有価証券報告書-第33期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/30 12:59
【資料】
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【項目】
144項目
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、社是として、経営の考え方の根幹であり社名の由来でもある『夢現』(夢を現実に)を掲げ、お客さまの夢を実現することで会社としても成長し、ステークホルダーを含めたすべての人の夢の実現を目指しております。
そのために、ミッションを、『不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する』とし、事業活動を通して地球温暖化、少子高齢化、空き家問題や住宅ストックの老朽化等、不動産業界が抱える数々の社会課題の解決に取り組み、持続的な企業価値の向上を目指しております。
また、ミッションの実現に向けた、行動の基軸として『速さを追求』『あくなき挑戦』『多様な連携』『先を見通す』『貫く責任』の5つのバリューを定めております。
(2)経営環境と中期的な会社の経営戦略
[経営環境]
当社グループが属する不動産業界では、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の長期化等により、資材の高騰や供給不足が見られましたが、不動産需要は堅調に推移し、継続する低金利環境を背景に、不動産価格は安定的に上昇してきました。
居住用不動産に関しましては、テレワークの増加や定着に伴う、より広い物件への住み替えニーズの高まりに加え、首都圏新築マンションの供給が減少したことによるマンション価格の高騰が、比較的、低価格な中古マンションへの高い需要につながったこと、中古マンション事業者のリノベーション力が向上したことによりデザイン性・機能性に優れた新築マンションと遜色ない物件が供給されるなど、中古マンションの需要は年々高まっております。その結果、2016年以降、首都圏においては中古マンションの契約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状況が続いております。
投資用不動産に関しましては、低金利が続く中、国内の不動産投資家の投資意欲は高い需要を維持しております。また、直近では新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和や円安を背景に、海外投資家の日本の不動産に対する需要が高まりつつあります。
一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、供給面での制約並びに金融資本市場の変動の影響等、先行きの不透明感が増しております。
[中期的な会社の経営戦略]
当社グループでは、2022年12月期を初年度とする3カ年の第2次中期経営計画を進め、この3カ年では、「事業拡大に向けた収益基盤の強化」「収益機会を捉えるネットワークの構築」「事業成長を支える組織力の向上」「事業拡大・成長を支えるDXの推進」を経営の基本方針として掲げ、大きく飛躍することを目指しています。
具体的には、主力の買取再販事業は、新たに首都圏に開設した6店舗の営業所を中心に、高い需要が見込まれる居住用不動産に注力することで更なる拡大を進めています。
成長事業の一つである不動産開発事業は、これまで当社グループが長年培ってきたノウハウを活かしつつ、ESGやSDGsを意識した賃貸マンションやオフィスビルの開発を当社グループ間のシナジーを活かし拡大を図ります。もう一つの成長事業である不動産特定共同事業は、販売ネットワークの拡充をしつつ、組成商品の多様化、規模の拡大を図り大きく成長させてまいります。
これらの事業戦略を支える、経営基盤の強化として、人材の採用・拡充と育成、ガバナンスの強化、DXの推進、財務健全性の確保、株主還元の強化に加えて、新たに策定したサステナビリティ基本方針のもと、プライム市場上場企業に求められるサステナビリティ水準を充足してまいります。
[サステナビリティ経営の推進]
当社グループは、ESGを最大限に考慮し、持続可能な社会環境づくりに貢献する経営を心がけております。その一環として企業の社会的責任(CSR)ではなく、事業と社会貢献の両立(CSV)の経営スタイルへとシフトチェンジしていくことで会社の価値を高める努力を続けてまいります。
① 環境 Environment
近年、気候変動は大きな社会経済リスク及び機会をもたらす要因となっており、世界各国で脱炭素化の動きが広がっています。
