訂正有価証券届出書(新規公開時)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンにおいて個人間で簡単に中古品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本、米国及び英国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大を牽引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
前述の平成30年4月の経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、経済産業省が推定した1年のうちに不要になるものの価値は日本だけでも約7.6兆円にのぼるのに対し、平成29年の中古品市場規模(自動車、バイクを除く。)は総額約2.1兆円であり、そのうち「メルカリ」などのフリマアプリ市場はわずか4,835億円となっています。上記のとおり、日本の中古品市場には高い成長ポテンシャルがあり、当社は、「メルカリ」の更なる普及により、消費者が家庭で生み出される不要品を簡単・手軽に売買するようになれば、中古品市場を更に拡大させることができると確信しております。
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安全・安心なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、これによりオフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大を牽引して参りました。株式会社マクロミルが平成29年5月に実施した調査によれば、日本でフリマアプリを利用したことがある利用者の約94%は、当社サービス「メルカリ」の利用経験があるとされており、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社は、このようなCtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ
出品者・購入者双方に楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。平成30年1月に実施されたニールセンの調査によれば、同月の「メルカリ」の月間ユニークユーザ当たりの平均月間利用時間は5.3時間となっております。これは日本のEコマースサービスの中で最も高い数値となっており、また、世界的なSNSサービスであるFacebookやInstagramをも上回る数値となっております。更に、平成30年6月期第3四半期における「メルカリ」の登録DAUの1日当たり平均閲覧商品数は23.4個、DAU/MAU比率は40.6%となっており、これは他の世界的なEコマースサービスに匹敵する水準であります。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。当社はこれらのデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えています。例えば、広範なユーザデータとAI技術を活用していくことで、購入者の嗜好にあわせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等を実現していくことが可能と考えております。
(注)1.月間ユニークユーザは、平成30年1月において「メルカリ」のモバイルアプリに一度以上利用したユーザ数をニールセンが推計した数値を集計しております。
2.登録DAUは「登録Daily Active User」の略であり、「メルカリ」に登録しているユーザのうち、1日に一度以上「メルカリ」を利用したユーザを集計しております。
3.登録DAUの1日当たり平均閲覧商品数は、登録ユーザによる1日当たり閲覧商品数の合計を登録DAU数で除して算出された数値の平成30年6月期第3四半期における平均値を集計しております。
4.DAU/MAU比率は、平成30年1月から3月までの期間における各月の平均登録DAU数を同月の登録MAU数で除して算出された数値の平均値を集計しております。なお、DAU/MAU比率が高いほど、登録MAUに占める登録DAUの比率が高いものとして、ユーザのエンゲージメントが高いと考えられております。
③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。平成30年6月期第3四半期における平均で、月間出品数は約24.6百万点、月間購入数は約10.6百万点、月間ユニーク出品者は約2.0百万人、月間ユニーク購入者は約3.1百万人となりました。「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品の売上金をポイントに交換することで別の商品の購入に充てられるため、「メルカリ」で商品を売った出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しており、平成30年6月期第3四半期の平均で、出品者の55.2%が同月内に購入も行っており、購入者の36.7%は同月内に出品も行っています。「メルカリ」は出品者や購入者からの高いロイヤルティを獲得し、リピートユーザによる継続的な取引参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。
(注)1.月間出品数と月間購入数は、平成30年1月から平成30年3月までの期間における日本のメルカリ事業の月間出品数及び月間購入数の平均値であります。
