有価証券報告書-第15期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/26 15:45
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社はiPS細胞および体細胞に関する世界最先端の研究成果を広く一般的に利用できる形で事業化することで、研究開発をより促進し、さらに、再生医療など次世代医療を通じて人々の健康福祉に貢献することを目指しています。
当社ではiPS細胞事業を「研究試薬」、「創薬支援」、「再生医療」の3つのカテゴリーに分類し、技術および市場の立ち上がりに応じて段階的に事業を進めております。対象とする顧客はカテゴリー毎に異なっており、「研究試薬」は大学・公的研究機関、「創薬支援」は製薬・バイオ企業、「再生医療」は患者および医療機関を想定しています。最終的には、当社の製品・サービスを、研究者、企業、医療機関に幅広く普及させ次世代医療の実現に貢献してまいります。
また、真のグローバル企業として成長していくことも当社の大きな基本方針としています。病気や医療ニーズに国境はなく、再生医療を含む次世代医療は全世界中の人々から求められています。現在は米国、欧州、日本が医療分野の大きな市場を形成しており、当社もこの3地域を活動拠点としておりますが、将来的には、中国、インド、アジアなどにも広く事業を展開していく予定です。
また、再生医療分野において持続的な成長を可能にするために顧客、社員、事業パートナー、株主といった重要なステークホルダーのバランスの取れた関係を重視し、これらのステークホルダーと長期的にWin-Winの関係となれる体制を構築してまいります。また、我々は社会の一員であるという自覚を持ち、社会全体への貢献についても重視してまいります。
(2)目標とする経営指標
iPS細胞を用いた研究および再生医療の市場は今後長期的な成長が見込まれています。その中で当社はトッププレーヤーとしての地位を確立し、市場とともに大きく成長するために「攻め」の経営で競合他社に先行する方針です。したがって、当面は、研究開発新規事業の立ち上げ、新しい地域への進出など、先行投資を伴う事業規模の拡大に注力してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
再生医療の市場は、今後大きな成長が見込まれております。経済産業省の試算(「再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告」)によると、再生医療のグローバルでの市場規模は2030年で約17兆円、2050年で約53兆円と予測されております。
当社グループでは、iPS細胞事業を「研究試薬」、「創薬支援」、「再生医療」の3つに分類しており、現在の売上構成は、「研究試薬」「創薬支援」が大半を占めています。今後平成32年3月期までは、「創薬支援」が大きく成長することで、全体を牽引する見込みです。また、「再生医療」に関しては、当面先行投資が中心であり、短期的な売上は限定的ですが、平成32年3月期以降に大きな売上の伸びを見込んでおります。
「創薬支援」においては、日米欧を中心に、大手製薬企業を含め多数の企業と既に取引を行っておりますので、今後より一層、営業の強化を行って売上を拡大してまいります。
当連結会計年度では、株式会社ファンケルとヒトiPSモデル細胞の共同開発契約を締結したことを始め、日米欧の製薬企業、大学、バイオベンチャーから、創薬支援サービスおよびiPS細胞の樹立サービスを受託しており、引き合いも増えています。また、ヒト組織を使った受託サービスも米国、欧州の大手製薬企業を中心に堅調に受注が続いています。
このような中、REPROCELL Europe Ltd.に、iPS細胞、ヒト組織、三次元培養の3つの技術を一カ所に集約させた施設「Centre for Predictive Drug Discovery」を新設し、当社グループの受託サービスをワンストップで実施できる体制を構築しました。これにより、「創薬支援」のより一層の売上増加を図ります。
「再生医療」においては、平成32年3月期以降の大きな成長を牽引するべくステムカイマルを始めとする細胞医薬品の開発を着実に進めてまいります。また、これに先立ち、細胞培養液「NutriStem」をGMP準拠の試薬として販売を開始しております。これらの試薬は、iPS細胞の再生医療を実用化する上で重要な消耗品となるため、今後、再生医療を目指す企業や大学を中心に販売促進を進めてまいります。その他の消耗品試薬についても今後継続的に開発を行い臨床応用に適した製品ラインナップとして順次上市してまいります。
最後に、臨床検査事業においては、当連結会計年度にヘリオス社より再生医薬品の治験における検査業務受託に関する契約を締結しており、今後ヘリオス社の治験の実施に応じて、順次検査業務を行い、売上が計上される予定です。
(4)会社の対処すべき課題
