有価証券報告書-第15期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:19
【資料】
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【項目】
68項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) バイオ新薬の開発
バイオ新薬事業では、ライセンスアウト先が望むデータを揃え、ネットワークやビジネスチャンスを最大限に活用して、早期にライセンスアウトを実現させることが重要であると考えております。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
① 抗α9インテグリン抗体(開発番号:GND-001、対象疾患領域:免疫疾患、がん)への取組み
本開発品については、既に科研製薬㈱へライセンスアウトしておりますが、当社は引き続き同社との共同研究において、商業化に向けた大量生産の製法開発や最適な対象疾患の絞込みの研究を進めております。
また、同社には国内外の開発権を許諾しておりますので、グローバル展開を加速するための提携についても、当社は同社をサポートし、早期にグローバル展開できる提携先も確保したいと考えております。
② 低分子ヘパリン・トリエタノールアミン(開発番号:GND-006、対象疾患領域:循環系疾患)への取組み
ヘパリン製剤は、抗凝固作用を有することから、抗血栓薬として用いられており、巨大マーケットを形成しております。当社は、従来のヘパリン製剤に改良を加え、動物実験において局所(経皮)投与による抗血栓効果を確認いたしました。また、この研究は共同研究先の大学にて論文とし、専門誌に掲載いたしました。
ライセンスアウトにおいては、既存のヘパリン製剤とは異なる投与経路による差別化を強調した提案資料をもとに、日米欧の製薬企業へのライセンス活動を開始してまいります。
③ バイオ新薬候補品の充実
バイオ新薬は、研究活動によって新薬の種を見つけ、次に、細胞レベル・小動物レベルでのPOCを確認した上で知財化し、ここで初めて公開することができます。よって、抗体医薬品候補など現在着手している研究テーマをできるだけ効率的に知財化していくことが目標となります。さらに、バイオ新薬については、設立以来のテーマに留まらず、将来的な疾患領域やアンメットな疾患領域を見極め、外部機関との連携も活かしながら研究開発を行っていく所存であります。
(2) バイオ後続品のパイプライン拡充
バイオ後続品の対象となるバイオ医薬品は、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」のように、関節リウマチ、尋常性乾癬などの治療薬として売上高が1兆円を超えるものを筆頭にブロックバスターが目白押しです。これらが特許期間の満了を順次迎えることから、大きな市場が見込まれております。当社は、G-CSFの開発において培った経験とノウハウを発展的に応用することで、新たなバイオ後続品の開発を効率的かつ優位に進めることが可能であると考えております。新規バイオ後続品の拡充に取り組むことは、当社が継続的に企業価値を高めていくために重要であり、今後、世界的な競争も想定されることから、開発リスク低減のために早期に提携関係を構築し、開発品目の選定にも留意し、経営資源を集中して効率的な開発を心掛けてまいります。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
① G-CSF(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)への取組み
当社が開発してまいりましたG-CSFのバイオ後続品は、平成25年5月に日本国内において上市されました。さらに、当該医薬品の経済価値を最大化するために、早期に欧米やアジア市場での開発に着手すべくレギュレーションの調査を行い、販売面では海外製薬企業への導出活動を開始いたします。
② PEG-G-CSF(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)への取組み
当該医薬品は、G-CSFにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型G-CSFであります。また、市場規模が約5,000億円となっていることも大きな魅力となっております。
当該医薬品の原料が既に日本で上市しているG-CSFであることから、これを有する点で当社は他社に比してアドバンテージがあります。また、当社はPEG-G-CSFの原薬製造プロセスを既に確立し、先発品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ておりますので、これを訴求データとして国内外の製薬企業との早期の提携を実現し、企業価値向上のためのバリューチェーンの構築に注力してまいります。
③ ダルべポエチンアルファ(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)への取組み
当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、国内では約600億円の市場を形成しております。現在、当社は国内製薬企業と共同開発を進めており、早期の臨床試験入りを目標に取り組んでまいります。
④ 製品の競争優位性の確保
バイオ後続品は、原薬の品質とコストが重要となりますが、一方で製品の使い勝手(ユーザビリティー)が市場優位性を左右するとも考えております。そこで、当社では、原薬製造の供給体制及びコストに関わる製造委託先との製法開発に注力するとともに、製剤においても医療現場や患者の使い勝手に優れた製品を目指し、デバイス企業との協議にも積極的に取り組んでまいります。
⑤ バイオ後続品の選定
バイオ後続品の開発は、売上上位のブロックバスターが注目され、当然ながら競合先も多くなります。そこで、疾患領域や提携製薬企業の特性などを考慮した上で、差別化できるバイオ後続品について優位に開発していく所存であります。
(3) 提携による事業推進とバリューチェーンの構築
当社は、成長著しいバイオ医薬品の開発に注力し、がん領域や自己免疫疾患など治療薬がない疾患を対象とするバイオ新薬の開発に取り組んでおります。ただし、当社の経営資源には限りがあることから、経営資源を効率的に活かすためにアライアンスによって補完し得る企業と事業推進を図る必要があります。
一方、バイオ後続品の開発においては、アジアや欧米の製造委託先についても、密接な人的交流をもとにネットワークの形成とその充実を図っております。また、グローバル製薬企業がバイオ後続品にも取り組み始めておりますので、品質・コスト・製剤などで差別化できる提案を行い、グローバル製薬企業とのアライアンスを目指す必要があります。
以上のように、当社はバイオ新薬及びバイオ後続品の両面において積極的に製造などに関わるネットワークを構築し、国内外の製薬企業とのアライアンスにより人的・資金的資源の効率的な組合せが可能となるバリューチェーンの構築を図ってまいります。
(4) ネットワークの強化
当社はビジネスモデルとしてファブレス型の経営を掲げております。また、自社だけでは解決できない課題に対し、社外の経営資源も含めた最適な組合せを構築し、迅速かつ積極的に解決を図ってまいります。これらのネットワークの構築には、社外との情報交換を積極的に行い、情報集約力を高め、ネットワークのシナジーを最大限に発揮させられる人財の育成が重要であると考えております。
(5) コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社が円滑に社外ネットワークを構築していくためには、当社の社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。当社の取引先の多くは上場企業など社会的信用のある会社や公的研究機関であり、対等な取引関係を維持していくためには、当社にも相応の社会的信用が必要になります。
このような観点から、当社は小規模組織ではありますが、十分な信頼が得られるよう内部管理体制の強化を図ってまいります。また、コーポレート・ガバナンスを構築し、全てのステークホルダーのニーズに対して組織的かつ的確に対応できるよう、経営の透明性を高めてまいります。また、内部統制の強化についても、経営の効率化に留まらず、コンプライアンス体制を強化し、経営の健全化に努めてまいります。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。