有価証券報告書-第81期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/21 16:31
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、企業理念として「社会的使命」を「最適整合の創造」、「企業目標」を「意欲あふれる快心企業」と定め、その達成のためのポリシーとして「1.顧客志向の実践」「2.理と情との調和」「3.社会との共感」、行動指針として「1.違いをつくる思考」「2.先を行く元気」「3.あたたかい言動」のもとに、社会課題を解決し、株主の期待に応える企業グループを目指しております。
(2) 経営環境
今後の国内外の景気動向は、前連結会計年度と同様に、グローバルサプライチェーンの動向、物価上昇、ウクライナ情勢等に左右されるため、先行き不透明な状況が続いていくと推測されます。
当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、以下のとおりであります。
①塗料関連事業
当連結会計年度は、半導体等の部品供給難によって、先行き不透明な状況でありましたが、当社グループの主たるお客様である自動車メーカーをはじめとした各産業の生産は、前連結会計年度と比較すると堅調に推移しました。しかし、国内における塗料市場は既に成熟化しており、新型コロナウイルス感染症の拡大以前よりも大きな伸長は見込めないため、SDGsへの貢献やESG投資に向けた価値創造、ものづくりへの変化が加速していくと予測しております。
②電気・電子部品事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透が顕著となりました。ものづくり現場においても、DXによる効率化から新たな価値創造へのフェーズへ移行し、その流れは、ますます加速していくと予測しております。
(3) 中期経営戦略
当社グループは、2021年5月14日に、2021年度から2023年度までの中期経営計画「MAP21-23」を公表しております。当社グループでは、中期経営計画を、「My Action Plan=私の計画」の頭文字をとり、かつ、「進むべき地図=MAP」の意味を込めて「MAP」と称しています。また、「21-23」は2021年度から2023年度の3年間を表しています。
①ビジョン
当社グループは、「ものづくり現場のパートナーとなり、人々の未来を豊かにする- We are O-Well! -」をビジョンとし、お取引先様とともにつくる製品やサービスが、世界中の人々の生活を豊かにしていき、それが将来にわたって永続することを目指してまいります。
②方針
当社グループは、中期経営方針「取引先の課題を明らかにし、その課題を解決するために考動する」のもと、お取引先様の課題解決に的を絞り、解決に向け、考動してまいります。
その上で、塗料関連事業、電気・電子部品事業の両セグメントに共通する中期重点方針「マーケティング(需要創造)活動を強化する」のもと、顕在化した課題から、潜在化している課題までを抽出し、新たな需要を創造してまいります。
塗料関連事業においては、中期重点方針「提供価値を変革する」のもと、IoT等を活用し、塗装工程の高度化の実現に向け、開発・推進を加速してまいります。また、現在展開している海外拠点の配置や連携を踏まえ、更なるグローバル化を推進してまいります。
電気・電子部品事業においては、中期重点方針「DXのトレンドを掴む」のもと、自動車のCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)による車載センサービジネスの拡大や、ソフトウエアビジネスの展開を推進してまいります。
経営基盤においては、中期重点方針「収益体質を強化する」のもと、事業構造や経営資源の配分を抜本的に見直し、収益体質の強化を図ります。また、事業活動を通じてSDGs等の社会課題の解決に貢献するとともに、当社らしい働き方を創出することで、やりがいと誇りを持てる企業となるべく、努めてまいります。
(当社グループの事業領域)

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益を成長性と収益性の観点から、重要な経営指標としております。中期経営計画「MAP21-23」の最終年度である2023年度の目標値は売上高670億円、営業利益10億円、経常利益12億円、当期純利益8億円であります。各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
なお、上記目標値は、当初設定から見直しを行っております。詳細につきましては、2023年5月12日付で公表しております「中期経営計画の見直しに関するお知らせ」をご参照ください。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①塗装現場管理システム(OLDAS)の開発力の強化と収益化の実現
OLDASをはじめとしたIoT等を活用し、塗装工程の高度化の実現を加速させるためには、ソフトウエアの開発力を強化するとともに、収益化の実現は急務であると考えております。その実効性を高めるためには、SDGs への貢献に向けた視点とパートナーとの協業が必要であり、当社グループの経営資源を集中し、開発・推進に取り組んでまいります。
②お客様の課題抽出~共通課題の形成に向けた仮説構築力の向上
お客様が求める提供価値は、内外環境の影響によって変化し続けております。当社グループも共にその変化の中にあって、お客様の顕在化した課題から、潜在化している課題までを抽出し、解決するためには、仮説構築力を向上させなければならないと考えております。その課題に対応するため、お客様の課題抽出から共通課題形成に向けた仮説と検証を繰り返すPDCAサイクルをより小さく迅速に回し続けることで、お客様の課題解決に貢献してまいります。
③電気・電子部品事業における収益性の改善
当社グループの電気・電子部品事業の収益性を向上させるため、取引先と協業した新商品の開発や、ホールICに次ぐ新しいビジネスを創造することが課題であると認識しております。その課題に対応するために、DXや自動車のCASEのトレンドから、次の柱となる新たなモジュール、ソフトウエアビジネスを創造し、収益性の改善に取り組んでまいります。
④グローバルでの新しいビジネス創造
世界のものづくりにおけるグローバル化の波は、消費地や調達先の変化、その動向・影響を受けながら、大きく動いており、当社グループは、そのようなお客様の課題を明らかにし、その課題を解決できるパートナーとなることで、新しいビジネスを創造していかなければならないと考えております。そのため、国内外におけるマーケティング(需要創造)活動を当社グループ内で共有~連動していくことで、新しいビジネスの創造を企画・検討してまいります。
⑤エンゲージメントと収益性の向上
当社グループが継続的に事業を発展させ、企業価値を向上するためには、事業活動を通じて社会課題を解決することで利益を創出し、その利益を従業者や投資家に還元していき、新たな価値提供につなげ、国家社会に貢献し続けなければならないと考えております。そのため、当社グループの提供する価値の重要な構成要素の一つである人財の確保・育成をするため、当社らしい働き方を創出することで、エンゲージメントを向上させるとともに、物流課題解決のための企画やSDGsへの貢献に向けた施策を着手することで、収益性の向上に取り組んでまいります。