有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/05 15:00
【資料】
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【項目】
82項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(経営方針)
当社は、社是である「和を以って努力せよ」の精神のもと、CATV及び情報通信分野において、国内外の高度な技術情報及び高品質・低価格の商品を顧客に提供することを通じて、高度化するネットワーク社会の発展に貢献することを経営の基本理念としております。
信頼される企業であり続けるために、コンプライアンス経営を最優先課題として取り組むとともに、成長と変革によって企業価値の最大化を図り、全てのステークホルダー(株主、投資家、従業員とその家族、取引先及び地域社会等の利害関係者)に満足いただける企業を目指しております。
(経営環境)
当社をとりまく経営環境は、景気の緩やかな回復基調が続く中、2020年開催予定の東京オリンピックに向けた建設需要や東日本大震災の復興需要等を背景に今後も堅調に推移していくものと予想しております。
当社が属する業界の市場規模は、電気通信事業が2016年度168,491億円(前年度比2,115億円増)、有線放送業が2016年度5,299億円(前年度比181億円増)となっており、堅調に推移してきています(出典 総務省及び経済産業省2018年3月「2017年情報通信業基本調査(2016年度実績)」)。
(経営上の目標達成状況を判断するための経営指標)
当社では、「売上総利益率」(粗利率)を最も重視する経営指標としております。売上総利益率は、卸売業を展開する当社にとって、利益を確保するために最も重要な指標であるため、業績管理においては当該指標の進捗を特に注視しております。
(対処すべき課題)
(1) 売上増加のための課題
① 顧客基盤の拡充
当社では、顧客(販売先)の数を更に増加させることを課題と認識しております。
特に、当社における取引先の中で、最も取扱高が多く、収益性も高い「中堅クラス」(顧客の事業規模として、売上高が1億円以上100億円未満)の顧客を増加させることを重要課題として、日常の営業活動に取り組んでおります。
この課題に対処するために、各営業拠点において地域密着型の営業活動を地道に推進するほか、新たな地域での営業所の開設とターゲットを絞り込んだ営業戦略により、営業活動をより一層強化し、東日本ブロックのように当社のシェアが低い地域における顧客基盤の拡充に努めてまいります。
② 取扱商品数の拡充
当社では、取り扱う商品の数を更に増加させることを課題と認識しております。
情報通信分野においては、システムの高度化が加速度的に進展しています。これに伴い、市場ニーズ及び顧客ニーズが激しく変化してきています。このため、最新の商品情報を入手し、商品戦略へ反映することが重要となります。
この課題に対処するために、当社では、市場ニーズ及び顧客ニーズを把握するとともに、仕入先を通じて積極的な情報収集を行い、既存仕入先各社との関係強化に努めてまいります。
③ イベント需要の取り込みを含む大型案件の獲得
当社は1975年の創業以来、CATV及び情報通信分野の技術革新や政府の各種施策等に対応する形で業容を拡大してまいりました。例えば、1985年の通信事業の自由化、1987年の都市型CATV局の開局、2002年の防災無線のデジタル化、2000年代の全国情報インフラのブロードバンド化、テレビ放送のデジタル化等を契機に、拠点数や事業領域を拡大してきております。特に2000年代は「CATVの普及」及び「地デジ対応」といった当社が属する業界全体の需要拡大の機会を捉え、業容を大きく拡大してまいりました。
当社では、長年の事業活動を通じて獲得した豊富な仕入ネットワークと、強固な信頼関係に基づいた優良な顧客基盤を有していたことが急拡大の要因と分析しております。今後も引き続き、この強みを活かし、需要拡大の機会を確りと捉え、売上高の増加に繋げていくことを課題と認識しております。
本書提出日現在において想定している需要拡大の機会として、東京オリンピック、CATVのFTTH(※)化、4K・8K放送開始、防災無線関連、第5世代移動通信システム等が挙げられます。
これら業界全体の需要拡大の機会を当社の成長に取り込むために、当社では、国内外からの安定した商品供給ルートを確保・整備するとともに、メーカーに偏りのない豊富な商品ラインナップから、顧客にとって最適な商品を選び出し、ワンストップで総合的な提案ができる企画提案力の向上に努めてまいります。
※FTTHとは、Fiber to the Homeの略。通信事業者の設備から利用者建物等までを光ファイバーケーブルでつなぐアクセス方式。
(2) 収益性の維持・向上のための課題
① 日常的な取引の増加
当社が属する業界全体の需要拡大期に受注した案件は、同業他社との競争が激しくなることもあり、日常的な取引と比較して、収益性が低くなる場合があります。収益性を維持・向上させるために、当社では、大型案件を通じて構築した取引関係を、比較的収益性の高い日常的な取引の増加に繋げていくことを課題と認識しております。
この課題に対処するために、地域密着型の営業活動を地道に推進し、既存顧客との関係強化に努めてまいります。
② 自社企画製品の拡充
顧客の多様なニーズに応えつつ、当社の収益性を維持・向上させることを課題と認識しております。
この課題に対処するために、当社では、多くの顧客に共通して必要とされる汎用的な商品については、当社が企画した商品をメーカーに提案して製造委託し、これを仕入れて顧客に販売しております。顧客のニーズに立脚しつつ、自社企画製品の取扱高の増加に努めてまいります。
③ 自社物流網の強化
取扱商品の金額的及び量的な増加に対応し、収益性の維持・向上を実現させるため、商品を効率的に仕入れ、販売するための自社物流網をより一層強化することを課題と認識しております。本書提出日現在、本社がある愛媛県松山市に3箇所、東京営業所内に1箇所の合計4箇所の物流センターを有しておりますが、更なる成長に対応するためには、物流センターの拡充が必要となります。
この課題に対処するために、需要が増加している東日本ブロックにおける物流センターの拡充を検討しております。なお、具体的な計画内容は、「第二部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」の項をご参照下さい。
(3) 売上増加及び収益性の維持・向上を実現するための経営全般に係る課題
① 与信管理及び債権管理の徹底
当社では、与信管理及び債権管理を徹底することにより、貸倒等を発生させないようにすることを経営課題と認識しております。
この課題に対処するために、当社では、長年の営業活動を通じて得た顧客の情報及び信用調査会社の企業情報データを基に与信管理及び債権管理に取り組み、これまで当社の経営基盤を揺るがすような重大な引当金の計上は発生しておりません。今後も引き続き、与信管理及び債権管理の徹底に努めてまいります。
② 人材の育成及び確保
当社は、各営業拠点に情報通信分野関連の専門知識を有した人材を配置しております。専門知識とは、仕入商品に関する知識、LANやWANの通信に関する知識、通信環境を構築するための設備に関する知識であります。
今後の成長のために、これらの知識を豊富に有する人材を育成し、確保することを課題と認識しております。
この課題に対処するために、OJTによる社員教育をより一層充実させるとともに、新卒・中途社員の採用を積極的に推進し、当社が必要とする専門知識を有する優秀な人材の確保に努めてまいります。
③ 新規領域への取り組み
当社が関係するCATV及び情報通信分野は、日進月歩で技術革新が起きており、例えば、テレビとインターネットが連携し、放送と通信の垣根がなくなる等、従前では考えられなかったような業際的な発展を遂げてきております。
今後も継続的な成長を実現していくために、当社では、新しい商品を発掘し、取り扱うことを課題と認識しております。
この課題に対処するために、建築、土木、医療等の新たな領域における商品の仕入れに取り組むとともに、情報通信分野で先行するベンチャー企業との連携等に取り組んでまいります。