有価証券報告書-第21期(平成30年5月1日-平成31年4月30日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の回復や設備投資の拡大、雇用環境の改善が一段と進み、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、昨年夏に相次いだ自然災害で景況感が一時的に押し下げられたほか、米中貿易摩擦や中国経済の減速、これに伴う株式相場の低迷など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
一方で、2019年5月に経済産業省が発表した「2018年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2018年における日本国内のEC市場規模は、前年比8.96%増の17兆9,845億円となるなど、当社グループが属するEC市場については、着実な成長が続いております。
このような経営環境のもと当社グループは、モバイル(スマートフォン及び携帯電話)アクセサリーの販売について、スマートフォンケースとしては認知度が高い「iFace」シリーズのニューモデルを多数リリースしたほか、液晶保護ガラスフィルムや落下防止リングなどケース以外の商品へと、同ブランドの横展開を進めました。特に2019年2月にリリースした強化ガラスを活用した透明なiFaceシリーズ「iFace Reflection」は発売直後から好調な販売成績を維持しております。また、女性向けのモバイルアクセサリーブランド「salisty(サリスティ)」のAndroid機種対応ケースや、様々な人気キャラクターを活用したモバイルアクセサリー等、個性的な自社企画商品を継続的にリリースし販売拡大に積極的に注力いたしました。加えて、韓国連結子会社が事業譲受により取得したモバイルアクセサリーブランド「PATCHWORKS(パッチワークス)」について、日本市場への導入のほか、海外での販売を本格化するなど、グローバル展開の強化にも積極的に取り組みました。
自社開発のEC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」については、プラットフォーム化のメリットを最大限に活用し、EC事業者の売上拡大を支援する取り組みである商品レコメンドAI(レコメンドメール自動配信アプリ)を正式にリリースするなど、ネクストエンジンの付加価値向上に注力いたしました。
当社グループでは中長期的な企業価値向上のための経営施策の一環として、成長のための投資を戦略的に実施しております。最近の事例として、コマース事業においては海外に販路を有するモバイルアクセサリーブランドの取得、プラットフォーム事業においては、EC販売支援コンサル企業の取得(M&A)やネクストエンジンの機能強化を実現するための開発投資、その他セグメントにおいてはIoTサービスに対する研究開発等、従前よりも一歩踏み込んだ成長投資を積極化しております。これに伴い、ソフトウエア償却費の増加、のれん償却の発生、商標権等その他無形固定資産償却費の増加、研究開発費の増加等が顕在化し、各段階利益の伸びが抑制される結果となりましたが、中長期的な企業価値向上に資する重要な取り組みであると判断しております。
なお、IoTサービスに対する研究開発投資の成果として、スマートフォンを持たないお子様のための音声メッセージロボット「Hamic BEAR」を本年1月にリリースしております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,302,812千円(前連結会計年度比9.9%増)、営業利益は1,163,643千円(同15.7%減)、経常利益は1,179,490千円(同6.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は821,379千円(同5.9%減)となりました。
参考指標として、成長投資を加味した収益力の指標であるEBITDAによる前年同期対比を以下に記載いたします。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前年同期 増減額 | 対前年同期 増減率 | ||
| 税金等調整前当期純利益 | 1,259,020 | 1,179,325 | △79,694 | △6.3% | |
| 支払利息 | 2,736 | 2,078 | △657 | △24.0% | |
| 減価償却費 | 247,379 | 361,450 | 114,070 | 46.1% | |
| EBITDA | 1,509,136 | 1,542,855 | 33,719 | 2.2% | |
| 研究開発費 | 72,842 | 120,649 | 47,807 | 65.6% | |
セグメントごとの状況は次のとおりであります。
a. コマース事業
9月に発売された新型iPhoneシリーズ(XS、XSmax、XR)の販売動向の影響を受け、第2四半期末の時点で前年同期比201,639千円の減収となっていた国内卸販売について、新型iPhoneの一部機種の値下げに伴い需要回復が顕著になったこと、キャリアショップとの新規取引を獲得したこと、3月から4月にかけて新生活に伴うスマートフォン買い替え需要の高まりを効果的に捉えたこと、市場ニーズに応えるかたちで新規リリースした「iFace Reflection」シリーズがヒットしたこと等の要因により、前年同期に対する減収額を86,129千円まで回復することができました。
国内小売については、iPhone8を中心とするiPhoneの旧モデル向けのケースとともに「iFace液晶保護ガラス」や「iFace Finger Ring Holder」などが底固く推移したほか、国内卸販売同様に新生活需要を捉えた「iFace Reflection」シリーズが牽引役となり、前年同期に対し52,251千円の増収となりました。
また、米国の大手雑貨量販店向け卸販売及びクリスマス需要を取り込んで大幅に伸長した小売の双方の販売チャネルで好調を維持した米国連結子会社の売上高が伸びるなど、若干伸び悩んだ国内卸販売を海外販売がカバーする構図となりました。一方で、米国については、自社企画商品が中心の国内に比して仕入商材の取り扱いが多いため、利益率の低下要因になることに加え、韓国連結子会社によるモバイルアクセサリーブランドの取得に伴う無形固定資産の減価償却費、自社企画商品の周知のために実施したプロモーション強化に付随する広告宣伝費の増加、EC店舗におけるAmazonの売上比率の上昇に伴う支払手数料の増加等、販売費及び一般管理費が増加した結果、コマース事業の売上高は8,544,304千円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は1,637,512千円(同8.0%減)となりました。
b. プラットフォーム事業
ネクストエンジンの契約を獲得するうえで重要となる初期設定の円滑化を実現するため、従前より進めてきたサポート人員の充実、販売代理店等のパートナー活用、ネクストエンジンの機能強化など、各種施策の効果が発現したことにより順調に新規契約の獲得が進みましたが、契約社数の増加に比例してサポート人員に対するコールセンター業務の負荷が増加したため、サービスレベルの維持向上と自社リソースの有効活用の観点から、コールセンター業務のアウトソーシングを進める方針といたしました。現状コールセンター業務の移管手続きを進めていることと、例年EC事業者の業務負荷が高まる年末年始においては、新規契約の獲得数が鈍るという季節要因が発生することの二つの要因により、第2四半期までの急激な伸びが一段落し、総契約数は3,622社(OEM除く、前連結会計年度末比527社増)、利用店舗数28,006店(同4,154店増、いずれも自社調べ)となりました。