2.月間ユニーク出品者数と月間ユニーク購入者数は、平成30年1月から平成30年3月までの期間における日本のメルカリ事業の月間ユニーク出品者数及び月間ユニーク購入者数の平均値であります。月間ユニーク出品者数は各月において一回以上出品したことがあるユーザ数、月間ユニーク購入者数は各月において一回以上購入したことがあるユーザ数であります。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、日本事業において既に高い収益性を実現しています。当社単体及び国内子会社の業績を合計した連結日本事業ベースでは、平成28年6月期の営業利益3,136百万円、及び平成29年6月期の営業利益3,600百万円と営業利益が大幅に増加しました。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。当社グループにおいても、当初は、オンライン広告とTVCMを通じて市場プレゼンスの拡大を図ったため、広告宣伝費が収益を圧迫し、連結日本事業ベースで営業損失を計上しました。しかし、日本市場での規模拡大に伴い、コスト効率の高い方法で売上高の急速な成長を実現したことで、連結日本事業ベースでは採算性を確立しました。主に米国市場及び英国市場への投資を継続した結果、平成29年6月期は引き続き連結ベースで営業損失を計上しましたが、米国・英国の両市場においても採算性確保に向けて取り組んで参ります。
(注)連結日本事業は、当社、株式会社ソウゾウ及び株式会社メルペイ3社の単体財務諸表を合算した上で、関係会社間取引を相殺したものです。
⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化
創業者で代表取締役会長兼CEOである山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、ソーシャルゲームなどの革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。当社グループの経営陣は、ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいてユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させることに関する豊富な経験を有しています。
当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、当社グループの採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be Professional」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。当社グループは、日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の戦略的な拡大を継続しています。平成29年6月に、John Lagerling(現:当社取締役CBO兼米国子会社CEO)を採用し、米国の組織を強化しています。John Lagerlingは、Facebook社のヴァイスプレジデントとして新規事業開発や渉外業務を担当した経験を有しています。
当社の具体的な経営戦略
① 日本における「メルカリ」の更なる成長
中古品売買の需要は引き続き増加しており、フリマアプリ市場における当社の圧倒的なポジショニングを活用することで、日本における「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を一層拡大させることができると考えています。例えば、「メルカリ」の登録MAUは平成30年3月において約10.5百万人であり、Facebook、ヤフー、Twitter、LINEなどの既存のオンラインサービスのMAUと比較すると相対的にまだ小さく、また四半期ユニーク購入者数についても、平成30年6月期第3四半期において約5.2百万人と楽天などのオンラインサービスよりも低い水準にあるため、今後の成長余地が大きいと考えています。
更に、当社の依頼により平成30年2月に実施されたニールセンの調査によれば、20代、30代、40代、50代の男女いずれにおいても、「メルカリ」の潜在ユーザの数が、既存のアクティブユーザの数を上回っております。とりわけ、30代、40代、50代の男性、及び40代、50代の女性については、潜在ユーザがアクティブユーザの数を大幅に上回っており、ユーザ基盤の拡大余地が大きいことを示唆しています。
(注)1.潜在ユーザは、「メルカリ」を知っているが、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用しておらず、機能・サービスの改善・追加次第では「メルカリ」を利用したいと回答した個人を集計しております。
2.四半期ユニーク購入者数は、四半期において1回以上購入したことがあるユーザ数であります。
3.アクティブユーザは、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用したことがあると回答した個人を集計しております。
(a)ユーザ体験の更なる向上
