有価証券報告書-第14期(2025/07/01-2026/06/30)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
メルカリはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」から始まり、「あんしんで頼れる」「誰でもカンタン」「使うほどワクワク」「ちょっといいことしてる気分の良さ」をお客さま体験として追求してきました。そこから生まれたお客さま同士の強固なネットワークを基盤として、物理的なモノだけでなく、信用やデジタルアセットなどへ価値循環の対象を広げ、国や地域を越えて、お客さま体験の進化に挑み続けています。
よりサステナブルな社会への移行が求められる中、メルカリの事業が社会にもたらすポジティブインパクトは定量的にも示されております。メルカリが事業成長することがそのまま、サーキュラーエコノミーの体現であるともいえます。
私たちはこれからも、世界中のモノやコト、そして人の「まだ見出されていない価値」を引き出し、その多様な価値を必要としている人へつなげていきます。有形・無形に限らずあらゆる価値が循環する「エコシステム」を通じて、世界中の人々の可能性を広げる(=Unleashする)存在でありたいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なりますが、GMV(流通取引総額)及び売上収益の成長、また、コア営業利益(注)などの指標を通じて、企業価値の向上を図って参ります。
(注)営業利益からその他の収益/その他の費用等を控除した利益
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安心・安全なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、オフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2026年1月に実施した当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、CtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、中古品売買のニーズは高く、引き続き、Mercari USおよび世界各国への越境取引事業を通じて、グローバルな中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ活用
出品者・購入者双方にとって簡単で使いやすく、楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」のMAUは2026年6月期第4四半期において2,400万人を超えており、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータと当社が注力して取り組むAIをはじめとするテクノロジーの活用により、購入者の嗜好にあわせた商品提案等による購入転換率の向上や、売れやすい出品価格提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの品質改善等に取り組んでいます。
また、スマホ決済サービス「メルペイ」で提供するCreditサービスにおいて、「メルカリ」の利用実績に基づいた与信を提供するなど、既存のサービスにおけるユーザ体験の向上に加え、グループとしての成長に資する新規サービスの開発にもつなげております。
③ マーケットプレイス特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCおよびBtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。出品者・出品数の増加に伴い、購入したい商品が増えることで購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に多くの出品者・購入者が高い頻度で「メルカリ」を利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されております。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通取引総額の成長に大きく貢献しております。また、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しております。更に、クレジットカード機能を有する「メルカード」の利用に伴うロイヤルティプログラムを促進するなど、ユーザ体験の向上に伴う高いロイヤルティの獲得に注力しております。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、Marketplaceにおいて既に高い収益性を実現しております。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。その結果高い収益性を実現することが可能となります。
