有価証券報告書-第71期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 14:52
【資料】
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【項目】
150項目
(4)サステナビリティに関する戦略
当社グループの経営戦略は、3つのマテリアリティに基づいて設定しております。マテリアリティの第一の項目として『人財:働きがいと全員活躍』を掲げております。従業員の成長と活躍を通じて、会社の持続的な成長の好循環を作り出し、それが、『社会:サプライチェーン(経済活動)の持続可能な発展への貢献』と『環境:脱炭素、循環型社会実現への貢献』に繋がるものと考えております。
それぞれの主な戦略は以下の通りです。
① 『人財:働きがいと全員活躍』について
(人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)
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社員は、会社の経営資本(人財)であり、中期経営計画を実現する「原動力・起点」です。人への投資を積極的に行い、実行力のある人財の育成に注力していきます。
持続可能な社会の実現のために、社員一人ひとりのエンゲージメントを向上させることが必要不可欠です。
そのために、当社独自のノウハウを承継し、次世代がチャレンジし続けていく環境を整備することで、社会貢献に繋がると考えております。
全社員がイキイキと働く、魅力ある会社を目指し、自律的なキャリア拡大・成長意欲を促す「人づくり」、多様な人財がイキイキと働く「組織づくり」、個々の成長・やりがいを実感できる「環境づくり」を推進していきます。
上記方針達成のための具体的な戦略
(ア)「全員活躍」の推進
成長の原動力・起点は「社員」であり、『自ら学び、自ら鍛え、自ら行動する』風土の下、高い専門性と創造性の発揮により、お客様に付加価値を提供し、社会から必要とされる存在感のある会社を目指しております。その実現に向け、社員一人ひとりが「自らの強み」を活かすことができる機会の提供や、個々の成果・貢献に応じた適正な評価を反映する処遇制度、自らが希望するキャリアプランの支援等、「社員の成長」に資する取組みを進めております。
(イ)「DE&I」の推進
価値観や強み・弱み、経験などはそもそも全員が違うという前提に立ち、その人の成長に必要な機会や支援を実現していきます。目で見てわかるダイバーシティ(多様性)だけではなく、一人ひとりにしっかり向き合い、誰もがその能力を発揮し、可能性を開くことが出来るよう、各種制度の拡充や支援を図りました。
上記(ア)・(イ)に係る具体的施策は以下の通りです。
(A)研修育成制度
自ら考え、鍛え、行動するを体現するためにディスカッション形式を主とした研修(階層別研修、リーダー研修、世代別研修等)に加え、事後のフォローアップ研修も取り入れることで、長期スパンでの人財育成を実施しております。また、担当事業転換者に向けたリスキリング・リカレント教育、DXを推進できるデジタル人財の育成、海外人財の育成にも取組んでおります。
(B)キャリア・自己支援制度
自律的なキャリア開発を支援し、一人ひとりのチャレンジや成長を促す仕組みとして、業務公募制度、社内インターンシップ制度、キャリア開発研修を導入しております。
また、女性のキャリアアップ促進では、社長・役員との交流会、1on1研修を受講した役員をスポンサーとしたスポンサーシップ制度等、多様なロールモデルに触れる機会の提供等に取組んでおります。その他、海外業務体験プログラムとして海外人財交流会を実施しました。
(C)両立支援と制度の拡充
一人ひとりがその能力を存分に発揮できるよう、個々の状況に合わせた労働環境づくりを進めております。育児支援では、育児勤務制度を改定し働き方の選択肢を広げるなど、女性社員・男性社員を問わず仕事と育児の両立に向けた支援を行っております。また、介護問題を身近なものとして捉えるために、全社員参加による介護ケーススタディ研修を実施すると共に、介護勤務制度を改定し、それぞれの事情に応じて働く時間を選択できる介護フレックス勤務制度も導入しました。
(D)LGBTQ理解促進策
LGBTQの理解浸透のための研修を全社で実施し、イベント参加を通じて、2022年に引き続き「PRIDE指標2023」でゴールド認定を獲得し、誰もが自分の能力を最大限発揮できる職場環境整備に力を入れております。
② 『社会:サプライチェーン(経済活動)の持続可能な発展への貢献』について
お客様のニーズが多様化する現代社会において、「作る」「売る」「使う」全ての経済シーンに対して、金融のチカラで貢献することが当社として取組むべき課題であると考えています。
(ア)サプライチェーンの持続可能な発展への貢献
当社グループでは、大企業から中堅中小のさまざまなパートナーである販売会社と提携し、金融サービスの提供を行っております。
