訂正有価証券報告書-第16期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2018/12/03 15:26
【資料】
PDFをみる
【項目】
97項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「世界有数の高付加価値を創り出し、世界で最も憧れられる、エンタテインメント&コミュニケーション創造企業となり、世界的に高い評価と期待を受ける企業となる。」「世界中の人々から愛され、多くの日本人が誇りに思ってくれる、特別で重要な「ブランド」となる。」という経営ビジョンの実現に向けて、経営施策に取り組んでおります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性の高い効率経営の観点から、売上高営業利益率を重要な経営指標とするとともに、キャッシュ・フロー経営についても重視していく所存であります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題
昨今、世界規模でのインターネットの進歩と拡張、スマートフォン、タブレットPCなどのスマートデバイスの急速な普及、ソーシャルメディア、動画配信・投稿サイトなどの新たな成長メディアの興隆等がメディア環境を大きく変化させております。
このような中、人々のライフスタイルは、スマートデバイスを使い最適メディアを選択し、必要なときに必要な時間だけコンテンツを消費し、SNSを使って即時に情報や感動を共有するといったメディア接触方法の多様化、コンテンツ視聴の短時間化、情報共有のリアルタイム化へと変化し、当社の主力領域である「スキマ時間に楽しめるショートコンテンツ」といった新たな付加価値へのニーズを急速に拡大させております。
当社グループでは、既存事業やサービスのさらなる成長に加え、「TOKYO GIRLS COLLECTION」においては、株式会社W TOKYOの当社グループへの参画に伴い、商標と運営の一体化が実現することによる新たな価値創造へ様々な施策を展開いたします。具体的には従来の主に年2回のイベント開催に加え、ガールズ向けの幅広いサービスニーズが多様な業界、アジアを中心とした海外パートナー及び地方創生を担う地方自治体等との提携をさらに拡大・成長させてまいります。また、既存のビジネスモデルにとらわれない新規事業分野への進出も積極的に展開させてまいります。
今後も、中長期にわたりインターネット時代にマッチするエンタテインメントやコミュニケーションを継続的に創造する、ファスト・エンタテインメント事業を推進するため、以下の課題を対処すべき課題として認識しております。
① IP(著作権・商標権等の知的財産権)の保有
近年のデジタル化とマルチメディア化の中においては、新しいメディアやSNS等新しいサービスの栄枯盛衰が激しく、旬のメディアやサービスに柔軟かつ迅速にIPビジネスを展開することが必要となってきております。そのため、当社グループでは迅速な意思決定を担保するために、IPを保有することが重要と考えております。
特に、製作委員会を用いた新規IPの開発に際しては、当社又は製作委員会がIPを保有すること及び製作委員会に対する出資者数を限定することに留意しており、柔軟な意思決定ができるよう努める方針です。
② 新規IPの量産とプロデュース
当社グループは、マルチメディア化とユーザー嗜好の細分化によって、単一IPをマスメディア放送によってプロデュースする手法は費用対効果が低下してきていると考えており、新規IPのプロデュースに関して、まず地方局、インターネット放送局、ウェブメディア、SNS等の特定メディアが持つコミュニティへのアプローチが重要と考えております。
メディアネットワークと短納期・低コストの制作システムの強みを活かし、新規IPを量産し多数のコミュニティへの同時多発的な事業展開を行ってまいります。
③ 新しい知的財産権ビジネスの開発
マルチメディアにプロモーションを展開したい広告主のニーズが拡大する中、当社グループでは、ソーシャル・キャラクターを活用し、わかりやすく商品・サービスの紹介・マナー啓蒙を行えること、並びに話題性を喚起する時事ネタやクライアントの要望に対応する適時性や柔軟性に富んだサービスの企画提案を行えることを強みとしています。
また、コンテンツのデジタル化とメディア構造の変化により、IPのライセンシー先が多様化してきております。ぬいぐるみやステーショナリー等のリアル商品のライセンシーに加え、SNSやスマートフォンでのゲーム、スタンプ、ガジェット等のデジタル商品のライセンシーが急増しております。デジタル商品の開発サイクルは、インターネット業界のビジネスサイクルに準じ、大幅に短納期化されています。
当社グループは、今後も引き続き、IPオーナーとして新しいビジネス領域への迅速な展開力と、内製化した制作システムによる大量かつスピード感ある制作力、そして様々なメディアやデバイスへの展開力を活かし、迅速かつ魅力的なソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービス及び商品展開を図っていく方針です。
④ 人材登用と能力開発
当社グループは、現時点においては小規模組織でありますが、今後想定される事業拡大、新規事業及びグローバル展開に伴い、継続的に人材の確保が必要であると考えております。また人材の確保とともに、当社グループの経営理念、ビジネスモデルに適した人材の育成及びスピード感あるグローバル展開に対応できる異文化コミュニケーション能力の向上が重要と考えております。当社グループは、必要な人材の確保に努めるとともに、今後も引き続き、教育制度の整備や海外パートナーとの人材交流等を進めて人材の能力開発を図る方針です。
⑤ 海外戦略
エンタテインメントニーズはアジア市場をはじめとして世界的に拡大している中、当社グループは、ファスト・エンタテインメント事業の海外展開を強化しております。
アジア諸国ではコンテンツ産業を国家的な戦略分野と位置づけて、ソフト・パワーの強化を推進しており、その市場規模は急激に拡大を続けています。一方、従来型の海外進出手法である人気作品の輸出(番組販売等)は現地放送コードに抵触しないための改変作業やファンサブサイト(※)の存在から迅速な事業展開や商業化が困難となっております。
そのため、当社グループは事業の現地展開を推進し、中国コンテンツプロデュース会社との共同事業等、現地パートナーと共同でファスト・エンタテインメント事業を推進しております。
また、「TOKYO GIRLS COLLECTION」はクールジャパンの代表格として、従来より海外からの注目度も高く、当社グループのノウハウを活かすことで、より幅広い事業や海外展開を推進させる方針です。
当社グループは、引き続き、マルチメディア時代に適応したIPビジネスを展開させた経験をもとに、各国の有力パートナーとアライアンスを組み、ファスト・エンタテインメント事業の国際展開を積極的に推進させる方針です。
(※)ファンサブサイト:ファン(愛好家)がテレビ番組を録画し、放送直後からサブタイトル(字幕)を付け、字幕付映像ファイルを流通させているインターネットサイト。