有価証券報告書-第14期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。
(2) 経営環境
ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。
当社は、事業進捗や環境変化に応じてローリング方式で中期経営方針「ACSL Accelerate」を更新しており、昨今の事業環境の変化を踏まえ、当社の中長期的な方向性と目標、マイルストーンを明確に示すために「ACSL Accelerate FY26」を発表いたしました。具体的には、先端技術による機体進化、強靭なサプライチェーンの構築、北米事業の本格拡大、防衛・安全保障分野への貢献、社会インフラ維持・管理の国産化、持続的な財務基盤強化を重点戦略として掲げております。
国内における直近の進捗としては、防衛分野への貢献として防衛省を含めた政府調達への取り組みを進めております。防衛省及び経済産業省は防衛分野における民生先端技術の活用(デュアルユース)を推進しており、当社は2025年4月に経済産業省を訪問したルッテNATO事務総長一行に日本のデュアルユース・スタートアップ企業として小型空撮ドローン「SOTEN」を紹介し、防衛分野での注目を集めました。昨年度及び今年度において防衛装備庁から「SOTEN」を受注するなど、政府調達における受注実績を着実に積み重ねております。さらに、2025年12月に陸上自衛隊が主催した国内外防衛関係者向けフォーラム「Landpower Forum in Japan」では「SOTEN」が陸上自衛隊装備品として出展され、国内外の政府関係者への認知向上の機会となりました。
また、当社は、経済産業省令和4年度第2次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業」(SBIR事業)に係る事業者に採択され、「行政等ニーズに応える小型空撮ドローンの性能向上と社会実装」事業(事業総額約26億円)として新たな小型空撮ドローンの開発を進めております。2025年8月には省庁向け開発進捗確認会を実施し、50名以上の行政関係者から直接ヒアリングを行うなど、開発段階から政府調達に向けた需要創出に取り組んでおります。さらに、当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)における研究開発構想「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」にて実施する事業「小型無人機の自律制御・分散制御技術(研究開発項目(2))」(事業総額約29億円)の委託先として採択され、自律制御・分散制御に係るソフトウエアを搭載する小型無人機のハードウエア等の初期型機体開発に取り組んでまいります。
社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。物流用途に適した高い飛行性能とユーザー自身でペイロード交換が可能な取り付け機構を備える「PF4」は、物流分野以外にも広域測量等、他分野の顧客獲得も視野に入れて販促を行ってまいります。「PF4」はこれまでの開発期間で複数の実証実験や災害支援活動等に用いられております。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。また、物流分野ではレベル4飛行による実証実験にも取り組んでおります。2025年11月に長崎県、同年12月に福島県でそれぞれ実施されたレベル4飛行配送実証では、当社の第一種型式認証取得機種「PF2-CAT3」を提供いたしました。国内初の第一種型式認証取得機体である「PF2-CAT3」は、これまで国内の複数のレベル4飛行実証で活用されており、ドローン物流の実証実験の拡大にも寄与しております。
北米事業としては、米国において、National Defense Authorization Act(NDAA)によりロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されており、加えて、中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の「中国軍事関連企業」に指定されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。2025年12月、米国で米国連邦通信委員会(FCC)による外国製ドローンの機器認証規制が強化され、中国製を含む新規機体の販売は実質制限されることとなりました。当社「SOTEN」はNDAA準拠に加え、必要認証を取得済みで継続販売が可能であり、米国での販売機会拡大を見込むとともに、需要の取り込みを図ってまいります。
