有価証券報告書-第59期(2022/01/01-2022/12/31)
(1) 経営基本方針
自らもユーザーであるという立場で欲しいモノやサービスを「つくる」と同時に、私たち1人ひとりがお客さまと直接「つながる」ことを通じて、私達に関わる全てのものに良い影響を与え、自然指向のライフバリューを提案し実現するグローバルリーダーを目指して参ります。その結果として、お客さまとのつながりを端的に示す、売上高の持続的な成長を図って参ります。また、投資とのバランスを取りながら長期的な売上高営業利益率の向上を目指して参ります。
(2) 経営環境
一般社団法人日本オートキャンプ協会発行の「オートキャンプ白書2022」によると、日本国内のオートキャンプの参加人口は1996年の1,580万人をピークに縮小し続けており、2010年から2012年までは、720万人レベルで横ばい推移してきました。このようにオートキャンプの参加人口が減少するなかにおいても、当社グループは初心者向けのエントリーモデルであるテント「アメニティドーム」シリーズの販売による新規顧客の獲得を行い、着実にユーザー数を増やして参りました。さらに獲得した新規顧客に対しては、システムデザインされた製品群(タープ、スリーピングギア、ファニチャー、キッチンシステム等)をもとに、幅広いキャンプスタイルの提案を行うことで顧客の深耕を図っております。また、第1次キャンプブームに幼少期であった団塊ジュニア世代が、子育て世代に差し掛かり、再びオートキャンプ活動に参加している為、参加人口は2013年に入り750万人と増加に転じ、2019年においては860万人を超えております。新型コロナウイルスの感染拡大にともない、2020年には610万人と前年からの大幅な減少が見られたものの、2021年には750万人と回復し、密を避けたレジャーとしての認知が拡がり、新規のキャンパー創造が進んだことで、レジャーにおけるキャンプの位置づけの向上が見られており、今後も引き続き国内の市場環境は良好であると捉えております。
一方、海外においては、既にキャンプ・アウトドア文化が根付いている韓国・台湾以外の国においても、社会構造が複雑になるほど人々のストレスも増大することから、アウトドア活動は、その必要性が高まると当社は考えております。そのため、グローバルに、当社グループのビジネスの機会が増大するものと考えております。
上記のように今後数年間は外部環境が良好であるとの見解から、これまで以上に新製品開発、新規出店を積極的に進めて参ります。
近年においては、他の分野においてもアウトドア指向を取り入れようとする動きが見られます。アパレルの分野においてはファッションのなかにアウトドアの要素を取り入れた服が流行しており、住宅の分野においては、建物のウチとソトの間に明確な境界線を設けないシームレスな暮らしができるよう設計され、都市生活者であっても身近に自然を感じる暮らしが浸透し始めております。また、キャンプ経験者でなくとも優雅にキャンプ体験ができるグランピングも多くの人々が体験するようになってきております。さらには、キャンプをはじめとしたアウトドア活動の持つ効果を地域の活性化に活かす取り組み、ビジネスにおいてもアウトドア活動の要素を取り込み、働き方改革を推進する取り組みも始めております。このように、アウトドア活動に内包される価値が見直され、さまざまな分野で活用され始めております。当社がアウトドア活動を通して提供した価値を、異分野においても積極的に展開して広めていくことで、更なる市場の獲得を目指して参ります。
また、ワクチン接種率の上昇と緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除により、経済活動が徐々に正常化するにつれて、個人消費も回復していくことが期待されております。しかしながら、欧米を中心として急速に進んでいるインフレの影響も、日本においても出てくるものと思われます。一方で、ストレス改善などの効果が認識されることにより、キャンプ需要の高まりが世界的に確認されており、アウトドア業界としても、アウトドア商材に対する需要の更なる増加が期待されます。今後につきましても、個人の消費動向を慎重に注視しつつ、ウィズコロナ下における当社ビジネス領域の強みを活かして、市場の創造を図って参ります。
(3)対処すべき課題
