訂正有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/22 16:05
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131項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、大学発ベンチャーである公共の精神に則り、企業としての利益追求による社会への貢献はもとより、希少疾患や難治性疾患治療のための医薬品開発に取り組み、医療格差をなくし、きめ細かく人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献することで、こころ豊かで安心できる社会環境を提供すべく、日々研究開発に努めております。また当社は、2018年度より新たな事業ステージを指すGTS3.0「バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニー」を目標に掲げ、これまでの事業活動で得てきたバイオ技術に関するノウハウ及び知見を最大限活用し、従来より手掛けてきた希少疾患、難病に加えて、小児疾患を重点的なターゲットと定め、これらの疾患に悩む患者様、そのご家族や介護者の方を含めた包括的なケアを目指して、新薬のみならず新たな医療の開発・提供に取り組んでおります。
(2) 経営戦略等
当社の経営戦略は、研究開発の対象領域を抗体医薬に代表されるバイオ医薬品と定め、これを大学等での研究から見出された医薬品のシーズを育成するバイオ新薬事業と新しいカテゴリーとして設定されたバイオ医薬品のジェネリックと言えるバイオ後続品事業、将来に向けて成長性の高い事業を拡充する目的で再生医療分野を中心とした新規バイオ事業の3事業を柱としています。比較的開発リスクが低く一定の収益が見込めるバイオ後続品事業と、開発リスクはあるが高い収益が見込めるバイオ新薬事業及び新規バイオ事業を両輪として、安定性と成長性を兼ね備え、相互補完が可能となる事業の推進を通して、より盤石な経営体制を構築してまいります。
バイオ後続品事業については、バイオ医薬品の1品目のグローバル市場は数千億円規模と非常に大きく、さらに、各国の医療行政において後発品への要求が高まっていることから、当社はこの分野にグローバルに参入することを目指します。また、外部委託を活用するバーチャル型で身軽な経営を行います。また、品目の選定は、製薬企業の要望を捉えて開発方針を企画し、共同開発の形式で製薬企業などに原薬や製剤を販売し、利益を上げてまいります。
バイオ新薬事業については、大学、研究機関及び事業会社と共同研究や研究会を立ち上げ、効果的かつ効率的に抗体医薬や核酸医薬などのバイオ医薬品シーズの探索を行います。さらに、自社における研究開発により付加価値を高めた上で、製薬企業にライセンスアウトし、収益に結びつけてまいります。
新規バイオ事業については、再生医療等製品を始めとした最先端の医学・医療分野における事業展開となることが想定され、新たな事業モデルの構築が求められるため、より多面的な事業評価や採算性評価等が必要となります。このうち、当社は再生医療における細胞治療事業を戦略的領域と定めており、歯髄幹細胞並びに心臓内幹細胞を軸とした研究開発活動を展開してまいります。そのほかにも、様々な大学、研究機関及び事業会社と情報交換を行い、効果的かつ効率的に事業の立ち上げを行うべく積極的に取り組んでまいります。
(3) 経営環境
我が国の医薬品業界においては、規制緩和や社会保障費の削減に向けたジェネリック医薬品の普及促進策など、業界を変えていくような様々な施策が、政府の成長戦略と相俟って具体化され始めておりますが、既にこの流れは当社開発品の販売状況にも見られ、今後も続くものと思われます。さらに、海外の先進国においてはジェネリック医薬品の市場シェアの拡大傾向が日本よりも顕著に表れており、このような状況は当社にとってビジネスチャンスであります。この急速に高まる需要に応えるべく、より積極的にバイオ後続品開発を進め、新たなバイオ後続品の上市を達成することが経営の安定化につながります。また、国内外の製薬企業は、罹患者数の多い疾患に対しては既に充分な医薬品及び治療方法の提供がなされていることから、希少疾患・難病に対しての研究開発活動に注力するなど医薬品業界の研究開発活動の動向は変化しつつあります。