更に、FintechにおいてCreditサービスの成長に伴い収益基盤が強化され、メルカリグループにおける第2の収益の柱としての確立に向けて、収益力が向上しております。
⑤ 価値創造を支える組織・企業文化
当社グループが掲げるミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」の達成に向けて、世界中の多様なタレントが活躍できる組織づくりを重要視しております。様々なバックグラウンドを持つ多様な人材が価値創造の源泉であると考え、「世界中の多様なタレントの可能性を解き放つ組織を体現」を大方針に据え、I&Dを推進しております。
また、ミッションを達成するための行動指針として「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」「Move Fast」の4つを策定しており、経営判断から日々の業務まで、メルカリに関わるすべての意思決定を、本バリューに基づき行っております。
当社の具体的な経営戦略
2026年6月期は、FY2027.6に向けた仕込みの年と位置づけ、「原則として、増益を伴うトップラインの成長」「グループシナジーを中心とした事業拡大」を基本方針に掲げ、事業運営に取り組んでまいりました。特に注力してきたプロダクトのコア体験の強化が想定を上回るスピードで成果に結びつき、売上収益は二桁成長へと回帰するとともに、主要三事業のすべてが増収増益を達成し、グループの収益基盤を一層強固なものといたしました。さらに、越境取引におけるGMVが1,122億円、「メルカード」の発行枚数が632万枚に達するなど、「メルカリ」のお客さま基盤を活用したグループシナジーも拡大しました。その結果、売上収益は2,292億円、コア営業利益は441億円となり、いずれも期初の業績予想を大幅に上回り、過去最高を更新しました。
2026年6月期より取り組みを強化しているAI-Native化についても、順調に進捗しています。非エンジニアを含む全従業員のAIツール利用率は100%に達し、エンジニア一人あたりの開発量がAI化前(2024年6月期)比で7.6倍に増加するなど、生産性の向上につながっています。6月からは、前CTOがCAIOとCHROを兼務する体制へ移行し、AIエージェントの活用を前提とした働き方・組織構造の構築に向けた取り組みを、一層推進して参ります。
2027年6月期は、AI-Nativeな組織基盤のもと、プロダクトのコア体験の更なる強化と、グループシナジーを中心とした事業拡大を通じて、グループとしての力強い成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。各事業の成長に伴い、連結売上収益2,600〜2,900億円、連結コア営業利益450億円以上の達成を目指します。
① Marketplace:プロダクトのコア体験強化を継続的に進めつつ、越境取引を重点的に強化することで、GMV成長率 YoY +10-15%、コア営業利益は450億円以上を目指す
・主な施策
AIを基盤に据え、CS体制の強化や鑑定機能の拡充等の継続的なコア体験強化に加え、サービスとしてのエンターテイメント性の向上を進めます。これにより、MAUの増加と利用時間の伸長の両軸で持続的な成長を目指します。また、ニーズの大きいエンタメ・ホビーカテゴリーを中心に、越境取引の拡大も推進します。
② Fintech:パートナーシップを活用しながら決済・与信機能がなめらかにつながる体験を強化し、日常利用の拡大と与信機会の創出を通じて、コア営業利益100億円以上を目指す
・主な施策
プロダクトの基本機能追加や決済体験の刷新に加え、暗号資産取引の利便性向上にも取り組み、お客さま層の拡大と利用頻度の伸長を通じた取扱高の増加を目指します。また、「メルカリ」「メルペイ」の利用実績や行動データを活用した独自のAI与信により、対象者を広げ、更なる信用創造を推進します。
③ US:ブレイクイーブンを維持しつつ、プロダクトのコア体験強化により通期でGMV成長率 YoY +10%以上を目指す。また、中長期的な高成長の実現に向けて勝ち筋を模索する
・主な施策
AIを活用したUI/UXのアップデートやCS及び不正対策強化に継続的に取り組み、更なる取引活性化を目指します。また、まとめ買い機能の強化等の施策を通じて、一回あたり購入金額の拡大を目指すとともに、カテゴリー横断的な取引の活性化を推進します。
また、中期的にも、原則として増益を伴うトップラインの成長に取り組んでおり、2024年6月期の通期決算で公表した中期経営計画(2027年6月期を最終年度とし、売上収益CAGR二桁成長、コア営業利益CAGR+25%以上を目標)の達成に向けて順調に進捗しています。コア営業利益は目標を1年前倒しで実現し、売上収益も目標到達を見込んでいます。今後も、ミッションの実現に向けて、「メルカリ」の事業基盤を活用したグループシナジーの創出を一層強化し、非連続な成長を追求してまいります。