米国市場では官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、カリフォルニア州に当社子会社ACSL, Inc.を2023年1月に設立しました。同社CEOには米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきた、シンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任し、また、グローバルCTO兼ACSL, Inc.取締役のクリス・ラービ(Chris Raabe)が現地に駐在し、米国市場に向けた技術開発をリードしております。販売体制については、Almo Corporation(DBA Exertis Almo)社を総代理店として合計20社以上の販売会社と販売代理店契約を締結し、全米で当社製品の販売・サポート・修理を行っています。当社は2023年11月に米国市場向けの「SOTEN」の販売輸出許可を取得し、同年12月より販売を開始しました。2024年10月にはAlmo Corporation社より500台の受注を獲得し、一部を同年12月、残数は2025年度内に納品しております。さらに、2025年11月には同社より追加の400台の受注を獲得いたしました。
米国市場の顧客ニーズを踏まえた製品開発も進展しており、2025年8月にはNDAA準拠の新型スマートコントローラー「TAITEN」のリリース、SOTEN用高画素赤外線カメラ「SAMO」の機能アップグレードを発表し、展示会等で高い評価を得ております。また、2025年10月には米国の最大手電波塔運営事業者であるAmerican Tower Corporationと戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結し、重要インフラ産業におけるドローン活用の拡大に向けた取り組みを進めております。
加えて、当社は、今後、米国と同様の規制導入が見込まれるカナダにおいても事業展開を開始しました。2025年12月に同国のドローン販売代理店Jam Industries Ltd.と販売代理店契約を締結し、カナダ市場での販売活動を本格的に開始しております。同社からは同月に「SOTEN」200台の受注を獲得しており、2026年度に納品を予定しております。
なお、持続的な財務基盤強化として当社は世界的な経済安全保障の高まりと市場拡大を背景に、事業拡大と海外展開を加速するための成長資金を確保するため、普通株式と新株予約権の第三者割当により最大約31億円の資金調達を実施いたしました。
当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、海外展開も含め、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行っております。
(3) 経営戦略等
2024年2月に発表した構造改革として、具体的には、幅広く展開してきた市場、用途及び製品について、収益性の改善を目的とした「選択と集中」を行い、大幅な売上増加を前提としない黒字化を実現できるコスト構造へ転換すべく「リソースの最適化」を実施しました。「選択と集中」としては小型空撮機体の強みを活かせる経済安全保障、脱中国製品が明確である日本の政府調達及び米国の点検・災害対応分野に注力いたします。加えて、物流分野としては日本郵便株式会社との機体開発及び社会実装に向けた体制構築に注力いたします。リソースの最適化としては、注力事業領域に合わせて研究開発テーマの中止、日本国内の人員最適化及び連動する間接費用の削減を実現し、成長市場となる米国への再投資を進めております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。
① 開発戦略
小型空撮機体については、量産販売及び市場対応のフェーズとして、顧客からのフィードバックを踏まえた機能改善や品質向上を継続しております。加えて、国家プロジェクトであるSBIR事業において行政等のニーズを反映した高性能化と社会実装を推進するとともに、経済安全保障重要技術育成プログラム(K program)に採択された次々世代機体の開発として分散制御技術及びAI等の先端技術開発を進めてまいります。また、海外展開の拡大に向け、現地法規及び運用要件に対応するための開発を推進してまいります。
社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。
② 生産体制
当社グループは、安全品質を最優先事項と位置付け、品質向上に向けた社内体制の強化及び量産パートナー企業との連携を進めてまいりました。今後も高品質かつ安定的な量産体制を維持するとともに、顧客からのフィードバックを反映した継続的な品質向上に取り組んでまいります。加えて、経済安全保障の観点も踏まえ、複数生産拠点の活用や部品のトレーサビリティ確保等により、サプライチェーンの強靭化を推進してまいります。さらに、限界利益率上昇を目的とした原価低減に取り組むとともに、構造改革の進捗を踏まえ、間接原価の抑制を通じた売上総利益率の改善にも取り組んでまいります。
調達戦略としては、新規サプライヤーの発掘、キーサプライヤーとの協力体制の構築及び調達条件の改善にも取り組んでまいります。
③ 営業戦略