また、2018年4月に発行済株式の100%を取得して子会社化した、EC事業者向け販売支援コンサルティングを提供するHameeコンサルティング株式会社についても、当該セグメントへ貢献した結果、プラットフォーム事業の売上高は1,722,035千円(前連結会計年度比39.1%増)、営業利益は527,920千円(同32.3%増)となりました。なお、このうち連結子会社業績を含まないプラットフォーム事業の売上高は1,443,568千円(前連結会計年度比16.6%増)となっております。
c. その他
コマース事業、プラットフォーム事業のいずれにも明確に分類できない新たなサービスに係るものであり、ふるさと納税支援サービスやネクストエンジンのメイン機能に紐づかないEC事業者向けのサービス、1月にリリースしたIoTサービス、スマートフォンを持たないお子様のための音声メッセージロボット「Hamic BEAR」等が含まれます。当連結会計年度の売上高は36,472千円(前連結会計年度比102.1%増)、セグメント損益(営業損益)は先行投資フェーズであるため△161,837千円(前連結会計年度は70,094千円の営業損失)となりました。
d. 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ384,888千円増加し、4,373,671千円(前年度比9.6%増)となりました。現金及び預金の減少34,804千円、商品の増加258,577千円、その他の増加151,548千円等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ333,634千円増加し、1,387,127千円(同31.7%増)となりました。この主な要因は、企業買収やネクストエンジンの機能開発などに伴い、のれん、ソフトウエア等の無形固定資産が284,494千円、繰延税金資産が32,055千円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ147,146千円増加し、1,381,834千円(同11.9%増)となりました。この主な要因は、買掛金が88,746千円、未払法人税等が91,526千円減少した一方で、運転資金の調達に伴い短期借入金が300,000千円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ20,317千円減少し、190,394千円(同9.6%減)となりました。この主な要因は、長期借入金の減少57,990千円、その他の増加40,537千円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ591,694千円増加し、4,188,570千円(同16.5%増)となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加730,212千円、自己株式の増加125,785千円等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34,804千円減少し、1,660,313千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は650,806千円(前連結会計年度は1,245,597千円の収入)でありました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,179,325千円、減価償却費284,781千円、のれん償却額76,668千円等の収入要因に対し、たな卸資産の増加229,463千円、仕入債務の減少86,461千円、法人税等の支払い494,708千円等の支出要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は670,508千円(前連結会計年度は673,834千円の支出)でありました。これは主に、子会社株式の条件付取得対価の支払額110,000千円、有形固定資産の取得125,045千円、無形固定資産の取得165,916千円、事業譲受による支出247,185千円等の要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は7,222千円(前連結会計年度は230,067千円の支出)でありました。これは、短期借入金の増加300,000千円の収入要因に対し、長期借入金の返済97,376千円、自己株式の取得による支出125,785千円、配当金の支払い87,525千円等の支出要因があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループのコマース事業においては、商品企画及び仕入に特化しているため、またプラットフォーム事業における主たる業務は、EC事業者向けサービスの開発、提供、導入後のサポートであり、生産実績を把握することは困難であるため、記載を省略しております。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年5月1日 至 2019年4月30日) | |
| 仕入高(千円) | 前年同期比(%) | |
| コマース事業 | 4,526,057 | 111.2 |
| プラットフォーム事業 | - | - |
| その他 | 36,285 | - |
| 合計 | 4,562,343 | 112.1 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注状況
当社グループのコマース事業においては受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。またプラットフォーム事業においては、ユーザーのシステム内における受注件数に応じた従量課金制の手数料収入が主であるため、受注残高は発生しません。そのため、受注状況には重要性がなく、記載を省略しております。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年5月1日 至 2019年4月30日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| コマース事業 | 8,544,304 | 105.2 |
| プラットフォーム事業 | 1,722,035 | 139.1 |
| その他 | 36,472 | 202.1 |
| 合計 | 10,302,812 | 109.9 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、コマース事業における卸販売の拡大に伴い発生する商品仕入資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用支払いに充当するための資金であります。設備投資資金の主なものは、プラットフォーム事業における主要なサービスであるネクストエンジンの機能向上に資するための開発、ソフトウエア等無形固定資産への投資資金であります。また、この他企業買収等、企業価値向上に資する投資に関する資金需要が発生いたします。
当該資金需要のうち運転資金につきましては、取引銀行6行との間で総額1,050,000千円の当座貸越枠を設定しており、必要に応じて機動的な資金調達が可能な体制を整えております。また、投資資金につきましては、案件ごとに、手持ち資金の状況を勘案しながら、長期借入金により資金調達を行っております。
なお、企業買収について、今後多額の買収資金が必要となるような案件が発生した場合、資本効率やコスト等のバランスと、株主利益への影響を十分に勘案したうえで、資本市場での調達、金融機関からの調達の双方を慎重に検討のうえ資金調達を実施してまいります。