当社グループは、「自然と人、人と人をつなぎ、人間性を回復する」という社会的使命を果たすとともに、持続的な成長を成し遂げるため、以下のことに注力して参ります。
① 国内・海外における成長戦略
成長戦略については、各国において市場の成熟度が異なるため、取るべきアクションは異なりますが、いずれの市場においても、新規キャンパーの創出とロイヤルカスタマー化の実現を目指していきたいと考えております。
<日本>国内においては、「拠点」、「体験」、「コミュニティ」の3つの軸を中心に強化を進めていきます。拠点については、キャンプフィールドを中心とした体験拠点の開発を進め、2025年までに直営キャンプフィールドを合計1,000サイト追加する予定となっております。また、出店計画を策定する際は、キャンプフィールドと店舗間の導線を考慮した立地にすることで、キャンプフィールドへのアクセスを容易に致します。体験については、提供サービス商品の拡充及びイベント数の増加を図ることで、より幅広い層のお客さまにアプローチし、体験への誘導を強化致します。このように拠点と体験の強化を図りつつ、リアルイベントやデジタルツールを活用して、コミュニティ育成を強化し、顧客創造の好循環を創出致します。
<米国>米国においては、世界最大のアウトドア市場ではあるものの、ハイキングなどのアクティビティを中心とした市 場が大きな部分を占めており、スノーピークのキャンプスタイルの根幹にある、アウトドアでの豊かな時間を楽し むスタイルとは異なっております。そのため、まずはスノーピークのキャンプスタイルの浸透を実現するべく、キャンピングブランドとしての認知の向上を目指します。そのために、体験提供の強化を通じたスノーピークのキャンプスタイルの可視化及び販売網の拡張・強化を進めていきたいと考えております。体験提供の強化に関して は、2023年下期に直営のキャンプフィールドをオープンする予定になっており、それを核に体験誘導の強化を進めていきます。販売網の拡張・強化については、卸売事業と直販事業に分けて進めていきたいと考えております。卸売事業については、スノーピークのブランドを表現できるショップインショップの拡張を進めます。直販事業については、直営店の新設に加えて、店舗スタッフの育成に注力していきます。
<中国>中国においては、キャンプ文化が発展段階にあるため、米国と同様にまずはスノーピークのキャンプスタイルの浸透を図り、キャンピングブランドとしての認知の向上を目指していきたいと考えております。それに対する施策についても、大きな方向性としては米国と同じく、体験提供の強化を通じたスノーピークのキャンプスタイルの可視化及び販売網の拡張・強化を進めて参ります。体験拠点開発の第一弾として、2024年前半の開設を目標に中国国内でのキャンプフィールドの開発プロジェクトを進めており、このプロジェクトを通じて、中国における体験拠点のフラッグシップモデルを確立します。それ以降については、中間所得者層をターゲットとして、それらの人々が集中している1級都市及び新1級都市の郊外を中心に開発を進めていきます。販売網の構築・強化について、卸売事業は沿岸部を中心に新規アカウントの拡大を図っていきます。合わせて外部ECの立ち上げを進め事業基盤の構築を進めていきます。2024年以降は、内陸部を中心に拡大を進めていく計画となっております。直販事業については、自社ECの開設及び沿岸部の1級都市に直営店の開設を進め、ブランドポジションの確立を図っていきます。
② 経営基盤の強化
経営基盤強化では、筋肉質な経営体質の実現を果たすために、「サプライチェーンの最適化」、「経営管理体制の強化」、「人財戦略の強化」及び「販売網の見直し」の4つの項目について注力します。
<サプライチェーンの最適化>サプライチェーンの最適化については、これまでは、主に日本市場を需要の中心地として、サプライチェーンの構築を図って参りましたが、今後は米国、中国を中心としたグローバル市場の需要に合わせたサプライチェーンの構築が必須になると考えております。その実現に向けて、供給、物流及びオペレーション面に対して、グローバルの観点から管理体制の強化を実現していきます。具体的には、供給については、今後需要拡大が見込まれる米国、中国市場に対応できる供給体制の強化を地政学的リスクを考慮した上で、構築していきます。また、デジタルの活用を進め、生産状況や納期情報の管理体制強化を図ることで、調達業務全体の効率化及び正確性の向上を実現していきます。物流及びオペレーションについては、生産国から販売国までの物流網や情報管理体制を強化することで、物流効率及び販売効率の向上を図り、グローバル基準の体制を構築していきたいと考えております。
