有価証券報告書-第47期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当期末日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの主要事業である国内の上下水道市場では、人口減少等に起因する自治体の財政難や技術者不足が顕在化していることに加え、施設・設備の老朽化や大地震・集中豪雨等の自然災害への対策が喫緊の課題となっております。このような状況において、PFI法改正や水道法改正(2018年12月公布)等の政府方針により、公共インフラ整備に民間の資金、技術、ノウハウを活用する公民連携や、上下水道事業体の経営強化に向けた施策として広域化の検討が進展しております。また、IoT、AI、5G等の技術革新を背景に、新たな事業機会やビジネスモデルが創出されるものと予想されます。
一方、海外の上下水道市場においては、欧米を中心に施設・設備の老朽化対策、環境規制の厳格化等が求められております。また、アジアの新興国等では人口及び水需要の増加に伴う上下水道インフラ整備の需要が高まっております。今後も各国の上下水道市場における課題やニーズを背景とした事業機会が継続されるものと予想されます。
このような事業環境を踏まえ、当社グループは、長期ビジョン(10年後の姿)の実現に向けた最初のステージとして、2020年度(2021年3月期)を最終年度とする「中期経営計画2020」を策定いたしました。2020年度の経営目標である受注高1,400億円、売上高1,300億円、営業利益90億円の達成に向けて次の3点を重点課題とし、全社を挙げて取り組んでおります。なお、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により景気の急速な悪化が続いておりますが、現時点では今後の動向が不透明であることから、2020年度の計画には織り込んでおりません。
①戦略開発投資
当社グループは、従来の開発投資に「戦略開発投資」を加え、中長期的な成長に不可欠な製品、ソリューション及び新事業の開発を進めております。「広域化+包括化」に対するマスメリット経営においては、3センター(設備運転員訓練センター、ナレッジセンター、共通部品センター)の設置に続き、WOODAP(ウーダップ)(注1)の考え方を軸として、社会の新たなニーズに対応したソリューション提案の推進に取り組んでまいります。また、ナンバーワン製品群の開発においては、緊急時及び災害時の対応として、可搬型非常用セラミック膜ろ過装置の開発に着手しており、2020年度の製品化に向けて取り組んでまいります。
②事業戦略
当社グループは、EPC事業とO&M事業を基盤分野、PPP事業と海外事業を成長分野と位置付け、事業の強化及び拡大を進めてまいります。
(基盤分野の強化)
EPC事業では、今後の更新需要を捉え、IT、3D-CAD等を活用したエンジニアリング手法の確立やコスト競争力の強化により、更なる受注拡大と収益力の向上に取り組んでまいります。また、O&M事業では、ストック機場や維持管理ノウハウの活用による安定成長や、ドローンの活用及びWBCの拡販強化等による新規事業の創出に取り組んでまいります。
(成長分野の拡大)
PPP事業では、今後の更なる公民連携の進展に向けて、これまでの実績やノウハウを活かした地域戦略を強化するとともにコンセッション(注2)案件に対応するための体質強化等に取り組んでまいります。また、海外事業では、新たにREMOVE(リムーブ)(注3)のコンセプトに基づき、引き続き欧米を戦略エリアと位置付け、米国子会社であるAqua-Aerobic Systems, Inc.を基盤として更なる事業拡大に取り組んでまいります。
③持続的なESGの取り組み
当社グループは、環境貢献度の高い事業活動を通じた社会貢献にとどまらず、企業市民として環境負荷の低減や地域貢献活動にも積極的に取り組み、国連が提唱する持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals(SDGs)」にも貢献してまいります。また、政府が推進する働き方改革に対しては、サテライトオフィス設置、週休三日制の導入等により社員の多様なワークスタイルの実現に向けて積極的に取り組んでまいります。一方、コーポレートガバナンスにおいては、引き続き経営体制の強化に取り組むとともに、各ステークホルダーと積極的な対話を行うことにより、信頼性及び透明性の高い経営を目指してまいります。
(注) 1.WOODAP(ウーダップ):災害時の早期復旧を核とした設計・建設、運営・維持管理の考え方
2.コンセッション:施設の所有権を移転せず、民間企業に公共インフラの事業運営権を長期にわたって付与する手法
3.REMOVE(リムーブ):水環境市場における新たなニーズを満たすため、“水”から何かを取り除くという考え方