国内市場においては、国産かつ高セキュリティ対応の強みを活かし、防衛・安全保障分野を含む官公庁等の政府調達への取り組みを強化しております。また、社会インフラ維持・管理領域における実運用の拡大に向け、顧客課題に即した提案と導入支援を進めてまいります。物流分野については、日本郵便株式会社との連携を継続するとともにドローンサービス事業者との連携を通じて、ドローン物流の社会実装を進めてまいります。
海外市場については、経済安全保障を背景とした脱中国製品の動きが加速する北米を重点地域と位置づけております。米国では現地子会社を軸に販売ネットワーク及びサポート体制を強化するとともに、現地規制に適合した機体として継続的な販売が可能な体制を整えております。加えて、カナダ市場への展開を本格化し、公共領域や社会インフラ分野での需要獲得を図ってまいります。
④ 規制への対応
ドローン関連業界を取り巻く規制の変化に対応し、需要の拡大に的確に対応すべく、国土交通省、経済産業省等の関係行政機関と引き続き密に連携してまいります。
また、海外市場への進出においては、北米における機器認証等の規制強化を含む現地法規制の動向を継続的に把握し、必要な認証取得及び体制整備を進めてまいります。あわせて、外国為替及び外国貿易法等の輸出管理を含むコンプライアンスの徹底により、適切な海外事業運営を行ってまいります
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備及び運用を重要課題として位置付け、継続的な強化に取り組んでおります。過年度に発生した元代表取締役による不適切な事案を踏まえ再発防止策を策定し、実行しております。
具体的には、取締役及び代表取締役の選任等に係る公正性及び客観性を高めるため、社外取締役を中心とする任意の指名委員会の設置並びに候補者評価プロセスの整備を進めております。あわせて、契約や購買等の重要な意思決定について複数の代表取締役による相互確認及び承認を要する仕組みを整備するとともに、権限規程及び承認基準の見直しにより牽制機能を強化しております。さらに、契約締結及び支払プロセスの厳格運用並びに取引先管理の強化を徹底するとともに、研修等を通じたコンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の運用強化に取り組んでおります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、粗利、営業利益を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、小型空撮の金額・機体数、ソリューションの構築の金額があげられます。
(1) 経営方針
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。
(2) 経営環境
ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。
当社は、事業進捗や環境変化に応じてローリング方式で中期経営方針「ACSL Accelerate」を更新しており、昨今の事業環境の変化を踏まえ、当社の中長期的な方向性と目標、マイルストーンを明確に示すために「ACSL Accelerate FY26」を発表いたしました。具体的には、先端技術による機体進化、強靭なサプライチェーンの構築、北米事業の本格拡大、防衛・安全保障分野への貢献、社会インフラ維持・管理の国産化、持続的な財務基盤強化を重点戦略として掲げております。
国内における直近の進捗としては、防衛分野への貢献として防衛省を含めた政府調達への取り組みを進めております。防衛省及び経済産業省は防衛分野における民生先端技術の活用(デュアルユース)を推進しており、当社は2025年4月に経済産業省を訪問したルッテNATO事務総長一行に日本のデュアルユース・スタートアップ企業として小型空撮ドローン「SOTEN」を紹介し、防衛分野での注目を集めました。昨年度及び今年度において防衛装備庁から「SOTEN」を受注するなど、政府調達における受注実績を着実に積み重ねております。さらに、2025年12月に陸上自衛隊が主催した国内外防衛関係者向けフォーラム「Landpower Forum in Japan」では「SOTEN」が陸上自衛隊装備品として出展され、国内外の政府関係者への認知向上の機会となりました。
また、当社は、経済産業省令和4年度第2次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業」(SBIR事業)に係る事業者に採択され、「行政等ニーズに応える小型空撮ドローンの性能向上と社会実装」事業(事業総額約26億円)として新たな小型空撮ドローンの開発を進めております。2025年8月には省庁向け開発進捗確認会を実施し、50名以上の行政関係者から直接ヒアリングを行うなど、開発段階から政府調達に向けた需要創出に取り組んでおります。さらに、当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)における研究開発構想「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」にて実施する事業「小型無人機の自律制御・分散制御技術(研究開発項目(2))」(事業総額約29億円)の委託先として採択され、自律制御・分散制御に係るソフトウエアを搭載する小型無人機のハードウエア等の初期型機体開発に取り組んでまいります。
