有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/12 15:00
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123項目

事業等のリスク

以下には、当社が事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。また当社がコントロールできない外部要因や必ずしもリスク要因に該当しない事項についても記載しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、リスク回避あるいは発生時に迅速に対応する所存ですが、当社の経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
(1)事業環境に関するリスク
①CX(顧客体験)及びデジタルマーケティングの市場について
当社は、インターネット業界においてクラウドサービスを提供しているところ、当社の売上高は主としてSaaS事業による収益であるため、当該事業に依存しております。当社の提供する「KARTE」の各サービスは、顧客の行動をリアルタイムに解析して一人ひとりを可視化し、個々の顧客にあわせてサイト内でのデジタルマーケティングを可能とするものであるため、当社のサービスが日本をはじめとするCX(顧客体験)及びデジタルマーケティングの市場において受け入れられることが当社の今後の成長にとって必要となります。現在は顧客である企業のお客様に対するダイレクトマーケティングニーズ(注1)の上昇を源泉として事業を拡大しておりますが、今後国内外の経済情勢や景気動向、CX(顧客体験)に関するサービスの認知度が向上しないこと、顧客の嗜好変化等の理由により、市場の成長及び需要が当社の見込みより下回った場合や、当社がターゲットとする市場の規模が当社の見込みより小さかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注1)外部の流通チャネルを介さずにターゲットの消費者との直接のコミュニケーションを図ることを指します。
②当社の属する市場における競争及び「KARTE」ブランドの確立と維持について
当社の提供するサービスである「KARTE」のように、顧客の行動をリアルタイムに解析して一人ひとりを可視化し、個々の顧客がよりよい体験を得られるような施策を提供することができるCXソフトウェア市場は、日本では比較的新しい市場であり、今後競争が激化することが予想されます。当社は、既存サービスのさらなる機能強化等により、顧客に対し新たな価値を提供することで、当社の付加価値を高めていく方針ですが、今後、従前よりマーケティングツールを提供している企業により類似したサービスが開発され、それらが安価で又は無料で提供される等競合環境が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、CXソフトウェア市場において信頼される「KARTE」ブランドを確立し、これを維持することが、既存取引先の維持や新規取引先の獲得に不可欠であると考えています。当社は「KARTE」ブランドの確立及び維持のために様々な施策を行っておりますが、今後の競争環境の激化その他の要因により「KARTE」ブランドの確立及び維持を想定通りに出来ない場合には、当社の成長が阻害され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
加えて、海外市場など競合環境等の異なる新たな市場への展開を行った場合にはその成否次第で当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③インターネットアクセスについて
当社の提供するサービスである「KARTE」は、事業者及び顧客がアクセスするインターネットの通信環境に影響を受けます。ネットワーク事業者によるサービスの内容や価格の変更等の動向によっては、事業者がインターネットを通じて「KARTE」にアクセスして利用することが制限され、また、かかる利用に関する費用が増加する場合があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
加えて、インターネットの利用者数、利用頻度、データ送信量は増加し続けているところ、当該増加によって当社及び事業者が依拠するインフラとしてのインターネットに障害等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
新型コロナウイルス感染症の拡大による当社の事業等への影響としては、一部の商談期間の長期化や、当社のマーケティング施策の一環であるオフラインのイベントの延期、中止等がありました。しかしながら、商談及びマーケティング施策のオンライン化を進めたことにより、現時点においてはその影響は限定的となっております。一方で、本書提出日現在においても新型コロナウイルス感染症の収束の時期について明確な見通しは立っておらず、今後、新型コロナウイルス感染症の収束時期やその他の状況の変化により、当社サービスへの需要の減少や当社サービスのマーケティング活動への支障など、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)事業に関するリスク
①当社サービスの競争力(取引先の支持及び技術革新)について
当社の提供するサービスである「KARTE」は、ウェブサイトやスマートフォンアプリを運営する事業者のサービスに訪れた顧客の行動をリアルタイムに解析して一人ひとり可視化し、「顧客分析」と「施策制作・配信」を同サービス上でまとめて実行することができる点に競争力があると考えております。そのため、当社が今後事業者との取引を維持・拡大するためには、事業者の要望に応え、また、急速な技術革新に対応することで、当社の提供するサービスが市場に受け入れられることが必要となります。当社は、事業者が効果的かつ容易に利用できるサービスを提供できるよう、新たなサービスの導入や既存サービスの強化等に日々取り組んでおりますが、事業者の要望に十分に応えるサービスを提供できない場合、急速な技術革新への対応が遅れた場合、当社のマーケティング活動が功を奏しなかった場合、取引先である事業者が利用している他社のアプリケーションやプラットフォーム等との互換性を確保できない場合等には、当社サービスの競争力が減退し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②取引先の獲得・維持及び販売拡大について
