有価証券届出書(新規公開時)

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2019/09/02 15:00
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88項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社グループ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があるとともに、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
1.事業環境に関するリスク
(1) 経営環境の変化について
当社グループは、IT業界においてクラウドサービス及びオンプレミスプロダクトを提供しております。
最近の経営環境は、大企業から中小企業までIT化が進み、多くの企業でIT投資が活発であります。このような経営環境下において当社グループは事業活動を行っておりますが、将来において経済情勢や景気動向等が変化し、IT投資が減退傾向になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合他社の参入について
当社グループは、複数のクラウドサービスへのセキュアなアクセスとシングルサインオンを実現するIDaaSを中心にサービス提供をしております。IDaaSを提供している企業は現在、多くはありません。このような市場において当社グループは事業活動を行っておりますが、将来において大手資本やネームバリューのある競合他社が参入してきた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 技術革新への対応について
当社グループは、技術革新の活発なIT業界において事業活動を行っております。そのため、当社グループ内に最先端の技術を研究開発する部門を設け、日々、既存製品・サービスの改善改良及び新規サービスの開発に絶え間ない努力を重ねておりますが、IT業界の常識を覆すような技術革新が行われた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定の事業者サービスへの依存について
当社の主力サービスであるHENNGE Oneは、安全性、安定性、拡張性及び価格等を総合的に勘案し、Amazon Web Services, Inc.が提供しているクラウドコンピューティングサービス「AWS」(Amazon Web Services)を基盤として運営されています。
「AWS」のデータセンターの処理能力が、当社グループの求める処理能力を満たさない場合、「AWS」に障害が生じた場合には、HENNGE Oneへのアクセスが中断または遅延するなど、ユーザのHENNGE One利用が滞り、ユーザからの当該サービスへの信頼が損なわれ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、Amazon Web Services, Inc.による経営戦略の変更、または、価格改定等が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業内容に関するリスク
(1) 特定の当社グループサービスへの依存について
当社グループの売上のうち、2018年9月期において、主力サービスであるHENNGE Oneの売上高は2,288,397千円であり、売上高全体の80.7%を占めております。当社グループは、IDaaSを中心にサービスを提供する企業ではありますが、市場環境等の変化により、HENNGE Oneの売上高が著しく減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) サービス提供環境の制限について
当社グループの主力サービスであるHENNGE Oneは、顧客企業が利用するクラウド型グループウェアと連動して、サービス提供を行っております。もし、クラウド型グループウェアの提供ベンダーが自社でHENNGE Oneに酷似したサービスのみを提供する環境に変更した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) システムトラブルの発生について
当社グループが提供している製品・サービスは顧客にセキュアな環境を提供することを目的としてプログラムされております。このプログラムされた製品・サービスが意図したこととは異なる動作をするなどといったシステムトラブルが発生した場合、当社グループが提供している製品・サービスへの信用度が著しく低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 解約について
当社グループの主たるサービスであるHENNGE Oneは現状、年間契約となっており、代金については前受にて一括で受領しております。そのため、何らかの要因により多数の顧客企業より解約の申し出がなされた場合や事故等により多数の顧客に対してサービス提供が不可能となった場合、将来計上される売上が無くなり、一括前受している代金の一部返金が生じる可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業の研究開発等への取り組みを進めていく方針であります。新規事業が安定して収益を生み出すまでには、一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.事業体制に関するリスク
(1) 人材の採用・育成について
当社グループの継続的な成長のためには、従業員を中心とする人材の確保が重要であると認識しております。そのため、当社グループは、グローバルな視点をもった優秀な人材を求め、社内公用語を英語とし、海外からのインターンシップの受入等を行い、積極的な人材の採用・育成に努めてまいりました。しかし、IT業界、特に当社グループが属するクラウドサービスの分野における人材は枯渇しており、今後の事業拡大にあわせて人材の採用・育成が計画通りにいかない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定人物への依存について
当社の取締役である小椋一宏、宮本和明及び永留義己の3名は、当社が創業して間もない時から継続して取締役として事業推進の中心的人物として活動しており、最先端の技術・サービスを研究し、当社グループの製品・サービス開発のほぼすべてに携わってまいりました。当社グループの事業規模が拡大するとともに、権限移譲を進め、研究開発部門を設けるなどし、当該取締役3名に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現在においても当該取締役3名の影響力は大きなものとなっております。そのため、当該取締役3名が当社グループの事業へ関与できない状況が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 内部管理体制について