<経営管理体制の強化>経営管理体制の強化については、特定の分野に偏ることなく、組織・人財面から財務、戦略、ブランドなど経営全般を対象として進めていきます。まず、組織・人財管理については、戦略と組織の整合性を定期的に見直し、それに合った適切な人員体制を実現することで、効率的且つクリーンな組織体制を構築していきます。財務管理については、財務体制強化及び収益性の向上を実現するために、予実管理体制の強化や社内配賦ルールの見直し、投資基準の厳格化など、主に管理会計の視点から改善を進めていきます。戦略管理については、各年の業務計画や中期経営計画で立てたプランの実行を定期的にレビューし、実行フェーズの進捗管理を強化致します。
知財・ブランド管理については、今後グローバルでの事業拡大を念頭に、ベースとなるルールの確立及び管理体制の強化を図って参ります。ESG対応については、推奨項目の適切な開示及び定期運用への仕組みの構築を進めていきます。
<人財戦略の強化>人財戦略の強化については、店頭におけるスノーピークらしい接客や、スノーピークらしい価値提供を長期的に継続するために、人財育成制度の強化及び処遇面の見直しによる職務環境の改善を中心に構築していきます。人財育成については、採用活動の強化、研修プログラムの体系化及びキャリアデザインの促進を進めていきたいと考えております。職務環境改善については、処遇面の改善を実行していきます。2023年2月より第一弾として、国内で働く正社員・準社員を対象にしたベースアップ(基本給を一律で3%引き上げ)や、顧客接点の要となる店舗の勤務者を対象とした各種手当の新設を図りました。これにより、長期的に安心して仕事に取り組める環境づくりを目指しております。今後も、スノーピークがお客さまに提供している価値に見合った処遇を目指し、引き続き改善に向けての検討を進めていきます。
<販売網の見直し>販売網の見直しについては、収益改善と販売チャネル戦略の見直しの観点から検討を進め、持続可能な販売網の構築を進めていきます。収益改善については、低採算店舗を中心に、収益性のみではなくブランディングへの効果も含めた上で、総合的に勘案し閉店を含めた策を検討していきたいと考えております。業態変更については、飲食事業において、既存のレストラン形態から固定費負担の低いカフェ形態への見直しを進めます。販売チャネル戦略については、直販事業と卸売事業の両面から進めていくことを考えております。直販事業においては、卸売形態との出店比率の見直しや新規出店時の基準の厳格化を進めていきます。卸売事業においては、ショップインショップ形態を中心にブランドを表現できる店舗の拡張を進めていきたいと考えております。
(4)サステナビリティに関する取り組み
1)サステナビリティに対する考え方
当社グループは創業以来、自然に触れる野遊びを通じて一人でも多くの人々の人間性を回復することを目指しています。文明の進化に伴い、その恩恵を受けて生活は便利で快適になる反面、人間性が低下した状態に陥り、人間が本来持っている感性や感覚が失われ、ストレスの増大や人間関係の希薄化、思いやりの欠如などに起因する様々な社会問題を引き起こしていると危惧しております。当社グループの考える人間性の回復とは、そのような人々や社会に対し、自然指向の豊かなライフバリューを、衣食住働遊のすべてにおいて提供することで本来の人間らしさを取り戻すこと、これこそが人間性の回復と考えております。
現在、気候変動や生態系の危機、人々の間に広がる様々な分断など、いくつもの解決の難しい課題が立ちはだかっています。解決のために必要なことはすべての人々が、人も自然の一部であること、そして持続可能な地球環境の重要さに気づくことであり、人間性の回復はそのための最初の一歩になると信じています。