当社が今後成長を持続するためには、新規取引先の獲得や既存取引先の維持、販売の拡大が必要となりますが、当社のコントロールの及ばないものを含む内外の要因によってこれらが達成できない可能性があり、その場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。かかる要因には、潜在取引先の発掘、人材の確保、事業計画及び経営戦略の達成状況、販売価格の水準及び改定、カスタマーサポートの充実度、「KARTE」のマーケティング活動の状況、競争環境、取引先側のマーケティングに対する方針や取組み状況、当社とパートナー企業を含む第三者との関係、技術革新、情報セキュリティに関する環境など様々なものが含まれます。
また、当社は、これまで新規取引先の獲得や既存取引先の維持及び販売の拡大にあたって、既存取引先による当社に対する高い評価や推薦・紹介が重要な要因になっておりましたが、既存取引先との間の契約の解消等により、かかる評価が低下した場合には、新規取引先の獲得や既存取引先の維持、販売の拡大に悪影響を与え、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③当社の価格決定モデル及びコストについて
当社の提供する「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」のサービス契約期間は原則単年(12ヶ月)契約であり、料金体系としては、毎月一定のプロダクト利用料をいただく月額課金型(サブスクリプションモデル)を採用しております。「KARTE(for Web)」及び「KARTE for App」は、原則として、契約締結前12ヶ月間における事業者のサービス(ウェブサイト・スマートフォンアプリ)の平均MAU数に応じて月額固定の利用料金が決定されます。
年間の利用期間中にMAU数が急激に増加する場合や当社の想定よりもアクション数の多いアクティブユーザーを顧客に持つ事業者との契約の場合には、月額固定の利用料金が、MAU数の増加等に伴い上昇するサーバー利用に係るコストに見合わない事態が生じ、当社の売上総利益率が低下する可能性があります。当社は、契約更新前の利用状況を踏まえて、契約更新時に利用料金の増額交渉を行っておりますが、当該交渉が不調に終わった場合には、当社の売上総利益率が低下する可能性があります。
また、当社の現在の取引先の多くはEC事業者でありますが、他の業種業態の事業者が当社の取引先として拡大する等、事業環境の変化によって上記の価格決定モデルを改定する必要性が生じる可能性があります。当社がかかる改定を適時適切に行うことができない場合やかかる改定が取引先に受け入れられない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、新たなサービスの導入や既存サービスの強化等にあたっては開発に係る人件費の増加等が発生する可能性がありますが、当社が予期せぬ状況の発生により、新たなサービスの導入や既存サービスの強化等が計画どおりに進まない場合又は想定どおりに投資回収ができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④不正アクセスと情報流出について
当社は、提供サービスである「KARTE」を通じて、取引先である事業者に関する情報や事業者が運営するウェブサイトやスマートフォンアプリに訪れる顧客の行動情報等を取り扱っております。また、当社は、「KARTE」を運営するにあたり、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の提供するGoogle Cloud Platform及びアマゾンウェブサービスジャパン株式会社の提供するアマゾンウェブサービスの外部クラウドサービスを利用しており、これらのサービスの提供元における情報セキュリティ対策措置にも一部依拠しております。当社では、クラウドサービスの提供及び利用に適用できる情報セキュリティ管理策のための指針を示した国際標準規格である「ISO/IEC 27017:2015」に基づくISMSクラウドセキュリティ認証を取得しております。また、当認証を取得するために必要となる情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証取得もしており、情報セキュリティの確保に努めておりますが、万が一当社が保有する情報が流出した場合には、当社に対する損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤当社プラットフォームのパフォーマンス及び第三者のデータセンターについて
当社は、インターネット通信を介してサービスを提供しており、当社の持続的な成長は技術基盤を含む「KARTE」のパフォーマンスに依拠しているところ、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、アクセス数の急激な増大、ソフトウェアの不具合、コンピューターウィルス、停電、利用するクラウドサービス等の外部サービスの提供の停止・故障等により、システム障害が発生する可能性があります。当社では、システムの冗長化やセキュリティ対策に努めておりますが、当社の想定しないシステム障害が発生し、サービス提供に支障が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、当社が提供する主たるサービスである「KARTE」の運営にあたり、外部クラウドサーバーを利用しておりますが、安定した品質の確保や機能維持コストの観点から、当該サーバーについては、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の提供するGoogle Cloud Platform及びアマゾンウェブサービスジャパン株式会社の提供するアマゾンウェブサービスに限って運営を行っております。しかしながら、サービスの提供元においてシステム障害が発生する場合や当社とサービスの提供元との間の契約が終了する場合等には、「KARTE」のサービス提供に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