当社グループの主力事業である買取再販事業は、中古不動産の再生・流通を促し、今ある資源を有効活用する環境に優しいビジネスモデルであります。一方で、水害など気候変動によるさまざまな影響を受ける可能性もあり、気候変動への対応が事業の持続可能性に不可欠であると認識しております。持続可能な社会の実現のため、環境に配慮した事業活動への取り組みの一環として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同するとともに、気候変動に起因する事業等のリスク・機会の把握と適切な情報開示を行ってまいります。
詳細につきましては、2023年2月14日付にて公表した「TCFD提言に基づく情報開示に関するお知らせ」をご参照ください。
イ.戦略
TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察する為、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うため、シナリオ分析を実施いたしました。
今回、初年度のシナリオ分析として、2050年時点を想定し、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けて野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。
考察の結果、いずれのシナリオにおいても、気候変動起因による主なリスクとして、洪水や高潮による保有資産への物理的な被害が想定されております。今後の対応として、ハザードマップを意識した不動産立地選定基準の強化等、事業のレジリエンス性を高めるためにより一層の災害対策を講じてまいります。
一方、機会として1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴うZEB・ZEH化による再エネ・省エネ関連のリフォーム工事の需要増加や、中古不動産の環境価値向上による事業収益機会の増加が想定されております。今後も環境に配慮した事業活動を通じて、脱炭素社会への貢献を行うとともに、気候変動の抑制に寄与してまいります。
ロ.指標と目標
当社グループでは、自社事業活動におけるGHG排出量(Scope1,2)を指標とし、環境に配慮した事業活動を推進してまいります。
中期的な削減目標として、2030年度に売上高あたり46%削減(2021年度比)を掲げるとともに、長期的な目標として、パリ協定の目標を参考に2050年度カーボンニュートラルを目指してまいります。
今後、事業の成長や新規事業への参入に伴うGHG排出量の増加が想定されますが、再エネの導入や非化石証書利用の検討も視野にいれ、長期的な目標達成のために事業の脱炭素化を推進してまいります。
一方で、Scope3(自社以外の間接排出量)の排出量の削減は重要課題と認識しており、早期に当社グループの排出量実績の把握、削減方法の検討及び削減目標値の設定を実施してまいります。
② 社会 Social
当社グループがミッションとして掲げる「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」を実践することで、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長に挑戦してまいります。
ミッションを実現するためには付加価値の源泉である人材の確保と育成が不可欠であると認識しております。第2次中期経営計画で「人材の採用・拡大と育成」を重点施策とし、施策を着実に実行していくために「人材ビジョン」と「求める人物像」を制定し、一人ひとりが目標や夢に向かって挑戦し続け、能力を最大限に発揮し多様な人材の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでまいります。
イ.人材ビジョン
ムゲンエステートグループの原動力は、自ら構想し、挑戦し、変化に対応できる人の力です。
多様な価値観を認め合い、誠実に、粘り強く、強い覚悟を持つ人材を輩出することで、社会に新たな価値を創造し、提供してまいります。
求める人物像

ロ.人材ポリシー
「人材ビジョン」の達成と「求める人物像」の採用・育成を実行するために、人的資本に係るカテゴリーを6項目に分け、それぞれの「あるべき姿」を人材ポリシーとして策定し企業方針として定めております。この方針に基づき、多様な従業員が働きがいを持ち、一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。

当社グループでは、人材ポリシーに対して現状の課題を解決すべく、各施策の進捗度を測るKPIを設定しております。外部環境や施策の進捗状況に応じて柔軟な見直しができるよう動的な人材ポートフォリオに連動させ、場合によっては具体的施策の見直しなども踏まえながら、モニタリングする体制を整えております。
