有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/25 15:01
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業を芯から元気にする」という経営理念に基づき、経営実務、マーケティング、コンサルティング、デジタル&ITといった様々なテーマに関する経営支援サービス、及び支援先を含む企業への資本参画/資本提供を行っております。いずれのテーマにおいても、クライアント企業で働く方々と同じ目線で現場に入り、業務に従事することで、経営課題の本質を見極め、実行可能な改革案をクライアントと共に構築し、改革・改善を実行し、支援企業の中長期的な成長の実現に貢献することを目指しております。
さらに、企業を芯から元気にした事例(Revampした事例)を積み重ねることを通じ、Revampした事例を経験した人材を次世代の経営者として輩出し元気な企業を作り続けることで、社会に貢献していくことを目指します。
(2)経営環境及び経営戦略
当社グループが属する国内ビジネスコンサルティング業界はデジタルトランスフォーメーション(DX)に関わるコンサルティング需要の増加等の影響を受けて安定的に成長しており、経営・マーケティングの側面及び業務・デジタル&ITの側面の双方から支援が可能な当社グループにとって、大きな事業拡大の機会が存在すると認識しております。特に当社グループではマーケティングとITという2つの経営技術を柱としており、経営・マーケティング、業務・デジタル&IT、DXの経営支援をワンストップで提供できることに競争優位性があると考えております。従い、当社グループは経営・財務アドバイザリー市場をコアにしつつ、Sier市場、広告代理店市場及びVC/PE市場を含む広大な市場をターゲットとし、今後、経営・マーケティング、業務・デジタル&ITの相互連携を一層強化することにより収益を複合化・最大化することを企図しています。
当社グループの行う経営支援は基本的に経営変革を前提としており、市場調査等を中心としたリサーチ業務に比べ、案件の期間は長期にわたります。システム構築においても継続的に追加開発を受注し顧客と長期的な関係を築いております。案件遂行の中で実績を積み重ねクライアントの信頼を獲得し、継続顧客との長期的な関係に基づいた安定的な利益創出基盤を構築しております。
経営・マーケティング事業においては、CxOの経営実務、マーケティングを中心とする経営企画機能を支援し、クライアントの現場に入り共に事業規模の拡大、費用構造の適正化等による利益の増加を目指します。一般的な事業会社に加え、プライベート・エクイティファンドの投資先企業を主要顧客としていることが特徴であり、一部の案件では人員稼働に基づく基本報酬に加え一定の業績達成等を条件とする成功報酬を設定しています。成功報酬は案件の成功に向けた動機付けとなるだけでなく、工数に紐づかないため当社グループの利益率向上に大きく貢献しており、今後も成功報酬を含む案件の継続的な獲得、成功報酬の実現を目指してまいります。なお、2021年3月期の成功報酬は70,648千円となっております。経営変革にはデジタル・ITを用いた変革が不可欠のため、経営・マーケティング事業と業務・デジタル&IT事業の連係を図りクロスセルによる全社利益の最大化を目指します。
業務・デジタル&IT事業においては、業務改革を中心としたコンサルティング、システム構築支援及びデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を提供しており、 国内外に事業を展開する大企業を主要顧客とし、業種は製造小売、食品・流通、アパレル・雑貨から金融機関まで多岐にわたります。経営・マーケティング事業の主要顧客に対してもデジタル&ITの側面から支援を提供していることが特徴です。当該事業において、人員稼働に基づく基本報酬に加え、当社が開発したシステムの使用料売上(プロダクト売上)を計上しております。プロダクト売上は、人員稼働に依存しないことから、人員数の制約を受けず事業を拡大することが可能であり、今後の当社の経営戦略において重要な要素の1つであると考えております。従い、当社グループの売上の大部分を占めるクライアントへのサービス売上を基礎としつつ、習得した技術を基にプロダクト売上の拡大を企図し、プロダクト売上が当社グループの連結売上高に占める比率(プロダクト売上比率)を2024年3月期までに5%とすることを目標としております。2021年3月期におけるプロダクト売上は187,238千円(うち、33,044千円は事業経営事業におけるPanacee使用料)となっております。プロダクトでは、電子商取引システム(EDI)、資料作成支援ツール(Panacee)、店舗コミュニケーションツール(店舗ポータル)が稼働しており、従業員コミュニケーションツール(従業員ポータル)、倉庫管理システム(WMS)が企画開発フェーズにあります。
(3)目標とする経営指標
当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するために、セグメント別の経常利益及びグループ全体の経常利益率を客観的な指標としております。当社グループにおいては、セグメント別で収益の発生形態が異なるため、経営活動の成果をより的確に表し、持分法投資先の経営状況も反映できる経常利益を重視しております。また、売上を増加させることよりも利益を増加させることを重視しており、工数に基づかない成功報酬、プロダクト売上の増加、外注費等の費用の抑制に努め、結果として表れる経常利益率を重視する指標と位置付けております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
(ア) 優秀な人材の確保及び育成
当社グループでは、「企業を芯から元気にする」という企業理念を十分に理解し、必要な知識とノウハウを持ち、お客様の信頼を獲得する人材の獲得及び育成が、当社グループの強みとなり、また企業価値の源泉となると認識しております。
こうした人材の採用、育成、及び定着を図ることが当社における重要な経営課題の一つであると捉え、当業界において豊富な経験及び実績を有するコンサルティング人材、デジタル・IT人材を積極的に採用するとともに、既存の社員の教育訓練をより一層充実させることに取り組んでまいります。
(イ) M&A戦略も含めた事業拡大
当社グループは、当社のほか、4社の連結子会社及び4社の持分法適用関連会社から構成されておりますが、当社グループを取り巻く事業環境の急激な変化に対応し収益基盤をより一層強固なものとするために、戦略的M&A、資本業務提携及びスタートアップ投資を検討してまいります。具体的には、当社と類似の機能を有しキャパシティの拡充及びケイパビリティの確保に資する企業、当社グループが保有していない先端技術を有する企業、投資によりキャピタルゲインの獲得が見込まれる高い成長ポテンシャルのある企業等の株式取得、出資及び業務提携を検討してまいります。
(ウ) 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンス体制
当社グループが継続的な成長を続けるためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスのさらなる強化が重要と認識しております。内部管理体制については、事業規模の拡大に対応すべく専門性を有する人員を増員し、管理機能及び体制の拡充に継続的に取り組んでまいります。コーポレート・ガバナンスに関しては、経営の効率性、健全性を確保すべく、監査等委員会の設置や内部監査の実施及び内部統制システムの整備によりその強化を図っております。