後続品の上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ニ 眼科治療領域のバイオ後続品への取組み
世界的な高齢化社会の進展や生活習慣の変化に伴い、黄斑変性症等の眼疾患の患者が増加しております。これらの治療薬としてバイオ医薬品が注目されておりますが、当該領域のバイオ医薬品は高額であり、様々な患者様にご使用頂くためにもバイオ後続品の開発の社会的必要性を感じております。当社は、平成28年5月より眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と当該領域におけるバイオ後続品の共同開発を開始しており、平成29年11月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ホ アダリムマブバイオ後続品(開発番号:GBS-005、対象疾患:免疫疾患)への取組み
当該先行品は関節リウマチや尋常性乾癬などの治療薬として世界での売上高が約2兆円規模で、現時点で最も販売高を上げている医薬品です。当社は当該医薬品のバイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ております。これらを基に導出活動を推進した結果、平成29年9月には、中国の長春長生生物科技有限責任公司に対して原薬製造に関する技術移管を果たし、今後は同国への上市に向けて引き続き鋭意取り組んでまいります。
③ バイオ医薬品事業全般における優位性の確保
イ 開発品目の優先順位
上述のとおり当社はバイオ新薬及びバイオ後続品事業のいずれにおいても複数の開発品目を保有しており、限られた人員と資金を効率的に投下して最大限の成果を上げられるよう日々深慮し、提携先の製薬企業や委託先と協業の下、当社の開発品目の価値最大化に努めております。その一方で、バイオ医薬品の市場動向、各疾患領域の標準治療法、競合他社の開発状況等も日々変化しています。当社は、社内外の様々な要因を適時勘案し、当社の開発品目の優先順位を柔軟に見直しながら、当社の開発品目の市場優位性を確保しつつ、企業価値の最大化を図ってまいります。
ロ 製品の競争優位性の確保
医薬品にとって原薬の品質と製造費用は重要ですが、とりわけバイオ医薬品にはその2点が長期的な事業を行う上で最重要な事項となります。当社としては、その点のみならず、製品の使い勝手(ユーザビリティ)が市場優位性を左右するものと考えております。そこで、当社は原薬製造の供給体制及び製造費用に関わる製造委託先との製法開発に注力するとともに、製剤においても医療現場や患者の使い勝手に優れた製品を目指し、デバイス企業との協議にも積極的に取り組んでまいります。
④ 新規バイオ事業の推進
当社は、将来の成長基盤を確立させるため、再生医療分野を中心とした以下の新規バイオ事業に積極的に取り組んでまいります。
イ ノーリツ鋼機グループである㈱日本再生医療との心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化
ロ 順天堂大学との免疫寛容誘導を活用した新たな免疫抑制治療法の研究開発
ハ 当社を含めた北海道に本社を置く企業が共同出資で設立した㈱ミネルヴァメディカを通じた札幌医科大学との糖尿病性腎症の自己骨髄間葉系幹細胞を用いた治療法の共同研究
次期もこれらの案件を着実に進めるとともに、様々な企業、学術機関等と新規事業立ち上げのための情報交換、協業検討を行い、本事業の拡充と推進を図ってまいります。
⑤ 提携による事業推進
当社は、成長著しいバイオ医薬品の開発に注力し、がん領域や自己免疫疾患など治療薬がない疾患を対象とするバイオ新薬の開発に取り組んでおります。ただし、当社の経営資源には限りがあることから、経営資源を効率的に活かすために提携によって補完し得る企業と事業推進を図る必要があります。このような状況の下、平成30年4月には、日本発の最先端ナノテクノロジーであるミセル化ナノ粒子技術を所有するナノキャリア㈱と親会社であるノーリツ鋼機㈱と当社の3社間で資本業務提携契約を締結し、各社の所有する技術・知見等を組み合わせた革新的な技術・医薬品の創出を目指して3社協働体制下にて創薬活動を開始するなど、提携を通じた事業展開も着実に実施しております。
一方、バイオ後続品の開発においては、アジアや欧米の製造委託先についても、密接な人的交流をもとにネットワークの形成とその充実を図っております。また、グローバル製薬企業がバイオ後続品にも取り組み始めておりますので、品質・製造費用・製剤などで差別化できる提案を行い、グローバル製薬企業との提携を目指す必要があります。