(4)会社の課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及と、それに伴う不正利用の巧妙化の流れを受け、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安心・安全な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題と認識し、不正利用者の徹底的な排除に取り組んでおります。AI技術を活用した不正監視の強化や、偽ブランド品撲滅に向けて設立した「メルカリ鑑定センター」における真贋鑑定強化等、犯罪行為を許さない環境の構築に努めております。また、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等にも継続的に取り組んで参ります。
② 人材の育成
企業として持続的成長を続けるために、多様な視点とスキルを持つ人材がともに働きやすい環境を整え、AIをはじめとする先進技術を前提とした組織の構築を通じてイノベーションを生み出す基盤を強化し続ける必要があると考えております。当社グループでは、「I&D Statement」を社外に公開し、管理職に占める女性・外国籍比率の向上に向けて、I&Dの推進に取り組んでおります。更に、AI戦略と人事戦略を一体化させた「HR for an AI-Native Company」のもと、働き方や組織構造、評価・タレントマネジメントの再設計を進めております。今後も、AI-Native人材の獲得・育成及び積極的な人材の抜擢・登用を通じて、当社グループの成長をけん引する新しいリーダーの輩出に取り組んで参ります。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。アクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んでいます。今後も、先進技術への投資と積極的な活用を進め、AIエージェントによるサービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を図るとともに、AIエージェントを前提とした組織への転換を通じて、意思決定のスピードと質を高めて参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは、2014年に米国へ進出し、2019年には日本における「メルカリ」に出品された商品を海外から購入できる越境取引を開始するなど、海外展開にも着手して参りました。米国事業においては、コスト構造と事業戦略の見直しを通じて収益性を確保した上で、2026年6月期には成長軌道への回帰を実現しており、今後は更なる成長の加速を目指しております。越境取引に関しては、順調に拡大を続けており、現在は世界120ヶ国以上の国・地域のお客さまに向けてサービスを展開しています。2025年9月には、世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供を台湾及び香港において開始し、2026年6月には米国での提供も開始いたしました。今後も市場の機会を見極めながら、グローバルアプリを展開する国や地域を順次拡大し、グローバルでの事業拡大を目指して参ります。
⑤ コーポレートガバナンスの強化
当社グループは、経営の監督機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレートガバナンスの基本方針として定めています。2023年9月には指名委員会等設置会社に移行し、取締役会の監督機能を強化しながら、執行機能の迅速かつ果断な意思決定と事業推進を実現する体制を構築しています。また、2025年9月には、筆頭独立社外取締役を設置し、取締役会の独立性と監督の実効性を一層強化しました。引き続き、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めて参ります。
⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。
⑦ 財務規律の強化
当社グループが継続的に成長・拡大していくにあたっては、更なる収益基盤の強化・拡大と、それをレバレッジさせた資金調達力が必要になります。Marketplace・Fintech・USの主力3事業を、優先順位を意識した規律ある投資等の成長と収益のバランスをとった経営を行うことで、その基盤を整えて参ります。
(1)会社の経営の基本方針
メルカリはCtoCマーケットプレイス「メルカリ」から始まり、「あんしんで頼れる」「誰でもカンタン」「使うほどワクワク」「ちょっといいことしてる気分の良さ」をお客さま体験として追求してきました。そこから生まれたお客さま同士の強固なネットワークを基盤として、物理的なモノだけでなく、信用やデジタルアセットなどへ価値循環の対象を広げ、国や地域を越えて、お客さま体験の進化に挑み続けています。