ハ.人的資本の強化・人材戦略を支える3つの柱
人的資本の強化・人材戦略を支える3つの柱として「人材獲得の強化」「人材育成の強化」「リテンションの強化」を据えています。当社グループに必要なスキルを特定し、計画的に人材の「獲得」「育成」「リテンション」のための施策を展開してまいります。
<人材獲得の強化>当社グループは経営戦略実現のために、成長事業・重点領域・第2次中期経営計画達成遂行に資する人材を積極的に採用し、必要な人材の質と量を充足することで、組織の最適化を進めてまいります。
即戦力強化のため、キャリア採用を強化し専門性の高い職種を積極的に採用することで、人材の活力と多様性を確保いたします。一方で、ポテンシャルの高い人材確保・育成に向けては新卒採用に加えて、若年層でのキャリア採用も活用してまいります。
また、多様な人材が活躍できる機会を提供するために、当社グループは「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」や「女性活躍推進」等を推進していくことが重要であると認識しております。
「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」
当社グループの多様な人材による発想は、持続的成長の基盤となるイノベーションの源泉であり、ダイバーシティの推進は重要な経営戦略の一つだと考えております。グループが成長していくためには、変化し続ける社会や多様な価値観に柔軟に対応し、潜在的な市場を発掘できる新たな価値の創出が必要となってきます。それには従業員の多様な価値観、ジェンダー、世代、民族、言語、文化、障がいの有無、ライフスタイルなどを活かした視点や発想を活用することができる職場風土を醸成し、今までの常識や既成概念にとらわれない発想を継続的に生み出すことができる組織を形成していかなければなりません。当社グループでは多様な人材が個性や能力を発揮できる機会と環境の整備に取り組んでおり、役割と成果、能力に応じた公正な評価に基づいて役職や処遇が決定されております。
「女性活躍推進」
2022年12月時点で、女性の従業員構成比は23.0%、女性管理職比率は3.7%です。出産・育児休暇後の女性従業員全員が復職しており、仕事と育児を両立しております。
また、今後もさらなる女性の活躍推進を目指し、育児・介護休業法で定められた短時間勤務の対象年齢の拡充や、介護・看護休暇についても法定で定められた内容を上回ることを目標に、子どもを安心して出産し育てられる職場環境づくりや、出産祝金制度、女性が能力を十分に発揮できるようなキャリア支援を実施しております。具体的には、女性従業員を対象としたキャリア研修や、リーダーシップ研修の継続実施や従業員のコミュニティづくりの支援を実施しております。
女性管理職比率については2025年度までに8%とする目標を掲げております。その実現に向けて、2021年度に導入した新人事制度を軸に、採用面の強化、配置・登用、人材育成、個々人が最大限に力を発揮できる環境整備を行ってまいります。こうした取り組みにより、多様な人材の力を競争力の源泉として生かし、さらなる成長や企業価値の向上を図っていきます。
<人材育成の強化>当社グループの企業理念である『夢現』(夢を現実に)に込められた思いを実現するため、様々な育成プログラムを提供しております。能力を最大限に発揮し、多様な人材の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでおります。今後も国籍を問わず優秀な人材を適材適所で積極的に育成・登用し、強靭な組織力の構築や企業価値の向上に繋げてまいります。
<リテンションの強化>当社グループが、変化の激しい事業環境・社会情勢の中で企業価値を向上させていくには、多様な価値観を持ったさまざまな従業員一人ひとりが、当社グループのミッションを共通の価値観とし仲間やパートナーと連携して挑戦を続けることが重要であると認識しております。企業理念の浸透と実践の場を提供し、従業員が成長を実感することで、エンゲージメントの向上、ひいては人材のリテンションにつなげてまいります。
「ワークライフバランスの推進」
当社グループでは、妊娠(配偶者の妊娠を含む)・出産・育児・介護・疾病治療など、ライフステージのさまざまな変化に左右されることなく多様で柔軟な働き方で能力を発揮できる環境整備に努めております。
「男性育児休業取得促進」
当社グループでは、男性の育児参画を推進しております。育児休業については社内啓蒙や社内研修などをすることで男性社員の取得を促しています。育児休業以外にも、有給休暇や、短時間勤務、有給の介護・看護休暇など育児目的に使用できる制度は充実しており、制度を組み合わせながら男性も積極的に育児に関わることを推奨しております。
