有価証券報告書-第11期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)「戦略」
①気候変動に関する事項
当社グループは、サステナビリティ優先課題の一つに「気候変動対策」を掲げています。これまでに、2019年6月にTCFD提言へ賛同、2020年9月にUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提唱するPRB(責任銀行原則)に署名し、サステナブルファイナンスの推進に努め、2024年度のESG投融資額(うち国際原則に準拠したサステナブルファイナンス商品)の集計方法及び算定結果について、独立した第三者であるEY新日本有限責任監査法人による限定的保証を受けております。また、2023年度から温室効果ガス排出量データにおける第三者認証を取得するなど、一連のサステナビリティの取り組みについて、透明性ある開示に努めております。
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動リスクが、事業継続、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けたサステナブルファイナンスを事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面ならびにコンサルティングなどの非金融面での取り組みを積極的に展開しております。
肥後銀行では、2025年9月、地銀初となる預金充当先をポジティブ・インパクト・ファイナンスに限定した「肥後銀行ポジティブ・インパクト預金」の取り扱いを開始、2025年10月、原則として中小企業版SBTの基準に適合する企業を対象に、「ひぎんカーボンニュートラル・リンク・ローン」の取り扱いを開始しました。加えて、2025年10月SDGs私募債・SDGs医療機関債の発行に際し、発行額の一定割合のJ-クレジット購入を支援するオプションを追加し、地域のカーボンニュートラル実現へ向けた支援にも努めております。
鹿児島銀行では、2025年7月より、「グリーンローン」、「ソーシャルローン」、「サステナビリティ・リンク・ローン」、「かぎんSDGs推進私募債(カーボンオフセット型)」の取り扱いを開始しました。2025年10月には、「かぎんSDGs推進私募債(カーボンオフセット型)」の第一号案件として、発行額の一定割合のJ-クレジットを、お客様が指定した出水市へ寄附(オフセット)しております。
今後も、気候変動対応をビジネス機会と捉え、投融資をはじめとするソリューションを提供するとともに、資金の流れを気候変動対応へ転換することに取り組んでまいります。
B.移行計画の策定
脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域価値共創グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成目標に加え、地域・お客様の脱炭素を促進するため、2026年3月、2050年ネットゼロ長期目標を設定いたしました。投融資ポートフォリオを含めたサプライチェーン全体のGHG排出量削減に向けた移行計画の中間目標の検討を進めてまいります。
主な取り組みとして、肥後銀行で開発したCO2排出量算定システム「炭削くん」は累計契約先が5,000先を超え、全国の金融機関8行が導入しています。当社グループの投融資先を含むシステム導入企業の計測およびコンサルティングを通じた削減支援に加え、全国大手企業サプライチェーンへのアプローチも取り組みを進めております。加えて、脱炭素社会の実現には、自治体との連携が不可欠であるとの考えのもと、鹿児島銀行では、鹿児島県内の自治体とカーボンニュートラルやJ-クレジット創出にかかる連携協定を締結するなど、地域の脱炭素化に向け、自治体と一体となって取り組んでおります。


C.シナリオ分析
当社グループでは、気候変動リスクとして「物理的リスク」「移行リスク」を認識し、事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施しています。
<物理的リスク>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
具体的には、事業性融資先の水災などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)、ならびに住宅ローン先の担保価値毀損の推計結果(直接影響)を加え試算したところ、2050年までの信用コストの増加額は最大で67億円程度という結果になりました。
※国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
<移行リスク>TCFD提言にて定義されるエネルギーセクターに、2024年度から運輸セクターを追加し、移行リスクを定量化しています。具体的には、選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、及び需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算したところ、2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で244億円程度という結果となりました。今後も、分析対象の拡大、シナリオ分析を通じて移行リスクの把握を図ってまいります。