よりサステナブルな社会への移行が求められる中、メルカリの事業が社会にもたらすポジティブインパクトは定量的にも示されております。メルカリが事業成長することがそのまま、サーキュラーエコノミーの体現であるともいえます。
私たちはこれからも、世界中のモノやコト、そして人の「まだ見出されていない価値」を引き出し、その多様な価値を必要としている人へつなげていきます。有形・無形に限らずあらゆる価値が循環する「エコシステム」を通じて、世界中の人々の可能性を広げる(=Unleashする)存在でありたいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、日本及び米国で事業展開をしており、各地域によって成長ステージが異なりますが、GMV(流通取引総額)及び売上収益の成長、また、コア営業利益(注)などの指標を通じて、企業価値の向上を図って参ります。
(注)営業利益からその他の収益/その他の費用等を控除した利益
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を立案しております。
当社グループの強み
① 中古品市場の拡大をけん引するCtoCマーケットプレイスのパイオニア
当社グループは、使いやすく楽しく、かつ安心・安全なCtoCマーケットプレイスの提供を通じて、フリマアプリ市場を作り上げ、オフライン店舗やインターネットオークションに限定されない日本の中古品市場全体の拡大をけん引して参りました。2026年1月に実施した当社調査によると、フリマアプリ及びオークションサイトの利用経験者のうち当社サービスの利用者数が最も多く、他社のサービスを上回る支持を獲得しております。当社グループは、CtoCマーケットプレイスのパイオニアとしての圧倒的なポジショニングを活用することで、上記の中古品市場の高い市場成長を享受できる立場にあると自負しております。
更に、米国をはじめとする海外においても、中古品売買のニーズは高く、引き続き、Mercari USおよび世界各国への越境取引事業を通じて、グローバルな中古品市場の成長に貢献して参ります。
② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれを通じて得られる高付加価値のデータ活用
出品者・購入者双方にとって簡単で使いやすく、楽しく夢中になれるユーザ体験を提供することで、「メルカリ」は高いユーザエンゲージメントを実現しております。「メルカリ」のMAUは2026年6月期第4四半期において2,400万人を超えており、ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのデータと当社が注力して取り組むAIをはじめとするテクノロジーの活用により、購入者の嗜好にあわせた商品提案等による購入転換率の向上や、売れやすい出品価格提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの品質改善等に取り組んでいます。
また、スマホ決済サービス「メルペイ」で提供するCreditサービスにおいて、「メルカリ」の利用実績に基づいた与信を提供するなど、既存のサービスにおけるユーザ体験の向上に加え、グループとしての成長に資する新規サービスの開発にもつなげております。
③ マーケットプレイス特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得
CtoCおよびBtoCマーケットプレイスである「メルカリ」は、ネットワーク効果が強く働くサービスです。出品者・出品数の増加に伴い、購入したい商品が増えることで購入者・購入数が増加し、これにより商品の流動性が高まり、更に出品者・出品数が増加していきます。更に多くの出品者・購入者が高い頻度で「メルカリ」を利用しており、ネットワーク効果による自走的成長が促進されております。このようなネットワーク効果による出品者や購入者からの高いロイヤルティ獲得につながり、リピートユーザによる継続的な取引への参加が流通取引総額の成長に大きく貢献しております。また、ユーザの過去の取引評価の蓄積により、他のユーザが安心して取引を行うことができるとともに、ユーザ獲得競争において他の競合サービスへの流出を抑制する効果を有しております。更に、クレジットカード機能を有する「メルカード」の利用に伴うロイヤルティプログラムを促進するなど、ユーザ体験の向上に伴う高いロイヤルティの獲得に注力しております。
④ 高い収益性を実現するビジネスモデル
当社グループは、Marketplaceにおいて既に高い収益性を実現しております。この背景は、一定の事業規模に達するとその後の更なる事業規模拡大に際してコストを適切に管理できるというビジネスモデルにあります。具体的には、当社のコスト構造の相当の割合は広告宣伝費により構成されていますが、一般的にモバイルアプリの初期成長段階では売上高に占める広告宣伝費の割合は高くなるものの、ユーザ基盤が拡大し安定するにつれて広告宣伝費の比率を抑えることが可能になります。その結果高い収益性を実現することが可能となります。
