有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/10 15:00
【資料】
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【項目】
145項目

事業等のリスク


本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日において当社が合理的であると判断したものであります。
Ⅰ.全社共通事項について
1.有資格者の採用について
当社の医薬事業(調剤薬局)、介護事業、及び保育事業においては、資格要件を充足した従業員による役務提供を義務付けられており、かつ、法令等による人員基準の定めがあることから、事業運営上、薬剤師・介護福祉士・保育士といった有資格者の採用が継続的に必要となります。当社は、有資格者の積極的な採用活動を行っていますが、これら有資格者の確保が困難な状況になった場合、新規事業所開設遅延や既存事業所の運営計画の修正等が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.個人情報管理について
当社は、利用者情報(病歴及び薬歴など含む)などの個人情報を個人情報保護法等に基づき取得・保管し、取り扱っております。個人情報の適正な取得及び利用管理を行うため、当社では個人情報保護規程を定め、全社員への教育研修等を通して、個人情報の漏洩防止に努めております。また、プライバシーマークの取得を行い、個人情報保護についての管理水準の維持・向上を図っております。
しかしながら、当社において、万一個人情報の漏洩があった場合、利用者に対する損害賠償の発生や当社に対する行政処分、それらに伴う社会的信用の低下により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.食品の衛生管理について
当社は、介護事業、保育事業において利用者・園児に食事等を提供するとともに、食品事業では、食材を学校・施設等に提供しております。これらの事業においては、食品衛生法に基づき、厳正な食材管理及び衛生管理を実施し、食中毒や異物混入等の事故を起こさないよう厳格な管理をしております。
しかしながら、万一事故が発生し、当社の利用者である高齢者や園児を含む年少者等の症状が重篤化するなどした場合、利用者に対する損害賠償の発生や社会的信用の低下により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.事業所開設について
当社の医薬事業、介護事業、保育事業においては、事業所の立地が業績を左右する重要な要素となるため、当社においては、事業所の開設にあたり緻密なマーケティングを行い、採算性の評価を十分に行った上で事業所開設の意思決定をしております。
しかしながら、当社の事業所開設基準を満たす立地が確保できない場合、新規事業所の開設が進まないことにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、介護事業所及び保育園の開設については、自治体からの公募を受け新規事業所の開設を行っているため、待機児童数の減少等、需要の減少により、自治体からの公募が減少し、当社の事業所開設計画に大幅な乖離が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
5.長期賃貸借契約の締結について
介護事業におけるサービス付き高齢者向け住宅・グループホーム等の開設、及び保育事業における保育園の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資リスクを抑制するために、長期にわたる賃貸借契約を締結しております。
今後、事業環境の変化等により、当社の施設利用者が減少し、運営事業所の採算が計画を下回る等の事象の発生により、事業所の閉鎖を余儀なくされる場合、当該契約の中途解約による違約金などの支払いが発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.減損会計の適用について
当社の保有する固定資産は、その大半が事業所の運営に供されておりますが、事業環境の変化や経済的要因により、収益性が著しく低下し、事業所ごとの投資回収が不可能となった場合、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
7.消費税等の影響について
医薬事業・介護事業における保険売上は消費税法により非課税となる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。このため、当社は消費税等の最終負担者となっておりますが、今後、消費税率が改定され、調剤報酬がその消費税率の上昇分に連動する形で改定されない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
8.業績の季節変動について
当社においては、医薬事業の調剤売上が全体の50%超を占めております。調剤売上はその性質上、インフルエンザや花粉症等疾患の流行する時期に偏重する傾向にあり、これらの疾患の流行状況によって処方箋が増減するため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社における保育所の新規開設は、4月に開園するものが大部分となっています。新規開設については、第3四半期~第4四半期(10月~3月)に開設準備費用等が先行的に発生する一方で、第4四半期(3月)に保育園開設に係る施設等補助金収入が多額に計上される傾向にあることや、施設等補助金の支給決定は第4四半期(3月)に行われるものの、入金は翌期に行われるため、期末に施設等補助金に係る未収入金が計上され、併せて新規開設の設備投資費用を賄うための短期借入金(当座借越等)が第4四半期に発生する事業特性があります。