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。
ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
※TCFD提言及び日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
[エネルギー]石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ
(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
[運輸]航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品
[素材・建築物]金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発
[農業・食料・林産物]飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
<気候変動に伴うリスクと機会>
②自然資本・生物多様性に関する事項
当社グループは、中・南九州の自然豊かな地域に位置しており、気候変動と並び自然資本・生物多様性保全への対応は重要な課題と認識しています。そのため、2022年8月「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月には「TNFD Adopter」に登録し、早期開示に着手いたしました。また、2024年4月に、グループにおける自然資本・生物多様性保全を推進するため「生物多様性保全方針」を制定、2025年11月に機運醸成を図るため環境省が事務局を務めるJ-GBF(2030生物多様性枠組実現日本会議)の趣旨に賛同し、同サイトに「ネイチャーポジティブ宣言」を公表しました。
A.自社拠点の自然との接点
主な事業基盤のうち熊本県と鹿児島県における物理的な水リスクや生物多様性における重要度などが高い地域への分布状況を分析し、水リスクに関する分析の結果、同地域に立地している自社の営業拠点に水の物理的リスクが高い地域が存在しないことを確認しております。
B.融資ポートフォリオにおける自然資本への依存と影響
2025年度は、環境省の令和7年度脱炭素社会実現に向けた自然関連情報分析実践プログラム(地域金融機関向け)に採択されたことにより分析の対象を絞り、TNFDの重要12セクターにおけるENCORE分析を行いました。
<ポートフォリオにおける自然資本への依存・インパクト>当社グループの融資ポートフォリオにおける自然への依存と影響を可視化するため、TNFDで重要とされる12セクターについて、ENCOREツールを活用し、ヒートマップを作成しました。潜在的に重要なセクターにおける自然への依存・インパクトの大小の確認及びポートフォリオにおける自然との関わりを整理しております。

※ENCORE:環境変化が経済に与える影響を整理及び可視化したグローバルツール
C.当社グループ事業における重要業種の特定
<業種ごとの自然資本の依存・インパクトとエクスポージャー(グループ全体)>
D.重要業種のバリューチェーンにおける依存とインパクトの確認
「半導体・半導体製造装置」のバリューチェーンでは、「各種金属・鉱業」「基礎化学品」「半導体」における融資残高割合が大きく、「水の供給」「水量の調整」「水の浄化」への依存、「攪乱」「GHG排出」「GHG以外の大気汚染物質の排出」「水・土壌への有毒汚染物質の排出」「水使用量」のインパクトが高い傾向を確認しました。
E.重要業種の事業拠点における自然との関わりの分析
TNFD提言における地理的に自然が重要な地域(以下、要注意地域)における重要業種(融資先)の事業拠点と熊本県の地下水(水量)との関係性を分析いたしました。要注意地域は、重要業種が集積する「熊本県地下水保全管理計画」におけるセミコンテクノパーク周辺(合志市、大津町、菊陽町)としました。同地域では、水道水源のほぼ100%を地下水に依存しており、県では、地下水量などの解析のための基礎資料を得ることを目的として、県内35か所に地下水観測井を設置・観測し、地下水位の経年変化を把握しながら地下水量の保全に努めており、今後はモニタリング指標として活用することも検討してまいります。
F.自然資本・生物多様性に関する主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で生物多様性に伴うリスクと機会の分析を行っております。
G.当社グループにおける事業としての取り組み
③人的資本に関する事項
当社グループは、パーパス、九州フィナンシャルグループ人権方針及び「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」というビジョンに基づき、2023年5月に人材育成方針と社内環境整備方針を定めました。
第4次グループ中期経営計画においては、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域などの「地域経済の成長に向けたコア事業」の強化と並行して、新たな事業への挑戦、事業領域の拡充といった「未来を創る地域価値提供の取り組み」を加速してまいります。