社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。物流用途に適した高い飛行性能とユーザー自身でペイロード交換が可能な取り付け機構を備える「PF4」は、物流分野以外にも広域測量等、他分野の顧客獲得も視野に入れて販促を行ってまいります。「PF4」はこれまでの開発期間で複数の実証実験や災害支援活動等に用いられております。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。また、物流分野ではレベル4飛行による実証実験にも取り組んでおります。2025年11月に長崎県、同年12月に福島県でそれぞれ実施されたレベル4飛行配送実証では、当社の第一種型式認証取得機種「PF2-CAT3」を提供いたしました。国内初の第一種型式認証取得機体である「PF2-CAT3」は、これまで国内の複数のレベル4飛行実証で活用されており、ドローン物流の実証実験の拡大にも寄与しております。
北米事業としては、米国において、National Defense Authorization Act(NDAA)によりロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されており、加えて、中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の「中国軍事関連企業」に指定されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。2025年12月、米国で米国連邦通信委員会(FCC)による外国製ドローンの機器認証規制が強化され、中国製を含む新規機体の販売は実質制限されることとなりました。当社「SOTEN」はNDAA準拠に加え、必要認証を取得済みで継続販売が可能であり、米国での販売機会拡大を見込むとともに、需要の取り込みを図ってまいります。
米国市場では官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、カリフォルニア州に当社子会社ACSL, Inc.を2023年1月に設立しました。同社CEOには米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきた、シンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任し、また、グローバルCTO兼ACSL, Inc.取締役のクリス・ラービ(Chris Raabe)が現地に駐在し、米国市場に向けた技術開発をリードしております。販売体制については、Almo Corporation(DBA Exertis Almo)社を総代理店として合計20社以上の販売会社と販売代理店契約を締結し、全米で当社製品の販売・サポート・修理を行っています。当社は2023年11月に米国市場向けの「SOTEN」の販売輸出許可を取得し、同年12月より販売を開始しました。2024年10月にはAlmo Corporation社より500台の受注を獲得し、一部を同年12月、残数は2025年度内に納品しております。さらに、2025年11月には同社より追加の400台の受注を獲得いたしました。
米国市場の顧客ニーズを踏まえた製品開発も進展しており、2025年8月にはNDAA準拠の新型スマートコントローラー「TAITEN」のリリース、SOTEN用高画素赤外線カメラ「SAMO」の機能アップグレードを発表し、展示会等で高い評価を得ております。また、2025年10月には米国の最大手電波塔運営事業者であるAmerican Tower Corporationと戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結し、重要インフラ産業におけるドローン活用の拡大に向けた取り組みを進めております。
加えて、当社は、今後、米国と同様の規制導入が見込まれるカナダにおいても事業展開を開始しました。2025年12月に同国のドローン販売代理店Jam Industries Ltd.と販売代理店契約を締結し、カナダ市場での販売活動を本格的に開始しております。同社からは同月に「SOTEN」200台の受注を獲得しており、2026年度に納品を予定しております。
なお、持続的な財務基盤強化として当社は世界的な経済安全保障の高まりと市場拡大を背景に、事業拡大と海外展開を加速するための成長資金を確保するため、普通株式と新株予約権の第三者割当により最大約31億円の資金調達を実施いたしました。
当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、海外展開も含め、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行っております。