更に、FintechにおいてCreditサービスの成長に伴い収益基盤が強化され、メルカリグループにおける第2の収益の柱としての確立に向けて、収益力が向上しております。
⑤ 価値創造を支える組織・企業文化
当社グループが掲げるミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」の達成に向けて、世界中の多様なタレントが活躍できる組織づくりを重要視しております。様々なバックグラウンドを持つ多様な人材が価値創造の源泉であると考え、「世界中の多様なタレントの可能性を解き放つ組織を体現」を大方針に据え、I&Dを推進しております。
また、ミッションを達成するための行動指針として「Go Bold」、「All for One」、「Be a Pro」「Move Fast」の4つを策定しており、経営判断から日々の業務まで、メルカリに関わるすべての意思決定を、本バリューに基づき行っております。
当社の具体的な経営戦略
2026年6月期は、FY2027.6に向けた仕込みの年と位置づけ、「原則として、増益を伴うトップラインの成長」「グループシナジーを中心とした事業拡大」を基本方針に掲げ、事業運営に取り組んでまいりました。特に注力してきたプロダクトのコア体験の強化が想定を上回るスピードで成果に結びつき、売上収益は二桁成長へと回帰するとともに、主要三事業のすべてが増収増益を達成し、グループの収益基盤を一層強固なものといたしました。さらに、越境取引におけるGMVが1,122億円、「メルカード」の発行枚数が632万枚に達するなど、「メルカリ」のお客さま基盤を活用したグループシナジーも拡大しました。その結果、売上収益は2,292億円、コア営業利益は441億円となり、いずれも期初の業績予想を大幅に上回り、過去最高を更新しました。
2026年6月期より取り組みを強化しているAI-Native化についても、順調に進捗しています。非エンジニアを含む全従業員のAIツール利用率は100%に達し、エンジニア一人あたりの開発量がAI化前(2024年6月期)比で7.6倍に増加するなど、生産性の向上につながっています。6月からは、前CTOがCAIOとCHROを兼務する体制へ移行し、AIエージェントの活用を前提とした働き方・組織構造の構築に向けた取り組みを、一層推進して参ります。
2027年6月期は、AI-Nativeな組織基盤のもと、プロダクトのコア体験の更なる強化と、グループシナジーを中心とした事業拡大を通じて、グループとしての力強い成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。各事業の成長に伴い、連結売上収益2,600〜2,900億円、連結コア営業利益450億円以上の達成を目指します。
① Marketplace:プロダクトのコア体験強化を継続的に進めつつ、越境取引を重点的に強化することで、GMV成長率 YoY +10-15%、コア営業利益は450億円以上を目指す
・主な施策
AIを基盤に据え、CS体制の強化や鑑定機能の拡充等の継続的なコア体験強化に加え、サービスとしてのエンターテイメント性の向上を進めます。これにより、MAUの増加と利用時間の伸長の両軸で持続的な成長を目指します。また、ニーズの大きいエンタメ・ホビーカテゴリーを中心に、越境取引の拡大も推進します。
② Fintech:パートナーシップを活用しながら決済・与信機能がなめらかにつながる体験を強化し、日常利用の拡大と与信機会の創出を通じて、コア営業利益100億円以上を目指す
・主な施策
プロダクトの基本機能追加や決済体験の刷新に加え、暗号資産取引の利便性向上にも取り組み、お客さま層の拡大と利用頻度の伸長を通じた取扱高の増加を目指します。また、「メルカリ」「メルペイ」の利用実績や行動データを活用した独自のAI与信により、対象者を広げ、更なる信用創造を推進します。
③ US:ブレイクイーブンを維持しつつ、プロダクトのコア体験強化により通期でGMV成長率 YoY +10%以上を目指す。また、中長期的な高成長の実現に向けて勝ち筋を模索する
・主な施策
AIを活用したUI/UXのアップデートやCS及び不正対策強化に継続的に取り組み、更なる取引活性化を目指します。また、まとめ買い機能の強化等の施策を通じて、一回あたり購入金額の拡大を目指すとともに、カテゴリー横断的な取引の活性化を推進します。
また、中期的にも、原則として増益を伴うトップラインの成長に取り組んでおり、2024年6月期の通期決算で公表した中期経営計画(2027年6月期を最終年度とし、売上収益CAGR二桁成長、コア営業利益CAGR+25%以上を目標)の達成に向けて順調に進捗しています。コア営業利益は目標を1年前倒しで実現し、売上収益も目標到達を見込んでいます。今後も、ミッションの実現に向けて、「メルカリ」の事業基盤を活用したグループシナジーの創出を一層強化し、非連続な成長を追求してまいります。