9.資金調達について
当社は、新規事業所の開設資金・内装改装費等の設備投資資金の大部分を金融機関からの借入金によって調達しております。したがって、急激な金利変動など金融情勢の変化が生じ、金利負担が増加した場合や、計画通りの資金調達ができない場合には、新規事業所の開設ができないことにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
10.補助金の使途制限について
当社の主に保育事業において、保育園設備等の特定の支出に対する補助金や、従業員の処遇改善に係る補助金など、使途制限がある補助金を受給しております。これらの補助金については、年度ごとに実績報告書を自治体に提出し、補助金を当該使途に充当したことを証明しておりますが、当該使途に基づく支出が行われない場合、または、補助金を原資として配当を行っていると監督官庁から認定された場合には、補助金の受給に影響を及ぼす可能性があります。
11.代表取締役社長への依存について
当社の代表取締役である青木勇は、当社の創業者であります。同氏は当社の全事業に精通しており、経営戦略等の策定において重要な役割を果たしております。当社では、役員等への権限委譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制を整備しておりますが、何らかの事情により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
12.風評等の影響、地域との関係について
当社のサービスは、利用者やその家族のみならず、地域の方々からの信頼のもとに成り立っているものと認識しており、日頃から従業員に対して経営理念の浸透や高品質なサービス提供をするよう指導や教育を行なっております。しかしながら、当社が事業を展開する業界において、介護施設や保育園における事故等、安全性をおびやかすような事象が発生し、当社に不利益な風評が流れた場合には、当社サービスに対して、報道等により消費者の不安心理が高まり、利用者が減少する等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
13.自然災害・感染症について
当社は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県内に事業拠点を有しており、地震や水害等の大規模な自然災害が発生した場合に備えて、リスク管理規程を制定し、また、BCP(事業継続計画)を策定しております。しかしながら、当社の想定を上回る規模で自然災害が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の流行や拡大により、事業所の稼動ができなくなった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
14.大株主について
当社の代表取締役である青木勇は、当社の大株主であり、自身の財産保全会社である有限会社スリーユ及び親族の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の89.4%を所有しております。
本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引続き大株主となる見込みです。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社と致しましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
15.ストック・オプション等による株式の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、経営への参画意識を高めるため、ストック・オプション等のインセンティブプランを採用しております。これらのストック・オプション等が行使されれば、既存の株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は、268,000株であり、発行済株式総数の13.8%に相当しております。
Ⅱ.医薬事業(調剤薬局)について
1.医薬事業の法的規制等について
当社の医薬事業においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)、健康保険法、薬剤師法に基づく各種許認可、免許、登録、届出等により、厚生労働省及び都道府県保健福祉部の監督の下、保険薬局及び調剤薬局を営業しております。当社は、手順書・マニュアルの整備・運用、法令研修の実施を行い、関連法令の遵守に努めておりますが、関連法令に違反した場合、または関連法令が改正された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
関連法令の主な内容は下表のとおりであります。
許可、登録、指定、免許の別関連する法令登録等の交付者
薬局開設許可医薬品医療機器等法各都道府県知事
保険薬局指定健康保険法各地方厚生局長
麻薬小売業者免許麻薬及び向精神薬取締法各都道府県知事
生活保護法指定医療機関指定生活保護法各都道府県知事
被爆者一般疾病医療機関指定原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律各都道府県知事
結核指定医療機関指定結核予防法各都道府県知事
労災保険指定薬局指定労働者災害補償保険法各労働局長
指定自立支援医療機関指定障害者自立支援法各都道府県知事
高度管理医療機器販売業許可医薬品医療機器等法各都道府県知事

