有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/18 15:00
【資料】
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【項目】
71項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業であります。
当社社名のファンペップ(FunPep)には、「機能(function)をもつペプチド(peptide)の可能性を追求し、医薬品や化粧品、医療機器として皆さまにお届けし、そして、誰もが健康で明るく、楽しい人生(fun life)を送ることのできる社会を目指したい」という想いが込められております。
当社は、下記の会社の理念に基づき、機能性ペプチドに関する大学発の技術シーズを幅広い分野に応用することで、社会に貢献することを目指しております。
[ 会社の理念 ]
◇ ペプチド(peptide)の機能(function)の可能性を追求して、人々に健康と安心をもたらします
◇ 大学の知を発掘し、社会への橋渡しをおこないます
◇ 医薬品から化粧品・医療機器まで、幅広い商品構成で広く人々のお役にたちます
(2)経営戦略等
技術領域は、機能性ペプチドを基礎とする領域及びこれとシナジーを有する関連する領域と定めております。新規の機能性ペプチドを創製するプラットフォーム技術を強みとし、医薬品の研究開発を中心とした事業展開をしてまいります。また、化粧品、医療機器等分野への事業展開も行っていく方針であります。
当社は、大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業であり、大学の研究成果を製薬会社への橋渡しに向けてインキュベートする役割を担っております。大学の技術シーズを生かした基礎研究から、臨床試験で初期の有効性や安全性を確認する早期探索的臨床試験(一般的には、第Ⅱ相臨床試験)までを自社で実施可能な範囲とし、技術シーズのインキュベーションを行う方針であります。
医薬品は、研究開発の期間が長く、多額の資金も必要となることから、研究開発の早期段階から製薬会社等との提携体制を構築し、研究開発段階の提携収入等により研究開発投資に伴う財務リスクの低減を図りながら研究開発を進めていく方針であります。そして、当社開発品が将来上市に至った場合に提携製薬会社から受け取るロイヤリティー収入によって本格的な利益拡大を実現する計画であります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標は、当社が創製した機能性ペプチドを実用化して社会に貢献するとともに、その製品販売に伴う収入によって利益拡大を実現することであります。しかしながら、当社の医薬品分野の開発品はすべて研究開発段階にあり、また上市に至るまでの研究開発は長期間にわたることから、経営目標の達成状況については、財務指標ではなく、研究開発パイプラインの進捗状況によって把握しております。したがって、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な財務指標等は特に定めておりません。
(4)経営環境
医薬品業界では研究開発の難易度が上昇しており、製薬会社は、従来の主役であった低分子医薬に加え、抗体医薬、遺伝子医薬、細胞医薬・再生医療等の新しいタイプの創薬シーズ・モダリティを外部の創薬系バイオベンチャー等から導入して研究開発パイプラインに取り入れる動きが続いています。
当社が取り組んでいる抗体誘導ペプチド等の機能性ペプチドも新しいタイプの創薬シーズであり、当社は、大学等のシーズをインキュベーションして製薬会社に橋渡しすることで、医薬品業界における役割を果たしていきたいと考えております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、機能性ペプチドに関する大学発の技術シーズを幅広い分野に応用することで、社会に貢献することを目指しております。このような背景のもと、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
① 研究開発パイプラインの充実
当社の将来収益の源泉は、機能性ペプチドを次々と生み出すプラットフォーム技術であります。
当社は、当社の強みである機能性ペプチドを創出するプラットフォーム技術(「SPIRIT」及び「STEP UP」)に基づき、大阪大学を始めとする大学等の研究機関との間で共同研究を実施し、新規開発品や研究テーマを拡充して研究開発パイプラインの強化を図ってまいります。
② 事業会社との提携契約の獲得
医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいことから、当社は、研究開発の早期段階から製薬会社との提携関係を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針であります。
医薬品分野では複数の事業会社との間で、ライセンス契約、研究開発支援契約及び共同研究契約等を締結して提携体制を構築しております。同様の理由で、化粧品分野でも共同研究開発契約を締結しております。
今後も、研究開発の早期段階から事業会社と提携関係を構築できるように努めてまいります。
③ 機能性ペプチドの応用分野拡大
当社は、研究開発期間が長く必要資金も大きい医薬品分野のみではなく、研究開発期間が比較的短い化粧品分野や医療機器分野までの幅広い分野にわたる事業ポートフォリオを構築し、会社全体の事業リスクの低減を図っていく方針であります。現在の事業計画では、将来利益に対する寄与は医薬品分野が大きいものの、今後、化粧品分野や医療機器分野についても、一定の利益貢献を見込める事業へと育成していきたいと考えております。
④ 研究開発資金の調達
研究開発を継続的に実施するため、新規研究テーマや開発品に充当する研究開発資金が必要となります。
当社といたしましては、事業会社との提携による研究開発資金の確保を図る一方で、新規上場に伴う公募増資による調達資金を予定しております。
⑤ 人材の獲得
当社は、研究開発に従事する中で、当社が研究開発戦略を描いたうえで、製造及び研究開発に関する業務を積極的に外部委託しております。これにより、小規模組織で運営を行っておりますが、今後、研究開発パイプラインを構成する開発品が充実したり、創薬研究テーマが増加した場合には、業容拡大に伴い必要に応じて人材の拡充を図ってまいります。
また、管理部門では、効率的な内部統制を構築し、少人数による運営体制を構築しておりますが、必要に応じて適切な人材を採用していく方針であります。