有価証券報告書-第5期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

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2021/09/28 15:41
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(1)経営成績等の状況の概要
前連結会計年度より報告セグメントに不動産賃貸事業を新たに追加し、建設コンサルタント事業を営む単一セグメントから変更しています。
① 財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は、総資産は前連結会計年度末に比べて1億25百万円増加し、94億4百万円となりました。これは主に、現金及び預金が3億12百万円増加した一方で、完成工事未収入金が2億37百万円、未成業務支出金が36百万円それぞれ減少したことによるものです。
負債は前連結会計年度末に比べて2億39百万円減少し、41億78百万円となりました。これは主に、未成業務受入金が1億37百万円、未払法人税等が1億20百万円、未払消費税等が1億14百万円などそれぞれ増加する一方で、借入返済による長期借入金が6億75百万円減少したことによるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べて3億65百万円増加し、52億25百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加2億67百万円によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、変異を重ねつつ全世界的に流行する新型コロナウイルス感染症の影響により社会経済活動が広範囲にわたり抑制されました。各国政府の政策支援による景気押し上げ効果を受けて、世界経済成長率(GDP伸び率)においては統計上の回復傾向が見られるものの、実体経済の不透明感を払拭するまでには至っていません。
わが国経済も世界経済と同様の状況に置かれました。巣ごもり関連やリモートワーク関連の需要などにより一部に堅調な業績となっている業界がありますが、全体としては停滞した傾向が今なお続いています。なお、株式市場は、進んできたワクチン接種による効果とポストコロナ社会への期待等を先取りする形で比較的堅調に推移していますが、実体経済の回復時期を見通せる段階までには至っていません。
当社グループの属する建設コンサルタント業界は、国の予算早期成立や公共投資規模の持続を受けて、概ね堅調に推移しました。2021年6月には、ポストコロナ社会に向け、グリーン社会の実現、デジタル化の加速、活力ある地方創り等の改革の基本方針が国から公表され、新たな社会ニーズへの対応が強く求められています。
このような状況の中で、当社グループは2期目を迎えた中期経営計画「Co-creation(共創)22」(共創する技術サービス)に基づいて、以下を基本戦略として事業活動を強化しています。①防災、環境など拡大が見込まれる分野へのコンサルティング業務の多分野化、②国内の空白地域への進出や海外展開の加速化を中心とした市場の拡張、③民間分野の拡大による顧客の多層化の3点です。これらの戦略推進にあたっては、高度専門人材の強化、グループ内・外の連携推進、DXによる業務・生産工程改革や多様な働き方の定着施策などを進めました。また、2020年12月には「SDGs宣言」を発出して、持続可能な社会の実現への取り組みをグループ全社で強化しています。
以上の結果、当連結会計年度は、連結対象範囲の拡大に加え、国内の公共事業が堅調だったことを受けて、受注高は86億18百万円(前年同期比6.5%増)、売上高は81億89百万円(同10.5%増)と過去最高を更新しました。
損益面では、売上高の増加に伴い、経常利益は9億39百万円(同9.4%増)と過去最高を更新しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染症拡大による海外渡航制限等の外部環境の急変と開発途上国における事業活動の回復期間を考慮して、株式会社地球システム科学に係るのれんの減損損失2億66百万円を特別損失に計上した結果3億72百万円(同28.1%減)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(建設コンサルタント事業)
建設コンサルタント事業の具体的戦略としては、現在比較優位にある既存事業分野において、異業種企業なども含む様々な連携により一層の強化を図るとともに、AIやICT活用により多様な新規事業の創出を目指しています。
事業会社毎の概況としては、主要子会社である株式会社福山コンサルタントでは、茨城県守谷市と進めている戦略的グリーンインフラ推進プロジェクトにおいて「第1回グリーンインフラ大賞生活空間部門」の国土交通大臣賞を受賞しました。同社では、他にも京都産業大学や民間企業と協力して、デジタル技術を用いたグリーンインフラ活用・モニタリングシステム構築に関するプロジェクトである「グリーンインフラDXプロジェクト」をスタートしました。また、北九州市に提案し採択された「環境未来技術開発助成事業」では、グループ会社である株式会社エコプラン研究所などとの協力により、新技術を活用した循環型社会の実現に向けた事業活動を進めています。重点強化中の防災分野では、研究開発の成果として市場投入したAI水位予測システム導入のコンサルティングや「ICT技術を活用した橋梁下部工モニタリング」の受注が順調に増加しています。更に、2020年7月豪雨災害で氾濫した球磨川水系の河川整備計画業務を受注するなど、河川防災業務の拡大を図っています。地方活性化分野や民間の資金やノウハウを活用するPPP/PFI関連事業分野では、沖縄コザ運動公園サッカー場跡地整備運営事業のPark-PFI事業に参加するなど、着実に新たな分野の受注を増やしています。これらの活動により、国並びに関係顧客からの業務表彰や感謝状は過去最多を数えるレベルに達しました。
四国を拠点とする株式会社環境防災では、地元徳島県下での受注が堅調に推移しており、さらに戦略的な展開を強化している愛媛地域においては、防災関連分野の顧客基盤強化策として2021年3月に新たに宇和島営業所を開設しました。
開発途上国向けの防災、水資源開発業務を主力とする株式会社地球システム科学は、新型コロナウイルス感染症の影響による海外渡航制限等により現地での生産活動に制約が生じていますが、国内業務への振り替えやリモートによる遠隔業務実施の工夫を進めています。受注高は計画どおり確保できていることから、対象地域におけるワクチン接種の拡大などにより業績も徐々に回復してくるものと見込んでいます。
株式会社エコプラン研究所では、主要分野の自然環境調査・計画等においてグループ会社との連携による受注力強化や成果品質の高度化に加え、地域での環境教育やビオトープ施設の管理運営を通したSDGs活動を推進しており、その一環として、自治体との生物多様性に関する連携協定を予定しています。
株式会社SVI研究所では、移動履歴情報システムに関する特許を出願するなど、人の“流れ”を可視化するサービス「Fracti」の提供を開始し、マーケティング分野など新規事業の拡大を図っています。
以上の結果、売上高は81億81百万円(前年比10.6%増)、損益面では、新型コロナウイルス感染症の影響による生産性の低下もあって、営業利益は8億81百万円(同1.2%増)となりました。
当社グループは、「中期経営計画」に掲げる目標達成に向けて、事業分野の拡大と海外展開の加速化を進めており、当連結会計年度より建設コンサルタント事業における事業分野の見直しを実施しています。なお、前連結会計年度と比較した事業分野別の売上高は次のとおりです。
事業分野前連結会計年度当連結会計年度前年比(%)
金額(千円)比率(%)金額(千円)比率(%)
モビリティ形成事業2,585,91235.02,763,26233.86.9
環境、都市・地域創生事業1,143,67215.41,514,84818.532.5
社会インフラ、防災事業3,667,85849.63,903,44147.76.4
合計7,397,444100.08,181,551100.010.6