以上のように、当社はバイオ新薬及びバイオ後続品の両面において積極的に製造などに関わるネットワークを構築し、国内外の製薬企業との提携により人的・資金的資源を効率的に組み合せながら事業の推進を図ってまいります。
⑥ ノーリツ鋼機グループとの事業推進
当社は、平成28年3月28日に公表しておりますNKリレーションズ㈱(現 NKリレーションズ合同会社)との資本業務提携の下、国内外の大学・公的機関、バイオベンチャー、企業等で眠っている新たなバイオ事業のシーズを探索し、当該バイオテクノロジーを活用した再生医療、遺伝子診断、遺伝子治療等の新規バイオ事業の立ち上げを推進し、長期的な成長基盤を創造するべく、ノーリツ鋼機グループの創薬事業部門と積極的に情報交換を行い、協業の機会を探っております。上述の取り組みの結果、平成28年10月には、同グループの㈱日本再生医療と資本業務提携契約を締結し、共同開発を開始しました。これに留まることなく、次期も引き続き、当社と同グループの協業体制に基づき、積極的に新規事業の立ち上げを行ってまいります。
⑦ ネットワークの強化
当社はビジネスモデルとしてファブレス型の経営を掲げております。また、自社だけでは解決できない課題に対し、社外の経営資源も含めた最適な組合せを構築し、迅速かつ積極的に解決を図ってまいります。また、今後推進していく新規バイオ事業に関する事業のシーズの探索にもネットワークが必要となります。これらのネットワークの構築には、社外との情報交換を積極的に行い、情報集約力を高め、ネットワークのシナジーを最大限に発揮させられる人財の育成が重要であると考えております。
⑧ コンプライアンス・リスク管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社が円滑に社外ネットワークを構築していくためには、当社の社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。当社の取引先の多くは上場企業など社会的信用のある会社や公的研究機関であり、対等な取引関係を維持していくためには、当社にも相応の社会的信用が必要になります。
このような観点から、当社は小規模組織ではありますが、十分な信頼が得られるよう継続的にコンプライアンス及びそのリスクに対する意識の向上及び内部統制の強化を図ってまいります。また、全てのステークホルダーのニーズに対して組織的かつ的確に対応できるよう、コーポレート・ガバナンスの改善を図り、経営の公正性・透明性を高めてまいります。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。
(1) 経営方針
当社は、大学発ベンチャーである公共の精神に則り、企業としての利益追求による社会への貢献はもとより、希少疾患や難治性疾患治療のための医薬品開発に取り組み、医療格差をなくし、きめ細かく人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献することで、こころ豊かで安心できる社会環境を提供すべく、日々研究開発に努めております。
(2) 経営戦略等
当社の経営戦略は、研究開発の対象領域を抗体医薬に代表されるバイオ医薬品と定め、これを大学等での研究から見出された医薬品のシーズを育成するバイオ新薬事業と新しいカテゴリーとして設定されたバイオ医薬品のジェネリックと言えるバイオ後続品事業に分けて推進していくことであります。また、近年はこれら2事業に加えて、将来に向けて成長性の高い事業を拡充する目的で再生医療分野を中心とした新規バイオ事業を立ち上げました。このように、比較的開発リスクが低く一定の収益が見込めるバイオ後続品事業と、開発リスクはあるが高い収益が見込めるバイオ新薬事業及び新規バイオ事業を両輪として、安定性と成長性を兼ね備え、相互補完が可能となる事業の推進を通して、より盤石な経営体制を構築してまいります。
バイオ後続品事業については、バイオ医薬品の1品目のグローバル市場は数千億円規模と非常に大きく、さらに、各国の医療行政において後発品への要求が高まっていることから、当社はこの分野にグローバルに参入することを目指します。また、外部委託を活用するファブレス型で身軽な経営を行います。また、品目の選定は、製薬企業の要望を捉えて開発方針を企画し、共同開発の形式で製薬企業などに原薬や製剤を販売し、利益を上げてまいります。
バイオ新薬事業については、大学、研究機関及び事業会社と共同研究や研究会を立ち上げ、効果的かつ効率的に抗体医薬や核酸医薬などのバイオ医薬品シーズの探索を行います。さらに、自社における研究開発により付加価値を高めた上で、製薬企業にライセンスアウトし、収益に結びつけてまいります。