当社は、これらの流れを注視しつつ、自らの所有する技術・知見等に適した疾患及び市場動向を見極めながら、限られた経営資源を効果的に使いながらバイオ新薬事業や新規バイオ事業を推進してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、バイオ新薬事業とバイオ後続品事業、加えてバイオ医薬品の他に大学等での研究から見出された再生医療等製品のシーズ探索、研究を行う新規バイオ事業を事業の柱としております。これらは共に医薬品及び再生医療等製品の開発であるため、膨大な時間と資金を必要とし、収益計上できるまでの期間が非常に長く、短期的な経営指標で実績評価を行うことが適さないビジネスであります。このため、目標とする短期的な経営指標は設定しておりませんが、中長期的には、テーマごとに開発スケジュールを設定し、スケジュールの達成度を指標とし、これに伴う研究開発投資について効率性を慎重に検討しつつ経営を進めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① バイオ新薬の開発
バイオ新薬事業では、ライセンスアウト先が望むデータを揃え、ネットワークやビジネスチャンスを最大限に活用して、早期にライセンスアウトを実現させることが重要であると考えております。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ 抗RAMP2抗体(開発番号:GND-004、対象疾患領域:眼科疾患、がん)への取組み
次世代型抗体医薬品等の研究開発を進めた結果、新規メカニズムに基づく新生血管形成を阻害する抗RAMP2抗体を創出することに成功しました。本開発品は、眼疾患の治療並びにがん領域における抗腫瘍効果を期待できる医薬品候補として、2017年9月に当該抗体に関する特許を出願し、2018年9月には国際特許出願を行いました。今後は、知的財産権の確保を図りながら研究開発を進め、製薬企業へのライセンスアウトを目指してまいります。
ロ 新規抗体
2020年1月には、がん細胞内侵入能力を有する抗体を用いた抗がん剤の開発を目的として札幌医科大学との共同研究契約、同じくがん細胞殺傷効果を有する新たな抗体の取得を目的としてMabGenesis㈱との共同研究契約をそれぞれ締結いたしました。今後は共同研究を進め、製薬企業へのライセンスアウトを目指してまいります。
ハ バイオ新薬候補品の充実
バイオ新薬は、研究活動によって新薬のシーズを見つけ、次に、細胞レベル・小動物レベルでの有効性を確認した上で特許などの産業財産権による権利化を行い、ここで初めて公開することができます。引き続き、将来顕在化しそうな疾患領域や現時点では満足な治療法がない疾患領域を見極め、外部機関との連携も活かしながら研究開発を行っていく所存であります。
② バイオ後続品の開発
当社は、フィルグラスチムバイオ後続品の開発において培った経験とノウハウを発展的に応用することで、新たなバイオ後続品の開発を効率的かつ優位に進めることが可能であると考えております。今後、バイオ後続品事業は世界的な競争により拍車がかかると想定されることから、開発品目の選定は多面的な評価をした上で慎重に行い、選定した開発品目については開発リスク低減のために早期に提携関係を構築し、効率的な開発を心掛けてまいります。バイオ後続品の上市に伴う新たな収益源を確保することで、将来の財務基盤の強化に努めてまいります。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)への取組み
当該先行品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムであります。当該医薬品の原料が既に日本で上市しているフィルグラスチムであることから、フィルグラスチムバイオ後続品を有する点で当社は他社に比してペグフィルグラスチムの開発を進める上で優位性があります。また、当社は当該バイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ておりますので、これを訴求データとして国内外の製薬企業との早期の提携を実現すべく、今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ロ がん治療領域のバイオ後続品への取組み
