有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/22 15:00
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【項目】
97項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社は平成29年1月4日に単独株式移転により、ナースコール株式会社の完全親会社として設立されました。当連結会計年度が第1期となるため、前年同期との比較分析は行っておりません。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行ってまいりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
① 財政状態の分析
第1期連結会計年度(自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産は3,177,110千円となりました。その内訳は、流動資産806,833千円、有形固定資産1,561,429千円、無形固定資産678,751千円、投資その他の資産130,095千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は2,962,865千円となりました。その内訳は、流動負債559,778千円、固定負債2,403,087千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は214,244千円となりました。その要因は、親会社株主に帰属する当期純損失60,490千円を計上した一方で、株式交換によりカイロス東京株式会社を取得したこと及び第三者割当増資を実施したことによるものであります。
第2期第3四半期連結累計期間(自 平成30年1月1日 至 平成30年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、912,060千円(前連結会計年度末806,833千円)となり、前連結会計年度末に比べ105,226千円増加しました。その主な要因は、売掛金が増加したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、2,391,555千円となり(前連結会計年度末2,370,276千円)、前連結会計年度末に比べ21,278千円増加しました。その主な要因は、有形固定資産及びのれんを償却した一方で、有形固定資産の購入により有形固定資産が増加したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、533,145千円(前連結会計年度末559,778千円)となり、前連結会計年度末に比べ26,633千円減少しました。その主な要因は、短期借入金の長期借入金への借換や、短期借入金の返済により短期借入金が減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定負債の残高は、2,444,383千円(前連結会計年度末2,403,087千円)となっており、前連結会計年度末に比べて41,296千円増加しました。その主な要因は、短期借入金の長期借入金への借換等を実施したことにより、長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、326,086千円(前連結会計年度末214,244千円)となり、前連結会計年度末に比べ111,842千円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。
② 経営成績の分析
第1期連結会計年度(自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度における売上高の合計は1,895,428千円となりました。これは主に、3つの新規ホスピス施設をオープンさせたこと、及びカイロス東京株式会社を連結グループに加えたことにより、当社グループのホスピス施設における提供可能室数が137室増加し、合計223室となったこと、既存のホスピス施設の入居率が向上したことによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価の合計は1,543,815千円となりました。これは主に新規ホスピス施設に係る開設準備費用、新規ホスピス施設のオープンにより看護師・介護士が増加したことによる労務費の増加等によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費の合計は301,884千円となりました。また売上高に対する割合は15.9%となりました。これは主に事業拡大に伴う人件費等の増加によるものであります。
(経常損失)
当連結会計年度における営業外収益は3,535千円となりました。
当連結会計年度における営業外費用は94,085千円となりました。これは主に支払利息の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度における経常損失は40,821千円となりました。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は40,821千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度における法人税等の合計は19,668千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は60,490千円となりました。
第2期第3四半期連結累計期間(自 平成30年1月1日 至 平成30年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高の合計は2,119,015千円となりました。これは主に、4つの新規ホスピス施設をオープンさせたことにより、当社グループのホスピス施設における提供可能室数が100室増加し、合計323室となったこと、既存のホスピス施設の入居率が向上したことによるものであります。
(売上原価)
当第3四半期連結累計期間における売上原価の合計は1,707,395千円となりました。これは主に新規ホスピス施設に係る開設準備費用、新規ホスピス施設のオープンにより看護師・介護士が増加したことによる労務費の増加等によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費の合計は251,421千円となりました。また売上高に対する割合は11.9%となりました。これは主に当社グループが運営するホスピス住宅の増加に伴う売上高の増加によるものであります。