当社グループは、「人間性の回復」を使命として、事業を通じた持続可能な社会への貢献と企業価値の持続的な向上を両軸で実現していくことを目指しております。その実現に向けて、当社グループでは今後早急にサステナビリティ委員会を設置し、ESGに関連した課題や、方針やビジョンの徹底、重要施策などについて審議し、活動状況を定期的に取締役会へ報告していく仕組みを整備して参ります。また、サステナビリティへの取組みは重要な経営課題との認識のもと、実効性のある施策を立案・推進していくためのサステナビリティ推進体制を構築し、適切に機能させて参ります。
2)マテリアリティの特定
当社グループは、当社とステークホルダーにとって重要性が高く、優先的に取り組むべき8項目のマテリアリティ(重要課題)を特定しております。今後はその達成に向けた具体的な取り組みを早急に明確化し、実行フェーズへ進めて参ります。
詳細は当社ウェブサイト(https://ir.snowpeak.co.jp/materiality/)をご参照ください。
3)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
自然の中での活動を通じて人生価値の向上を提案する当社グループにとって、気候変動は事業の持続的成長に影響を与える重要課題であると認識しています。TCFD提言に沿って、4つの枠組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)について検討・見直しを行い、取り組みを進めております。
詳細は当社ウェブサイト(https://ir.snowpeak.co.jp/tcfd/)をご参照ください。
4)人的資本への取り組み
当社は、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上のためには人的資本への投資が重要課題であるとの認識のもと、中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)における経営基盤強化のひとつとして、「キャンプの力」を軸とした人財戦略の構築を掲げ、強化項目として以下に取り組んで参ります。
①人財育成
企業理念の実現のために、キャンプが持つ魅力やキャンプそのものの力を正しく理解し、ステークホルダーに価値を提供していくことが当社の企業価値向上につながり、また企業価値を長期にわたり維持向上していくためにも当社文化を継承していくことが重要課題だと捉えており、これらを実現していくための人財育成を図って参ります。主な取り組みとして、採用活動の強化、研修プログラムの体系化、キャリアデザインの促進を行っております。
②職務環境改善
当社グループは、キャンパーである従業員が継続的にステークホルダーに価値を提供していくことが我々の企業価値の源泉であると捉えており、その従業員が長く安定的に当社で働くことが、企業の安定成長に資すると考えております。その実現のために継続的に職務環境の改善を進めて参ります。最近の主な取り組みとして、2023年2月支給分より国内全従業員を対象に一律3%のベースアップを実施しました。また、店舗勤務者への手当や業務領域のスペシャリストを対象としたエグゼクティブ手当などを新設し、処遇向上を図ることにより、より安心して仕事に取り組み、さらに高いレベルで業務遂行できる環境を整えることで従業員一人ひとりの成長と企業の成長を実現します。今後も継続的に職務環境改善を検討し、優秀な人財の定着・獲得に努めて参ります。
上記に加え、当社グループでは、人財の多様性の実現に取り組む上で、女性管理職比率の向上や男女間賃金格差の是正を目指しておりますが、具体的な数値目標は現在検討中です。今後より一層の女性リーダーの安定輩出と定着を推進して参ります。当社グループでは、年齢や性別に関係なく、能力を持った社員があるべき役職に任用されるべきと考えております。今後も当社グループのすべての人財を対象に、グローバルで同水準の人財育成施策の提供、働きやすい環境の整備、キャリア実現のための制度の充実化を推進することで、優秀な人財の獲得・育成を促進し、多様な人財が能力や強みを発揮し活躍できる企業を目指します。
また、当社グループでは、性別問わず、育児休業取得希望者が希望通りに取得できるようサポートしており、希望者の育児休業取得率100%を目指しております。すべての従業員がすべてのライフステージにおいて、個々の人生価値を向上させ、より豊かな人生となるよう、さらなる処遇の改善や、平等にチャレンジ・能力開発できる制度及び環境の整備、また自発的なキャリアデザインの促進及び実現機会の提供に取り組んで参ります。