当社は、「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を維持及び拡大するために、ユーザ体験の継続的な改善に注力して参ります。当社は、「メルカリ」のサービス開始以来、様々な革新的な機能・サービスを提供することにより、これまでは困難だった中古品の売買を、誰もが簡単に行えるという新しいユーザ体験を提供してきました。例えば、配送に関しては、ヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社との提携を通じ、QRコードやバーコードを利用した簡単な配送や、個人情報を相手に知られずに取引ができる匿名配送機能を提供して参りました。また一部のユーザ向けに提供を開始している後払いサービスを含む多様な決済手段の開発・提供や、「メルカリチャンネル」、「メルカリNOW」といった新機能の開発・提供を行ってきました。今後も、当社サービスの競争力の更なる向上のため、特にAI等の先端技術への投資に注力し、ユーザ体験の更なる向上を目指して参ります。例えば、画像認識等のAI技術を活用した商品情報の自動入力による出品プロセスの簡略化や、膨大な取引データに基づく適正価格帯の提案を行い、出品転換率の向上を図って参ります。また、ユーザの過去の閲覧履歴等に基づくレコメンデーション機能の提供や検索機能の強化を行うことで、購入転換率の向上を図って参ります。更に、AIや機械学習技術の活用により、利用規約に違反した出品の検知率向上やユーザからの問い合わせへの自動返答等によるカスタマーサポート業務の効率化を目指します。
(b)女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリー強化
「メルカリ」において、女性関連カテゴリー(「レディース」「ベビー・キッズ」及び「コスメ・美容」)以外の商品カテゴリーを更に成長させることで、ユーザ基盤の拡大に加え、単価や購入頻度の向上による流通総額の拡大を目指して参ります。
平成28年6月期第3四半期(自 平成28年1月1日 至 平成28年3月31日)と平成30年6月期第3四半期(自 平成30年1月1日 至 平成30年3月31日)におけるカテゴリー別流通総額を比較すると、女性関連カテゴリーの過去2年間の年平均成長率は45%であるのに対し、それ以外の商品カテゴリーでみると65%にも達しています。今後も、マーケティング施策や特定カテゴリーに特化した機能の開発などにより、女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリーの成長を更に促進していきます。
具体的には、TVCMなどのオフライン広告により、特定の商品カテゴリーについてのユーザ認知を拡大して参ります。更に、特定の商品カテゴリーの出品・購入をより簡単・便利にする機能の開発に取り組んで参ります。例えば、平成29年5月には、本・CD・DVD等に最適化されたプラットフォームである「メルカリ カウル」の提供を開始し、バーコード読み取りによる出品の自動化等による出品プロセスの簡略化を実現しました。また平成29年8月には、ブランド品に特化したプラットフォームである「メルカリ メゾンズ」の提供を開始し、商品撮影におけるガイド機能や、価格の自動査定の導入による出品プロセスの効率化を実現しました。当社は、今後も新しい機能・サービスの導入等を通じて、特定の商品カテゴリーの拡大を推進して参ります。
② 当社グループのエコシステムの構築
当社グループは、「メルカリ」の有するユーザ基盤を活用し、「メルカリ」のユーザID(メルカリID)を通じてオンライン・オフラインの様々なサービスを連携したエコシステムを構築することにより、更なる成長の実現を企図しております。同エコシステムには、当社グループが提供するサービスに加え、事業提携先のサービスも取り入れ、例えば、CtoC及びBtoCのオンラインマーケットプレイス、家事代行や習い事などのオンラインCtoCサービス、オフラインでのショッピングや食事での支払いなど、ユーザの日常生活における様々なニーズに対応していくことを目指します。当社は、エコシステムの基礎となるメルカリIDを通じ、ユーザの取引履歴や評価情報といった貴重なデータの活用、及び当社グループが提供予定の決済プラットフォーム「メルペイ」の利用を可能にしていくことを考えております。「メルペイ」は、様々なサービスにおいて利用可能なモバイル決済機能を提供していくと共に、ユーザの取引履歴・評価情報等の信用情報の活用により、将来的には総合的な金融サービスも提供していくことも視野に入れております。当社グループは、「メルカリ」の高いエンゲージメントを有するユーザ基盤に加え、ユーザが「メルカリ」アカウント上で既に保有している売上金を決済資金の源泉とすることで外部口座からの入金が不要であるという点、及び過去の取引履歴・評価情報といった付加価値の高いデータを有しているという点において、決済事業における他社と差別化された競争優位性を有していると考えております。当社グループは、上記エコシステムを通じ、メルカリIDが日常生活の様々な場面に利用され、ユーザとの接点が拡大することによって、ユーザエンゲージメントが高まるとともに更なるユーザ基盤の強化に繋がると考えております。当社グループは、上記エコシステム構築の第一歩として、シェアサイクルサービスの「メルチャリ」、及びCtoCのスキルシェアサービスの「teacha」の提供を開始いたしました。エコシステムの拡大に向けて、投資先やその他の事業パートナーとの連携についても可能性を探求していきます。
(注)エコシステムは初期的な構想段階にあり、図中に記載があるサービスは将来的に提供される可能性があるサービスの例示です。
③ 海外市場への進出
世界中で中古品売買のニーズが高まっている中で、「メルカリ」のユニークな提供価値は、日本のみならず海外においても支持されるものと考えています。当社グループは、投資の規律を意識しつつも、戦略的に海外展開を図っていきます。
