訂正有価証券報告書-第14期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2018/12/03 15:04
【資料】
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【項目】
66項目

対処すべき課題

当社は、「世界有数の高付加価値を創り出し、世界で最も憧れられる、エンタテインメント&コミュニケーション創造企業となり、世界的に高い評価と期待を受ける企業となる。」「世界中の人々から愛され、多くの日本人が誇りに思ってくれる、特別で重要な「ブランド」となる。」という経営ビジョンの実現に向けて、経営施策に取り組んでおります。
昨今、世界規模でのインターネットの進歩と拡張、スマートフォン、タブレットPCなどのスマートデバイスの急速な普及、ソーシャルメディア、動画配信・投稿サイトなどの新たな成長メディアの興隆等がメディア環境を大きく変化させております。
このような中、人々のライフスタイルは、スマートデバイスを使い、最適メディアを選択し、必要なときに必要な時間だけコンテンツを消費し、SNSを使って即時に情報や感動を共有するといった、メディア接触方法の多様化、コンテンツ視聴の短時間化、情報共有のリアルタイム化へと変化し、当社の主力領域である「スキマ時間に楽しめるショートコンテンツ」といった新たな付加価値へのニーズを急速に拡大させております。
このような環境の中、引き続き、既存事業やサービスのさらなる成長に加え、新しいテクノロジーやサービス、デジタル領域の新手法などを積極的に統合した新規事業やサービスを創出し、中長期にわたりインターネット時代にマッチするエンタテインメントやコミュニケーションを継続的に創造する、ファスト・エンタテインメント事業を展開するため、以下の課題を対処すべき課題として認識しております。
(1) IP(著作権・商標権等の知的財産権)の保有
近年のデジタル化とマルチメディア化の中においては、新しいメディアやSNS等新しいサービスの栄枯盛衰が激しく、旬のメディアやサービスに柔軟かつ迅速にキャラクタービジネスを展開することが必要となってきております。そのため、当社では迅速な意思決定を担保するために、IPを保有することが重要と考えております。
当社では、製作委員会を用いた新規IPの開発に際して、当社又は製作委員会がIPを保有すること及び製作委員会に対する出資者数を限定することに留意しており、柔軟な意思決定ができるよう努める方針です。
(2) 新規IPの量産とプロデュース
当社は、マルチメディア化とユーザー嗜好の細分化によって、単一IPをマスメディア放送によってプロデュースする手法は費用対効果が低下してきていると考えており、新規IPのプロデュースに関して、まず地方局、インターネット放送局、ウェブメディア、SNS等の特定メディアが持つコミュニティへのアプローチが重要と考えております。
当社は、メディアネットワークと短納期・低コストの制作システムの強みを活かし、新規IPを量産し多数のコミュニティへの同時多発的な事業展開を行ってまいります。
(3) 新しいキャラクタービジネスの開発
マルチメディアにプロモーションを展開したい広告主のニーズが拡大する中、当社では、ソーシャル・キャラクターを活用し、わかりやすく商品・サービスの紹介・マナー啓蒙を行えること、並びに話題性を喚起する時事ネタやクライアントの要望に対応する適時性や柔軟性に富んだサービスの企画提案を行えることを強みとしています。
また、コンテンツのデジタル化とメディア構造の変化により、IPのライセンシー先が多様化してきております。ぬいぐるみやステーショナリー等のリアル商品のライセンシーに加え、SNSやスマートフォンでのゲーム、スタンプ、ガジェット等のデジタル商品のライセンシーが急増しております。デジタル商品の開発サイクルは、インターネット業界のビジネスサイクルに準じ、大幅に短納期化されています。
当社は、今後も引き続き、IPオーナーとして新しいビジネス領域への迅速な展開力と、内製化した制作システムによる大量かつスピード感ある制作力、そして様々なメディアやデバイスへの展開力を活かし、迅速かつ魅力的なソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービス及び商品展開を図っていく方針です。
(4) 人材登用と能力開発
当社は、現時点においては小規模組織でありますが、今後想定される事業拡大、新規事業及びグローバル展開に伴い、継続的に人材の確保が必要であると考えております。また人材の確保とともに、当社の経営理念、ビジネスモデルに適した人材の育成及びスピード感あるグローバル展開に対応できる異文化コミュニケーション能力の向上が重要と考えております。当社は、必要な人材の確保に努めるとともに、今後も引き続き、教育制度の整備や海外パートナーとの人材交流等を進めて人材の能力開発を図る方針です。
(5) 海外戦略
当社は、ファスト・エンタテインメント事業の海外展開を強化しており、人口増加とともにエンタテインメントニーズの急激な拡大が期待できるアジア市場の戦略拠点として、平成24年7月に台湾に合弁会社(持分法非適用関連会社)を設立しました。
アジア諸国ではコンテンツ産業を国家的な戦略分野と位置づけて、ソフト・パワーの強化を推進しており、その市場規模は急激に拡大を続けています。一方、従来型の海外進出手法である人気作品の輸出(番組販売等)は現地放送コードに抵触しないための改変作業やファンサブサイト(※1)の存在から、迅速な事業展開や商業化が困難となっております。そのため、当社は事業の現地展開を推進しております。
現在、台湾メディアコングロマリッドとの合弁会社の設立、タイでのIP買収及びアプリ制作会社との共同事業、中国コンテンツプロデュース会社との共同事業等、現地パートナーと共同でファスト・エンタテインメント事業を推進しております。
また、世界的にデジタルコンテンツの視聴環境が変化する中、日本で先行する手軽にコンテンツを楽しむライフスタイルの提案とソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスの提供により、全世代をターゲットとするファスト・エンタテインメント事業を展開するため平成24年11月に北米子会社(持分法非適用の非連結子会社)を設立いたしました。
さらに当事業年度末に取得した「TOKYO GIRLS COLLECTION」の商標権はクールジャパンの代表格として、従来より海外からの注目度も高く、当社のノウハウを活かすことで、より幅広い事業や海外展開を推進させる方針です。
当社は、引き続き、マルチメディア時代に適応した製作委員会を多数組成した経験をもとに、各国の有力パートナーとアライアンスを組み、ファスト・エンタテインメント事業の国際展開を積極的に推進させる方針です。
(※1)ファンサブサイト:ファン(愛好家)がテレビ番組を録画し、放送直後からサブタイトル(字幕)を付け、字幕付き映像ファイルを流通させているインターネットサイト。