がんの治療法は日進月歩であり、バイオ医薬品への期待は高く、現在、世界の医薬品市場の上位一角を占めるのはがん治療に係るバイオ医薬品です。当社は、2016年12月に持田製薬㈱とのがん治療領域におけるバイオ後続品の共同事業化契約を締結し、開発を開始しました。今後は相互協力の下、本開発品の上市に向けて鋭意取り組んでまいります。
ハ ラニビズマブバイオ後続品(開発番号:GBS-007、対象疾患:眼疾患)への取組み
世界的な高齢化社会の進展や生活習慣の変化に伴い、黄斑変性症等の眼疾患の患者様が増加しております。これらの治療薬としてバイオ医薬品が注目されておりますが、当該領域のバイオ医薬品は高額であり、様々な患者様にご使用頂くためにもバイオ後続品の開発の社会的必要性を感じております。当社は、2016年5月より眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と当該領域におけるバイオ後続品の共同開発を開始しており、2020年2月に第Ⅲ相臨床試験における最終患者の観察期間が終了いたしました。今後も引き続き同社と協働の下、本製品の製造販売承認取得を目指してまいります。
ニ アフリベルセプトバイオ後続品(開発番号:GBS-012、対象疾患:眼疾患)への取組み
当社は、2019年12月に癸巳化成㈱とアフリベルセプトバイオ後続品に関する事業化を目的とした共同開発契約を締結しました。今後は、当該バイオ後続品の高産生株を用いて原薬の製造プロセスを確立しつつ、この原薬を基に製剤開発、非臨床試験、臨床試験、製造販売承認取得、販売等で必要となる第三者提携先を探索し、当該バイオ後続品の事業化に向けた体制構築を進めてまいります。
③ 新規バイオ事業における再生医療等製品の開発
当社は、将来の成長性を追求するため、再生医療における細胞治療分野をターゲットとした再生医療等製品の開発を進めております。次世代医療である再生医療は、未だ根治が望めない重篤な疾患に対して、新たな治療法を提供できる可能性があります。当社は歯髄幹細胞及び心臓内幹細胞を研究ソースとして様々な大学等の研究機関及び企業と共同研究又は提携を行い、新たな治療法を待つ患者様へ一日でも早く貢献するべく、研究開発活動を推進しております。
なお、パイプライン拡充のための具体的な取組み等は、以下のとおりであります。
イ 心臓内幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:JRM-001、対象疾患:小児先天性心疾患)
当社の子会社である㈱日本再生医療は、小児先天性心疾患を軸とした重篤な心疾患に対する新たな治療法を提供するため、心臓内幹細胞と呼ばれる心臓内に存在する多能性のある体性幹細胞を用いた世界初となる再生医療等製品の実用化を目指し研究開発を推進しております。生まれながらに心臓に何らかの異常をもつ小児先天性疾患は新生児100人に1人の割合で発症するとされ、当該開発品はこれらの症状を改善するために、手術で得られた心臓の切片から、高い自己複製能力を持ち、心臓にまつわる心筋細胞へ分化することができる心臓内幹細胞を培養し、これらを患者様本人へ投与することで心機能の改善を図るものであります。
ロ 歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-101、対象疾患:口唇口蓋裂)
口唇口蓋裂は、口腔の先天的な発生異常によって生じる疾患で、発生時に口蓋の片側が閉鎖しないことで裂が残る先天性疾患の一つです。歯髄幹細胞は、発生学的に神経堤細胞由来であり、優れた骨再生能力を有していることから、唇顎裂の再生医療には最適な細胞ソースであるため、当社はORTHOREBIRTH㈱が保有する綿状の人工骨充填材レボシスが歯髄幹細胞と組み合わせることで新たな治療法を創出できると考え、同社と共同研究契約を締結し、開発活動を行っております。
ハ 歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-102、対象疾患:腸管神経節細胞僅少症)
腸管神経節細胞僅少症は、腸管の蠕動運動を司る神経細胞の不足により腸閉塞症状を示す難病で、効果的な治療方法がいまだ確立されていません。歯髄幹細胞は腸管神経節細胞と同じ神経堤由来の細胞であるため、投与された歯髄幹細胞が不足している腸管神経節細胞を補う働きをすることにより、腸管蠕動運動が回復することが期待できます。当社は、当該疾患を対象とした再生医療等製品を開発するべく、持田製薬㈱と共同事業化契約を締結し、当社が保有する歯髄幹細胞と持田製薬㈱の消化器領域における知見と実績を組み合わせることで、新たな治療法の創出を目指してまいります。