当社グループは、海外戦略の第一歩として、平成26年9月に米国事業を開始しました。オールジャンル、モバイルフォーカス、事業者ではなく個人中心のCtoCマーケットプレイスという特徴を活かし、簡単・楽しくかつ安全・安心なユーザ体験を提供することによって、米国市場においてもユニークなポジショニングを実現できるものと考えています。現在、米国のオンラインCtoC市場ではeBayがインターネットオークションサービスを提供していますが、同社のサービスはモバイルに特化しておらず、また多くの商業目的の事業者が参加するマーケットプレイスとなっています。また、他の潜在的な競合は、特定の地域を対象としたクラシファイドサービスや、特定の商品カテゴリーのみを対象とするCtoCモバイルアプリなど、「メルカリ」とは異なるビジネスモデルとなっています。
日本において、個人間中古品売買のためのフリマアプリ市場を新たに創り出したことと同じように、当社グループは、米国で「Mercari」を拡大させていける事業機会が存在すると考えています。また、巨大かつ多様性に富む人口基盤を有する米国での成功は、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という当社グループのミッションを実現する上で重要なマイルストーンであると認識しております。当社グループの米国事業は着実な成長を遂げており、平成30年3月時点の米国の累計ダウンロード数は37.5百万ダウンロード、平成30年6月期第3四半期の米国の流通総額は60.9百万ドルを達成しています。米国事業の更なる拡大に向けた当社グループの戦略は以下のとおりです。
米国のユーザに向けたユーザ体験の最適化
当社グループは、米国のユーザのニーズや嗜好をより適切に反映するため、米国の「Mercari」のUI及びUXの改善を行ってきました。平成29年6月にデザインと機能の仕様変更を行い、米国のユーザの嗜好を反映してより高度のパーソナライゼーション機能を導入し、様々なカテゴリーをより簡単に検索できるように改良しております。平成30年3月には米国におけるより効果的なブランド認知の構築を目指し、アプリロゴのデザイン変更を含む「Mercari」のリブランディングを行いました。また、米国市場の地理的規模と人口密度を考慮した革新的な配送オプションを提供する方法を模索しています。米国のユーザに固有のニーズと嗜好を取り入れることで、「Mercari」のユニークな提供価値を引き続き構築して参ります。
(注)1.UI(User Interface)とは、アプリケーションソフトウェアをユーザが操作する方法を指します。
2.UX(User Experience)とは、製品、システム、サービスなどの利用を通じてユーザが得るユーザ体験を指します。
優れたマネジメントメンバーの確保
当社グループは、経営リソースを積極的に米国市場に投下して参りました。平成29年6月には、当社グループの米国戦略を強化するため、Facebook社の経営メンバーであった経歴を持つJohn Lagerlingを雇用しました。当社グループは、事業拡大と米国ユーザに合わせたローカライゼーションを可能とするべく、現地の優秀な人材を積極的に採用して参ります。
成長段階に応じた規律ある戦略の実行
当社グループの米国事業は投資段階にあり、平成29年6月期において営業利益の計上には至っていません。しかし、当社グループのビジネスモデルの採算性を示した日本事業での実績を踏まえ、米国市場においても採算性の確保に取り組んで参ります。具体的には、米国事業においても一定の事業規模を達成することができれば、米国事業の売上高の範囲内に広告宣伝費などのコストを抑えることができると考えております。
(4)会社の対処すべき課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及につれて、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。
② 優秀な人材の採用と育成
グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めて参ります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針です。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。
また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは世界中の人々の消費行動の変化を背景とした中古品市場の拡大に対応し、投資の規律を意識しつつも積極的に海外展開を図っていく方針であります。
平成26年1月に米国に設立した連結子会社Mercari, Inc.及び平成27年11月に英国に設立した連結子会社Mercari Europe Ltdにおいては、当社グループが保有するノウハウの移管を推し進め、ユーザの獲得を進めて参ります。これまで日本で蓄積したプロダクトとマーケティングのノウハウを活かしながら、各地域のユーザ特性とニーズにあわせてサービスをカスタマイズし、まずはユーザ数の拡大を目指していく方針です。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げ、スマートフォンにおいて個人間で簡単に中古品を売買できるCtoCマーケットプレイス「メルカリ」等のサービスを提供しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本、米国及び英国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なっております。そのため、流通総額及び売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大を牽引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