その実現に向けて、当社グループの事業の進化及び事業戦略を遂行する「人材」が重要なファクターとなることから、人事部門としては第4次グループ中期経営計画においても、継続して従業員エンゲージメントを高め、価値を創造する人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と主体性を備える集団形成を図っております。
<人材育成方針>
第4次グループ中期経営計画の策定にあたり、2030年度の『地域価値共創グループ実現』に向け、法人コンサル領域8分野(SDGs、医療・介護、農林水産業、国際ビジネス支援など)、個人コンサル領域2分野(信託推進・管理)、コーポレート領域4分野(環境、ファシリティマネジメントなど)、IT分野、マーケット分野の合計16分野について、目指す姿に必要な人材(To be)を策定し、現状(As is)を把握しました。
上記人材育成方針の下、「未来のKFGグループを支える人材ポートフォリオの構築」をテーマに、各専門分野で活躍できる専門的な知識・スキル・経験・実績を有する人材の育成・確保に向けて、戦略的な適材配置の実践や専門性の高い公的資格の取得支援等に取り組んでおります。

<社内環境整備方針>
・第4次グループ中期経営計画においては、上記社内環境整備方針の下、「多様な人材が活躍する働きやすい職場環境の構築」をテーマに各種施策を実施しております。

肥後銀行及び鹿児島銀行は、ともに頭取を「健康経営責任者」として、健康保険組合等とも連携し、課題解決に向けた「健康経営戦略マップ」を策定して、健康経営推進に取り組んでおります。2025年度も、両銀行ともに経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定され、肥後銀行はホワイト500として認定されております。
①気候変動に関する事項
当社グループは、サステナビリティ優先課題の一つに「気候変動対策」を掲げています。これまでに、2019年6月にTCFD提言へ賛同、2020年9月にUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提唱するPRB(責任銀行原則)に署名し、サステナブルファイナンスの推進に努め、2024年度のESG投融資額(うち国際原則に準拠したサステナブルファイナンス商品)の集計方法及び算定結果について、独立した第三者であるEY新日本有限責任監査法人による限定的保証を受けております。また、2023年度から温室効果ガス排出量データにおける第三者認証を取得するなど、一連のサステナビリティの取り組みについて、透明性ある開示に努めております。
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動リスクが、事業継続、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けたサステナブルファイナンスを事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面ならびにコンサルティングなどの非金融面での取り組みを積極的に展開しております。
肥後銀行では、2025年9月、地銀初となる預金充当先をポジティブ・インパクト・ファイナンスに限定した「肥後銀行ポジティブ・インパクト預金」の取り扱いを開始、2025年10月、原則として中小企業版SBTの基準に適合する企業を対象に、「ひぎんカーボンニュートラル・リンク・ローン」の取り扱いを開始しました。加えて、2025年10月SDGs私募債・SDGs医療機関債の発行に際し、発行額の一定割合のJ-クレジット購入を支援するオプションを追加し、地域のカーボンニュートラル実現へ向けた支援にも努めております。
鹿児島銀行では、2025年7月より、「グリーンローン」、「ソーシャルローン」、「サステナビリティ・リンク・ローン」、「かぎんSDGs推進私募債(カーボンオフセット型)」の取り扱いを開始しました。2025年10月には、「かぎんSDGs推進私募債(カーボンオフセット型)」の第一号案件として、発行額の一定割合のJ-クレジットを、お客様が指定した出水市へ寄附(オフセット)しております。
今後も、気候変動対応をビジネス機会と捉え、投融資をはじめとするソリューションを提供するとともに、資金の流れを気候変動対応へ転換することに取り組んでまいります。
| 投融資商品 | |||
| 国際原則 準拠 | 資金使途 特定 | 投資 | グリーンボンド、サステナビリティボンド、ソーシャルボンド |
| 融資 | グリーンローン、ソーシャルローン | ||
| 資金使途 非特定 | 投資 | サステナビリティリンクボンド | |
| 融資 | サステナビリティ・リンク・ローン、ポジティブ・インパクト・ファイナンス、トランジションファイナンス、ひぎん・カーボンニュートラル・リンクローン | ||
| 自社のSDGs・ESG テーマ商品 | 投資 | SDGs私募債、SDGs医療機関債、復興私募債、学び舎応援私募債 | |
| 融資 | SDGs推進ローン、SDGsサポートローン | ||
| 預金商品(肥後銀行のみ) | |
| サステナビリティ定期預金 | 阿蘇グリーン定期預金 |
| 肥後銀行ポジティブ・インパクト預金 | グリーン預金 |