自らもユーザーであるという立場で欲しいモノやサービスを「つくる」と同時に、私たち1人ひとりがお客さまと直接「つながる」ことを通じて、私達に関わる全てのものに良い影響を与え、自然指向のライフバリューを提案し実現するグローバルリーダーを目指して参ります。その結果として、お客さまとのつながりを端的に示す、売上高の持続的な成長を図って参ります。また、投資とのバランスを取りながら長期的な売上高営業利益率の向上を目指して参ります。
(2) 経営環境
一般社団法人日本オートキャンプ協会発行の「オートキャンプ白書2022」によると、日本国内のオートキャンプの参加人口は1996年の1,580万人をピークに縮小し続けており、2010年から2012年までは、720万人レベルで横ばい推移してきました。このようにオートキャンプの参加人口が減少するなかにおいても、当社グループは初心者向けのエントリーモデルであるテント「アメニティドーム」シリーズの販売による新規顧客の獲得を行い、着実にユーザー数を増やして参りました。さらに獲得した新規顧客に対しては、システムデザインされた製品群(タープ、スリーピングギア、ファニチャー、キッチンシステム等)をもとに、幅広いキャンプスタイルの提案を行うことで顧客の深耕を図っております。また、第1次キャンプブームに幼少期であった団塊ジュニア世代が、子育て世代に差し掛かり、再びオートキャンプ活動に参加している為、参加人口は2013年に入り750万人と増加に転じ、2019年においては860万人を超えております。新型コロナウイルスの感染拡大にともない、2020年には610万人と前年からの大幅な減少が見られたものの、2021年には750万人と回復し、密を避けたレジャーとしての認知が拡がり、新規のキャンパー創造が進んだことで、レジャーにおけるキャンプの位置づけの向上が見られており、今後も引き続き国内の市場環境は良好であると捉えております。
一方、海外においては、既にキャンプ・アウトドア文化が根付いている韓国・台湾以外の国においても、社会構造が複雑になるほど人々のストレスも増大することから、アウトドア活動は、その必要性が高まると当社は考えております。そのため、グローバルに、当社グループのビジネスの機会が増大するものと考えております。
上記のように今後数年間は外部環境が良好であるとの見解から、これまで以上に新製品開発、新規出店を積極的に進めて参ります。
近年においては、他の分野においてもアウトドア指向を取り入れようとする動きが見られます。アパレルの分野においてはファッションのなかにアウトドアの要素を取り入れた服が流行しており、住宅の分野においては、建物のウチとソトの間に明確な境界線を設けないシームレスな暮らしができるよう設計され、都市生活者であっても身近に自然を感じる暮らしが浸透し始めております。また、キャンプ経験者でなくとも優雅にキャンプ体験ができるグランピングも多くの人々が体験するようになってきております。さらには、キャンプをはじめとしたアウトドア活動の持つ効果を地域の活性化に活かす取り組み、ビジネスにおいてもアウトドア活動の要素を取り込み、働き方改革を推進する取り組みも始めております。このように、アウトドア活動に内包される価値が見直され、さまざまな分野で活用され始めております。当社がアウトドア活動を通して提供した価値を、異分野においても積極的に展開して広めていくことで、更なる市場の獲得を目指して参ります。
また、ワクチン接種率の上昇と緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除により、経済活動が徐々に正常化するにつれて、個人消費も回復していくことが期待されております。しかしながら、欧米を中心として急速に進んでいるインフレの影響も、日本においても出てくるものと思われます。一方で、ストレス改善などの効果が認識されることにより、キャンプ需要の高まりが世界的に確認されており、アウトドア業界としても、アウトドア商材に対する需要の更なる増加が期待されます。今後につきましても、個人の消費動向を慎重に注視しつつ、ウィズコロナ下における当社ビジネス領域の強みを活かして、市場の創造を図って参ります。
(3)対処すべき課題