前述の平成30年4月の経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、経済産業省が推定した1年のうちに不要になるものの価値は日本だけでも約7.6兆円にのぼるのに対し、平成29年の中古品市場規模(自動車、バイクを除く。)は総額約2.1兆円であり、そのうち「メルカリ」などのフリマアプリ市場はわずか4,835億円となっています。上記のとおり、日本の中古品市場には高い成長ポテンシャルがあり、当社は、「メルカリ」の更なる普及により、消費者が家庭で生み出される不要品を簡単・手軽に売買するようになれば、中古品市場を更に拡大させることができると確信しております。
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安全・安心なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、これによりオフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大を牽引して参りました。株式会社マクロミルが平成29年5月に実施した調査によれば、日本でフリマアプリを利用したことがある利用者の約94%は、当社サービス「メルカリ」の利用経験があるとされており、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社は、このようなCtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、個人による中古品売買のニーズは高く、「メルカリ」を通じて中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ
出品者・購入者双方に楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。平成30年1月に実施されたニールセンの調査によれば、同月の「メルカリ」の月間ユニークユーザ当たりの平均月間利用時間は5.3時間となっております。これは日本のEコマースサービスの中で最も高い数値となっており、また、世界的なSNSサービスであるFacebookやInstagramをも上回る数値となっております。更に、平成30年6月期第3四半期における「メルカリ」の登録DAUの1日当たり平均閲覧商品数は23.4個、DAU/MAU比率は40.6%となっており、これは他の世界的なEコマースサービスに匹敵する水準であります。当社は、上記のような高いエンゲージメントを誇るユーザ基盤を通じて、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。当社はこれらのデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができると考えています。例えば、広範なユーザデータとAI技術を活用していくことで、購入者の嗜好にあわせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化等を実現していくことが可能と考えております。
(注)1.月間ユニークユーザは、平成30年1月において「メルカリ」のモバイルアプリに一度以上利用したユーザ数をニールセンが推計した数値を集計しております。
2.登録DAUは「登録Daily Active User」の略であり、「メルカリ」に登録しているユーザのうち、1日に一度以上「メルカリ」を利用したユーザを集計しております。
3.登録DAUの1日当たり平均閲覧商品数は、登録ユーザによる1日当たり閲覧商品数の合計を登録DAU数で除して算出された数値の平成30年6月期第3四半期における平均値を集計しております。
4.DAU/MAU比率は、平成30年1月から3月までの期間における各月の平均登録DAU数を同月の登録MAU数で除して算出された数値の平均値を集計しております。なお、DAU/MAU比率が高いほど、登録MAUに占める登録DAUの比率が高いものとして、ユーザのエンゲージメントが高いと考えられております。
③ CtoC特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。すなわち、出品者・出品数が増えれば、購入したい商品が増えるため購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。平成30年6月期第3四半期における平均で、月間出品数は約24.6百万点、月間購入数は約10.6百万点、月間ユニーク出品者は約2.0百万人、月間ユニーク購入者は約3.1百万人となりました。「メルカリ」では、多くの出品者・購入者が高い頻度でサービスを利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されています。また、商品の売上金をポイントに交換することで別の商品の購入に充てられるため、「メルカリ」で商品を売った出品者が次の購入者となることが促進されています。その結果、ユーザの大部分は、出品者と購入者の双方として「メルカリ」を利用しており、平成30年6月期第3四半期の平均で、出品者の55.2%が同月内に購入も行っており、購入者の36.7%は同月内に出品も行っています。「メルカリ」は出品者や購入者からの高いロイヤルティを獲得し、リピートユーザによる継続的な取引参加が流通総額の成長に大きく貢献しています。更に、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しています。