B.移行計画の策定
脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域価値共創グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成目標に加え、地域・お客様の脱炭素を促進するため、2026年3月、2050年ネットゼロ長期目標を設定いたしました。投融資ポートフォリオを含めたサプライチェーン全体のGHG排出量削減に向けた移行計画の中間目標の検討を進めてまいります。
主な取り組みとして、肥後銀行で開発したCO2排出量算定システム「炭削くん」は累計契約先が5,000先を超え、全国の金融機関8行が導入しています。当社グループの投融資先を含むシステム導入企業の計測およびコンサルティングを通じた削減支援に加え、全国大手企業サプライチェーンへのアプローチも取り組みを進めております。加えて、脱炭素社会の実現には、自治体との連携が不可欠であるとの考えのもと、鹿児島銀行では、鹿児島県内の自治体とカーボンニュートラルやJ-クレジット創出にかかる連携協定を締結するなど、地域の脱炭素化に向け、自治体と一体となって取り組んでおります。


C.シナリオ分析
当社グループでは、気候変動リスクとして「物理的リスク」「移行リスク」を認識し、事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施しています。
<物理的リスク>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
具体的には、事業性融資先の水災などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)、ならびに住宅ローン先の担保価値毀損の推計結果(直接影響)を加え試算したところ、2050年までの信用コストの増加額は最大で67億円程度という結果になりました。
| 事業性融資先 | 住宅ローン先 | ||
| 直接影響 (担保価値毀損) | 間接影響 (お客様の事業停滞に伴う業績悪化) | 直接影響 (担保価値毀損) | |
| リスクイベント | 水災 | ||
| シナリオ | 4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ) | ||
| 地域 | 熊本県・鹿児島県・宮崎県 | ||
| リスク指標 | 信用コスト | ||
| 信用コスト増加額(※) | 15億円 | 50億円 | 2億円 |
※国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
<移行リスク>TCFD提言にて定義されるエネルギーセクターに、2024年度から運輸セクターを追加し、移行リスクを定量化しています。具体的には、選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、及び需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算したところ、2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で244億円程度という結果となりました。今後も、分析対象の拡大、シナリオ分析を通じて移行リスクの把握を図ってまいります。
| 直接影響 | |
| シナリオ | 1.5℃シナリオ(※) |
| 分析対象 | エネルギーセクター(石油・ガス・電力)・運輸セクター |
| 地域 | 国内 |
| 分析期間 | 2050年まで |
| リスク指標 | 信用コスト |
| 分析結果 | 単年度最大で244億円程度 |
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。
ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
| エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林産物 |
| 1.91% | 2.02% | 11.33% | 3.02% |
※TCFD提言及び日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
[エネルギー]石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ
(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
[運輸]航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品
[素材・建築物]金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発
[農業・食料・林産物]飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
<気候変動に伴うリスクと機会>
| 種類 | 事業へのインパクト | 時間軸 | |
| 物理的リスク | 急性リスク | 異常気象の激甚化による自然災害により投融資先の事業活動の停滞、物損被害の発生によって、投融資先の事業や財務状況へ影響し、当社グループの貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。 | 短期~長期 |