(3) 経営戦略等
2024年2月に発表した構造改革として、具体的には、幅広く展開してきた市場、用途及び製品について、収益性の改善を目的とした「選択と集中」を行い、大幅な売上増加を前提としない黒字化を実現できるコスト構造へ転換すべく「リソースの最適化」を実施しました。「選択と集中」としては小型空撮機体の強みを活かせる経済安全保障、脱中国製品が明確である日本の政府調達及び米国の点検・災害対応分野に注力いたします。加えて、物流分野としては日本郵便株式会社との機体開発及び社会実装に向けた体制構築に注力いたします。リソースの最適化としては、注力事業領域に合わせて研究開発テーマの中止、日本国内の人員最適化及び連動する間接費用の削減を実現し、成長市場となる米国への再投資を進めております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。
① 開発戦略
小型空撮機体については、量産販売及び市場対応のフェーズとして、顧客からのフィードバックを踏まえた機能改善や品質向上を継続しております。加えて、国家プロジェクトであるSBIR事業において行政等のニーズを反映した高性能化と社会実装を推進するとともに、経済安全保障重要技術育成プログラム(K program)に採択された次々世代機体の開発として分散制御技術及びAI等の先端技術開発を進めてまいります。また、海外展開の拡大に向け、現地法規及び運用要件に対応するための開発を推進してまいります。
社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。
② 生産体制
当社グループは、安全品質を最優先事項と位置付け、品質向上に向けた社内体制の強化及び量産パートナー企業との連携を進めてまいりました。今後も高品質かつ安定的な量産体制を維持するとともに、顧客からのフィードバックを反映した継続的な品質向上に取り組んでまいります。加えて、経済安全保障の観点も踏まえ、複数生産拠点の活用や部品のトレーサビリティ確保等により、サプライチェーンの強靭化を推進してまいります。さらに、限界利益率上昇を目的とした原価低減に取り組むとともに、構造改革の進捗を踏まえ、間接原価の抑制を通じた売上総利益率の改善にも取り組んでまいります。
調達戦略としては、新規サプライヤーの発掘、キーサプライヤーとの協力体制の構築及び調達条件の改善にも取り組んでまいります。
③ 営業戦略
国内市場においては、国産かつ高セキュリティ対応の強みを活かし、防衛・安全保障分野を含む官公庁等の政府調達への取り組みを強化しております。また、社会インフラ維持・管理領域における実運用の拡大に向け、顧客課題に即した提案と導入支援を進めてまいります。物流分野については、日本郵便株式会社との連携を継続するとともにドローンサービス事業者との連携を通じて、ドローン物流の社会実装を進めてまいります。
海外市場については、経済安全保障を背景とした脱中国製品の動きが加速する北米を重点地域と位置づけております。米国では現地子会社を軸に販売ネットワーク及びサポート体制を強化するとともに、現地規制に適合した機体として継続的な販売が可能な体制を整えております。加えて、カナダ市場への展開を本格化し、公共領域や社会インフラ分野での需要獲得を図ってまいります。
④ 規制への対応
ドローン関連業界を取り巻く規制の変化に対応し、需要の拡大に的確に対応すべく、国土交通省、経済産業省等の関係行政機関と引き続き密に連携してまいります。
また、海外市場への進出においては、北米における機器認証等の規制強化を含む現地法規制の動向を継続的に把握し、必要な認証取得及び体制整備を進めてまいります。あわせて、外国為替及び外国貿易法等の輸出管理を含むコンプライアンスの徹底により、適切な海外事業運営を行ってまいります
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備及び運用を重要課題として位置付け、継続的な強化に取り組んでおります。過年度に発生した元代表取締役による不適切な事案を踏まえ再発防止策を策定し、実行しております。
具体的には、取締役及び代表取締役の選任等に係る公正性及び客観性を高めるため、社外取締役を中心とする任意の指名委員会の設置並びに候補者評価プロセスの整備を進めております。あわせて、契約や購買等の重要な意思決定について複数の代表取締役による相互確認及び承認を要する仕組みを整備するとともに、権限規程及び承認基準の見直しにより牽制機能を強化しております。さらに、契約締結及び支払プロセスの厳格運用並びに取引先管理の強化を徹底するとともに、研修等を通じたコンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の運用強化に取り組んでおります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、粗利、営業利益を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、小型空撮の金額・機体数、ソリューションの構築の金額があげられます。