新規バイオ事業については、再生医療等製品を始めとした最先端の医学・医療分野における事業展開となることが想定され、新たな事業モデルの構築が求められるため、より多面的な事業評価や採算性評価等が必要となります。そのため、ノーリツ鋼機グループとの協業を軸に、様々な大学、研究機関及び事業会社と情報交換を行い、効果的かつ効率的に事業の立ち上げを行うべく積極的に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、バイオ新薬事業とバイオ後続品事業を事業の柱としており、加えてバイオ医薬品の他に大学等での研究から見出された再生医療等製品のシーズ探索、研究を行う新規バイオ事業にも着手しております。これらは共に医薬品及び再生医療等製品の開発であるため、膨大な時間と資金を必要とし、収益計上できるまでの期間が非常に長く、短期的な経営指標で実績評価を行うことが適さないビジネスであります。このため、目標とする短期的な経営指標は設定しておりませんが、中長期的には、テーマごとに開発スケジュールを設定し、スケジュールの達成度を指標とし、これに伴う研究開発投資について効率性を慎重に検討しつつ経営を進めてまいります。
(4) 経営環境
我が国の医薬品業界においては、規制緩和や社会保障費の削減に向けたジェネリック医薬品の普及促進策など、業界を変えていくような様々な施策が、政府の成長戦略と相俟って具体化され始めておりますが、既にこの流れは当社開発品の販売状況にも見られ、今後も続くものと思われます。さらに、海外の先進国においてはジェネリック医薬品の市場シェアの拡大傾向が日本よりも顕著に表れており、このような状況は当社にとってビジネスチャンスであります。この急速に高まる需要に応えるべく、より積極的にバイオ後続品開発を進め、新たなバイオ後続品の上市を達成することが経営の安定化につながり、さらにはバイオ新薬事業や新規バイオ事業を推進する環境を整えることができるものと考えております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① バイオ新薬の開発
バイオ新薬事業では、ライセンスアウト先が望むデータを揃え、ネットワークやビジネスチャンスを最大限に活用して、早期にライセンスアウトを実現させることが重要であると考えております。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ 抗α9インテグリン抗体(開発番号:GND-001、対象疾患領域:免疫疾患、がん)への取組み
本開発品については、既に科研製薬㈱へライセンスアウトしておりますが、当社は引き続き同社との共同研究において、商業化に向けた大量生産の製法開発や最適な対象疾患の絞込みの研究を進めております。
また、同社には国内外の開発権を許諾しておりますので、グローバル展開を加速するための提携についても、当社は同社をサポートし、早期にグローバル展開できる提携先も確保したいと考えております。
ロ バイオ新薬候補品の充実
バイオ新薬は、研究活動によって新薬のシーズを見つけ、次に、細胞レベル・小動物レベルでの有効性を確認した上で特許などの産業財産権による権利化を行い、ここで初めて公開することができます。そのようなこれまでの研究成果の積み上げにより、平成29年9月には、新規メカニズムに基づく新生血管形成を阻害する画期的な新規抗体医薬品の候補抗体の創出に成功し、既に特許出願をしております。引き続き、将来より顕在化しそうな疾患領域や現時点では満足な治療法がない疾患領域を見極め、外部機関との連携も活かしながら研究開発を行っていく所存であります。
② バイオ後続品の開発
バイオ後続品の対象となるバイオ医薬品は、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」(一般名:アダリムマブ)のように、関節リウマチ、尋常性乾癬などの治療薬として売上高が2兆円にせまるものを筆頭にブロックバスターが目白押しです。これらが特許期間の満了を順次迎えることから、大きな市場が見込まれております。当社は、フィルグラスチムバイオ後続品の開発において培った経験とノウハウを発展的に応用することで、新たなバイオ後続品の開発を効率的かつ優位に進めることが可能であると考えております。新規バイオ後続品の拡充に取り組むことは、当社が継続的に企業価値を高めていくために重要であると認識しております。また、今後、バイオ後続品事業は世界的な競争により拍車がかかると想定されることから、開発品目の選定は多面的な評価をした上で慎重に行い、選定した開発品目については開発リスク低減のために早期に提携関係を構築し、経営資源を集中して効率的な開発を心掛けてまいります。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)への取組み