このパートナー企業との販売金融機能の強化のため、デジタル技術の活用を積極的に取り入れ、利便性の向上を図り、サプライチェーン発展への貢献を目指します。
(イ)社会貢献への取組み
当社グループでは、持続可能な社会に向けた実現のため、SDGs『ありがとう』プロジェクトに取組んでおります。当該プロジェクトは、SDGsに関連する設備をリース等で導入いただく際、お客様に賛同をいただいた契約について、ご契約金額の一部を公益社団法人日本ユネスコ協会連盟に寄付をする取組みであります。
今後も、当該プロジェクト等を通じ、社会問題の解決に貢献してまいります。
③ 『環境:脱炭素、循環型社会実現への貢献』について
三井住友トラスト・グループでは、2030年までにグループのGHG(※1)排出量(scope1(※2)及びscope2(※3)及び2050年までに投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量のゼロを目指しています。当社もマテリアリティの一つに「脱炭素・循環型社会実現への貢献」を掲げ、環境問題の解決に向け取組んでおります。
(※1)GHG(Green House Gas):温室効果ガス国際的な組織であるGHGプロトコルイニシアチブが策定したGHG排出量算定及び報告基準
(※2)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
(※3)Scope2: 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(ア)エネルギー対策に貢献する設備導入・事業支援
我が国の2050年カーボンニュートラル実現に向け、企業の果たす役割は重要であり、当社グループにおいては、ファイナンス機能等を通じた環境課題の解決に取組んでおります。
具体的には、太陽光・水力発電システム等の導入による再生可能エネルギーの活用や、LED照明やエコキュート等の導入によるエネルギー効率化等、お客様の脱炭素化を金融機能を通じてサポートしております。
当連結会計年度には、再生可能エネルギーに係るファイナンスサービス拡大を図るべく、環境・エネルギー推進部を新設しております。環境エネルギー推進部では、お客様へのプロジェクトファイナンスやコーポレートPPAなどの提供を通じ、再生可能エネルギー電源の普及に貢献しております。
(イ)サステナブルファイナンスを活用した資金調達の多様化
当社は、サステナビリティ方針の実現・気候変動対策の推進に必要な資金について、サステナブルファイナンスを積極的に活用し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。2021年10月よりグリーンボンドの発行を開始しました。グリーンボンドの発行により調達した資金は、エネルギー効率化に資する設備・施設や再生可能エネルギー設備の導入にかかるリース等に使用しています。
2023年1月、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)による資金調達を実施しました。これに伴い、「キー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)」及び「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)」を策定しています。
※表:KPI及びSPTsの詳細(対象期間:2022年10月~2025年9月)
下記に関する進捗は、株式会社日本格付研究所による「独立検証者の限定保証報告書」を取得の上、当社ホームページで開示しております。
No.KPI(評価指標)SPTs(目標)
1SDGs『ありがとう』プロジェクトの累計契約件数(グリーン又はソーシャルローン原則に適合する物件が対象)累計契約件数120件以上
2エコキュートの累計契約件数累計契約件数13,500件以上
3パソコンのリユース・リサイクル率(契約約定による廃棄指定、薬品等によるマテリアル抽出困難な物件を除く)リユース・リサイクルの割合100%

(ウ)自社GHG(温室効果ガス)排出量ネットゼロへの推進
当社は、三井住友トラスト・グループのカーボンニュートラル宣言に則り、2030年までにGHG排出量ネットゼロを目指しています。その推進の一環として、2023 年度に国内拠点で使用した電力877,000kWh に対し、「トラッキング付きFIT 非化石証書により、実質再生可能エネルギー由来100%としました。これにより、約 381t-CO2相当のGHG排出量削減となりました。
また、当社は環境負荷軽減の一環として、電力使用量や、ガソリン使用量、コピー用紙使用量の削減に取り組んでいます。ペーパーレス会議やワークフローによる電子決裁化を導入しているほか、営業活動では公共交通機関の利用を推奨し、社用車の利用を抑えております。
今後、これらの取組みを積極的に進めることにより、脱炭素・循環型社会実現に貢献してまいります。