(注)1.月間出品数と月間購入数は、平成30年1月から平成30年3月までの期間における日本のメルカリ事業の月間出品数及び月間購入数の平均値であります。
2.月間ユニーク出品者数と月間ユニーク購入者数は、平成30年1月から平成30年3月までの期間における日本のメルカリ事業の月間ユニーク出品者数及び月間ユニーク購入者数の平均値であります。月間ユニーク出品者数は各月において一回以上出品したことがあるユーザ数、月間ユニーク購入者数は各月において一回以上購入したことがあるユーザ数であります。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、日本事業において既に高い収益性を実現しています。当社単体及び国内子会社の業績を合計した連結日本事業ベースでは、平成28年6月期の営業利益3,136百万円、及び平成29年6月期の営業利益3,600百万円と営業利益が大幅に増加しました。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。当社グループにおいても、当初は、オンライン広告とTVCMを通じて市場プレゼンスの拡大を図ったため、広告宣伝費が収益を圧迫し、連結日本事業ベースで営業損失を計上しました。しかし、日本市場での規模拡大に伴い、コスト効率の高い方法で売上高の急速な成長を実現したことで、連結日本事業ベースでは採算性を確立しました。主に米国市場及び英国市場への投資を継続した結果、平成29年6月期は引き続き連結ベースで営業損失を計上しましたが、米国・英国の両市場においても採算性確保に向けて取り組んで参ります。
(注)連結日本事業は、当社、株式会社ソウゾウ及び株式会社メルペイ3社の単体財務諸表を合算した上で、関係会社間取引を相殺したものです。
⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化
創業者で代表取締役会長兼CEOである山田進太郎が率いる当社グループの経営陣は、ソーシャルゲームなどの革新的なスタートアップ企業の創設者や経営幹部としての経験、豊富なエンジニアリング経験等を有する多くの起業家により構成されています。当社グループの経営陣は、ソーシャルメディアやモバイルサービスにおいてユーザのエンゲージメントを高め、収益化し、規模を拡大させることに関する豊富な経験を有しています。
当社グループの成功は、当社グループのエンジニアやその他のプロフェッショナル人材の質の高さにも起因しています。これは、当社グループの採用と継続雇用に対する投資や、「Go Bold」、「All for One」、「Be Professional」の3つの行動指針(バリュー)を尊重する企業文化を反映しています。当社グループは、日本及び米国それぞれの現地チームにおいて、経営陣及びその他の主要なプロフェッショナル人材の戦略的な拡大を継続しています。平成29年6月に、John Lagerling(現:当社取締役CBO兼米国子会社CEO)を採用し、米国の組織を強化しています。John Lagerlingは、Facebook社のヴァイスプレジデントとして新規事業開発や渉外業務を担当した経験を有しています。
当社の具体的な経営戦略
① 日本における「メルカリ」の更なる成長
中古品売買の需要は引き続き増加しており、フリマアプリ市場における当社の圧倒的なポジショニングを活用することで、日本における「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を一層拡大させることができると考えています。例えば、「メルカリ」の登録MAUは平成30年3月において約10.5百万人であり、Facebook、ヤフー、Twitter、LINEなどの既存のオンラインサービスのMAUと比較すると相対的にまだ小さく、また四半期ユニーク購入者数についても、平成30年6月期第3四半期において約5.2百万人と楽天などのオンラインサービスよりも低い水準にあるため、今後の成長余地が大きいと考えています。
更に、当社の依頼により平成30年2月に実施されたニールセンの調査によれば、20代、30代、40代、50代の男女いずれにおいても、「メルカリ」の潜在ユーザの数が、既存のアクティブユーザの数を上回っております。とりわけ、30代、40代、50代の男性、及び40代、50代の女性については、潜在ユーザがアクティブユーザの数を大幅に上回っており、ユーザ基盤の拡大余地が大きいことを示唆しています。
(注)1.潜在ユーザは、「メルカリ」を知っているが、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用しておらず、機能・サービスの改善・追加次第では「メルカリ」を利用したいと回答した個人を集計しております。
2.四半期ユニーク購入者数は、四半期において1回以上購入したことがあるユーザ数であります。
3.アクティブユーザは、過去1ヶ月以内に「メルカリ」を利用したことがあると回答した個人を集計しております。
(a)ユーザ体験の更なる向上
