有価証券報告書-第11期(2024/10/01-2025/09/30)

【提出】
2025/12/24 16:27
【資料】
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【項目】
146項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、20年以上継続してきた人の能力を測定する技術の研究開発を行い、質の高いテストおよびラーニングの機会の提供を通じて、効果的な学びの機会を実現し、一人ひとりの能力の発展に寄与してまいります。
(2) 経営環境
国内教育市場では、少子化の影響があるものの、児童・生徒1人に1台端末が整備され、学校のICT環境の更新、データ利活用など更なる進化が求められるフェーズに入っております。テスト市場全体においては、従来型のペーパー(紙)ベースのテストからコンピューターベースのテスト(CBT:Computer Based Testing)への移行が進み、学習のオンライン化とテストのCBT化は今後も加速する傾向にあります。また、英語教育の低年齢化、リスキリング需要の高まり、デジタル化の浸透などを背景に、英語教育とテストに対する需要も拡大が見込まれております。
加えて、大学入試の多様化が進み、受験準備段階から中学・高校、更には大学卒業に至るまで、日々の学習における評価や測定、学力の伸長や成果の可視化が求められており、評価・測定に対するニーズは一層高まっております。更に、教員不足や働き方改革の影響により現場の対応力に限界が生じつつあり、AIを活用した先生方の業務支援や教育活動の効率化に対する期待も高まっております。
このように、教育ビジネス市場におけるビジネス・チャンスは引き続き大きく、当社グループといたしましては、長年培ってきた測定技術及びAI技術と、安定的にテストを実施する運用技術を高い専門性をもって掛け合わせることにより、他社との差別化を図ってまいります。また、各種検定・試験のCBTの実施会場であるテストセンターの設置・運営を通して、各種試験のCBT化をシステム及びインフラ提供の両面から推進してまいります。
(3) 経営戦略等
当社グループは、持続的な成長を目指した体制構築に向け、2024年9月期から2026年9月期までの3年間を期間とする「中期経営計画 -事業計画及び成長可能性に関する事項-」(以下、「中計」といいます。)を、2023年12月8日に公表いたしました。
当社グループは、中計にもとづき、以下に記載する3つの改革に取り組むことで、2025年9月期に、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も黒字化し、全利益区分の黒字化を達成しました。
「中計」最終年度の2026年9月期におきましても3つの構造改革の取り組みを継続して、全利益区分の黒字維持を目指す計画です。
① 事業構造改革
事業ポートフォリオの見直しを行い、高付加価値事業及び成長事業に対して経営資源を積極的に投下するとともに、不採算事業からの撤退を行い、高収益な企業体制を目指します。具体的には、テスト等ライセンス事業及びテスト運営・受託事業で、より付加価値を高めていくとともに、テストセンター事業及び AI 事業を成長事業として育成します。
② コスト構造改革
早期のコスト削減、人員の再配置を行い、筋肉質な組織体制を目指します。具体的には、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化、外注費の最適化、オフィス移転を含めた徹底的な販管費の削減に取り組むとともに、一部事業・サービス撤退による、成長事業への人員の再配置を行います。
③ 組織体制・企業風土改革
これまでの事業部制を廃止し、顧客軸とプロダクト軸を明確にし、顧客ニーズに応じた適切なソリューションを提供する組織へ移行することで複合的なサービス展開を行い、更なる販売拡大を目指します。また、これまで取り組んできたガバナンス体制強化に引き続き注力していきます。さらに、人事評価制度を再構築することで、変革に挑戦できる組織を目指してまいります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、今後の業務展開及び経営基盤の強化のため、以下の課題に取り組んでまいります。
① システム開発の強化
当社グループが今後も持続的な成長を果たしていくためには、当社グループが開発したアダプティブなオンライン英語テスト「CASEC」を中心とするアセスメントや大規模試験での利用が可能な記述式答案の採点システム等について、市場での優位性を確保するための製品機能の強化が今後も不可欠であると認識しております。
当社グループは、AI技術を製品開発に効果的に活用し、時代の要請により変化する市場と今後も加速するテクノロジーの進歩に素早く対応するため、戦略に即した製品機能の強化、オプション機能の開発等を行い、競合他社との差別化を図ってまいります。
② コンテンツ開発の強化
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化に合わせて継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。
また、世の中で必要とされるスキルや能力は変化しており、そのスキルや能力を測定又は習得していくコンテンツの開発力を高めることが重要です。良質なコンテンツを開発することができる経験豊富な人材は限られており、当社グループは、戦略的な採用活動を通して、質の高い人材にアクセスし、優良なテスト及び学習コンテンツの開発・提供を進め、更にはAIを用いたコンテンツ開発の研究にも注力することで、商品の競争力を高めてまいります。
③ 海外拠点におけるソフトウエア開発やそのメンテナンス、コンテンツ開発、採点業務の生産性と収益性の向上
当社グループは、現在、インドのプネにある連結子会社にて、ソフトウエア開発やメンテナンスを行っております。
更に、当社グループは、主要サービスである英語関連サービスの更なる品質向上のために、テスト理論や英語教育分野の修士課程修了者を中心に高度な訓練を受けた人材を確保して、英語コンテンツの開発や採点業務を行っております。今後もそうしたナレッジを活かして、収益性の向上を実現してまいります。