加えて、これらの当社の事業及び業績に対する影響は、当社が加入している保険等によっては、十分に補償されない可能性があります。
⑥当社の事業パートナーとの関係について
当社は、「KARTE」を提供し、CXプラットフォームを構築するため、事業連携等の戦略的なパートナーシップの構築に注力しております。例えば、当社は、「KARTE」の運営において利用する外部クラウドサーバーについて、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社及びアマゾンウェブサービスジャパン株式会社をデータパートナーと位置づけております。加えて、Googleとは資金調達と同時に戦略的パートナーシップを結んでおり、Google Cloudの機械学習やAI(人工知能)技術の統合において、協業をしていく予定です。また、当社は販売の促進・拡大のため、企業間で戦略的アライアンスを含めたパートナーシップを結んでおり、当該企業をコンサルティング・ソリューションパートナー(注2)と位置づけております。かかるパートナーシップが当社の想定どおりにCXプラットフォームの構築に寄与しない場合やパートナーとの関係が悪化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注2)当社と共同して販売支援活動等を行っていただくパートナー企業を指します。
⑦知的財産権について
当社は、当社が提供するサービスに関する知的財産権を獲得、保護し、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行うことが重要であると考えています。
当社は、特許権及び商標の登録等によって当社の知的財産の不正使用を防止するための対策を講じていますが、当社グループの知的財産権を保護するために提起される訴訟には多額の費用を要し、また、これらの対策は不正使用を防止するために十分でない可能性があります。また、競合他社が類似の技術やサービスを開発する可能性や、当社が知的財産権を行使しようとした場合にその有効性を否定する旨の主張がなされる可能性もあります。当社が不正使用を検知若しくは防止できない場合、又は権利を行使することができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、第三者の知的財産権を侵害しないように取り組んでおりますが、万が一、当社が第三者の知的財産権等を侵害したと主張される場合には、損害賠償請求や使用差止め等の訴えを起こされる可能性があります。かかる場合には、解決までに多くの時間や費用を要し、侵害されたと主張される知的財産権が組み込まれたサービスの提供を中止せざるを得ない等、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
加えて、当社の提供する「KARTE」の各サービスは、オープンソースソフトウェアを使用しておりますが、当社が同ソフトウェアを使用できなくなることで、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3)会社組織に関するリスク
①プライバシー、個人情報保護、情報セキュリティに係る規制その他の規制について
当社は、提供するサービスの特性上、取引先である事業者からその顧客に関する個人情報の取扱いを委託され、事業者による監督のもとでこれを取り扱っています。そのため、個人情報の保護に関する法律や関連する法令を遵守することを徹底し、個人情報の適切な管理と流出防止を経営の重要課題として位置付けております。具体的には、個人情報保護方針を策定し管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、従業員教育等の施策を実施するとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマークといった情報セキュリティに関する認証を取得しております。また、2020年6月に公布された個人情報保護法の改正を含め、法規制の変化への対応にも努めております。しかしながら、外部からの攻撃や関係者の故意・過失、盗難等により、当該個人情報の流出、破壊もしくは改ざん又はシステムの停止等が引き起こされる可能性があります。そうした事態が生じた場合には、社会的信用の低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生等により、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、監督者である事業者から個人情報のより厳格な安全管理を求められる可能性があり、かかる場合には、コストの増加等により当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、上記のとおり事業者からその顧客に関する個人情報の取扱いを受託する立場にあるため、提供するサービスの特性上、委託者である事業者が顧客の個人情報の取得等を行うことにつき、当該事業者が自身に適用のある個人情報の保護に関する法律や関連する法令等を遵守していることに依拠しております。当社は事業者との間のサービス利用規約において、事業者が当該法令等を遵守することを確認した上でサービスを提供しておりますが、事業者において当該法令等の違反が発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業領域においては、事業展開そのものについて著しく制約を受ける法的規制は現時点ではありません。しかしながら、インターネットの利用形態の多様化や国際的な規制動向に伴い、関連する法令等の新たな制定や、既存の法令等の改正や解釈の変化が生じた場合、もしくは法令等に準ずる業界内の自主規制が制定されその遵守を求められるといった状況が生じた場合に、その内容によっては当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社のサービスではデータの収集に主に1st Party Cookieの情報を用いておりますが、仮に将来において当該利用に関する法的規制が強化された場合やインターネットユーザーがデータの提供に消極的な傾向を示すようになった場合には、当社のサービスにおいてその利用が制限されることになり、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