2.薬価基準及び調剤報酬の改定について
調剤薬局の売上高は、健康保険法に定められた薬価基準に基づく薬剤収入と、同法に定められた調剤報酬点数に基づく調剤技術に係る収入を主として構成されております。したがって、薬価基準の改定によって薬価が引き下げられた場合、当社では、仕入価格においても引き下げを実現すべく、医薬品卸業者との協議を講じておりますが、協議動向により仕入価格の引き下げ幅と薬価引き下げ幅が乖離し、薬価差益が減少することになる可能性があります。また、薬価以外においても、調剤技術に係る報酬が法改正によって引き下げられた場合、調剤技術に係る収入が減少する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2012年4月1日以降の薬価の改定は下表のとおり実施されております。
改定年月日2012年4月1日2014年4月1日2016年4月1日2018年4月1日2019年10月1日
改定率(%)△6.00△5.64△5.57△7.48△4.35

(注)1.2014年4月の薬価改定率は、消費税率の引上げ分(+2.99%)を差引いて表示しております。
2.2019年10月の薬価改定率は、消費税率の引上げ分(+1.95%)を差引いて表示しております。
3.調剤過誤について
当社では調剤過誤の防止のため、調剤過誤の自動チェックシステムを導入する等の対策を講じているとともに、危険薬剤等については薬剤師が重点的に鑑査を実施しております。また、万一に備え「薬剤師賠償責任保険」に加入することで当社の業績への影響を緩和する措置を講じております。
しかしながら、万一重大な調剤過誤が発生した場合、賠償金の支払いや、それに伴う利用者の信用及び社会的信用の低下を招くことにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.他社との競合について
当社が運営している調剤薬局は、大型総合病院前に開局される門前型調剤薬局を主としております。今後、当社が処方箋を応需している大型総合病院の敷地内に他社が薬局を開局した場合、当社の調剤薬局の来店者数が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ.介護事業について
1.介護事業の法的規制等について
当社の介護事業の主要なサービスである在宅介護事業(サービス付き高齢者向け住宅の併設サービス含む)は、介護保険法の適用を受けるサービスであるため、介護保険制度の影響を受けることになります。
介護保険制度は、3年毎に介護保険法の改正と共に介護報酬の改正が行われており、また、これに合わせて3年を1期とする市区町村における介護保険事業計画の策定が行われております。したがって、法令の改正により事業内容の変更を余儀なくされる場合や、介護報酬の引き下げ、介護サービス料金の自己負担割合の引き上げ等、介護給付費の伸びを抑えるための制度改正や報酬改定が行われた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.利用者の安全管理・健康管理について
当社がサービスを提供する利用者は、介護度の高い高齢者が多いことから、転倒や誤嚥、誤薬、離設等によって生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、デイサービス、グループホーム及びサービス付き高齢者向け住宅等においては、食事等の介護サービスが行われており、食中毒、集団感染等の危険性が相対的に高いと考えられます。当社は、介護手順や事故防止対策等については長年の実績に基づいて従業員の訓練や業務マニュアルの遵守による業務の実施を行っておりますが、万一、事故や食中毒等が発生し当社の管理責任が問われた場合、当社の社会的信用が低下するとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.他社との競合について
当社事業所の近隣地域に同種サービスの他社事業所が増加した場合、サービスの需要が飽和状態となり、当社事業所の稼働率が低下し、利用者の増加が見込めなくなる等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅳ.保育事業について
1.保育事業の法的規制等について
当社保育事業において運営する保育園は、主に児童福祉法に基づき許認可を受ける認可保育園となっています。
今後、同法に基づく許認可や認証の基準、人員・運営基準、公定価格、補助金制度などの変更等が行われた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、保育事業に関する主な法的規制は次のとおりであります。
事業内容法令名目的及び内容監督官庁
子育て支援事業食品衛生法飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上、増進を図る見地から食品の規格・添加物・衛生管理・営業許可等が定められている。厚生労働省及び都道府県・政令指定都市・特別区の保健所
児童福祉法児童の健やかな育成のための児童福祉施設の種類、国・地方公共団体の施策、費用負担等が定められている。厚生労働省、都道府県及び市町村


2.園児の安全管理について
当社がサービスを提供する園児は乳幼児であることから、転倒や異物誤飲、窒息等によって生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、保育園においては食事の提供が行われており、食中毒、集団感染等の危険性が相対的に高いと考えられます。当社は、保育手順や事故防止対策等については、職種別・階層別研修による従業員の訓練や職種別委員会の開催、業務マニュアルの遵守による業務の実施を行っておりますが、万一、事故や食中毒等が発生し当社の管理責任が問われた場合、当社の社会的信用が低下するとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.少子化や待機児童数等の環境について
当社では、女性の就業率上昇が進むことを念頭に政府が掲げた待機児童ゼロの達成目標を受けて、今後も自治体による待機児童解消に向けた取り組みが継続するものと考えております。
しかしながら、少子化、待機児童の減少等の理由により、入園する児童数が当初の見込みを下回った場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.他社との競合について
保育園の開設は自治体の審査基準によって選ばれます。したがって、競合他社が同自治体への保育園開設申請を行うことにより、当社の保育園開設計画が予定通り進捗しない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅴ.食品事業について
1.商品の品質評価について
当社は、利用者に安心・安全な食品をお届けするために、食品衛生法及び関連法令の遵守並びにJAS法等の基準に基づいた商品の販売を行っております。しかしながら、予期せぬ商品のトラブル等が発生し、当該商品を販売した当社に対する風評等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。