当社は、「メルカリ」のユーザ基盤及び流通総額を維持及び拡大するために、ユーザ体験の継続的な改善に注力して参ります。当社は、「メルカリ」のサービス開始以来、様々な革新的な機能・サービスを提供することにより、これまでは困難だった中古品の売買を、誰もが簡単に行えるという新しいユーザ体験を提供してきました。例えば、配送に関しては、ヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社との提携を通じ、QRコードやバーコードを利用した簡単な配送や、個人情報を相手に知られずに取引ができる匿名配送機能を提供して参りました。また一部のユーザ向けに提供を開始している後払いサービスを含む多様な決済手段の開発・提供や、「メルカリチャンネル」、「メルカリNOW」といった新機能の開発・提供を行ってきました。今後も、当社サービスの競争力の更なる向上のため、特にAI等の先端技術への投資に注力し、ユーザ体験の更なる向上を目指して参ります。例えば、画像認識等のAI技術を活用した商品情報の自動入力による出品プロセスの簡略化や、膨大な取引データに基づく適正価格帯の提案を行い、出品転換率の向上を図って参ります。また、ユーザの過去の閲覧履歴等に基づくレコメンデーション機能の提供や検索機能の強化を行うことで、購入転換率の向上を図って参ります。更に、AIや機械学習技術の活用により、利用規約に違反した出品の検知率向上やユーザからの問い合わせへの自動返答等によるカスタマーサポート業務の効率化を目指します。
(b)女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリー強化
「メルカリ」において、女性関連カテゴリー(「レディース」「ベビー・キッズ」及び「コスメ・美容」)以外の商品カテゴリーを更に成長させることで、ユーザ基盤の拡大に加え、単価や購入頻度の向上による流通総額の拡大を目指して参ります。
平成28年6月期第3四半期(自 平成28年1月1日 至 平成28年3月31日)と平成30年6月期第3四半期(自 平成30年1月1日 至 平成30年3月31日)におけるカテゴリー別流通総額を比較すると、女性関連カテゴリーの過去2年間の年平均成長率は45%であるのに対し、それ以外の商品カテゴリーでみると65%にも達しています。今後も、マーケティング施策や特定カテゴリーに特化した機能の開発などにより、女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリーの成長を更に促進していきます。
具体的には、TVCMなどのオフライン広告により、特定の商品カテゴリーについてのユーザ認知を拡大して参ります。更に、特定の商品カテゴリーの出品・購入をより簡単・便利にする機能の開発に取り組んで参ります。例えば、平成29年5月には、本・CD・DVD等に最適化されたプラットフォームである「メルカリ カウル」の提供を開始し、バーコード読み取りによる出品の自動化等による出品プロセスの簡略化を実現しました。また平成29年8月には、ブランド品に特化したプラットフォームである「メルカリ メゾンズ」の提供を開始し、商品撮影におけるガイド機能や、価格の自動査定の導入による出品プロセスの効率化を実現しました。当社は、今後も新しい機能・サービスの導入等を通じて、特定の商品カテゴリーの拡大を推進して参ります。
② 当社グループのエコシステムの構築
当社グループは、「メルカリ」の有するユーザ基盤を活用し、「メルカリ」のユーザID(メルカリID)を通じてオンライン・オフラインの様々なサービスを連携したエコシステムを構築することにより、更なる成長の実現を企図しております。同エコシステムには、当社グループが提供するサービスに加え、事業提携先のサービスも取り入れ、例えば、CtoC及びBtoCのオンラインマーケットプレイス、家事代行や習い事などのオンラインCtoCサービス、オフラインでのショッピングや食事での支払いなど、ユーザの日常生活における様々なニーズに対応していくことを目指します。当社は、エコシステムの基礎となるメルカリIDを通じ、ユーザの取引履歴や評価情報といった貴重なデータの活用、及び当社グループが提供予定の決済プラットフォーム「メルペイ」の利用を可能にしていくことを考えております。「メルペイ」は、様々なサービスにおいて利用可能なモバイル決済機能を提供していくと共に、ユーザの取引履歴・評価情報等の信用情報の活用により、将来的には総合的な金融サービスも提供していくことも視野に入れております。当社グループは、「メルカリ」の高いエンゲージメントを有するユーザ基盤に加え、ユーザが「メルカリ」アカウント上で既に保有している売上金を決済資金の源泉とすることで外部口座からの入金が不要であるという点、及び過去の取引履歴・評価情報といった付加価値の高いデータを有しているという点において、決済事業における他社と差別化された競争優位性を有していると考えております。当社グループは、上記エコシステムを通じ、メルカリIDが日常生活の様々な場面に利用され、ユーザとの接点が拡大することによって、ユーザエンゲージメントが高まるとともに更なるユーザ基盤の強化に繋がると考えております。当社グループは、上記エコシステム構築の第一歩として、シェアサイクルサービスの「メルチャリ」、及びCtoCのスキルシェアサービスの「teacha」の提供を開始いたしました。エコシステムの拡大に向けて、投資先やその他の事業パートナーとの連携についても可能性を探求していきます。
(注)エコシステムは初期的な構想段階にあり、図中に記載があるサービスは将来的に提供される可能性があるサービスの例示です。
③ 海外市場への進出
世界中で中古品売買のニーズが高まっている中で、「メルカリ」のユニークな提供価値は、日本のみならず海外においても支持されるものと考えています。当社グループは、投資の規律を意識しつつも、戦略的に海外展開を図っていきます。
当社グループは、海外戦略の第一歩として、平成26年9月に米国事業を開始しました。オールジャンル、モバイルフォーカス、事業者ではなく個人中心のCtoCマーケットプレイスという特徴を活かし、簡単・楽しくかつ安全・安心なユーザ体験を提供することによって、米国市場においてもユニークなポジショニングを実現できるものと考えています。現在、米国のオンラインCtoC市場ではeBayがインターネットオークションサービスを提供していますが、同社のサービスはモバイルに特化しておらず、また多くの商業目的の事業者が参加するマーケットプレイスとなっています。また、他の潜在的な競合は、特定の地域を対象としたクラシファイドサービスや、特定の商品カテゴリーのみを対象とするCtoCモバイルアプリなど、「メルカリ」とは異なるビジネスモデルとなっています。
