訂正有価証券報告書-第10期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

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2018/08/10 12:59
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業績等の概要

(1) 業績
映像配信サービス(ビデオ・オン・デマンド)の市場規模は、平成29年には1,826億円(前年比7.4%増)と推定され、順調に市場が拡大しており、平成35年には2,176億円に成長すると予測されています(野村総合研究所「ITナビゲーター2018年版」)。また、ブロードバンド通信サービス市場は、平成29年の固定ブロードバンド(光ファイバー)回線が1兆4,758億円(同)、MVNOの回線数は平成29年に1,128万回線に登り、平成35年には2,260万回線まで拡大することが予測されています(同)。
このような環境のもと、当社では一層の事業規模の拡大を図るために、既存のサービスの拡充、新規顧客の獲得に取り組んでまいりました。
また、第2四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたUSENグループ(㈱USENおよびその連結子会社)では、主軸事業である音楽放送サービスのお客様を始め、ホテル・病院・ゴルフ場や中小オフィスといった様々なBtoBマーケットのお客様のニーズや課題をワンストップで解決するソリューション提供企業としての地位を確固たるものとするため、引き続き既存事業を強化するとともに、開業支援コンテンツの提案や、電力を中心としたエネルギー事業への参入等、サービスラインナップの充実にも引き続き積極的に取り組んでまいりました。
なお、当社グループは、上述のとおり㈱USENを連結子会社としたため、第2四半期連結累計期間より売上高等が増加しております。当該取得に関しては、みなし取得日を平成29年3月1日としており、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、㈱USENの9か月分(平成29年3月1日~平成29年11月30日)の連結業績が含まれております。
この結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高114,291百万円(前連結会計年度比149.3%増)、営業利益5,867百万円(前年同期は営業損失396百万円)、経常利益3,303百万円(前年同期は経常損失436百万円)、また、親会社株主に帰属する当期純利益427百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失935百万円)となりました。
当社グループの各セグメント別の売上高及び営業利益は以下のとおりであります。
<コンテンツプラットフォーム事業>コンテンツプラットフォーム事業「U-NEXT」では、映像配信サービスの市場が活性化する中、引き続きユーザーエクスペリエンスの改良、コンテンツの拡充、マーケットの開拓を進め、順調に契約者数を伸ばしております。
コンテンツの拡充においては、韓流コンテンツの独占配信をはじめとして、着実にラインナップ強化が進んでおります。平成29年10月には同年の大ヒット映画『美女と野獣』が配信開始されるなど、最新作の配信によるユーザー満足度の向上も進めております。
また、平成29年7月より「ビデオ見放題サービス」をご利用中のお客様に毎月プレゼントしている「U-NEXT」ポイントを20%増量(1,000→1,200ポイント)、有効期限を2倍(45→90日間)にしており、このポイントを利用することで、最新作を従来よりも多く楽しんでいただくことができるようになりました。更に、視聴可能デバイスもPlayStation®4に対応するなど、マルチデバイス対応よる利用者拡大を引き続き推進しております。一方、契約者数拡大を企図した積極的な販売促進費を投入し、またコンテンツ数の拡充や会員数増加によるコンテンツコストが増加しております。
この結果、コンテンツプラットフォーム事業における売上高は19,710百万円(前連結会計年度比25.1%増)、営業利益は42百万円(同95.4%減)となりました。
<コミュニケーションネットワーク事業>コミュニケーションネットワーク事業におけるブロードバンドインターネット回線の販売代理店サービスでは、小規模事業者向けを中心とした新規獲得活動が引き続き堅調に推移しております。MVNOサービス「U-mobile」においては、ヤマダ電機の協力のもと、「ヤマダニューモバイル」としての販売を開始しております。
また、前期に重要な貸倒損失を計上したことを受け、当期において、販売代理店の与信管理の徹底及び質の改善にも継続的に努め、債権管理体制の構築を進めてまいりました。
この結果、コミュニケーションネットワーク事業における売上高は32,385百万円(前連結会計年度比7.6%増)、営業利益は1,748百万円(前年同期は営業損失614百万円)となりました。
<音楽配信事業>音楽配信事業は、当社グループの事業の主軸であり、今後においても、その安定的な収益基盤を維持し、強化していく方針です。このため、業務店向け・個人向け市場において顧客との取引の維持拡大、新規顧客の獲得及びブランド力の改善に取り組んでまいりました。
特に業務店・チェーン店向けには、店舗及び商業施設向けサービスのラインナップの充実を企図し、音楽放送サービスを中心に開業支援や事業環境の構築から集客・販売促進までトータル的なソリューションの提供やサポートをご提案してまいりました。
店舗及び商業施設向けサービスの主なラインナップとしては、多機能×低価格なタブレットPOSレジである「USEN Register」、飲食業界の課題であるスタッフ不足やインバウンド対応を解決するためのサービスとしてお客様自身が注文できるUSEN Registerのオプション機能「USEN Register Table Top Order」、店舗アプリ作成サービス「UPLink」、業務店向けWi-Fiサービス「USEN SPOT」やチェーン店向けWi-Fiサービス「USEN SPOT Enterprise」、スマートフォンやタブレットで簡単接続&操作で話題のIPカメラ「Viewlaシリーズ」、飲食店向け予約サービス「USEN Reservation」、カード決済サービス「USEN PAYGATE」、インターネット回線「USEN光」等を取りそろえ、更にオフィス向けサービスとして職場環境を改善するオフィスBGM
「Sound Design for OFFICE」やメンタルヘルスケア対策支援のASPサービス「こころの保健室」等、音楽放送サービスと併せてこれらの商材の利用促進に注力してまいりました。