ニ 歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品開発のための大学との共同研究
当社は、歯髄幹細胞が神経堤由来の細胞であることに着目し、この特性に適性のある疾患を選定し、様々な大学と当該疾患に対する新たな治療法を創出するべく、共同研究契約を締結し、基礎研究を進めております。具体的には、昭和大学と骨関連疾患、岐阜薬科大学と眼関連疾患、東京都医学総合研究所・名古屋大学医学部附属病院・東京医科歯科大学と脳性麻痺、大分大学と末梢神経麻痺、名古屋大学と脊髄損傷に関する共同研究を進めております。
④ バイオ医薬品事業全般における優位性の確保
イ 開発品目の優先順位
上述のとおり当社は主要事業のいずれにおいても複数の開発品目を保有しており、限られた人員と資金を効率的に投下して最大限の成果を上げられるよう日々深慮し、提携先の製薬企業や委託先と協業の下、当社の開発品目の価値最大化に努めております。その一方で、バイオ医薬品の市場動向、各疾患領域の標準治療法、競合他社の開発状況等も日々変化しています。当社は、社内外の様々な要因を適時勘案し、当社の開発品目の優先順位を柔軟に見直しながら、当社の開発品目の市場優位性を確保しつつ、企業価値の最大化を図ってまいります。
ロ 製品の競争優位性の確保
医薬品にとって原薬の品質と製造費用は重要ですが、とりわけバイオ医薬品にはその2点が長期的な事業を行う上で最重要な事項となります。当社としては、その点のみならず、製品の使い勝手(ユーザビリティ)が市場優位性を左右するものと考えております。そこで、当社は原薬製造の供給体制及び製造費用に関わる製造委託先との製法開発に注力するとともに、製剤においても医療現場や患者様の使い勝手に優れた製品を目指し、デバイス企業との協議にも積極的に取り組んでまいります。
⑤ 提携による事業推進
当社は、成長著しいバイオ医薬品及び新規バイオ事業の開発に注力し、未だ有効な治療法がない疾患を対象とするバイオ新薬並びに再生医療等製品の開発に取り組んでおります。ただし、当社の経営資源には限りがあることから、経営資源を効率的に活かすために提携によって補完し得る企業と事業推進を図る必要があります。
一方、バイオ後続品の開発においては、アジアや欧米の製造委託先についても、密接な人的交流をもとにネットワークの形成とその充実を図っております。また、グローバル製薬企業がバイオ後続品にも取り組み始めておりますので、品質・製造費用・製剤などで差別化できる提案を行い、グローバル製薬企業との提携を目指す必要があります。
以上のように、当社は積極的に共同研究・事業提携・製造などに関わるネットワークを構築し、国内外の製薬企業とのライセンスアウトに繋げ、人的・資金的資源を効率的に組み合せながら事業の推進を図ってまいります。
⑥ ネットワークの強化
当社はビジネスモデルとしてバーチャル型の経営を掲げております。また、自社だけでは解決できない課題に対し、社外の経営資源も含めた最適な組合せを構築し、迅速かつ積極的に解決を図ってまいります。また、今後推進していく新規バイオ事業に関する事業のシーズの探索にもネットワークが必要となります。これらのネットワークの構築には、社外との情報交換を積極的に行い、情報集約力を高め、ネットワークのシナジーを最大限に発揮させられる人財の育成が重要であると考えております。
⑦ コンプライアンス・リスク管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社が円滑に社外ネットワークを構築していくためには、当社の社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。当社の取引先の多くは上場企業など社会的信用のある会社や公的研究機関であり、対等な取引関係を維持していくためには、当社にも相応の社会的信用が必要になります。
このような観点から、当社は小規模組織ではありますが、十分な信頼が得られるよう継続的にコンプライアンス及びそのリスクに対する意識の向上及び内部統制の強化を図ってまいります。また、全てのステークホルダーのニーズに対して組織的かつ的確に対応できるよう、コーポレート・ガバナンスの改善を図り、経営の公正性・透明性を高めてまいります。

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