日本において、個人間中古品売買のためのフリマアプリ市場を新たに創り出したことと同じように、当社グループは、米国で「Mercari」を拡大させていける事業機会が存在すると考えています。また、巨大かつ多様性に富む人口基盤を有する米国での成功は、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という当社グループのミッションを実現する上で重要なマイルストーンであると認識しております。当社グループの米国事業は着実な成長を遂げており、平成30年3月時点の米国の累計ダウンロード数は37.5百万ダウンロード、平成30年6月期第3四半期の米国の流通総額は60.9百万ドルを達成しています。米国事業の更なる拡大に向けた当社グループの戦略は以下のとおりです。
米国のユーザに向けたユーザ体験の最適化
当社グループは、米国のユーザのニーズや嗜好をより適切に反映するため、米国の「Mercari」のUI及びUXの改善を行ってきました。平成29年6月にデザインと機能の仕様変更を行い、米国のユーザの嗜好を反映してより高度のパーソナライゼーション機能を導入し、様々なカテゴリーをより簡単に検索できるように改良しております。平成30年3月には米国におけるより効果的なブランド認知の構築を目指し、アプリロゴのデザイン変更を含む「Mercari」のリブランディングを行いました。また、米国市場の地理的規模と人口密度を考慮した革新的な配送オプションを提供する方法を模索しています。米国のユーザに固有のニーズと嗜好を取り入れることで、「Mercari」のユニークな提供価値を引き続き構築して参ります。
(注)1.UI(User Interface)とは、アプリケーションソフトウェアをユーザが操作する方法を指します。
2.UX(User Experience)とは、製品、システム、サービスなどの利用を通じてユーザが得るユーザ体験を指します。
優れたマネジメントメンバーの確保
当社グループは、経営リソースを積極的に米国市場に投下して参りました。平成29年6月には、当社グループの米国戦略を強化するため、Facebook社の経営メンバーであった経歴を持つJohn Lagerlingを雇用しました。当社グループは、事業拡大と米国ユーザに合わせたローカライゼーションを可能とするべく、現地の優秀な人材を積極的に採用して参ります。
成長段階に応じた規律ある戦略の実行
当社グループの米国事業は投資段階にあり、平成29年6月期において営業利益の計上には至っていません。しかし、当社グループのビジネスモデルの採算性を示した日本事業での実績を踏まえ、米国市場においても採算性の確保に取り組んで参ります。具体的には、米国事業においても一定の事業規模を達成することができれば、米国事業の売上高の範囲内に広告宣伝費などのコストを抑えることができると考えております。
(4)会社の対処すべき課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及につれて、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安全・安心な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題として、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等に継続的に取り組んで参ります。
② 優秀な人材の採用と育成
グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めて参ります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針です。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。出品数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んで参ります。
また、先端技術への投資に注力し、更なるユーザ体験の向上に取り組んで参ります。例えば、過去の取引履歴や評価情報等の膨大なデータを元にしたAIや機械学習技術の活用により、サービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を推進して参ります。更に、自動翻訳による異なる言語間での取引の推進や、ブロックチェーン、VR/AR、量子コンピュータ、IoT(モノのインターネット)などの先端技術への投資を行う等、技術力の強化に向けて取り組んで参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは世界中の人々の消費行動の変化を背景とした中古品市場の拡大に対応し、投資の規律を意識しつつも積極的に海外展開を図っていく方針であります。
平成26年1月に米国に設立した連結子会社Mercari, Inc.及び平成27年11月に英国に設立した連結子会社Mercari Europe Ltdにおいては、当社グループが保有するノウハウの移管を推し進め、ユーザの獲得を進めて参ります。これまで日本で蓄積したプロダクトとマーケティングのノウハウを活かしながら、各地域のユーザ特性とニーズにあわせてサービスをカスタマイズし、まずはユーザ数の拡大を目指していく方針です。