建設コンサルタント事業における当連結会計期間の国内・海外での販売実績は以下のとおりです。
事業分野前連結会計年度当連結会計年度前年比(%)
金額(千円)比率(%)金額(千円)比率(%)
国内7,237,46697.87,725,68194.46.8
海外159,9782.2455,8705.6185.0
合計7,397,444100.08,181,551100.010.6

(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業については、前連結会計年度の事務所用物件の取得により、当社と取得時の賃貸人との間で賃貸借契約を締結していることから賃貸収入が発生しています。その結果、売上高は52百万円(前年比102.7%増)、うち外部顧客への売上高は7百万円(同50.0%減)、セグメント営業利益は13百万円(同245.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、22億3百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は14億72百万円(前連結会計年度は21百万円の獲得)となり大きく増加しました。
これは主に、税金等調整前当期純利益6億73百万円と非資金項目であるのれんの減損損失2億66百万円の合計額に加えて、売上債権の減少額2億54百万円、法人税等の支払額3億14百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は3億33百万円(前連結会計年度は24億7百万円の使用)となりました。
これは主に、生産施設整備増強策としての建物並びにOA機器等の有形固定資産の取得による支出3億58百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は8億44百万円(前連結会計年度は21億45百万円の獲得)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出6億75百万円、配当金の支払額1億6百万円などによるものです。
④ 受注及び販売の状況
1) 受注の状況
当連結会計年度における受注状況は次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
受注高
金額(千円)前年比(%)
建設コンサルタント事業8,618,9456.5
不動産賃貸事業
合計8,618,9456.5

(注)1 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の分野別の受注実績は、次のとおりです。
事業分野当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
受注高
金額(千円)前年比(%)
モビリティ形成事業2,644,2148.4
環境、都市・地域創生事業1,706,6569.9
社会インフラ、防災事業4,268,0754.1
合計8,618,9456.5

(注)2 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の国内・海外での受注状況は次のとおりです。
事業分野当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
受注高
金額(千円)前年比(%)
国内7,154,6620.1
海外1,464,28354.0
合計8,618,9456.5