当社グループの継続的な成長には、倫理観を共有し、適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制を整えることが重要であると認識しております。しかしながら、当社グループの事業成長に比べて内部管理体制の構築が間に合わない場合、適切な経営管理ができず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 海外子会社について
当社グループは、台湾に子会社を有しており、アジア諸国の顧客に対してIDaaSを中心にサービスを提供しております。海外事業は、当社グループのさらなる成長に不可欠な投資であると考え、今後もアジア諸国をはじめ、アメリカ合衆国、欧州各国に事業展開する可能性があります。当社グループは、事業展開を検討する諸外国については、市場、商慣習、規制等の十分な調査を行い、リスク対応しておりますが、当社グループが対応できない規制等が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 本社機能について
当社グループの事業活動の中心となる本社機能は東京都渋谷区に一極集中しております。当社グループの主力サービスであるHENNGE Oneはクラウドサービスであり、インターネット環境を活用した労働環境の導入を進め、自然災害への対応を図っておりますが、東京都渋谷区が自然災害や、テロ・紛争に巻き込まれた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.法的規制及び知的財産権等に関するリスク
(1) 法的規制の導入について
当社グループが現在、提供している製品・サービスについて、特段の法的規制はありませんが、今後、当社グループの製品・サービスを対象とする法的規制が整備されることとなった場合、当社グループの対応次第では、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 知的財産権の侵害について
当社グループは、研究開発部門を設け日々、既存製品・サービスの改善改良及び新規サービスの開発に絶え間ない努力を重ねております。このような中で、当社グループが開発した知的財産については、適時適切に知的財産権の登録等を行い、当社グループの財産の保全を図っております。また、当社グループの知的財産権への侵害を防ぐため、競合企業やベンダー企業の提供サービスについては、モニタリングを実施しております。
対して、当社グループの製品・サービスが他社の保有する知的財産権を侵害しないよう、開発段階において採用したビジネスモデルや技術等については、必要な調査を実施しております。
このような事業活動の中においても、全てを網羅的に確認することができず、当社グループが保有する知的財産権を侵害された場合、当社グループが他社の保有する知的財産権を侵害した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 情報管理体制について
当社グループが提供する製品・サービスの新規導入の初期設定時には、顧客企業から機密情報に該当する情報を入手することがあります。そのため、当社グループでは、ISMS(ISO27001_情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、各種情報の管理体制を整備しておりますが、かかる措置にもかかわらず、何かしらの理由により顧客企業から入手した機密情報を紛失もしくは漏えいした場合、損害賠償及び訴訟費用の支出が発生する等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 訴訟等について
当社グループは、現在において訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟提起を受ける可能性があります。その訴訟の内容及び結果によっては当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
5.その他のリスク
(1) 自然災害について
当社グループの事業活動に必要なサービス基盤については、自然災害等が発生した場合に備え、パブリッククラウドを利用しております。また、データ二重化対策、稼働状況のモニタリングなどを実施することにより、自然災害などへの対応を図っておりますが、不可避な状況の発生により、サービス基盤が稼働できない状況になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 投融資について
当社グループは、事業推進のため、事業シナジーが見込まれると判断したIT関連企業に対して投資を実行しております。また、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投資判断においては、投資先候補企業の事業内容を吟味し、当社グループとの事業シナジーが得られること、投資先候補企業の事業計画、当社グループの財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投資先候補企業の評価額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断をしております。しかしながら、投資先企業の事業が計画通りに進捗しない場合や投融資額を回収できなかった場合、減損の対象となる事象が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 配当政策について
当社グループは設立以降、配当実績がありません。成長投資を優先し、必要な内部留保を確保するための施策であります。ただし、将来においては、成長投資のための内部留保の確保と株主への利益還元のバランスを考慮し、最大限の株主利益を実現するための配当政策を実施することを基本方針としております。
(4) 調達資金の使途について
当社グループが予定している公募増資による調達資金は、既存事業の拡大に係る人件費及び広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社グループが属するIT業界は、事業環境の変化が早く、人材の確保も日々厳しくなっているため、当初予定した通りの使途で調達資金を利用できない可能性や、計画通りの資金使途によっても計画通りの効果が得られない可能性があり、このような場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社取締役、監査役及び従業員に対して、インセンティブの1つとして、新株予約権を付与しております。本書提出日現在の新株予約権による潜在株式数は868,000株であり、発行済株式総数15,388,000株の5.6%に相当するため、今後、新株予約権が行使された場合、顕在株式が希薄化する可能性があります。
(6) 税務上の繰越欠損金について
提出会社の2018年9月期の法人税等の確定申告において、繰越欠損金は解消いたしました。よって提出会社においては、今後、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替の変動について
クラウドサーバ利用料は米ドル建てで仕入れております。当社グループでは、急激な為替変動があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。