「有給休暇の取得率向上」
当社グループでは、有給休暇の取得率向上を目指しています。社員の健康維持や心身のリフレッシュに向けて、有休奨励日を設定し休暇の取得が促進されるよう取り組んでおります。
「残業時間の抑制・ノー残業デーの導入」
当社グループでは、「働き方改革」の一環といたしまして社員の両立支援、ワークライフ・バランス(仕事と生活の調和)を充実させるため、ノー残業デーへの取り組みを強化し従業員自身の働き方を見直し、より効率的に業務を行うことで、労働時間の短縮、仕事とプライベートの両立を目指しております。
「エンゲージメント」
従業員が仕事に対してどの程度の関心を持っているか、どの程度満足しているかなどを定量的に把握し、組織のパフォーマンスの向上、生産性の向上、従業員のモチベーションの向上、離職率の削減などにつなげることを目指してエンゲージメントサーベイを実施しております。より良い組織づくりに向けた改善施策を構築し、組織の隅々にまで波及・浸透させてまいります。また、個人の状態把握、上長とメンバーのコミュニケーション促進を目的とした取り組みを実施してまいります。
これらの結果を踏まえて人材の確保や定着に関するリスクを適切に把握することで、従業員の活力と会社の業績向上、事業の持続的な成長を支える優秀な人材の定着へと結び付けております。
「タウンホールミーティングの実施」
当社グループでは、経営陣と従業員とが直接対話できる場を設けております。社長を含む経営陣が現場の声をダイレクトに聴き、素早く経営に反映させることを目的とするとともに、経営陣と現場の円滑なコミュニケーションの場として活用されております。
「経営参画の意識向上」
当社グループでは、従業員に対して自社株式の購入を奨励する「従業員持株会」を設けており、各自の拠出金に会社が奨励金を付与しています。これにより、従業員の経営参画の意識向上に寄与するとともに、従業員の長期資産形成を支援しております。
「健康経営」
従業員が健康でいきいき働き続けることが、当社グループのミッションである「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」の実現に不可欠であると考えております。健康経営を、持続的な企業価値の向上や社会価値の創出に向けた戦略のひとつに位置付け取り組んでおります。心身の健康は、従業員にとって、また家族にとっても大変重要であると認識しており、全従業員が、心身ともに健康でやりがいを持って働き、「この会社で働いて良かった。有意義な時間を過ごせて良かった。」と思える取り組みを推進してまいります。
具体的には産業医の指導のもと、社員に健康で快適な作業環境を提供しております。感染症流行時には、当社グループのリスク管理規程に基づき、緊急対策本部を立ち上げ、在宅勤務や時差出勤を導入し、感染防止につとめております。メンタルヘルス対策として、年に一回ストレスチェックを実施し、社員からの個別相談を受け付ける相談窓口を設置しております。また、禁煙手当を導入し喫煙や受動喫煙による健康リスクの極小化を図っております。
③ ガバナンス Governance
当社グループは、事業を通して持続可能な社会の実現を推進するために、代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」を設置しております。
同委員会は原則年に2回以上開催するものとし、気候変動課題を含む当社グループのサステナビリティ課題について、審議・検討を行い、サステナビリティ活動に関する全体計画の立案、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価を行っております。
また、サステナビリティ委員会にて審議された重点課題及び対応方針については、取締役会にその推進状況を報告し、必要に応じて取締役会にて審議及び対応の決定を行ってまいります。
役割担当
委員長代表取締役社長
委員メンバー取締役会が選任した委員及び事業部門責任者や社外取締役
※必要に応じて社外専門家の招集を行う。
事務局経営企画部門
設置時期2022年7月

当事業年度から有価証券報告書提出日現在において、サステナビリティ委員会では以下の議題に関して審議・検討を行い、取締役会に付議・報告し、取締役会で決議しております。
開催月議題
2022年9月ESG経営について研修
CDPへの回答について報告
気候変動 ガバナンス・リスク管理について(TCFD対応)
人材ビジョン・育成方針・人材戦略について(人的資本対応)
2022年11月気候変動 戦略・指標と目標について(TCFD対応)
TCFD提言への賛同について