②当社経営陣及び従業員について
当社の創業者であり、創業以来代表取締役を務めております代表取締役倉橋健太、及びCPO(Chief Product Officer)を務めております取締役柴山直樹は、当社の事業方針や戦略の決定をはじめ、サービスの開発、新規顧客開拓等の重要な役割を担っております。そのため、今後何らかの要因により、両氏による事業運営の継続が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社は事業をさらに成長させる上で、エンジニアや営業担当者をはじめとした優秀な人材を確保・育成することが必要不可欠であると認識しております。現在、人材の確保は従業員からの紹介に主に依拠しておりますが、今後、同様の方法による人材の確保が功を奏しない可能性があり、このように人材の確保が想定通り進まなかった場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社の提供するサービスの競争力の低下や採用コストの増大を招き、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③内部管理体制について
当社は、コーポレート・ガバナンス体制の充実を重要な経営課題と認識しており、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制の充実を図っていく方針です。しかしながら、当社の急速な事業展開及び会社規模の拡大に内部管理体制の整備が追いつかなかった場合には、業務運営に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)その他
①当社の限られた事業の歴史と急速な成長について
当社は社歴の浅い会社であり、2015年3月に「KARTE(for Web)」の提供を開始して以来、急速な成長過程にあるため、過去の業績を正しく評価し、これに基づき将来の業績を判断することに困難を伴う可能性があります。また、当社は設立以来、毎期、当期純損失を計上しているところ、今後も事業拡大のために販売・マーケティングや「KARTE」の開発等に多額の投資を継続する方針であります。これらの先行投資が想定通りの成果に繋がらなかった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための指標について、定期的に算定プロセスの評価を行っておりますが、これらの指標は当社の事業の状況を正確に表現していない可能性があります。
さらに、当社は、その急速な成長を支えるため、経営、財務及び技術等の各分野における組織を強化し、また、適切な人材の獲得及び育成を図ることで、事業規模に適した事業体制の構築を図っております。かかる事業体制の構築に遅れが生じた場合や想定どおりの効果が適時に発生しない場合には、当社の成長が阻害され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②配当政策について
当社は会社設立以来、配当を実施しておらず、今後の配当の具体的な実施の有無等についても未定でありますが、将来にわたって経営環境、財政状態や内部留保の状況を勘案し、株主に対する利益還元を検討していくこととしております。しかしながら、将来的に安定的な利益を計上できない場合には、配当による利益還元が困難となる可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員、従業員に対して新株予約権を付与しており、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は4,105,000株であり、発行済株式総数35,408,900株の11.6%に相当しております。
今後もストック・オプションとしての新株予約権を付与する可能性があります。今後、既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
④調達資金の使途について
株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業のさらなる拡大のため、当社サービスの機能強化及び安定的な稼働のためのインフラ費用、事業成長のための採用費用及び人員増による人件費に充当する予定です。しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
⑤自然災害等について
当社の事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、当社は事業を継続することができない等の支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、自然災害等に備えて災害時の事業継続計画を策定していますが、当社の事業を継続するために十分ではない可能性があり、結果として、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥税務上の繰越欠損金について
2020年9月30日現在において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。