有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/02 15:00
【資料】
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【項目】
88項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、私たちの技術や時代の先端をいく技術を広くお客様に届け、世の中を変えていく「テクノロジーの解放(Liberation of Technology)」をコンセプトに掲げております。ITは急速なスピードで変化しています。ITはこれまでも、そしてこれからも世界を変え続けていきます。しかしながら、テクノロジーは時として人々の手に入りにくい形で出現します。ITの力を享受するためには、誰かが理想と現実のギャップを埋める必要があります。
当社グループは、テクノロジーにおけるこのギャップの橋渡し役として、お客様に新しい価値を提供し続け、世界の発展に貢献していきます。
(2) 経営戦略等
当社グループは「テクノロジーの解放(Liberation of Technology)」を実現するための最適なビジネスモデルの1つとして、クラウドサービスを提供しております。クラウドサービスは、お客様ごとにカスタマイズし提供するソフトウエアサービスとは異なり、より多くのお客様に当社グループのサービスを届けることを可能にしております。
ITはめまぐるしい勢いで進化しており、日々、新技術が世の中に生まれております。しかし、実際の世の中で活用される新技術は数少ないという現実があります。当社グループはこのような経営環境の中、日々生まれてくる新技術に挑戦し、失敗と成功を繰り返し、最適なクラウドサービスをお客様に提供いたします。そのためにも、当社グループは新技術に対する挑戦を継続し、絶え間ない努力をする体制を整え、日々、新技術を活用した新サービスの開発を行っております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは重要な経営指標として、ARRを重視しており、ARRを最大化すべく、日々の事業活動を行っております。以下の施策により、当社グループは今後の更なる成長に向けて積極的に将来ARRの最大化を目指してまいります。
①契約社数の最大化
営業人員の更なる増員、広告宣伝による知名度の拡大、販売代理店との関係強化等の施策を継続し、契約社数の最大化を図ります。そして現在当社グループのブランチオフィスや子会社がある東海、関西、九州そして海外での販売を拡大し、先行者利益の獲得を目指します。
②ユーザ数の最大化
当社グループの提供するサービスと連携可能なSaaSを増加させることでプラットフォームとしての価値を高めるほか、カスタマー・サクセス活動の活発化を進めることで既存顧客の解約率を抑えつつ、契約企業内での利用アカウント数の増加を図ります。
③ユーザあたりの単価(ARPU)の向上
カスタマー・サクセス活動により顧客の要望に耳を傾け、新機能・新サービス等、ユーザに提供できる新しい付加価値の開発を継続することで、今後もユーザあたりの単価の向上を目指します。

また同時に、当社グループは、提供サービスの基盤システムの効率化と、そこから生まれる利益の研究開発等への再投資が、提供サービスの価値向上の源泉であると考えております。そのため、研究開発部門を中心に、基盤システムの効率化や費用削減に積極的に取り組んでおります。
なお当社グループはお客様にとっての価値を継続的に向上すべく新機能・新サービスの研究開発に注力しており、同時に当社グループのサービスの認知度向上のための広告宣伝や営業活動にも先行投資しております。そのため、財政状態についても、現金及び預金残高、前受収益残高及びそれらの推移を重視しております。「HENNGE One」は年単位で契約いただくサブスクリプション型のサービスです。年間費用はサービス開始に当たって一括でお支払いいただいております。この前受収益モデルにより、営業や開発への先行投資ができる健全な財務状況となっております。
(4) 経営環境
当社グループが属するIT業界は技術進歩がめまぐるしく、新規企業の参入や新サービスの提供が頻繁に起こっております。このように業界における経営環境の変化が速いことが、探求心を持ち続ける当社グループにとって最大のビジネスチャンスであると捉え、新技術への挑戦を続け、他社に先駆け、新サービスを提供できる体制を構築しております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 技術革新への対応