当社が持続的に成長して企業価値を高めるとともに、我々のビジョンやミッションを達成するために対処すべき課題を以下のように考えております。
①全社的課題
1)人材の確保・育成
当社の事業は新しい領域であり、技術及びビジネスの両面で、新しい取り組みが必要とされます。また、変化が非常に大きく、ビジネスもグローバル化しており、様々な局面への対応が求められます。企業の強さは最終的には「人材」であり「チーム」であると考えます。このため、当社ではポテンシャルの高い人材を確保し、当分野を牽引できるような優秀な人材に育成し、長期的に活躍できる場を提供してまいります。
②セグメント別課題
1)iPS細胞事業
(a) 技術革新への対応とサービスの拡充
iPS細胞は世界中で熾烈な研究競争が行われており、短期間で飛躍的な技術革新が進んでいます。革新的な技術が開発された場合、既存技術は陳腐化し競争力を失います。このため、当社グループとしては、今後とも積極的に技術開発を推進し当分野のマーケットリーダーとなることを目指します。
技術開発については自社開発だけでなく、これまでと同様、大学、公的研究機関、民間企業との連携及び共同開発を中心に進めてまいります。さらに、当社グループは非常に幅広いiPS細胞および体細胞の技術プラットフォームを保有しており、これが競合との差別化要因となっています。今後、さらにグループ内での技術シナジーを追求し、新規製品・サービスの提供を進めてまいります。
この他、国内外のiPS細胞・再生医療関連のバイオベンチャーとの協力関係の構築及び資金提供を目的として株式会社新生銀行と共同でベンチャーキャピタルファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の運営を開始しております。本活動を通じて、世界最先端の再生医療技術に幅広くアクセスし連携を強化してまいります。
今後とも当社グループは再生医療の実現と競争力の強化に向け、外部の大学・研究機関や技術シーズとの連携を当社グループの事業展開に積極的に取り入れ、技術革新への対応として意欲的、多角的に取り組んでまいります。
(b) 細胞医薬品ステムカイマルの上市
当連結会計年度において、当社グループでは細胞医薬品ステムカイマルを脊髄小脳変性症の治療薬として開発することを目指して日本に導入することを決定いたしました。
現在は日本での治験の準備を進めている段階であり、2020年には承認申請を行うことを目指しております。ステムカイマルは、既に台湾において第Ⅰ/Ⅱa相の試験が終了しており、投与に伴う有害事象は無く、通常悪化する一途の症状が維持されたことが報告されております。
(c) iPS細胞の再生医療への展開
当社は2009年に世界で初めてヒトiPS細胞の製品化に成功するなど、iPS細胞の事業化を世界に先駆けて実施してきました。これまでは、新薬の薬効や毒性を評価する目的での「創薬支援」での活用に注力してきましたが、今後はいよいよ、iPS細胞を用いた「再生医療」が立ち上がります。当社は、これまでに培ったiPS細胞技術の優位性を活かし、再生医療分野に進出してまいります。当連結会計年度に開発した次世代RNAリプログラミング技術を用い、遺伝子変異リスクを最小化し、ウイルス残存リスクのない臨床応用に適したiPS細胞バンクの開発を目指します。また、当該iPS細胞バンクを通じた再生医療用細胞の供給を医療機関および企業に広く行い、今後、iPS細胞による再生医療の産業化を進めてまいります。
2) 臨床検査事業
(a) 適用拡大
現在の主力検査である抗HLA抗体検査及びフローサイトクロスマッチ検査は腎移植の分野では啓蒙が進み、当該検査が広く実施されていますが、肝臓移植や造血幹細胞移植の分野では、まだ十分に普及が進んでいるとは言えません。平成24年4月からは造血幹細胞移植における抗HLA抗体検査が保険適用になったため、今後検査が広がると期待されますが、現状の制度では造血幹細胞以外の臓器を移植する際の当該検査は保険適用外となっております。そのため、施設や患者にコスト面で多くの負担がかかってしまい、十分な検査を導入出来ていない施設も多くあります。今後、関係する学会と歩調を合わせ、当該検査の保険適用拡大を進めていきます。
(b) 検査精度の担保
臨床検査はその結果が臨床上の重要な診断や治療方針の決定に結びつくため、検査精度に細心の注意を払う必要があります。当社では、衛生検査所として義務づけられている精度管理基準に加え、学会が主催するQCワークショップなどにも検査担当者が積極的に参加し、技術レベル、検査精度の向上に力を入れております。
(5)株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者は、安定的な成長を目指し、企業価値を高め、株主の利益の増強に経営資源の集中を図るべきと考えております。
現時点では特別な買収防衛策は導入しておりませんが、今後も引き続き社会情勢等の変化を注視しつつ弾力的な検討を行ってまいります。

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