有価証券報告書-第15期(令和1年8月1日-令和2年7月31日)

【提出】
2020/10/29 14:04
【資料】
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【項目】
106項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
① 経営成績等の状況
当事業年度(2019年8月1日~2020年7月31日)の具体的な進捗としましては、塩野義製薬株式会社との間で、レダセムチド(HMGB1より創製したペプチド医薬。)に関して、今後、新規の複数疾患に対する臨床開発を加速度的に展開していくための新たな契約を締結いたしました。当社がこれまでに複数のアカデミア・グループとの共同研究を通じて蓄積してきた非臨床研究のエビデンスを活用して、新たに3つの疾患(慢性肝疾患、変形性膝関節症、心筋症)を対象とした医師主導治験を開始する準備を進めております。塩野義製薬株式会社との新規契約により、新たに最大で総額31億円の対価を受け取る予定で、その一部17億円はすでに受領しております。
また、2020年6月に再生誘導医薬研究で世界をリードする当社の新たな研究開発拠点として、国立大学法人大阪大学と共同で「再生誘導医学協働研究所(床面積1,540㎡)」を開設しました。大阪大学は、再生誘導医学並びに再生医学の基礎研究、臨床研究が盛んに行われている日本における先進的な研究機関です。大阪大学が、外部企業等との多面的な産学協働活動を推進することを目的に運用する「協働研究所」の制度を活用することで、①大阪大学内の幅広い学部・学科との緊密かつ横断的・効率的な連携が可能となる、②施設内において大阪大学に限らず国内外の他大学・研究機関との共同研究も可能となる、などの利点があります。当社は、本協働研究所の開設により、再生誘導医薬の世界的なリーディングカンパニーとしての地歩をさらに確固たるものにすることが可能となりました
当事業年度においては、当社で最も開発の進むレダセムチドを用いた再生誘導医薬開発プロジェクトについて、主に以下3つの適応症を対象に研究開発を進めて参りました。
表皮水疱症治療薬(PJ1-01)の開発については、2020年1月に開催された第41回水疱症研究会及び、第1回国際表皮水疱症会議(The 2020 EB World Congress)にて、栄養障害型表皮水疱症患者を対象とした臨床試験(第Ⅱ相医師主導治験)のデータ解析結果(速報)が報告され、本治験に参加した栄養障害型表皮水疱症患者全例(9例)の解析で、レダセムチド投与により主要評価項目(全身皮膚の水疱、びらん、潰瘍の合計面積の治療前値からの変化率)で、統計学的に有意な改善が確認されました。レダセムチド投与終了後の最終観察時点(投与終了6ヵ月後)においても、9例中7例が治療前値を下回る改善を示し、そのうち4例は50%以上の著明な改善を示したことから、栄養障害型表皮水疱症に対するレダセムチド治療効果の長期持続性も確認されました。また副次評価(安全性評価)では懸念となる有害事象は観察されず、栄養障害型表皮水疱症患者におけるレダセムチド投与の有効性と安全性が確認されました。本臨床試験(第Ⅱ相医師主導治験)の終了に伴い、塩野義製薬株式会社とのライセンス契約に定められたマイルストーンペイメントの条件を充たし、マイルストーン収入を計上しております。
また表皮水疱症治療薬については、対象となる栄養障害型表皮水疱症は、全国の患者数が200名前後である希少難治性疾患であり現在有効な治療法がありません。また年間当たりの新規患者は15名程度と想定されており、大規模な第Ⅲ相試験を計画することが困難であるため、当初の予定とおり第Ⅱ相試験の結果を踏まえ、医薬品の承認申請を行うことを見込んでおります。
脳梗塞治療薬(PJ1-02)の開発については、本医薬品のライセンス先である塩野義製薬株式会社において、第Ⅱ相臨床試験が開始され、これまでに被験者の組み入れと安全性の確認が順調に進捗しております。また、2019年11月4日に、臨床試験実施施設において、第1例目の被験者への投与が行われており、今後も被験者への投与が進められるものと期待しております。
その他の疾患において、心筋症治療薬(PJ1-03)の開発については、大阪大学医学系研究科心臓血管外科学との共同研究において、非臨床における実験にて心筋梗塞や各種心筋症の疾患モデル動物を用いた薬効試験で顕著な治療効果と作用メカニズムの証明がなされております。変形性膝関節症治療薬(PJ1-04)の開発については、これまでにおこなわれた非臨床試験では、疾患モデル動物を用いた薬効試験で治療効果が確認されており、2020年内に、弘前大学において変形性膝関節症患者に対するレダセムチドの有効性及び安全性を評価する医師主導治験が開始されることが計画されています。慢性肝疾患治療薬(PJ1-05)の開発については、疾患モデル動物を用いた非臨床試験において、有効性が確認されており、2020年内に、慢性肝疾患患者に対するレダセムチドの有効性及び安全性を評価する医師主導治験が開始されることが計画されています。
現時点で1つの適応症について臨床試験が終了し、1つの適応症について臨床試験が進行中で、3つの適応症について臨床試験の準備が進められています。最も先行する表皮水疱症の臨床試験(PJ1-01)は、第Ⅱ相医師主導治験が終了しており、本治験結果をもって医薬品としての承認申請を予定しております。脳梗塞(PJ1-02/S-005151)については、現在、塩野義製薬株式会社による第Ⅱ相臨床試験が進められています。心筋梗塞/心筋症(PJ1-03)は医師主導治験を準備中であり、変形性膝関節症(PJ1-04)及び慢性肝疾患(PJ1-05)においては2020年中の医師主導治験開始を予定しております。
これらの結果、当事業年度の経営成績の状況は以下のとおりであります。
(事業収益)
当事業年度における事業収益は前事業年度に比べて2,000,000千円増加し、2,100,000千円(前年同期比2,000.0%増)となりました。事業収益は、塩野義製薬株式会社と締結しているレダセムチドに関するライセンス契約に基づくマイルストーン収入の他、新たに3疾患を対象としたレダセムチドの適応拡大に向けた新規契約に伴う一時金を受領したことによるものです。
(事業費用)
当事業年度における研究開発費は前事業年度に比べて716,445千円増加し1,356,646千円(前年同期比111.9%増)、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べて140,978千円増加し327,640千円(前年同期比75.5%増)となりました。
研究開発費の増加は、主に再生誘導医学協働研究所の開設に伴う研究機器の導入、研究開発活動の積極的な推進に伴う研究用試薬等の購入による研究用材料費の増加、人員の増加による人件費の増加、及び共同研究費の増加によるものであります。
この結果、当事業年度における事業費用は前事業年度に比べて857,424千円増加し1,684,286千円(前年同期比103.7%増)となりました。
(営業損益)
当事業年度において、事業収益2,100,000千円、事業費用1,684,286千円を計上した結果、営業利益は415,713千円(前事業年度は726,861千円の営業損失)となりました。
(営業外損益・経常損益)