(4)会社の課題
① サービスの安全性及び健全性の確保
Eコマースサービスやソーシャルメディア等の普及と、それに伴う不正利用の巧妙化の流れを受け、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりを見せております。当社グループは、安心・安全な取引の場を提供するため、サービスの安全性・健全性確保を最重要課題と認識し、不正利用者の徹底的な排除に取り組んでおります。AI技術を活用した不正監視の強化や、偽ブランド品撲滅に向けて設立した「メルカリ鑑定センター」における真贋鑑定強化等、犯罪行為を許さない環境の構築に努めております。また、個人情報保護や知的財産権侵害品対策等にも継続的に取り組んで参ります。
② 人材の育成
企業として持続的成長を続けるために、多様な視点とスキルを持つ人材がともに働きやすい環境を整え、AIをはじめとする先進技術を前提とした組織の構築を通じてイノベーションを生み出す基盤を強化し続ける必要があると考えております。当社グループでは、「I&D Statement」を社外に公開し、管理職に占める女性・外国籍比率の向上に向けて、I&Dの推進に取り組んでおります。更に、AI戦略と人事戦略を一体化させた「HR for an AI-Native Company」のもと、働き方や組織構造、評価・タレントマネジメントの再設計を進めております。今後も、AI-Native人材の獲得・育成及び積極的な人材の抜擢・登用を通じて、当社グループの成長をけん引する新しいリーダーの輩出に取り組んで参ります。
③ 技術力の強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に係るシステムを安定的に稼働させることが事業運営上重要であると認識しております。アクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化、並列処理システムの導入等による負荷分散等、継続的にシステムの安定性確保に取り組んでいます。今後も、先進技術への投資と積極的な活用を進め、AIエージェントによるサービスの利便性向上や、安全性及び健全性の維持・強化を図るとともに、AIエージェントを前提とした組織への転換を通じて、意思決定のスピードと質を高めて参ります。
④ 海外展開への対応
当社グループは、2014年に米国へ進出し、2019年には日本における「メルカリ」に出品された商品を海外から購入できる越境取引を開始するなど、海外展開にも着手して参りました。米国事業においては、コスト構造と事業戦略の見直しを通じて収益性を確保した上で、2026年6月期には成長軌道への回帰を実現しており、今後は更なる成長の加速を目指しております。越境取引に関しては、順調に拡大を続けており、現在は世界120ヶ国以上の国・地域のお客さまに向けてサービスを展開しています。2025年9月には、世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供を台湾及び香港において開始し、2026年6月には米国での提供も開始いたしました。今後も市場の機会を見極めながら、グローバルアプリを展開する国や地域を順次拡大し、グローバルでの事業拡大を目指して参ります。
⑤ コーポレートガバナンスの強化
当社グループは、経営の監督機能及び内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることをコーポレートガバナンスの基本方針として定めています。2023年9月には指名委員会等設置会社に移行し、取締役会の監督機能を強化しながら、執行機能の迅速かつ果断な意思決定と事業推進を実現する体制を構築しています。また、2025年9月には、筆頭独立社外取締役を設置し、取締役会の独立性と監督の実効性を一層強化しました。引き続き、ステークホルダーのみなさまの信頼に応えるべく、経営の効率性、透明性を高め、企業価値の最大化と持続的な成長、発展に努めて参ります。
⑥ 内部管理体制の拡充並びにコンプライアンスの徹底
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、当社グループの成長に見合った人材の確保、育成及びコンプライアンスの徹底を重要な課題と考えております。内部監査、法務、財務、経理、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、更なる内部管理体制の強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底に努めて参ります。
⑦ 財務規律の強化
当社グループが継続的に成長・拡大していくにあたっては、更なる収益基盤の強化・拡大と、それをレバレッジさせた資金調達力が必要になります。Marketplace・Fintech・USの主力3事業を、優先順位を意識した規律ある投資等の成長と収益のバランスをとった経営を行うことで、その基盤を整えて参ります。