| 慢性リスク | 平均気温の上昇に伴う熱中症等による労働生産性の低下が、投融資先の業績に影響を与え、当社グループの貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。 | 短期~長期 | |
| 移行リスク | 政策・規制 市場 | 炭素税導入、石油石炭税率引き上げ等の気候変動に関連する政策や温室効果ガス(GHG)排出規制や新築建築物のエネルギー効率規制の強化によって、投融資先の事業や財務状況へ影響し、当社グループの貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。 | 中期~長期 |
| 評判 | 環境問題への対応が競合と比べ劣後することにより当社グループの企業評価が低下する恐れがあります。 | 短期~長期 | |
| 機会 | 政策・規制 | エネルギーセクターにおける再生可能エネルギーの普及、不動産セクターにおける高効率建築や低炭素建材の導入、自動車・運輸セクターにおける電気自動車や低炭素技術の拡大など、投融資先の脱炭素化に向けた設備投資等による資金需要の増加が見込まれます。 | 短期~長期 |
| 技術、製品 サービス | 自然災害の激甚化や環境配慮意識の向上による投融資先の行動変化により、自然災害に備えた保険商品や環境保全に関連した金融商品・サービスの提供機会の増加が見込まれます。 | 短期~長期 | |
| 評判 | 気候変動への対応による地域の脱炭素に向けた取り組みによって当社グループの企業価値が向上し、ビジネス機会の増加が見込まれます。 | 中期~長期 | |
②自然資本・生物多様性に関する事項
当社グループは、中・南九州の自然豊かな地域に位置しており、気候変動と並び自然資本・生物多様性保全への対応は重要な課題と認識しています。そのため、2022年8月「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月には「TNFD Adopter」に登録し、早期開示に着手いたしました。また、2024年4月に、グループにおける自然資本・生物多様性保全を推進するため「生物多様性保全方針」を制定、2025年11月に機運醸成を図るため環境省が事務局を務めるJ-GBF(2030生物多様性枠組実現日本会議)の趣旨に賛同し、同サイトに「ネイチャーポジティブ宣言」を公表しました。
A.自社拠点の自然との接点
主な事業基盤のうち熊本県と鹿児島県における物理的な水リスクや生物多様性における重要度などが高い地域への分布状況を分析し、水リスクに関する分析の結果、同地域に立地している自社の営業拠点に水の物理的リスクが高い地域が存在しないことを確認しております。
B.融資ポートフォリオにおける自然資本への依存と影響
2025年度は、環境省の令和7年度脱炭素社会実現に向けた自然関連情報分析実践プログラム(地域金融機関向け)に採択されたことにより分析の対象を絞り、TNFDの重要12セクターにおけるENCORE分析を行いました。
<ポートフォリオにおける自然資本への依存・インパクト>当社グループの融資ポートフォリオにおける自然への依存と影響を可視化するため、TNFDで重要とされる12セクターについて、ENCOREツールを活用し、ヒートマップを作成しました。潜在的に重要なセクターにおける自然への依存・インパクトの大小の確認及びポートフォリオにおける自然との関わりを整理しております。

※ENCORE:環境変化が経済に与える影響を整理及び可視化したグローバルツール
C.当社グループ事業における重要業種の特定
<業種ごとの自然資本の依存・インパクトとエクスポージャー(グループ全体)>
![]() | 依存を縦軸、インパクトを横軸に取った上で、バブルの大小で融資残高割合を表し、融資残高割合を考慮した各セクターと自然との関わりを可視化し、各セクターの自然資本への依存・インパクト、融資残高割合の関係性(エクスポージャー)を把握いたしました。 分析の結果、食品飲料や、不動産管理開発、半導体・半導体製造装置等に着目し、熊本県における行政計画上の重要性が高く、かつ世界最大手の半導体受託製造企業の熊本進出により県内の産業構造変化に伴い、自然資本へ及ぼすインパクトが高まることが想定される「半導体・半導体製造装置」を重要業種として特定しております。 |
D.重要業種のバリューチェーンにおける依存とインパクトの確認
「半導体・半導体製造装置」のバリューチェーンでは、「各種金属・鉱業」「基礎化学品」「半導体」における融資残高割合が大きく、「水の供給」「水量の調整」「水の浄化」への依存、「攪乱」「GHG排出」「GHG以外の大気汚染物質の排出」「水・土壌への有毒汚染物質の排出」「水使用量」のインパクトが高い傾向を確認しました。
E.重要業種の事業拠点における自然との関わりの分析
TNFD提言における地理的に自然が重要な地域(以下、要注意地域)における重要業種(融資先)の事業拠点と熊本県の地下水(水量)との関係性を分析いたしました。要注意地域は、重要業種が集積する「熊本県地下水保全管理計画」におけるセミコンテクノパーク周辺(合志市、大津町、菊陽町)としました。同地域では、水道水源のほぼ100%を地下水に依存しており、県では、地下水量などの解析のための基礎資料を得ることを目的として、県内35か所に地下水観測井を設置・観測し、地下水位の経年変化を把握しながら地下水量の保全に努めており、今後はモニタリング指標として活用することも検討してまいります。