当社グループが属するIT業界はめまぐるしい勢いで進化しており、日々、新技術が世の中に生まれております。このような経営環境の中では、新技術への挑戦を止めてしまうと、サービスの陳腐化などが進み、当社グループが衰退してしまうことを認識しております。そこで、当社グループは、当社代表取締役を中心とした社長室メンバー、各事業部のメンバーが既存サービスの改善改良、新規サービスの研究開発を積極的に進める方針を明確に打ち出し、当社グループ自らが新技術を積極的に取り入れ多くの失敗を糧にすることで、このような経営環境における事業推進に対応できる体制を整えております。
② 海外への展開
当社グループの主要サービスであるHENNGE Oneはクラウドサービスであり、全世界で販売可能性があります。そこで、当社グループは、IT環境が今後著しく成長することが見込まれるアジア市場をターゲットとして、2016年10月に、海外販売子会社として台灣惠頂益股份有限公司を設立し、アジア市場における本格的なHENNGE Oneの販売を開始いたしました。同時に、台灣惠頂益股份有限公司の役割として、アジア市場におけるクラウドサービスの動向を把握し、新サービスの開発、販売可能性を探っております。今後も継続的に、アジア市場をターゲットとした事業活動を促進するとともに、アジア市場以外にも進出可能性が見込まれる海外市場を調査してまいります。
③ 人材の確保
当社グループは、事業規模の拡大に伴い、適材適所の人材確保に努めております。また、優秀な人材の確保、海外事業展開を進めるために、社内公用語を英語とし、幅広い人材を積極的に採用しております。
当社グループはグローバルインターンシッププログラムを2012年から導入しており、当該プログラム開始以来累計で世界約140の国と地域から9,000人以上の応募があり、オンライン試験・オンライン面談を経て、優秀な学生が当社にインターンとして訪れています。海外人材採用活動の結果、10以上の国や地域の従業員が在籍しており、その比率はアルバイトを含めた全従業員の約21%となっております(2018年9月末日現在)。最新の技術情報は英語で提供されることが多いため、英語が使えるメンバーが増えることにより最新の技術情報のアップデートを迅速に行うことも可能となります。当社グループは研究開発を迅速かつ活発に実施できる体制を維持すべく、今後も積極的な人材採用を行い、優秀な人材の確保に努めてまいります。
従業員数(アルバイト含む)の推移
2014/9期2015/9期2016/9期2017/9期2018/9期
従業員数(アルバイト含む)87人93人118人137人148人
外国人比率1.15%9.68%15.25%16.79%20.95%

従業員数(アルバイト含む)は、正社員、契約社員及び臨時雇用者数(アルバイト)の期末人員数の合計であります。
④ 開発体制の強化
当社グループは、優秀な人材の確保に加え、積極的な開発姿勢を明確に示すことで、開発体制の強化を図っております。当社グループの開発拠点は、人材・知識の集約を目的とし、本社に集約しております。今後もより多くの新技術への挑戦を進めるため、新技術の情報収集を目的とし、グローバルな人材の確保を図ってまいります。
⑤ 販売体制の強化
当社グループの販売体制は、営業部門による直販及び代理店販売を行っております。ただし、当社グループ自身及び提供サービスの社会的認知度がそれほど高くなく、販売体制の強化が必要であると認識しております。そのため、優秀な人材の確保と同時に、当社グループサービスの社会的認知度向上のために、広告宣伝活動をより積極的かつ効率的に実施してまいります。
⑥ 顧客満足度の向上
当社グループは、ARR最大化のためには顧客満足度の向上が必要であると考えております。そこで、社内にカスタマー・サクセス・ディビジョンを設置し、積極的に既存顧客を訪問することで、サービス利用者から直接、当社グループサービスに対する要望・意見を伺い、既存サービスの改善改良に力を注いでおります。
⑦ システム基盤の強化
当社グループの主要サービスであるHENNGE Oneはクラウドサービスであるため、稼働を安定させ、顧客にサービス提供することが重要であると認識しております。そのため、安定稼働のために必要な人材の確保、サービス基盤の拡充、継続的なセキュリティの強化を進めてまいります。
⑧ 認知度の向上
当社グループ自身及び提供サービスの社会的認知度はそれほど高くないと認識しております。そのため、当社サービスを世の中に広く提供するためには、当社グループ自身及び提供サービス自体の認知度向上が不可欠であると考えております。そこで、積極的な展示会への出展、広告の出稿などを進め、認知度の向上、事業規模の拡大を図ってまいります。
⑨ 内部管理体制の強化
顧客満足度の高いサービス提供のためには、内部管理体制の強化が必要であると認識しております。また、事業規模拡大に対応した十分な内部管理体制の整備が必要であることも認識しております。そこで、当社グループは、内部管理部門についても積極的な人材採用を進め、社内業務のIT化・アウトソーシングなどを進め、より効率的かつ効果的な内部管理体制を整備してまいります。