当社グループは、「自然と人、人と人をつなぎ、人間性を回復する」という社会的使命を果たすとともに、持続的な成長を成し遂げるため、以下のことに注力して参ります。
① 国内・海外における成長戦略
成長戦略については、各国において市場の成熟度が異なるため、取るべきアクションは異なりますが、いずれの市場においても、新規キャンパーの創出とロイヤルカスタマー化の実現を目指していきたいと考えております。
<日本>国内においては、「拠点」、「体験」、「コミュニティ」の3つの軸を中心に強化を進めていきます。拠点については、キャンプフィールドを中心とした体験拠点の開発を進め、2025年までに直営キャンプフィールドを合計1,000サイト追加する予定となっております。また、出店計画を策定する際は、キャンプフィールドと店舗間の導線を考慮した立地にすることで、キャンプフィールドへのアクセスを容易に致します。体験については、提供サービス商品の拡充及びイベント数の増加を図ることで、より幅広い層のお客さまにアプローチし、体験への誘導を強化致します。このように拠点と体験の強化を図りつつ、リアルイベントやデジタルツールを活用して、コミュニティ育成を強化し、顧客創造の好循環を創出致します。
<米国>米国においては、世界最大のアウトドア市場ではあるものの、ハイキングなどのアクティビティを中心とした市 場が大きな部分を占めており、スノーピークのキャンプスタイルの根幹にある、アウトドアでの豊かな時間を楽し むスタイルとは異なっております。そのため、まずはスノーピークのキャンプスタイルの浸透を実現するべく、キャンピングブランドとしての認知の向上を目指します。そのために、体験提供の強化を通じたスノーピークのキャンプスタイルの可視化及び販売網の拡張・強化を進めていきたいと考えております。体験提供の強化に関して は、2023年下期に直営のキャンプフィールドをオープンする予定になっており、それを核に体験誘導の強化を進めていきます。販売網の拡張・強化については、卸売事業と直販事業に分けて進めていきたいと考えております。卸売事業については、スノーピークのブランドを表現できるショップインショップの拡張を進めます。直販事業については、直営店の新設に加えて、店舗スタッフの育成に注力していきます。
<中国>中国においては、キャンプ文化が発展段階にあるため、米国と同様にまずはスノーピークのキャンプスタイルの浸透を図り、キャンピングブランドとしての認知の向上を目指していきたいと考えております。それに対する施策についても、大きな方向性としては米国と同じく、体験提供の強化を通じたスノーピークのキャンプスタイルの可視化及び販売網の拡張・強化を進めて参ります。体験拠点開発の第一弾として、2024年前半の開設を目標に中国国内でのキャンプフィールドの開発プロジェクトを進めており、このプロジェクトを通じて、中国における体験拠点のフラッグシップモデルを確立します。それ以降については、中間所得者層をターゲットとして、それらの人々が集中している1級都市及び新1級都市の郊外を中心に開発を進めていきます。販売網の構築・強化について、卸売事業は沿岸部を中心に新規アカウントの拡大を図っていきます。合わせて外部ECの立ち上げを進め事業基盤の構築を進めていきます。2024年以降は、内陸部を中心に拡大を進めていく計画となっております。直販事業については、自社ECの開設及び沿岸部の1級都市に直営店の開設を進め、ブランドポジションの確立を図っていきます。
② 経営基盤の強化
経営基盤強化では、筋肉質な経営体質の実現を果たすために、「サプライチェーンの最適化」、「経営管理体制の強化」、「人財戦略の強化」及び「販売網の見直し」の4つの項目について注力します。
<サプライチェーンの最適化>サプライチェーンの最適化については、これまでは、主に日本市場を需要の中心地として、サプライチェーンの構築を図って参りましたが、今後は米国、中国を中心としたグローバル市場の需要に合わせたサプライチェーンの構築が必須になると考えております。その実現に向けて、供給、物流及びオペレーション面に対して、グローバルの観点から管理体制の強化を実現していきます。具体的には、供給については、今後需要拡大が見込まれる米国、中国市場に対応できる供給体制の強化を地政学的リスクを考慮した上で、構築していきます。また、デジタルの活用を進め、生産状況や納期情報の管理体制強化を図ることで、調達業務全体の効率化及び正確性の向上を実現していきます。物流及びオペレーションについては、生産国から販売国までの物流網や情報管理体制を強化することで、物流効率及び販売効率の向上を図り、グローバル基準の体制を構築していきたいと考えております。