F.自然資本・生物多様性に関する主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で生物多様性に伴うリスクと機会の分析を行っております。
| 種類 | 事業へのインパクト | 時間軸 |
| 物理的リスク | 自然資源の急性・慢性的な現象、弱体化した生態系サービスが投融資先の事業財務状況へ影響し、当社グループの貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。 | 短期~長期 |
| 移行リスク | 自然に関与する企業の生産プロセスにおいて、直接あるいは間接的に不利になるような厳しい政策の導入や社会的規範の浸透によって、投融資先の事業や財務状況へ悪影響を及ぼし、当社グループの貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。 | 長期 |
| 機会 | 消費者の行動変化による自然へのポジティブ・ネガティブな影響の緩和効果を持つ製品・サービスの開発など、お客様の生物多様性保全推進に向けた取り組み増加等による資金需要の増加が見込まれます。 生息地や生態系の保護、再生、修復を支援する活動を通じ、投融資先の持続可能性の高い事業継続に寄与します。 | 短期~長期 |
G.当社グループにおける事業としての取り組み
| 種類 | 主な取り組み・対応策 |
| リスク | ・取引先・地域住民との連携による水源涵養を目的とした植樹と稲作 ・サステナブルファインナンスにおける金利優遇条件(雨庭認定)の設定・推進 ・水源涵養域における開発行為におけるグリーンインフラ「雨庭」の設置推進 |
| 機会 | ・くまもと半導体グリーンイノベーション協議会参画による半導体関連産業の振興と課題解決 の取り組み ・地域共創流域治水による「水害への安全・安心」「豊かな環境と恵みある暮らし」等の支援 ・熊本でのグリーンインフラ「雨庭導入による水循環保全のメカニズムを推進およびエンゲー ジメントを目的とした熊本ウォーターポジティブ・アクションの実施 ・芦北地域等における藻場の再生と海洋生態系の保全を軸としたブルーカーボンプロジェクト |
③人的資本に関する事項
当社グループは、パーパス、九州フィナンシャルグループ人権方針及び「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」というビジョンに基づき、2023年5月に人材育成方針と社内環境整備方針を定めました。
第4次グループ中期経営計画においては、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域などの「地域経済の成長に向けたコア事業」の強化と並行して、新たな事業への挑戦、事業領域の拡充といった「未来を創る地域価値提供の取り組み」を加速してまいります。
その実現に向けて、当社グループの事業の進化及び事業戦略を遂行する「人材」が重要なファクターとなることから、人事部門としては第4次グループ中期経営計画においても、継続して従業員エンゲージメントを高め、価値を創造する人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と主体性を備える集団形成を図っております。
<人材育成方針>
| 当社グループは、パーパスにもとづき、私たちの共創ビジョンを実現するため、金融の枠にとどまらない様々なフィールドで貢献できる多様な人材を育成してまいります。 |
第4次グループ中期経営計画の策定にあたり、2030年度の『地域価値共創グループ実現』に向け、法人コンサル領域8分野(SDGs、医療・介護、農林水産業、国際ビジネス支援など)、個人コンサル領域2分野(信託推進・管理)、コーポレート領域4分野(環境、ファシリティマネジメントなど)、IT分野、マーケット分野の合計16分野について、目指す姿に必要な人材(To be)を策定し、現状(As is)を把握しました。
上記人材育成方針の下、「未来のKFGグループを支える人材ポートフォリオの構築」をテーマに、各専門分野で活躍できる専門的な知識・スキル・経験・実績を有する人材の育成・確保に向けて、戦略的な適材配置の実践や専門性の高い公的資格の取得支援等に取り組んでおります。

<社内環境整備方針>
| 当社グループは、人権方針に則り、自由闊達な組織風土のもと、従業員一人ひとりが能力を十分に発揮し、自分らしくいきいきと活躍することができる社内環境を構築してまいります。 |
・第4次グループ中期経営計画においては、上記社内環境整備方針の下、「多様な人材が活躍する働きやすい職場環境の構築」をテーマに各種施策を実施しております。

肥後銀行及び鹿児島銀行は、ともに頭取を「健康経営責任者」として、健康保険組合等とも連携し、課題解決に向けた「健康経営戦略マップ」を策定して、健康経営推進に取り組んでおります。2025年度も、両銀行ともに経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定され、肥後銀行はホワイト500として認定されております。