当該医薬品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムであります。また、先行品の世界での市場規模が約5,000億円となっていることも大きな魅力となっております。
当該医薬品の原料が既に日本で上市しているフィルグラスチムであることから、フィルグラスチムバイオ後続品を有する点で当社は他社に比してペグフィルグラスチムの開発を進める上で優位性があります。また、当社は当該バイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ておりますので、これを訴求データとして国内外の製薬企業との早期の提携を実現すべく、今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ロ ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)への取組み
当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、国内では約550億円の市場を形成しております。現在、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所と共同開発を進めており、平成28年9月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ハ がん治療領域のバイオ後続品への取組み
がんの治療法は日進月歩であり、バイオ医薬品への期待は高く、現在、世界の医薬品市場の上位一角を占めるのはがん治療に係るバイオ医薬品です。当社は、平成28年12月に持田製薬㈱とのがん治療領域におけるバイオ後続品の共同事業化契約を締結し、開発を開始しました。今後は相互協力の下、当該治療領域におけるバイオ後続品の上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ニ 眼科治療領域のバイオ後続品への取組み
世界的な高齢化社会の進展や生活習慣の変化に伴い、黄斑変性症等の眼疾患の患者が増加しております。これらの治療薬としてバイオ医薬品が注目されておりますが、当該領域のバイオ医薬品は高額であり、様々な患者様にご使用頂くためにもバイオ後続品の開発の社会的必要性を感じております。当社は、平成28年5月より眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と当該領域におけるバイオ後続品の共同開発を開始しており、平成29年11月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ホ アダリムマブバイオ後続品(開発番号:GBS-005、対象疾患:免疫疾患)への取組み
当該先行品は関節リウマチや尋常性乾癬などの治療薬として世界での売上高が約2兆円規模で、現時点で最も販売高を上げている医薬品です。当社は当該医薬品のバイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ております。これらを基に導出活動を推進した結果、平成29年9月には、中国の長春長生生物科技有限責任公司に対して原薬製造に関する技術移管を果たし、今後は同国への上市に向けて引き続き鋭意取り組んでまいります。
③ バイオ医薬品事業全般における優位性の確保
イ 開発品目の優先順位
上述のとおり当社はバイオ新薬及びバイオ後続品事業のいずれにおいても複数の開発品目を保有しており、限られた人員と資金を効率的に投下して最大限の成果を上げられるよう日々深慮し、提携先の製薬企業や委託先と協業の下、当社の開発品目の価値最大化に努めております。その一方で、バイオ医薬品の市場動向、各疾患領域の標準治療法、競合他社の開発状況等も日々変化しています。当社は、社内外の様々な要因を適時勘案し、当社の開発品目の優先順位を柔軟に見直しながら、当社の開発品目の市場優位性を確保しつつ、企業価値の最大化を図ってまいります。
ロ 製品の競争優位性の確保
医薬品にとって原薬の品質と製造費用は重要ですが、とりわけバイオ医薬品にはその2点が長期的な事業を行う上で最重要な事項となります。当社としては、その点のみならず、製品の使い勝手(ユーザビリティ)が市場優位性を左右するものと考えております。そこで、当社は原薬製造の供給体制及び製造費用に関わる製造委託先との製法開発に注力するとともに、製剤においても医療現場や患者の使い勝手に優れた製品を目指し、デバイス企業との協議にも積極的に取り組んでまいります。