<経営管理体制の強化>経営管理体制の強化については、特定の分野に偏ることなく、組織・人財面から財務、戦略、ブランドなど経営全般を対象として進めていきます。まず、組織・人財管理については、戦略と組織の整合性を定期的に見直し、それに合った適切な人員体制を実現することで、効率的且つクリーンな組織体制を構築していきます。財務管理については、財務体制強化及び収益性の向上を実現するために、予実管理体制の強化や社内配賦ルールの見直し、投資基準の厳格化など、主に管理会計の視点から改善を進めていきます。戦略管理については、各年の業務計画や中期経営計画で立てたプランの実行を定期的にレビューし、実行フェーズの進捗管理を強化致します。
知財・ブランド管理については、今後グローバルでの事業拡大を念頭に、ベースとなるルールの確立及び管理体制の強化を図って参ります。ESG対応については、推奨項目の適切な開示及び定期運用への仕組みの構築を進めていきます。
<人財戦略の強化>人財戦略の強化については、店頭におけるスノーピークらしい接客や、スノーピークらしい価値提供を長期的に継続するために、人財育成制度の強化及び処遇面の見直しによる職務環境の改善を中心に構築していきます。人財育成については、採用活動の強化、研修プログラムの体系化及びキャリアデザインの促進を進めていきたいと考えております。職務環境改善については、処遇面の改善を実行していきます。2023年2月より第一弾として、国内で働く正社員・準社員を対象にしたベースアップ(基本給を一律で3%引き上げ)や、顧客接点の要となる店舗の勤務者を対象とした各種手当の新設を図りました。これにより、長期的に安心して仕事に取り組める環境づくりを目指しております。今後も、スノーピークがお客さまに提供している価値に見合った処遇を目指し、引き続き改善に向けての検討を進めていきます。
<販売網の見直し>販売網の見直しについては、収益改善と販売チャネル戦略の見直しの観点から検討を進め、持続可能な販売網の構築を進めていきます。収益改善については、低採算店舗を中心に、収益性のみではなくブランディングへの効果も含めた上で、総合的に勘案し閉店を含めた策を検討していきたいと考えております。業態変更については、飲食事業において、既存のレストラン形態から固定費負担の低いカフェ形態への見直しを進めます。販売チャネル戦略については、直販事業と卸売事業の両面から進めていくことを考えております。直販事業においては、卸売形態との出店比率の見直しや新規出店時の基準の厳格化を進めていきます。卸売事業においては、ショップインショップ形態を中心にブランドを表現できる店舗の拡張を進めていきたいと考えております。
(4)サステナビリティに関する取り組み
1)サステナビリティに対する考え方
当社グループは創業以来、自然に触れる野遊びを通じて一人でも多くの人々の人間性を回復することを目指しています。文明の進化に伴い、その恩恵を受けて生活は便利で快適になる反面、人間性が低下した状態に陥り、人間が本来持っている感性や感覚が失われ、ストレスの増大や人間関係の希薄化、思いやりの欠如などに起因する様々な社会問題を引き起こしていると危惧しております。当社グループの考える人間性の回復とは、そのような人々や社会に対し、自然指向の豊かなライフバリューを、衣食住働遊のすべてにおいて提供することで本来の人間らしさを取り戻すこと、これこそが人間性の回復と考えております。
現在、気候変動や生態系の危機、人々の間に広がる様々な分断など、いくつもの解決の難しい課題が立ちはだかっています。解決のために必要なことはすべての人々が、人も自然の一部であること、そして持続可能な地球環境の重要さに気づくことであり、人間性の回復はそのための最初の一歩になると信じています。