2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
売上高
金額(千円)前年比(%)
建設コンサルタント事業8,181,55110.6
不動産賃貸事業7,640△50.0
合計8,189,19210.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
(注)2 当連結会計年度における建設コンサルタント業界の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
国土交通省2,470,47733.32,486,71530.3

(注)3 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の分野別の販売実績は、次のとおりです。
事業分野当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
金額(千円)前年比(%)
モビリティ形成事業2,763,2626.9
環境、都市・地域創生事業1,514,84832.5
社会インフラ、防災事業3,903,4416.4
合計8,181,55110.6

(注)4 当連結会計年度における建設コンサルタント事業の国内・海外での販売実績は次のとおりです。
事業分野当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
売上高
金額(千円)前年比(%)
国内7,725,6816.8
海外455,870185.0
合計8,181,55110.6


(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年6月30日)現在において、当社が判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債の状況を反映しています。これらの見積りおよび仮定については、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、これらの見積りおよび仮定には不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に重要なものは以下のとおりです。
1) 受注損失引当金
当社グループは、受注業務に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末の未成業務のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることができる業務については損失見込額を計上しています。想定外の事象の発生等により、当初の想定損失見込額より多額となる場合は、実際の損失見積額と異なる可能性があります。
2) 繰延税金資産
当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産および繰延税金負債を計上しています。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っていますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
3) のれんの減損
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しています。資産性については、子会社の業績および事業計画等をもとに検討し、判断していますが、将来において経営環境の悪化等により収益が当初の想定を下回る場合は、のれんの減損処理を行う可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は81億89百万円と前連結会計年度と比べ7億76百万円増加しました。これは主に、2020年4月から子会社化した株式会社地球システム科学および当連結会計年度から子会社化した株式会社エコプラン研究所の売上高の増加と、IT等を活用した環境、都市・地域創生事業への展開によるものです。
売上総利益は24億63百万円と前連結会計年度と比べ1億41百万円増加しました。これは主に、外注費や間接経費のコスト縮減によるものです。売上高に対する売上総利益率は30.0%となり、前連結会計年度と比べ1.3ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は15億67百万円と前連結会計年度と比べ1億7百万円増加しました。売上高に対する販売費及び一般管理費率は19.1%となり、前連結会計年度と比べ0.6ポイント減少しました。
営業利益は8億95百万円と前連結会計年度と比べ34百万円増加しました。売上高に対する営業利益率は10.9%となり、前連結会計年度と比べ0.7ポイント減少しました。
営業外収益は64百万円と前連結会計年度と比べ53百万円増加しました。これは主に、株式会社地球システム科学の保険解約返戻金31百万円と、助成金収入17百万円です。一方、営業外費用は20百万円と前連結会計年度と比べ6百万円増加しました。
経常利益は9億39百万円と前連結会計年度と比べ80百万円増加しました。売上高に対する経常利益率は11.4%と前連結会計年度とほぼ同率です。
特別損失に、新型コロナウイルス感染症拡大による海外渡航制限等の外部環境の急変と開発途上国における事業活動の回復期間を考慮して、株式会社地球システム科学に係るのれんの減損損失2億66百万円を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3億72百万円となり、前連結会計年度と比べ1億45百万円減少しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益を除き、売上高、営業利益、経常利益はすべて過去最高を更新しました。
また、当連結会計年度末の総資産が94億4百万円と前事業年度と比べ1億25百万円増加し、自己資本比率が55.6%と前連結会計年度末と比べ3.3ポイント上昇し、当社グループは引き続き健全な財政状態であると認識しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資やM&A等によるものです。
事業の運転資金及び設備投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入金を基本方針としています。なお、当連結会計年度末における長期借入金残高(1年以内返済予定を含む)は19億54百万円となりましたが、その目的は前述の設備投資および株式取得によるものであり、すべて金融機関から調達しました。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年6月に新中期経営計画(計画期間3年間で対象期間は2019年7月から2022年6月)を策定しました。目標とする経営指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略および経営指標」に記載のとおりです。
新中期経営計画の2年目である当連結会計年度においては、連結売上高81億89百万円、営業利益は8億95百万円、経常利益9億39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3億72百万円、営業利益率10.9%、ROE7.4%となりました。引き続き中期経営計画に沿って、特に「事業の多様化」と「生産性の効率化」のスピードアップと重点的な施策展開を実施していき、これら経営指標の向上に努めていきます。

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