④ 新規バイオ事業の推進
当社は、将来の成長基盤を確立させるため、再生医療分野を中心とした以下の新規バイオ事業に積極的に取り組んでまいります。
イ ノーリツ鋼機グループである㈱日本再生医療との心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化
ロ 順天堂大学との免疫寛容誘導を活用した新たな免疫抑制治療法の研究開発
ハ 当社を含めた北海道に本社を置く企業が共同出資で設立した㈱ミネルヴァメディカを通じた札幌医科大学との糖尿病性腎症の自己骨髄間葉系幹細胞を用いた治療法の共同研究
次期もこれらの案件を着実に進めるとともに、様々な企業、学術機関等と新規事業立ち上げのための情報交換、協業検討を行い、本事業の拡充と推進を図ってまいります。
⑤ 提携による事業推進
当社は、成長著しいバイオ医薬品の開発に注力し、がん領域や自己免疫疾患など治療薬がない疾患を対象とするバイオ新薬の開発に取り組んでおります。ただし、当社の経営資源には限りがあることから、経営資源を効率的に活かすために提携によって補完し得る企業と事業推進を図る必要があります。このような状況の下、平成30年4月には、日本発の最先端ナノテクノロジーであるミセル化ナノ粒子技術を所有するナノキャリア㈱と親会社であるノーリツ鋼機㈱と当社の3社間で資本業務提携契約を締結し、各社の所有する技術・知見等を組み合わせた革新的な技術・医薬品の創出を目指して3社協働体制下にて創薬活動を開始するなど、提携を通じた事業展開も着実に実施しております。
一方、バイオ後続品の開発においては、アジアや欧米の製造委託先についても、密接な人的交流をもとにネットワークの形成とその充実を図っております。また、グローバル製薬企業がバイオ後続品にも取り組み始めておりますので、品質・製造費用・製剤などで差別化できる提案を行い、グローバル製薬企業との提携を目指す必要があります。
以上のように、当社はバイオ新薬及びバイオ後続品の両面において積極的に製造などに関わるネットワークを構築し、国内外の製薬企業との提携により人的・資金的資源を効率的に組み合せながら事業の推進を図ってまいります。
⑥ ノーリツ鋼機グループとの事業推進
当社は、平成28年3月28日に公表しておりますNKリレーションズ㈱(現 NKリレーションズ合同会社)との資本業務提携の下、国内外の大学・公的機関、バイオベンチャー、企業等で眠っている新たなバイオ事業のシーズを探索し、当該バイオテクノロジーを活用した再生医療、遺伝子診断、遺伝子治療等の新規バイオ事業の立ち上げを推進し、長期的な成長基盤を創造するべく、ノーリツ鋼機グループの創薬事業部門と積極的に情報交換を行い、協業の機会を探っております。上述の取り組みの結果、平成28年10月には、同グループの㈱日本再生医療と資本業務提携契約を締結し、共同開発を開始しました。これに留まることなく、次期も引き続き、当社と同グループの協業体制に基づき、積極的に新規事業の立ち上げを行ってまいります。
⑦ ネットワークの強化
当社はビジネスモデルとしてファブレス型の経営を掲げております。また、自社だけでは解決できない課題に対し、社外の経営資源も含めた最適な組合せを構築し、迅速かつ積極的に解決を図ってまいります。また、今後推進していく新規バイオ事業に関する事業のシーズの探索にもネットワークが必要となります。これらのネットワークの構築には、社外との情報交換を積極的に行い、情報集約力を高め、ネットワークのシナジーを最大限に発揮させられる人財の育成が重要であると考えております。
⑧ コンプライアンス・リスク管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社が円滑に社外ネットワークを構築していくためには、当社の社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。当社の取引先の多くは上場企業など社会的信用のある会社や公的研究機関であり、対等な取引関係を維持していくためには、当社にも相応の社会的信用が必要になります。
このような観点から、当社は小規模組織ではありますが、十分な信頼が得られるよう継続的にコンプライアンス及びそのリスクに対する意識の向上及び内部統制の強化を図ってまいります。また、全てのステークホルダーのニーズに対して組織的かつ的確に対応できるよう、コーポレート・ガバナンスの改善を図り、経営の公正性・透明性を高めてまいります。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。