有価証券報告書-第28期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/27 13:04
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108項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成29年1月1日~平成29年12月31日)におけるわが国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があり、景気の先行きは不透明な状況が続いておりましたが、政府・日本銀行の各種政策の効果もあり、雇用・所得環境の改善とともに、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの属する不動産業界におきましては、日本銀行のマイナス金利政策の下、良好な資金調達環境を背景に、投資用不動産に対する個人投資家、事業法人及び海外投資家からの旺盛な需要が継続しました。中古不動産市場では、投資用・居住用とも緩やかな価格上昇が見られましたが、物件の用途や地域で選別化する動きも見られ、二極化が進んでおります。
中古住宅市場では、民間調査機関による首都圏中古マンションの平成29年1月-11月の成約件数は、対前年比で0.4%増となっております。一方で、首都圏の新築マンションの供給戸数は、対前年比で4年ぶりの増加になるとの予測ですが、依然、4万戸を下回る水準が続いており、価格高騰と供給不足の影響から、相対的に価格が安く、良質な中古マンションへの高い需要が続いております。
東京都心部を中心としたオフィス賃貸市場は、大型の新規オフィス供給が少なかった一方で、企業の移転や増床ニーズが旺盛だったため、民間調査機関の調べによると平成29年12月度の東京23区全体の空室率は2.25%と低下傾向が続いております。平成30年は、都心部で完成する大型オフィスビルの貸床面積が約60万平方メートルと前年の3倍に増加する見通しもあり、既存ビルの利便性や管理状況により、空室率が高まる可能性があると予測されております。しかし、企業収益や雇用環境の改善、良好な資金調達環境、また海外マネーの流入による不動産取引の高い需要が引き続き期待されております。
このような市場環境の中、当社グループは主力事業である不動産売買事業における首都圏ドミナント戦略の推進を継続し、引き続き成長ドライバーである投資用不動産の買取再販活動を強化してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は635億68百万円(前期比10.6%増)、営業利益は71億22百万円(同12.9%増)、経常利益は64億78百万円(同13.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億76百万円(同46.2%増)となりました。
(注)「投資用不動産」は、一棟賃貸マンション及び一棟オフィスビル等の賃貸収益が発生する物件を購入者が主に投資用として利用する不動産として区分し、「居住用不動産」は、区分所有マンションを中心に購入者が居住用として利用する不動産として区分しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(不動産売買事業)
不動産売買事業におきましては、投資用不動産の大型化を推進し、販売件数増加と販売単価上昇を計画し、商品ラインナップの拡充を図りつつ、富裕層や事業法人を中心とした国内投資家、並びにアジア地域を中心とした海外投資家への販売を強化しました。その結果、投資用不動産の販売件数は318件(前期比69件増)、内3億円超の投資用不動産販売が47件(同3件増、10億円超は7件)、平均販売単価は164.1百万円(同9.5%減)となり、投資用不動産の売上高は、522億3百万円(同15.5%増)となりました。平均販売単価が前期比減少している要因は、販売単価の低い投資用の区分物件の販売件数が大きく増加したためであります。一方で、区分物件を除く一棟物件の平均販売単価は248.9百万円と物件の大型化は順調に進んでおります。
また、区分所有マンション等の居住用不動産の販売は、参入障壁が低く、競合増加に伴う仕入価格の上昇が継続する中、都心部や生活利便性の高いエリアにおける厳選した仕入を行い、物件毎の利益管理を徹底した結果、販売件数は358件(前期比10件減)、平均販売単価は24.9百万円(同7.5%減)となり、売上高は89億39百万円(同10.0%減)となりました。
以上の結果、売上高は612億12百万円(前期比11.0%増)、セグメント利益(営業利益)は77億92百万円(同11.5%増)となりました。
(賃貸その他事業)
賃貸その他事業におきましては、不動産売買事業における投資用不動産の仕入を厳選して実施したことから、投資用不動産の在庫が減少しましたが、不動産賃貸収入は23億17百万円(前期比0.1%減)と、前期とほぼ同水準で推移しました。
以上の結果、売上高は23億56百万円(前期比0.6%増)、セグメント利益(営業利益)は9億8百万円(同0.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ42億79百万円増加し、119億42百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果、獲得した資金は、72億66百万円(前連結会計年度は、87億23百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益66億44百万円、たな卸資産の減少31億74百万円による収入があった一方、法人税等の支払21億4百万円があったことによるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動の結果、使用した資金は、1億24百万円(前連結会計年度は、12億42百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入17億68百万円があったものの、定期預金の預入による支出19億32百万円があったことによるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動の結果、使用した資金は、28億62百万円(前連結会計年度は、113億38百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入260億4百万円、社債の発行による収入15億74百万円があったものの、長期借入金の返済による支出306億74百万円があったことによるものであります。