(経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は1,248千円となりました。
当第3四半期連結累計期間における営業外費用は83,508千円となりました。これは支払利息の増加によるものであります。
この結果、当第3四半期連結累計期間における経常利益は77,938千円となりました。
(税金等調整前四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における税金等調整前四半期純利益は142,938千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における法人税等の合計は31,096千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は111,842千円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、在宅ホスピス事業を展開するにあたり、組織体制の強化及び質の高いケアサービスを提供することで、医療機関等をはじめとした地域医療との連携を図っていく方針でありますが、必要とする看護師及び介護士の採用及び十分な人数の確保ができない場合又は十分な研修等を実施できない場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
また、従業員の人為的なミス又は不測の事態の発生等による訴訟が生じた場合、個人情報の流出等により当社の信用が著しく低下した場合に、経営成績に重要な影響を与えると考えております。
この対応策として、看護師及び介護士の積極的な採用を行い、研修等を通じて経営理念を浸透させるとともに、質の高いホスピスサービスを提供するよう従業員に対する指導、教育体制の充実を図っております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与及び手当のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入やリースによる調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含む)は2,566,860千円、有利子負債依存度(リース債務を含む)は80.7%と高い水準にありますが、事業運営上、必要な資金を安定的に確保していると認識しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は426,827千円となっており、事業運営上、必要な流動性を確保していると認識しております。
(5) 主要な経営指標等の状況
当社グループは、ホスピス施設における提供可能室数及び月次入居率(月間延べ入居室数÷(提供可能室数×月間日数))を経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。
平成29年12月期においては、当社グループのホスピス施設における提供可能室数は、223室(平成28年12月期は86室)となり、3つのホスピス施設を開設し、カイロス東京株式会社を連結グループに加えた結果、合計137室が増加しました。
平成29年12月期における既存のホスピス施設(平成28年12月期以前に開設したホスピス施設)の年平均入居率(年間延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 年間日数)は86.7%であり、平成28年12月期における同施設の年平均入居率85.7%を上回っております。
また、新規のホスピス施設(平成29年12月期以降に開設した新規のホスピス施設)の年平均入居率は65.9%となりました。当社グループのホスピス施設は、開設後に順次利用者を受け入れていく運営方法を採用しているため、開設の初年度は年平均入居率が低くなります。
なお、当社は平成29年1月4日に単独株式移転によりナースコール株式会社の完全親会社として設立されました。平成28年12月期はナースコール株式会社を親会社とする連結グループの数値を記載しております。
それぞれの経営指標の具体的な推移は次のとおりです。
提供可能室数の推移
平成28年12月期平成29年12月期平成30年12月期
(参考情報)
提供可能室数(室)86223323

(注)提供可能室数は各期末時点における数値を記載しております。
年平均入居率の推移
(単位:%)
施設名称開設時期室数
(室)
平成28年
12月期
平成29年
12月期
平成30年
12月期
(参考情報)
ナーシングホームJAPAN平成21年1月2686.490.488.6
ナーシングホームOASIS平成25年9月3689.982.982.0
ナーシングホームOASIS南平成29年1月34-55.577.9
ナーシングホームOASIS北平成29年5月16-70.290.0
ナーシングホームOASIS知立平成30年2月28--60.8
ナーシングホームOASIS志賀公園平成30年4月26--71.2
ファミリー・ホスピス鴨宮ハウス平成26年8月1271.991.996.9
ファミリー・ホスピス本郷台ハウス平成28年10月1246.885.095.8
ファミリー・ホスピスライブクロス(注)4平成28年10月50-92.694.2
ファミリー・ホスピス四之宮ハウス平成29年4月37-52.988.6
ファミリー・ホスピス成瀬ハウス平成30年4月20--49.9
ファミリー・ホスピス池上ハウス平成30年8月26--61.9

(注)1.室数は平成30年12月期末における数値を記載しております。
2.年平均入居率は下記の方法により算出しております。
年平均入居率 = 年間延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 年間日数)
3.新規のホスピス施設は、開設後に段階的に利用者を受け入れることにより運営を行っているため、開設初年度においては入居率が低くなる傾向があります。
4.ファミリー・ホスピスライブクロスは、平成28年10月よりカイロス東京株式会社が運営を承継しておりますが、カイロス東京株式会社は平成29年7月1日より連結の範囲に含んでおりますので、平成29年7月1日以降の数値を記載しております。