As is - To be・施策とKPIについて(人的資本対応)
2023年2月TCFD提言に基づく情報開示について
人的資本の開示について
女性活躍推進プロジェクトについて


サステナビリティ推進体制

(3)目標とする経営指標
第2次中期経営計画では、財務の健全性とともに、事業の成長性・効率性・健全性・株主還元を重要な経営指標としております。また、第2次中期経営計画の2年目である2023年12月期の連結業績見通しにつきましては、足元の事業環境を鑑み、数値目標を修正し、売上高は458億65百万円(前期比46.8%増)、営業利益は36億25百万円(同21.8%増)、経常利益は28億40百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億63百万円(同19.1%増)を予想しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(2)に記載の経営環境を背景に、(1)及び(2)に記載の経営方針及び中期的な会社の経営戦略を実行する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 不動産売買事業における新規物件の取得
当社グループは、不動産買取再販事業を既存事業、不動産開発事業及び不動産特定共同事業を成長事業として事業規模の拡大を図っております。いずれの事業におきましても、不動産価格の上昇及び高止まりにより新規物件の獲得が一層難しくなっております。新規物件の獲得には、幅広く情報収集し、スピード感を持った判断が必要となってまいります。
当社グループでは、幅広いアセットタイプを取り扱うこと、また、首都圏に展開する営業所にてエリア深耕を図ることで、多くの仲介会社から情報を獲得できるよう取り組んでおります。また、ITを活用した仕入判断力の強化や迅速な判断を行うことで、新規物件の仕入を進めてまいります。
② 販売用不動産の在庫回転率の向上
新型コロナウイルス感染症の拡大、働き方の変化によるオフィスの在り方、ウクライナ情勢の長期化等による資材高騰や供給遅延、金利動向など、2023年12月期も不動産市況は不透明な状況が続くと想定しております。市場環境が目まぐるしく変化しており、そのような環境において、不動産の保有期間を短期化し在庫回転率を高めることで、市場変化に迅速な対応が可能であると考えております。
当社グループでは、これまで以上に稼働率改善のスピードを早め、内外装工事の短期化を図ることで早期の商品化に取り組んでおります。また、仲介会社向けの物件紹介サイトの機能の充実や、不動産テックを利用した販売活動の効率化・顧客の購入意欲の向上を図る等、情報を提供する環境を整備していくことで、早期の販売を行ってまいります。
③ 工事原価削減による収益性の向上
ウクライナ情勢の長期化等による資材高騰や供給遅延、建設業界の需要増に起因する労務費の高騰により、工事原価が増加する傾向にあります。
当社グループでは、常に資材調達先や工事協力会社の拡充を行うことで調達コストや委託費用の適正化を図り、加えて、業務オペレーションの見直しによる労務費単価の低減や工期短縮にも努め、売上総利益率の維持・改善に取り組んでおります。
④ 消費税法の改正
2020年4月に消費税法等の一部が改正され、2020年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないことと改正されました。これにより、施行日以後に仕入れを行った居住用賃貸建物に関しましては、原則、その仕入税額を全額租税公課に計上するため、販売が長期化した場合、租税公課が大きく増加することになります。
当社グループでは、仕入控除税額の対象となる仕入年度を含む第3年度の期間中に販売できるよう在庫期間の短縮を図り、在庫回転率の向上に努めてまいります。
⑤ 成長を支える安定収益の拡大
当社グループは、主力の不動産売買事業の連結売上高が全体の90%程度、セグメント利益の80%以上を占めており、将来的な不動産市況の変化に備えるための安定収益の確保が課題となっております。
そのため、長期・安定的な収益確保の機会として、優良資産の獲得と管理戸数の増加に取り組んでおります。優良資産獲得に関しましては、不動産動向を見極めた上で、各年度のキャッシュ・フローや手元資金の水準を考慮し取得を決定しております。管理戸数の増加に関しましては、当社保有不動産の売却時にアセットオーナーからの受託を得られるよう営業部門と連携し、契約獲得に取り組んでおります。
⑥ 既存事業及び新規事業への積極的な投資
当社グループは、主力事業である不動産買取再販事業へこれまで以上に積極的な投資を行うとともに、外部環境の変化を踏まえた成長分野への新規参入を慎重且つ積極的に行うことにより、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを目指しております。