また、平成29年7月には全国の料理人(飲食店)と生産者をスマートフォンやタブレット端末でつなぎ新たな流通をつくるプラットフォーム「REACH STOCK」をリリースいたしました。今後、当社の集客支援のグルメ情報サービスである「ヒトサラ」による全国のプロの料理人のネットワークを生かしたシナジーも期待できるものと考えております。
この結果、音楽配信事業における売上高は31,463百万円、営業利益は6,861百万円となりました。
<業務用システム事業>業務用システム事業は、ホテル・病院・ゴルフ場等の業務管理システム及び自動精算機の開発・製造・販売を行っております。
当該事業の市場環境は、金融緩和による資金需給の改善等に伴い設備投資需要は増加傾向にあります。
ホテル市場においては、平成32年東京オリンピックに向け今後更に増加が見込まれる訪日外国人への対応や人手不足を補完するべく、ITソリューションの導入ニーズの高まりを受けて、引き続きホテル管理システム、自動精算機等の導入のニーズが高いことから、新商品の市場投入や提案型営業の強化により顧客ニーズを捕捉し、市場浸透率の向上とシェアの拡大に継続的に取り組んでまいりました。
「変なホテル」においては開業当初より当社製品をご導入頂き、平成29年8月1日に開業した「変なホテルラグーナテンボス」においても当社製品をご導入頂いております。更に旅行予約サイト「楽天トラベル」と業務提携し、旅行者用宿泊施設としてアルメックスが運営するレジャーホテル検索サイト「ハッピー・ホテル」に掲載のレジャーホテルが予約できるサービスをリリース、9月より順次、予約受付を開始いたします。また、新規顧客の取引拡大に注力するとともに、機器を導入頂いた後の保守メンテナンスや、顧客ニーズにマッチしたきめ細かいカスタマイゼーションを大切に、効率的で安定したサービスの提供により顧客との信頼関係を強化し、事業基盤の一層の強化・安定化に努めてまいりました。
それらに加えて、新規製品やカスタマイズ製品の品質強化を図るため、開発・製造プロセスやフィールドサービスの改善活動に継続的に取り組んでおります。
新たな市場の獲得に向けては、省スペース化を実現したクリニック・調剤薬局向けの自動精算機を市場投下した他、ホテル・病院向けの次世代型ソーシャルロボット「Unibo」の市場投入準備等を行ってまいりました。
この結果、業務用システム事業における売上高は13,308百万円、営業利益は1,572百万円となりました。
ICT事業は、「USEN GATE 02」のブランドでネットワーク関連サービス事業やクラウドサービス事業を行っております。
当該事業は、当社グループの顧客基盤の一つであるオフィスに特化し、顧客ニーズにマッチした業務環境改善を提案するとともに、オフィスのICT環境構築をワンストップで提供可能な体制作りに取り組んでおります。
多くの顧客に接し、様々なご要望にお応えするためにサービスラインナップの強化を推し進め、現在約160以上のサービスを取りそろえるマルチサービスベンダーとして成長。顧客ニーズに応えるサービスラインナップの拡充に絶えず取り組んでおります。
ネットワーク関連サービス事業においては、アルテリア・ネットワークス㈱の法人向けインターネット接続サービスの販売取扱高では高い実績を誇り、また㈱インターネットイニシアティブのSMBマーケット向けベストパートナーとして活動しております。
クラウドサービス事業においてはGoogle Inc.のプレミアパートナーの認定を受け、「G Suite」
(旧Google APPS for Work)の販売に注力する他、サイボウズ㈱からもプラチナパートナーの認定を受け各種SaaSサービスの販売に注力しております。また、ワークスモバイルジャパン㈱が提供する「LINE WORKS」のプラチナパートナーとして、当社が得意とする飲食・小売チェーン店を運営する企業のコミュニケーション改善提案に取り組んでおります。
この結果、ICT事業における売上高は9,088百万円、営業利益は675百万円となりました。
<その他事業>その他事業として、業務店顧客の集客を支援する集客支援事業、エネルギー事業、音楽著作権の管理・開発事業や新規商材・サービスの開発・立ち上げを行っております。
集客支援事業では、飲食店向け集客支援サービス「ヒトサラ」を展開しております。「ヒトサラ」は、料理人(ヒト)と料理(サラ)にフォーカスしたグルメレストラン情報サイトであり、サイト開設から5周年を迎え、関連する書籍の出版等、競合他社との差別化によるメディア力の強化を積極的に進めております。
また、ビューティーマーケットに訴求するWEBマガジン、フリーマガジンの発行、ウェディングイベントへの出展等、周辺領域への進出を積極的に進めてまいりました。
そして、エネルギー事業では、業務店の店舗や建物並びに商業施設向けサービスラインナップの一環として取り組んでおり、高圧小口を中心に電力販売等を進めてまいりました。
当該事業については、将来の主力事業としてより一層成長させるべく、専従の営業部門を設ける等、積極的な投資並びに営業活動を推進しております。
この結果、その他事業における売上高は9,954百万円、営業損失は1,246百万円となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて11,032百万円増加し、当連結会計年度末の資金残高は13,010百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は12,404百万円(前年同期は214百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を2,505百万円計上、減価償却費4,530百万円、のれん償却額2,482百万円の計上、仕入債務が87百万円増加した等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は59,523百万円(前年同期は4,916百万円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出52,744百万円及び有形固定資産の取得による支出3,008百万円等によるものであります。なお、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出は、経営統合により㈱USENの株式を取得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は58,150百万円(前年同期は3,955百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入75,160百万円増加及び長期借入金の返済による支出により資金が18,905百万円減少したこと等によるものであります。なお、長期借入れによる収入は、一連の経営統合において㈱USENの株式取得等を目的としたシンジケートローンによる資金調達を行ったことによるものであります。