当事業年度における営業外収益は前事業年度に比べて3,295千円増加し13,080千円(前年同期比33.7%増)、営業外費用は前事業年度に比べて62,246千円増加し67,764千円(前年同期比1,128.1%増)となりました。営業外収益の主な内訳は補助金収入13,049千円であり、中小企業庁・戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されたことによる減少であります。また、営業外費用の主な内訳は株式交付費55,221千円及び上場関連費用9,363千円であり、東京証券取引所マザーズへの上場に伴う、第三者割当増資等の費用及びその他の上場関連費用であります。
これらの結果、経常利益は361,030千円(前年同期は、722,594千円の経常損失)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における法人税等は13,268千円となりました。この結果、当期純利益は347,761千円(前事業年度は721,209千円の当期純損失)となりました。
② 財政状態
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は10,966,711千円となり、前事業年度末に比べ8,297,631千円増加いたしました。これは主に東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う公募増資等による調達の他、事業収益を計上したことにより、現金及び預金が8,178,820千円増加したことによるものです。また、固定資産合計は314,704千円となり、前事業年度末に比べ295,923千円増加いたしました。これは主に再生誘導医学協働研究所の開設により、有形固定資産が219,279千円増加したほか、長期前払費用の増加により投資その他の資産が76,932千円増加したことによるものです。この結果、資産合計は11,281,415千円となり、前事業年度末に比べ8,593,554千円増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は354,529千円となり、前事業年度末に比べ278,895千円増加いたしました。これは主に未払金が218,109千円増加したことによるものです。また、固定負債合計は76,830千円となり、前事業年度末に比べ60,508千円増加いたしました。これは主に資産除去債務が53,508千円増加、繰延税金負債が9,980千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は431,360千円となり、前事業年度末に比べて339,403千円増加となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は10,850,054千円となり、前事業年度末に比べ8,254,150千円増加いたしました。これは主に2019年8月に実施しました新規上場に伴う公募増資において実施した資金調達により資本金及び資本剰余金がそれぞれ3,893,026千円増加し、2019年12月に欠損填補のための減資により資本金の額4,675,501千円が減少、資本準備金の額3,656,365千円が増加、その他資本剰余金の額が1,019,135千円増加したものによるものです。また増加したその他資本剰余金1,019,135千円を繰越利益剰余金に振り替えることにより、繰越損失を解消しております。この結果、資本金49,288千円、資本剰余金10,371,245千円、利益剰余金347,761千円となりました。
なお、当社は再生誘導医薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。また、当事業年度の業績への新型コロナウイルス感染症による特段の影響はありません。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は10,675,242千円と前事業年度末と比べ8,178,820千円の増加となりました。
営業活動の結果得られた資金は575,413千円(前事業年度は777,789千円の支出)となりました。これは主にマイルストーン収入や新たな契約に基づく事業収益を計上したことによる税引前当期純利益の計上361,030千円、株式報酬費用の計上81,760千円、未払金の増加197,746千円等の増加要因があった一方、前払費用の増加233,412千円等の減少要因があったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は153,711千円(前事業年度は6,553千円の支出)となりました。これは主に再生誘導医学協働研究所の設置に伴う、有形固定資産の取得によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は7,757,140千円(前事業年度は1,437,374千円の収入)となりました。これは主に東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う、株式の発行による収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a) 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b) 受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c) 販売実績
当社は再生誘導医薬事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
金額(千円)前年同期比
(%)
再生誘導医薬事業2,100,0002,000.0
合計2,100,0002,000.0

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
当事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
塩野義製薬㈱100,000100.02,100,000100.0
合計100,000100.02,100,000100.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、塩野義製薬㈱より、レダセムチドの適応拡大に向けた新規契約に伴う一時金を受領したことによるものです。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。当社の財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の「重要な会計方針」に記載のとおりであります。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。当事業年度におきましては、減損損失の計上はありませんが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要の主なものは、継続的な候補物質の探索や候補物質の製品化に向けた開発に関する研究開発費と、販売費及び一般管理費などの事業費用であります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。
(4) 経営成績等の状況に関する認識
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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