足許では、成長事業である不動産開発事業・不動産特定共同事業の収益を拡大させて、新たな事業の柱として構築することを目指してまいります。不動産開発事業は、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢の長期化等により、資材高騰や工賃の上昇など収益性を確保するのが難しい状況が続いておりますが、立地の選定や品質の向上だけではなく、ESG・SDGsを意識したプランニングを行い、付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。不動産特定共同事業は、組成商品・組成スキームの多様化や出口戦略の拡充、販売ネットワークの拡大を図り、年間組成数の増加、組成枠の拡大に取り組んでまいります。
新規事業に関しましては、全てを内製化し単独で事業推進するよりも事業化や収益化までの期間を考慮し、他社との業務提携やM&Aなどの戦略的投資も活用し推進してまいります。
⑦ 環境課題への取り組み強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、環境課題への取り組みが重要であると認識しております。特に気候変動は世界的にも大きな問題となっており、脱炭素社会への動きが広がっております。当社グループにおいても脱炭素社会への移行に対応すべく、環境に配慮した事業活動への取り組みを推進してまいります。
また、当社グループは金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言に基づく情報を開示しており、今後も気候変動に起因する事業等のリスク・機会の把握と適切な情報開示を行ってまいります。
⑧ 人材採用・育成・組織力の強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、付加価値の源泉である人材の継続的な確保や、育成により組織力を強化することが重要であると認識しております。
採用面では新卒・キャリア両面の採用強化に取り組むとともに、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うことで競争優位性を確保いたします。育成面では、社内外の教育研修プログラムの充実による人材の育成、OJT等を活用しマネジメントに長けた中核人材の育成・拡充、能力に応じた人事制度の確立、専門スキルの取得を推奨しております。
当社のミッションを共通の価値観とし、人的資本及び組織としての能力の底上げをしてまいります。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性の確保及び環境の変化に迅速・適切に対応することが重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスはその重要な経営課題の一つと位置付けており、業務執行責任者に対する監督・牽制の強化、情報開示による透明性の確保、業務執行の管理体制の整備を推進して、ガバナンス機能の強化を図ってまいります。
2021年11月に設置した指名・報酬委員会をはじめ、2022年1月には執行役員制度の導入、同年7月にはサステナビリティ委員会を設置するなど、社外取締役による監督や牽制の強化、経営の意思決定の迅速及び機動的な業務執行の実現、並びに持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ課題への対応を図ることで、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させ、中長期的な企業価値向上に努めております。
また、当社は2022年4月に市場区分の見直しによりプライム市場を選択・上場しましたが、流通株式時価総額及び売買代金の基準を充たしておりませんので、業績の向上・IR活動の強化・株主への利益還元強化とコーポレート・ガバナンスの強化を図ることで上場維持基準の安定的な充足を目指してまいります。
⑩ 資本効率の改善
当社グループは、事業規模の拡大と高い財務健全性を維持しつつ、主力事業及び成長事業への投資を実行するとともに、株主還元の充実を図ることを経営戦略の基本方針としております。また、中長期的な企業価値向上を図るための重要指標の一つとしてROEの向上を掲げております。環境変化に対応するための財務余力を確保しつつ、資本と負債のバランスを意識しながら、株主資本コストを上回るROEの持続的な向上に取り組んでおります。

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