当社グループは、「人間性の回復」を使命として、事業を通じた持続可能な社会への貢献と企業価値の持続的な向上を両軸で実現していくことを目指しております。その実現に向けて、当社グループでは今後早急にサステナビリティ委員会を設置し、ESGに関連した課題や、方針やビジョンの徹底、重要施策などについて審議し、活動状況を定期的に取締役会へ報告していく仕組みを整備して参ります。また、サステナビリティへの取組みは重要な経営課題との認識のもと、実効性のある施策を立案・推進していくためのサステナビリティ推進体制を構築し、適切に機能させて参ります。
2)マテリアリティの特定
当社グループは、当社とステークホルダーにとって重要性が高く、優先的に取り組むべき8項目のマテリアリティ(重要課題)を特定しております。今後はその達成に向けた具体的な取り組みを早急に明確化し、実行フェーズへ進めて参ります。
詳細は当社ウェブサイト(https://ir.snowpeak.co.jp/materiality/)をご参照ください。
3)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
自然の中での活動を通じて人生価値の向上を提案する当社グループにとって、気候変動は事業の持続的成長に影響を与える重要課題であると認識しています。TCFD提言に沿って、4つの枠組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)について検討・見直しを行い、取り組みを進めております。
詳細は当社ウェブサイト(https://ir.snowpeak.co.jp/tcfd/)をご参照ください。
4)人的資本への取り組み
当社は、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上のためには人的資本への投資が重要課題であるとの認識のもと、中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)における経営基盤強化のひとつとして、「キャンプの力」を軸とした人財戦略の構築を掲げ、強化項目として以下に取り組んで参ります。
①人財育成
企業理念の実現のために、キャンプが持つ魅力やキャンプそのものの力を正しく理解し、ステークホルダーに価値を提供していくことが当社の企業価値向上につながり、また企業価値を長期にわたり維持向上していくためにも当社文化を継承していくことが重要課題だと捉えており、これらを実現していくための人財育成を図って参ります。主な取り組みとして、採用活動の強化、研修プログラムの体系化、キャリアデザインの促進を行っております。
②職務環境改善
当社グループは、キャンパーである従業員が継続的にステークホルダーに価値を提供していくことが我々の企業価値の源泉であると捉えており、その従業員が長く安定的に当社で働くことが、企業の安定成長に資すると考えております。その実現のために継続的に職務環境の改善を進めて参ります。最近の主な取り組みとして、2023年2月支給分より国内全従業員を対象に一律3%のベースアップを実施しました。また、店舗勤務者への手当や業務領域のスペシャリストを対象としたエグゼクティブ手当などを新設し、処遇向上を図ることにより、より安心して仕事に取り組み、さらに高いレベルで業務遂行できる環境を整えることで従業員一人ひとりの成長と企業の成長を実現します。今後も継続的に職務環境改善を検討し、優秀な人財の定着・獲得に努めて参ります。
上記に加え、当社グループでは、人財の多様性の実現に取り組む上で、女性管理職比率の向上や男女間賃金格差の是正を目指しておりますが、具体的な数値目標は現在検討中です。今後より一層の女性リーダーの安定輩出と定着を推進して参ります。当社グループでは、年齢や性別に関係なく、能力を持った社員があるべき役職に任用されるべきと考えております。今後も当社グループのすべての人財を対象に、グローバルで同水準の人財育成施策の提供、働きやすい環境の整備、キャリア実現のための制度の充実化を推進することで、優秀な人財の獲得・育成を促進し、多様な人財が能力や強みを発揮し活躍できる企業を目指します。
また、当社グループでは、性別問わず、育児休業取得希望者が希望通りに取得できるようサポートしており、希望者の育児休業取得率100%を目指しております。すべての従業員がすべてのライフステージにおいて、個々の人生価値を向上させ、より豊かな人生となるよう、さらなる処遇の改善や、平等にチャレンジ・能力開発できる制度及び環境の整備、また自発的なキャリアデザインの促進及び実現機会の提供に取り組んで参ります。