訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/07/09 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
79項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「人の期待を常に超える」という経営理念のもと、自社設計のオリジナルサーバーを基軸としたデータ配信と、そのデータを適切に蓄積・分析・処理するAIソリューションを併せてワンストップで提供するサーバープラットフォームビジネスを展開しております。
(2)経営戦略等
ネット利用状況の変化により、スマートフォンのトラヒック量は更に飛躍的に増加していくと予測しております。そのような状況下において、当社の強みである大量のデータを高速かつ安価に捌けることの優位性も比例して高まっていくと考えております。当社は汎用的に応用可能な技術を有しており、様々な領域に進出可能なため、上記背景による需要と優位性の高まりを活かしながら、ストック収益の積み上げにリソースを投下してまいります。
0202010_001.png出所)総務省「我が国の移動通信トラヒックの現状」より作成
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、売上高を重要な経営指標と位置付け、収益力の向上に邁進してまいります。また堅実な経営基盤を構築するため、営業利益を重要な経営指標と位置付け、経営の効率化を図ってまいります。
(4)当社の経営成績に影響を与える経営環境
当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和等の効果によって、雇用・所得環境に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動がわが国経済に影響を及ぼす可能性があり、先行きは不透明であります。
当社の事業領域である情報通信産業は、総務省発行の「平成30年版情報通信白書」によると、2016年時点で94.4兆円の市場規模となっており、全産業の9.6%を占めております。また2011年価格をベースとした実質国内生産額では、2000年から年平均成長率0.7%で成長しております。また中でもネット利用状況の変化により、移動体通信サービス契約者の総トラヒック量は、2017年12月時点の1,999Gbpsから2018年12月時点で2,535Gbpsと、前期比で約27%増加しました(総務省「我が国の移動通信トラヒックの現状」)。今後、スマートフォンのトラヒック量は更に飛躍的に増加していくものと見込んでおります。
当社が注力する電子書籍市場につきまして、2017年度の市場規模は2,241億円と推計され、2016年度の1,976億円から265億円(13.4%)増加しており、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は2,556億円になりました。2018年度以降の日本の電子出版市場は今後も拡大基調で、2022年度には2017年度の1.4倍の3,500億円程度になると予測されております(インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2018」)。
またICT総研の「2017年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」によると、2015年末(12月末)時点の有料動画配信サービス利用者は980万人で、2022年にはPPV(注)利用者と合わせて2,010万人にまで拡大すると予測されており、また現在、無料動画サービスしか利用していないユーザーが有料サービスに移行する可能性もあり、有料動画サービスの潜在市場は大きいものと想定されております。今後5Gの整備により、より動画視聴環境の向上が見込まれ、動画視聴サービスへの需要は高まってくると思われます。また、動画視聴サービス提供時のハードルとなりやすいDRMにつきましても、当社が一貫してご提供することにより、サービス開始時のコストの最小化を実現しております。
(注)PPV:Pay Per View。定額制のコンテンツ視聴システム。
(5)対処すべき課題
当社では下記の事項を対処すべき課題として取り組みを進めております。
① システム技術の強化
当社のサービスとして、電子認証、大量データ配信に対応したシステムを提供しております。今後予想される更なる1人当たりデータ配信量の増加、ユーザー数の増加、IoTデバイス等の新たなデバイスに対応した新しい技術の開発に取り組んでまいります。
② 新たなコンテンツホルダーとの契約の実現
当社の主力事業であるコンテンツビジネスにおいて、継続的な成長のためには、今まで取扱いができなかったコンテンツホルダーと契約して、商材としての知名度が高く人気のあるコンテンツを獲得することで、コンテンツを拡充していくことが不可欠であると考えております。したがって、これまでのマンガを中心とした画像配信に加え、今後はアニメーション、ドラマ、映画等動画サービスを展開する上で、新たなコンテンツホルダーとの契約を実現していく必要があります。
③ 将来に向けた新規事業・技術力向上について
当社が事業を展開するインターネット業界においては、ボーダレス化の加速や競合企業の台頭など、市場環境や顧客ニーズ、競合他社の状況が常に変化しており、今後も変化の激しい事業環境になることが想定されます。
このような事業環境においては、将来を見据えた新規事業の創出や技術のキャッチアップは重要な課題であると考えております。
今後、当社の中長期の競争力確保につながる技術力の向上及びノウハウの蓄積を積極的かつ継続的に行うとともに、新規事業開発にも取り組んでまいります。
④ 海外事業展開の推進
当社は主に国内で事業展開しておりますが、多くの優良なコンテンツを抱える日本の電子書籍業界においては、ボーダレス化が進みグローバル市場での事業展開が加速していくものと思われます。当社としても日本の電子書籍コンテンツを海外配信するため業務体制を強化し、世界に向けたビジネスを展開していきたいと考えております。
⑤ 優秀な人材の確保
当社は、情報セキュリティスペシャリスト試験(現情報処理安全確保支援士試験)に合格したエンジニアが多く在籍しているものの、クライアントの更なる拡大を図るためには、引き続き優秀な人材を確保し育成することが重要であると考えております。
人材獲得競争は今後も厳しい状況が続くと思われますが、当社としましては、優秀な人材を惹きつけられるように、社内教育制度の整備、福利厚生の充実を図っていくとともに、サービスの提供を通じて業界での存在感をさらに高め、会社の魅力を訴求していくことで採用強化につなげたいと考えております。
⑥ 知的財産権について
当社は、これまで第三者の知的財産権に関してこれを侵害することのないよう対応してまいりました。しかしながら、当社の事業拡大に伴い、知的財産権の取扱いが増加することから、第三者の知的財産権を侵害することのないよう知的財産権への理解をさらに深め、管理体制の強化に努めてまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社が今後更なる業容拡大を図るためには、各種業務の標準化と効率化の徹底を図ることにより、事業基盤を確立することが重要な課題であると認識しております。そのため、適切かつ効率的な業務運営を遂行するために、従業員に対し業務フローやコンプライアンス等を周知徹底させ、内部管理体制の強化をするとともに、業務の有効性、効率性及び適正性の確保に努めてまいります。