④ テストセンター事業の安定的運営と更なる拡大の両立
テスト市場全体において従来型のペーパー(紙)ベースのテストからコンピューターベースのテスト(CBT:Computer Based Testing)への移行が進む中、当社グループは、各種検定のCBTの実施に当たり、その実施会場であるテストセンターの安定的な運営を実現できる体制構築に注力しており、現在、約40拠点相当の直営のテストセンターを運営しております。直営のテストセンターの運営には、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の負担が生じます。これに対して、当該事業の安定的な事業拡大を図るため、2024年7月に当該事業を、新設分割により設立した株式会社EdTech RISEに事業分離し、株式の49%を株式会社Z会に譲渡しました。今後この事業を一層安定的に運営し、各種検定のCBT化を推進することで、中長期にわたる事業拡大を実現してまいります。
⑤ 増進会グループとの連携強化
当社グループは、2022年7月、株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結しております。また、2024年7月、同社のグループ会社である株式会社Z会に、株式会社EdTech RISEの株式の49%を譲渡しました。これらにより、主にテスト分析・コンサルティング、教育機関・法人向け営業の拡充、独自の能力測定技術を活かしたサービスの付加価値向上、AIを活用した採点業務の効率化等の領域、テストセンター事業領域の事業拡充において、両社の事業シナジーを活かしたビジネスを拡充し、双方の企業価値向上を目指してまいります。
⑥ AI-OCR技術である「DEEP READ」、AI自動採点技術である「DEEP GRADE」の事業応用、英語学習ツール「UGUIS.AI」の拡販とAI技術の活用領域の拡大
各種学力調査は、「知識・技能」を中心に問う手法から「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を総合的に評価する手法へと移行しつつあり、記述式の出題が増加する傾向にあります。一方で、これに伴う採点運用の負荷と費用の増大が課題となっています。当社グループは、ディープラーニングに基づくAI技術を用いた高精度な手書き文字認識技術「DEEP READ」を開発し、大規模な学力調査における記述式解答の採点効率化を実現してまいりました。また、この文字認識技術は教育IT分野のみならず他分野にも応用可能であり、これまで保険・金融機関やBPO事業者等、様々な企業・団体において、書類管理業務のDXの一環として活用いただいております。引き続きAPI環境の整備や、多様なユーザーニーズに応える提供形態を整えながら、精度面、機能面、サポート面の更なる強化を図ってまいります。
また、2023年9月期より、AI事業の新たな柱として、自然言語処理技術とChatGPTを活用したAI自動採点ソリューションである「DEEP GRADE」を、教育業界向けに提供しております。「DEEP GRADE」は、AIが問題文の意味や出題の意図と実際に書かれた解答の内容を解析し、採点結果を即座に返却するため、採点にかかる工数を大幅に削減することが可能となり、教育業界のDXを推進します。このAI自動採点ソリューション「DEEP GRADE」の技術を応用し、英検®ライティング対策サービスとして、「UGUIS.AI(ウグイス エーアイ)」を開発し、Beta版として無料提供を開始しておりましたが、2025年4月に有償化いたしました。この学習サービスでは、ライティング問題が自動生成され、問題を変えて繰り返し学習することが可能なので、改善を実感しながら英語のライティング能力を身につけることが可能となります。また、ライティング学習の大きな課題となっていた採点・添削の負荷軽減と品質向上に寄与しています。「UGUIS.AI」は、英語ライティングの様々なシーンに対応したサービスとして開発しており、学習できるコンテンツや機能などは、今後順次拡張してまいります。
これらの事業を推進するため、当社グループは、連結子会社の株式会社教育測定研究所の組織「イノベーションラボ」を通じて、優秀なAI人材の確保と研究開発活動に努めております。
⑦ 大型公共プロジェクトの安定的運用
当社グループは、文部科学省が実施する「全国学力・学習状況調査」など多数の公共プロジェクトにつきまして、その業務運営に関わってまいりました。こうした大型の公共プロジェクトを、当社グループの強みであるテスト理論、AI技術や採点システム等を含めた運営ノウハウを活かし、安定的かつ効率的に運用し、収益の安定化を図ってまいります。
⑧ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化
当社は、2021年10月15日及び2022年2月28日付にて、過年度に係る有価証券報告書等の訂正を行ったことに伴い、株式会社東京証券取引所より、当社株式は2022年4月1日付で「特設注意市場銘柄」の指定を受けましたが、内部管理体制の強化に取り組んできた結果、その取り組み内容が評価され、2023年5月20日付で当該指定は解除されております。
当社は、当該指定解除後も引き続き、内部管理体制の整備・強化を継続し、グループ一丸となって企業価値向上に努めております。
⑨ 人材の確保と育成
当社グループは、今後持続的な成長を図るために、研究開発、事業開発、営業・マーケティング、内部管理の全ての面において、優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。2023年10月から営業面と商品・サービス開発面を強化した組織体制に移行し、新しい人事制度を導入することで、人材の活性化を進めてまいりました。今後においても、これらの取り組みを更に発展させるとともに、社員への研修・教育制度の一層の充実を図り、優秀な人材の確保・育成に取り組んでまいります。

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